サモンナイト 勇者と姫と越響者   作:玄武Σ

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皆さん、お久しぶりです。最近大学の課題が忙しいうえに就活も始まって来たので前回から大分間が空いてしまいました。
そして、前回で凶化タケシーの下りを度忘れして途中から凶タケシーと書いてしまいました。
この二つについて、謝罪いたします。

それでは、最新話をどうぞ。


第22話 戦士達と希望の光

「いっけえええええええ!!」

 

キリサキゴホウが伸ばしてきた複数本の尻尾がミルリーフを目掛けて飛んでくるが、ミルリーフは翼を広げ、そこに魔力を収束、またも拡散ビームとして迫ってきた尻尾に発射する。

ビームが当たった尻尾は怯み、攻撃を中止する。

だが、敵の攻撃はそれだけでは終わらなかった。今度は周辺に漂っていた怨霊が一斉にミルリーフを目掛けて飛び掛かる。

 

「その位で負けないから!!」

 

ミルリーフは翼を閉じ、その状態のまま体中を膜状の魔力バリアで覆う。怨霊達はそのまま飛び掛かるが、バリアに当たった瞬間に消滅してしまう。

 

「流石は至竜、といったところか。そう簡単にはやられねえか」

「あなたみたいな悪者になんか、負けないんだから!!」

 

ミルリーフが叫ぶと同時に、口内に魔力を溜め始める。そして、溜め込んだ魔力を収束してエネルギー球を作り出した。

そしてミルリーフが、ドラゴンブレスを放つような仕草で一気に魔力の放射をすると、その魔力が極太ビームと化した。これを喰らえば致命傷は確実だった。

だが、その直後にキリサキゴホウが尻尾のすべてを前に出してそれを重ねるようにする。それが終わったら今度は、怨霊の大群が集まって巨大な壁上に変化した。ブレス攻撃はその壁にぶつかり、壁が消滅した後はそのまま尻尾に当たった。先程の壁によって威力がいくらか削がれ、そのまま重ねられた尻尾に受け止められ、相殺されてしまった。

 

「悪くねえ一撃だったな。だが『やあああああああああ!!』何!?」

 

いきなりミルリーフが最初にかましたように急降下してきたのを見て、ディガルドは驚いて仰け反る。

そのままミルリーフは、急降下の勢いに任せてキリサキゴホウの頭部に蹴りを叩き込む。

 

「Gyuaaaaaaaaaaaa!?」

「うぉおお!?」

 

蹴りの一撃はさっきよりも重く、キリサキゴホウも痛みから叫びをあげ、その衝撃でディガルドも吹き飛ばされる。それによりディガルドは刀の位置から強制的に離れさせられるのだった。

 

「ディガルドが!?」

「二人とも、あれを見ろ!!」

 

ライに指摘されたところを見てみると、なんと怨霊達が一斉に姿を消していったのだ。呼び出したディガルドが制御するための物から離れたためか、それによって呼び出された物もその呼び出しを無効化されたのだろう。

 

「今がチャンスだ!!」

 

ライ達はここぞとばかりにミルヒ達の閉じ込められた光球まで駆け出そうとする。

その時…

 

「Gyuaaaaaaaaaaaa!!」

「「「うわぁあ!?」」」

 

いきなりキリサキゴホウが首を振り上げて咆哮を上げだす。その時の衝撃でライ達は動きを止めてしまった。

 

「どうしたんだ?」

「やはり、あいつの制御からいきなり離れた反動か?」

 

突然の事態にシンクとエクレールは首をかしげる。その一方で、ライはその方向から何かを感じ取っていた。

 

(何だ? 今の叫びからは苦痛みたいなものが感じ取れたような…)

 

ライが直感的に感じ取ったそれは、ミルヒが取り込まれる前に感じ取ったものと同じだった。

 

「って、考えるのは後だ! 二人のところに行くぞ!!」

「あ、はい!」

「私としたことが!」

 

突然の事態に驚いていた彼らだったが、気を取り直してミルヒ達の開放に乗り出す。幸い、まだディガルドがキリサキゴホウの制御を取り戻していなかったため、光球への接近は容易だった。

 

「姫様! 目を覚ましてください!!」

「姫様! 姫様!」

 

シンクとエクレールは光球を叩きながら、中に閉じ込められているミルヒに呼びかけるがミルヒからも反応は見られなかった。それでも二人は、頑なに呼びかける。

 

「閣下、目を覚ませ!!」

 

