サモンナイト 勇者と姫と越響者   作:玄武Σ

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皆さん、お久しぶりです。とりあえず、ようやくお気に入り件数が100突破出来ました。今後ともよろしくお願いします。

話は変わって、「世界征服〜謀略のズヴィズダー〜」というアニメが最近のお気に入りです。サモンナイトの黒星紅白先生(飯塚武史の別名義)のデザインしたキャラがぬるぬる動いて最高です!
これで黒星先生のファンが増えてくれたら嬉しいですね。

※先程、間違えてもう一方の連載作品に投稿してしまいました。すみませんでした。


第23話 絶望の顕現 The Satan

ライ達によって妖刀から解放された子狐。あとは安全な場所に運べば、万事解決だった。

すると…

 

「! タケシー達が…」

「元に戻っていく…」

 

先程の攻撃でのびていた凶化タケシー達が、次々と元のタケシーに戻っていった。どうやらキリサキゴホウの消滅によってタケシー達に取りついた力も消滅したようだ。ちなみに、元に戻ったと同時に力尽きたのか、タケシー達は強制送還されて消えていった。

そして、変化があったのはタケシー達だけではなかった。

 

「? 魔物の体が…」

「これは、土か?」

 

触媒にされていた子狐が解放されたことにより、残ったキリサキゴホウの肉体は一気に朽ち果てたようだ。このままここにいては、崩壊に巻き込まれてしまうので、早急に脱出する必要があった。

 

「……って、ライさん!!」

「ん? って、なに!?」

 

ライによって引き抜かれた妖刀の枝刃が伸びて、触手のようになっていた。そしてその枝刃が、妖刀を握っていたライの腕に巻きつこうとしている。

どうやら、今度はライの体を触媒に魔物化しようとしているようだ。

 

「くそ、あっち行きやがれ!!」

 

するとライの体から不思議な光が発せられ、触手がそれに反応して動きを止めた。古き妖精の血を引く響界種であるライが、妖精の加護を発動させたようで、妖刀はその力を拒絶しているようだ。

 

「ライさん、それって一体?」

「あ、ああ。とりあえず、戻ってからゆっくり話す」

 

自分が妖精とのハーフだということを話していなかったのを思い出すライ。とりあえず、帰還してから話すことにしておく。

 

「で、とりあえずこいつは……どりゃあああああ!!」

 

このまま持っていてもまずいと思ったライは、おもむろに妖刀をブン投げる。その様子に、場にいた面々は茫然としていた。

 

「………よし、早いところ脱出するか。ミルリーフ、頼む!!」

「オッケー!」

 

茫然とするシンク達を無視して、ミルリーフを呼んで脱出の準備に入るライ。もう何とでもなれ、という雰囲気だった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「クソ、またあいつらにしてやられた…」

 

一方、ライ達によってキリサキゴホウの上から落とされたディガルドは、傷だらけだったもののまだ生きている。ディガルドは地に付した状態のまま、崩れゆくキリサキゴホウの肉体を見つめており、忌々しそうな顔をしている。

 

「このままじゃ俺の野望が…ってあれは!?」

 

その時、ディガルドの目にあるものが映った。ライが先ほど投げ捨てた妖刀だった。ディガルドが倒れている場所から距離はかなり離れているが、悪魔ゆえに視力も人間離れしていたのか、ディガルドはそれを見落とさなかったのだ。

 

「触った感じ、あれがキリサキゴホウの力の核みたいなものだった筈……まだ望みはありそうだな」

 

ディガルドはその直後、プラーマを召喚して自らの傷を治療し、妖刀が投げ捨てられた地点へと飛んでいく。

 

 

 

 

「あったあった……って、すげぇことになってるな」

 

妖刀を発見したディガルドだったが、刃が生き物のようにうごめいているのを見て、思わず引く。まあ、サプレスの霊的生物やシルターンの妖怪でも、ここまでいかがわしい物はそうそう無いだろうから、仕方ないだろう。

 

「さて。こいつをとりあえず回収しておけば、何かしらに使えるだろうな」

 

それでも己が野望のために、ディガルドは妖刀を回収しようとする。その時だった。

 

「生憎だが、その禍太刀は世に害をなす存在ゆえに、そなたのような邪な者に渡すわけにはいかないでござるよ」

 