一方、ライはストラで強化した肉体でレオが閉じ込められている光球を叩き割ろうとしている。だが、ミルヒのものと同じで光球は途轍もなく硬く、ストラで強化された一撃でもびくともしなかった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

一方その頃、魔物に取り込まれた先にあった空間でミルヒ達は土地神から話を聞かされていた。

 

『もう数百年前の昔、まだ大陸に人の手があまり入っていない時代の頃の話です。私と我が子は、山間で静かに暮らす土地神でした』

 

土地神(以下母狐)が話し出すと同時に、周囲が話していた当時の風景に変わっていく。どうやらこの土地神の記憶が周囲の光景となって映し出されたようだ。

少し進むと、その頃の土地神が子供と思われる小さな土地神と戯れている様子が見えた。

 

『ですが、あの日…』

 

そう言うと同時に空が曇り出し、いきなり黒い雷が落ちた。

母狐がその雷が落ちたところに駆けつけると、子狐が一本の刀に貫かれているという凄惨な事態が起こっていた。

そして回想内の母狐が子供に近寄って解放しようとした瞬間、子供はいきなり眼を開ける。その眼には何か禍々しいものが充ちていた方と思うと、子供の体が浮き上がりそのまま肉体が変異し、今よりもいくらか小さいがキリサキゴホウの姿になったのだ。

 

『落雷と共に降ってきた刀が、我が子の体を貫き通し、そのままあの子は禍々しい魔物へと変わってしまいました』

 

そして、キリサキゴホウに変異した土地神の子は、自身の母をその場で食い殺してしまう。ミルヒ達がキリサキゴホウに取り込まれた先でこの土地神に遭遇したのは、「彼女も取り込まれてしまって同じ場所にいた」ということである。

 

『私を取り込んだあの子は、そのまま魔物として山の生き物たちを喰らって、大地を破壊していきました。今から二百年余り前に、人里に下りようとしたところを当時の聖剣の主によって封じられたのですが、封印が弱まったのか、あなた様の聖剣に惹かれたのか、あの子は目覚めてしまいました。そして今…』

「あやつに、ディガルドに利用されておるというわけか」

 

レオの言葉にうなずき、母狐は続ける。

 

『あの子は魔物と化した今も泣いています。そして、邪な者の私利私欲に利用され、その苦しみは増しているのです』

 

キリサキゴホウ誕生、魔物化しても苦しんでいる土地神の子狐、その悲しき過去と現状にミルヒ達がショックを受けていると、また別の声が聞こえてきた。

 

『痛いよぉ…苦しいよぉ…』

 

声の主は、いつの間にか二人の目の前に現れていた。

それは、魔物と化した土地神の子供だった。地面に倒れ伏した状態で体を件の妖刀に貫かれ、苦しそうにしている。

 

『誰か、僕を死なせて…僕を、殺して…』

 

子狐が苦し紛れに吐いた言葉に、ミルヒもレオもショックを受けている。しかし、それ以上にショッキングなことを母狐が頼み込んできた。

 

『聖剣と魔戦斧の主、あなた様方の宝剣の力があれば、その子を殺すことができるはずです』

 

驚く二人をよそに、母狐は言葉をつづける。

 

『宝剣でこの子の首を落とせば、魂の緒が外れて、この子の命と共に魔物も消えるはずです。お願いします』

「……わかった。気は進まぬが『レオ様、待って下さい』っ、どうした、ミルヒ?」

 

レオが了承しようとすると、ミルヒが静止をかける。そして、代わりに母狐に頼みに対しての返事を返した。

 

「……お断り致します」

「!?」

 

はっきりと、母狐の頼みを断ったのだ。

 

「ここでこの子を斬れば、魔物は消えるかもしれません」

「ミルヒ、だったら手段を選んでおる暇はない!」

 

ミルヒに対してレオが言葉を続ける。

 

「儂かて本当は命を奪うことをしたくないが、このままフロニャルドをあの男に蹂躙させるわけにもいかん! それに、早く魔物をどうにかせねば勇者達や国にも危害が及ぶぞ!! お主はそれでもいいのか!?」

 

レオの言うことは尤もだ。事態は一刻を争うため、選択の余地はないはずだ。だが、ミルヒはそれでもかまわず告げる。

 

「レオ様、私だって勇者様やライさん、国の民が傷つくのは見たくありません。ですが……

この子を斬ってしまっては、この方達の積み重ねられた悲しみや苦しみは消えません」

 

その言葉に、レオも母狐もハッとする。そして、ミルヒが母狐に向き合って、再び言葉を紡いだ。

 

「あなたもお子様も永い時の中、どんなにつらく、悲しい思いをされたことか。エクセリードとは確かに魔を絶つ剣です。ですがそれ以上に、人と命を導き、大地に希望を育むための剣です」

「あなた方もフロニャルドに生きる命です。妖刀ごときに悲しい思いをさせられたまま終わるなど…

 

 

私が絶対に許しません!!」

 

ミルヒがそう訴えると、彼女の胸から桃色の輝力光が放たれ出した。

 

「ビスコッティが領主、ミルヒオーレ・F・ビスコッティが、絶対絶対、許しません!!!」

 

力強いミルヒの言葉に、呼応するかのように輝力光は眩くなっていく。

 

(そうじゃった。長いこと跳ね除けておったから忘れておったが、ミルヒはそういう娘だった。誰よりもやさしく、慈しむことを常に考えておる、儂にとってもかけがえのない存在…)

 

レオもそんなミルヒの様子に、何かが吹っ切れたような表情を浮かべる。

 

「母狐よ、先程の儂の発言も撤回させてもらう」

 

レオも母狐に向き合い、言葉を紡ぐ。そして、その表情からは完全に陰りが消えており、ミルヒと同じく輝力の光を胸から発していた。

 

「儂もお主達が悲しみに暮れたまま消え去ることを許さぬ。ガレット獅子団領主にして魔戦斧グランヴェールの継承者、レオンミシェリ・ガレット・デ・ロワが絶対に許さぬ!!」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「な、なんだ!?」

 

ライ達が割ろうとしていた光球に、いきなりヒビが入った。

 

「これは一体…」

「勇者、割れるぞ!」

 

すぐさまヒビは大きくなり、一瞬にして光球は砕け散った。そして、その中から全裸状態のミルヒとレオが姿を現した(おそらく、消化途中で無くなったのだろう)。すぐさま、ライはレオを、シンクとエクレールはミルヒを受け止めた。

 

「姫様!」

「大丈夫ですか、姫様!?」

「閣下もしっかりしてくれ!!」

 

ライ達が呼びかけると反応があり、すぐに目を覚ました。

 

「シンク、エクレール?」

「ライ、お主来てくれたのか?」

「はい、姫様」

「無事で何よりです」

「とりあえず、無事みたいだな……あ」

 

ライがふと何かに気づく。それによって他の面々も同じものに気づき、ライ達救出組がミルヒとレオの胸元に視線を集中、二人も自身の胸元に視線を集中した。そう、いきなり光球から出てきた二人は何故か裸に穿かれているため、いろんなところが丸見えだったのだ。

よって…

 

 

 

 

 

「「何を見とるんじゃ(見ているんだ)貴様ぁあああああ!!」」

「「ごぼぉおお!?」」

「ああああ、すみません!!」

 

ライはレオに、シンクはエクレールに顔面を思いっきりぶん殴られ、そのまま顔を抑えたままのたうち回る。一方、ミルヒは胸元を隠しながら蹲り、そのまま謝罪の言葉を放つ。

先程の事態から一転して、カオスな状況となっていた。

 

「パパ、何してるの…」

 

一方、上空ではミルリーフがその様子を見てあきれている。キリサキゴホウがいきなり動きを止めたので、ライ達に気を回す余裕が出来たようだ。

 

「そんなことより…」

 

そんな中、ミルヒが先ほどの話を思い出し、ライ達にその詳細を告げようと視線を彼らに向けた。

 

「シンク、ライさん、エクレール、私達この魔物を助けたいんです」

「へ? 助ける」

 

危険な存在である魔物をなぜ助けるのか? ライ達はミルヒの言葉を理解できずにいた。すると、レオが説明を交代してきた。

 

「どうもこの魔物、土地神が後天的に変異したもののようでな。体に刺さった赤い刀が原因だそうなのじゃ」

「赤い刀……まさかあの!」

 

ライはレオの言葉を聞いて真っ先に思い出した。ディガルドがキリサキゴホウを操作する際に握っていた妖刀があったことを。

 

「ダルキアン卿とユッキーが土地神から魔物になることがあるって言ってたけど、これがそうだったんだ」

「はい。だから、例の刀を抜けば元に戻るかもしれないんです」

「……わかった。あとはオレ達に任せてくれ」

 

ミルヒから話を聞いたライ達は、立ち上がってディガルドのところに向かおうとする。

 

「みなさん、私もご一緒させてください」

「儂もただ見守るだけなのは性に合わん。手伝わせろ」

 