ディガルドは背後から声がしたので振り返ると、こちらに向かって歩みを進める者がいた。それはビスコッティ最強の騎士、ブリオッシュ・ダルキアンその人だった。

 

「ライ殿や勇者殿のおかげで魔物も退治されて、あとはその禍太刀を封じるだけに済んだでござる」

「拙者は存じ上げていたでござるよ。みんな、ああ見えてよくできる子達だと」

「そうでござったな」

 

今度は別の場所からユキカゼが現れ、ブリオッシュに語り掛けながら歩み寄ってくる。そして、ディガルドがあたりを見回すと、何匹もの犬達が包囲していた。

 

「てめぇらは、あの時の!」

「ここから先は拙者達【隠密隊】のお役目ゆえに、拙者達でお相手させてもらうでござるよ」

 

ブリオッシュが宣言すると、腰の刀を抜いてユキカゼと二人で構えをとる。

 

「チッ、だったら俺も容赦しないぞ!!」

 

ディガルドは咄嗟に、禍太刀と呼ばれた妖刀を右手に握り、左手には槍を出現させて武装する。すると…

 

「な、なんだ!?」

 

いきなり禍太刀がディガルドに触手化した刃を絡めようと、その刃を伸ばして彼に近づける。

 

「まさかコイツ、俺の肉体を奪うつもりか?」

 

ディガルドは禍太刀が何をしようとしているのかに気づき、表情を歪める。

 

「てめぇみてえなわけわかんねえ物が、俺を支配するんじゃねえ!!」

 

ディガルドが怒号を上げると、禍太刀が動きを止めた。その光景を見たブリオッシュとユキカゼは、思わずディガルドを睨む。

 

「あの禍太刀を気迫のみで抑えつけるか……どうやら貴様は相当危険な存在のようでござるな」

「だったらどうする?」

「この場で悪事を働けぬようにするでござる!!」

「どうやってだ? そんでもって、やれるならやってみな!!」

 

そしてディガルドが右手に握った妖刀を振り下ろすと、蠢いていた枝刃が次々とユキカゼを追尾するように伸びていく。だが、ユキカゼはその攻撃をしなやかな動きで一つ一つ避けていく。

そして、全ての攻撃をよけた後、小太刀を構えて何かの言葉を口にする。

 

「――浮き世に仇なす外法の刃、封じて回るが我らの勤め――」

 

どうやらその言葉は何かの呪文のようで、それを唱えると同時にユキカゼの持っている小太刀が金色の光を放ちだす。それに合わせて、コノハの胸についている鈴や隠密隊の犬達が咥えている小太刀も同様に金色の光を放つ。

 

「――大地を渡って幾千里、浮き世を巡って幾百年――」

 

詠唱を続けていると地面に輝力で何かが描かれていく。あっという間にそれは完成、どうやら魔法陣のようなもののようだ。

 

「――天弧の土地神ユキカゼと討魔の剣聖ダルキアン――」

 

一瞬、気になるワードを口にしたユキカゼだったが、ディガルドはいまだにフロニャルドの生態を知らず、土地神が何なのかを理解していないので特に気にしてはいない。そして同時に、この様子からこれから彼女らが何をする気なのかを察して警戒を強める。

 

「(まさか、この刀を俺ごと封印する気か!?)だとしたら、やらせてたまるか!!」

 

ディガルドはデモンズジャベリンの要領で、槍だけでなく禍太刀にも魔力を纏わせてがむしゃらに振り下ろす。だが、いきなりユキカゼの目の前に彼女の紋章が展開され、それがディガルドの攻撃を防ぎきる。

 

「――流れ巡った旅の内、封じた禍太刀、五百と九本!!――」

 

ユキカゼの言葉と同時に彼女の周囲から無数の金色の剣が出現した。

 

「――天地に外法の華は無し――!」

 

ユキカゼの最後の詠唱と同時に、先程現れた無数の剣がディガルドと禍太刀に突き刺さっていく。ディガルドの先程の推測は当たっていたようで、現れた剣によってディガルドは禍太刀もろとも力を抑えられてしまう。

 

「マズい!!」

「――朽ちよ、禍太刀――!」

 

ユキカゼの言葉と同時に、先程から動きのなかったブリオッシュに変化が起こる。彼女の構えていた刀に輝力が収束され、身の丈を超える大きさの大刀に変化したのだ。

 