すると、ミルヒ達が同行を申してきた。ついさっきエクセリードが覚醒したミルヒ、もともと実戦経験の多いレオ、二人とも戦力としては申し分ないが……

 

「イ、 イヤ、今の二人の状態じゃ…」

 

それを聞いたライは、言いにくそうに、視線を逸らしながら告げる。ミルヒもレオも真っ裸、行動できる状態ではなかった。そのことを指摘された二人は、先程のことを思い出して縮こまってしまう。

すると、折れたエクセリードとグランヴェールがひとりでに浮き上がり、ミルヒ達のすぐ目の前に飛んでいく。

 

『うわぁあ!?』

 

突然の事態に固まる一同だったが、いきなり二本の宝剣が強い光を発し出し、驚きの声を上げる。

 

「え?」

「こ、これは?」

 

光が晴れると、エクセリードの形状が短剣から長剣へと変化しており、グランヴェールも破損個所が修復されていた。そして、全裸だったはずのミルヒとレオもいつの間にか戦装束を着た姿になっていた。

 

「エクセリード…これ、あなたが?」

「…ライに垂れ耳、お主達も…」

「「え?」」

 

レオに指摘されて、ライとエクレールも自分の前進を確認してみると、傷が全快しており、衣服の破れた個所も修繕されていた。

 

「何故、私達まで回復しているんだ?」

「もしかして、儂らの時の余波でか?」

「だとしたら、太っ腹だな」

 

何はともあれ、ライ達はこれで戦闘準備完了だ。

そして、宝剣に変化が起こったのはミルヒ達だけではなかった。

 

「パラディオン……うわぁ!?」

 

今度はパラディオンの指輪がひとりでに輝きだし、その光がシンクを飲み込んだ。そして光が晴れると、シンクの傷が全快し、ボロボロだった勇者装束も元通りになっていた。そして肝心のパラディオンはというと、金色の刃の両刃の剣へと変異していたのだった。

 

「エクセリード、私達に頑張れって言ってくれてるんですね?」

「グランヴェールも、この不甲斐ない儂に力を貸してくれるのだな」

「パラディオン、頑張るからもう少し僕に力を貸して!」

 

シンク達はそれぞれの持っている宝剣に語り掛け、そして手に取った。

 

「姫様、閣下、我々もお供させてもらいます!」

「乗り掛かった舟だ。ディガルドの野郎に一泡吹かせてやろうぜ!」

 

ライとエクレールもそれぞれの武器を構え、戦闘態勢は整った。

 

 

 

「あいつ等、なんで復活してやがるんだ!?」

 

一方、ディガルドは妖刀の刺さった個所からライ達の様子を目の当たりにし、動揺している。

 

『ゲバァアアアアアアアアアアアア!!!!』

 

するといきなり、何かが咆哮をあげたのでディガルドはそちらを向く。そこには、先程ライ達によって倒された凶化タケシー達が復活して集まっていた。

 

「おお、ナイスタイミング! お前ら、あの連中がこっちに近づいてくるから、迎撃に移れ!!」

『ゲベレレ!!』

 

凶化タケシー達はディガルドの前に整列し、口内に電気エネルギーを充填し始める。さらに、一斉に亡霊の大群、刃が生えた大量の触手が出現した。ライ達をこれで迎撃するのだろう。

 

 

「僕と姫様はトルネイダーで一気に突き進みますけど、ライさん達は…」

「手は打ってあるから大丈夫だ」

「お前達はあやつへの攻撃準備に集中しておけ。迫ってくる敵は儂らが片づける」

「…了解しました。じゃあ、行くよ姫様!!」

「はい、シンク!!」

 

そのまま、シンクはトルネイダーを出現させてミルヒと二人乗り、一気に突き進む。一方、ライ達は輝力を足に集中し、シンクがミオン砦で使った勇者超特急のような走力強化技で突き進む。輝力武装がなかったためこのような形をとったようだ。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

「でりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!!」

 

ライとエクレールは先行しながら、高速の連続切りで迫りくる触手を捌いていく。ディガルドも必死なので攻撃が激しいが、全快状態の二人には特に問題はなかった。

ちなみに、一番多く捌いたのはエクレールだ。

 

次に、亡霊の大群が集まって、巨大な太刀のような形になってこちらに飛んでいく。単発の威力が高く、紋章術の準備をしていないライ達では防ぎきれない。だが、心配は無用だった。

 

「魔神・閃空斬!!」

 

レオがグランヴェールで必殺の紋章術をぶっ放し、その太刀を消滅させた。宝剣での最大出力で放ったため、まだ攻撃が生きたままだ。そして、それがディガルドへ向かって真っすぐ飛んでいく。

だがディガルドも咄嗟に、空いている魔力で盾を形成してそれを防ぐ。だが、いくらか威力が削がれた状態でもまだ強力だったようで、盾を消した後の腕は痙攣していた。

 

「お前ら、一斉射撃!!」

「ゲレレァア…」

 

ディガルドが凶化タケシー達に指示を出すと、そのまま雷弾の発射準備に入る。

 

 

 

 

『ゲレァアアアアアア!?』

 

いきなり上空からの攻撃が入り、それをもろに喰らった凶化タケシー達はまたも黒こげになって気絶する。

 

「パパ達の邪魔はさせないよ!」

 

それは上空で待機していたミルリーフだった。ミルリーフは上空にいたままだったので詳しい話は聞けていなかったが、ライ達が行動に移したことから打開策を見つけたのだろうと推測できた。そしてそのライ達を攻撃しようとするタケシー達が目に入ったので撃破に乗り出した、というわけだ。

 

「ミルリーフ、ナイスだ! シンク、このままいくぞ!!」

「あとはお前達と姫様に任せる。ドンとやってこい!!」

「はい! 姫様も」

「はい!!」

 

いつの間にかシンク達の攻撃準備が整ったようで、パラディオンもエクセリードも輝力を纏って輝いている。その一方で、ライの剣も輝力をいつの間にか溜めていたようで、シンク達のものと比べていくらか弱いが輝力光を発している。そして、三人は一斉に剣を振り上げ、攻撃準備に入った。

 

「「ホーリー…」」

「響界…」

 

それを見たディガルドは、刀から手を放し、獲物である槍を出現させた。

 

「クソ、こんなところで俺の野望を終わらせてたまるか!!」

 

ディガルドも負けじと、槍に魔力を溜め始める。先程からキリサキゴホウの出現による恐怖などの不の感情により、ディガルドも魔力はある程度上がっている。それを出し惜しみしないで使う気のようだ。

 

「「セイバァーーー!!」」

「斬魔剣!!」

 

三人が剣を振り下ろすと、大出力の輝力が放たれ、ディガルド目掛けて飛んでいく。

 

「デモンズジャベリン!!」

 

対して、ディガルドも必殺技をライ達に向けて放つ。

ディガルドはキリサキゴホウの出現で不安を煽られた付近の住民や戦の参加者達から、負の感情を吸収してパワーアップしていた。だが、シンク達は対となる希望の力を宝剣に込めて必殺の一撃を放ち、かつライの強力な一撃を織り交ぜているため、勝負の結果は見えていた。

 

 

「何!?」

 

力負けしたのはディガルドだった。負の感情を取り込んでパワーアップしたのに力負けした、それによって驚愕しているディガルドに向けて攻撃は飛んでいく。

 

「ぐわああああああああああああああ!?」

 

ライ達の攻撃を受けたディガルドは吹っ飛び、そのままキリサキゴホウの上から落下した。

 

「今だ!!」

 

ライに促されてシンク達は宝剣を指環に戻し、一気に刀のところまで飛び込む。そして、そのまま引き抜こうとする。

 

「く、このぉ…!」

「か、固い…」

「でも、諦めません…!」

 

三人がかりで妖刀を抜こうとするが、鎖で繋がれているうえに深く突き刺さっているので中々抜けない。

その間、キリサキゴホウは崖に足を滑らせるが巨体からすぐに崖下に足をつける。そして近くの岩肌に巨体を打ち付けて、こちらの妨害をしてきた。

だが、それでも諦めずに引き抜こうとしていると、シンク達の宝剣が光を発し出した。その直後、刀を繋いでいた鎖の一部が独りでに千切れた。

 

「後はオレに任せろ!!」

 

ライはシンク達を離れさせ、ストラで肉体を強化して一気に引き抜こうとする。

 

「ん、この、おりゃああああああああああああ!!」

 

結果、妖刀を引き抜くことに成功する。すると、引き抜いた後から何かが飛び出してきた。

すると、ミルヒがそれを見た瞬間に走り出した。

 

「えい!!」

 

そのまま頭から滑り込んで落下先に先回りし、それを受け止める。

 

「まさか、そいつが…」

「はい。この子が例の土地神様です」

 

この時、魔物と化した土地神の子狐は妖刀の呪縛から解放され、本来の姿に戻れたのだった。

 




子狐は解放されたが、果たしてこの後どうなるか?
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