「神狼滅牙」

 

ブリオッシュは技名を口にすると、その場から凄まじい勢いで跳びあがる。

 

「天魔封滅!!」

 

そしてそのまま技名の続きを叫び、唐竹割の要領でディガルド諸共、禍太刀を両断する。

 

「お、俺は、こんなところで…」

 

ディガルドがそれだけ呟くと同時に、その場でブリオッシュの輝力と同じ紫色の光を放って爆発した。

 

 

 

 

攻撃の跡地にはディガルドも禍太刀も無く、一本の小刀が刺さっていた。

 

「ユキカゼ、無事に済んだでござるか?」

 

ユキカゼブリオッシュに言われて、刺さっていた小刀を抜き取って確認を取る。

 

「はい。封印刀の中にしっかりと…」

 

そういってその刀を抜き取って空にかざす。どうやら、ディガルドごと禍太刀をそれに封じ込めたらしい。そして、それを確認したと同時にブリオッシュも技を解除する。

 

「後はこれについて姫様達に報告を」

「でしたら拙者が行ってくるでござる」

「うむ。任され……!!」

 

ブリオッシュがいきなり言葉を止め、ユキカゼの手元を見て目の色を驚愕に染める。

 

「親方様、どうs「ユキカゼ! その封印刀を離すでござる!!」え!? わかりました!!」

 

ブリオッシュの突然の慌て様から尋常じゃないと察し、ユキカゼは封印刀を投げ捨てる。そしてそれに視線を向けてユキカゼも驚愕する。

 

「な!? 封印刀にヒビが…」

 

封印刀にヒビが入っており、それが次第に大きくなっていく。そして、そこからどす黒い瘴気のようなものが漏れ出していた。そしてほどなくして、封印刀は砕け散った。

 

「イスカ様の打った封印刀が砕けた?」

「まだあやつにそれだけの余力が?」

 

どうやらあの刀は内側から封印が破られたらしく、ブリオッシュはディガルドにそれだけの力が残っていたことに驚く。すると、砕けた封印刀から先程の瘴気が大量に発生、それが集まってディガルドの姿を形作っていく。

 

「へへ、どうやら上手くいったようだな…」

 

出てきて早々にディガルドが口にしたこの言葉だが、彼の姿を見たブリオッシュ達はすぐにそれが何なのかに気づいた。

 

「な!?」

「禍太刀を、自分の体に…」

 

ディガルドはなんと、自分の腹部に禍太刀を突き刺していたのだ。どうやら、封印される間際にやったようである。

 

「血迷ったでござるか!? それではその禍太刀に乗っ取られてしまうでござるよ!!」

 

これにはさすがに驚きを隠せないブリオッシュ。思わず聞かずにはいられなかった。

 

「生憎、俺は支配されるのは性に合わねえからな。逆に招き入れて支配してやるつもりだ」

 

ディガルドはそうは言ってるものの、表情は若干苦しそうだった。

 

「ぐっ!?」

「ま、禍太刀が…」

 

いきなり禍太刀が蠢きだしたかと思うと、腹部の傷口からそのままディガルドの体内に入っていく。禍太刀は見る見るうちにディガルドの体内に消えていき、投信がすべて彼の体内に入ってしまう。そして、最終的に刀身のみがディガルドの体内に完全にもぐりこみ、残った柄は彼の足元に落ちた。

 

「ぐ、ぬぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」

 

 

いきなりディガルドが咆哮を上げたと思いきや、その直後に体から黒い波動が発せられ、ブリオッシュ達隠密隊を弾き飛ばす。そしてそのまま、ディガルドは体中からこれまでとは桁外れな魔力を放出し、それで黒い繭を形成していった。

 

「親方様、これは…」

「拙者も長く禍太刀を狩っていたが、今回のようなことは初めてでござるな」

 

ブリオッシュ達は予想だにしなかった事態に、これまでにないほど警戒している。

 

「ダルキアン卿、ユッキー!!!」

 

上空から声が聞こえたかと思うと、至竜形態のミルリーフが飛んできており、シンクが二人に対して呼びかけたようだ。

 

「勇者殿! それにライ殿や姫様達も一緒でござったか」

 

ライ達はミルリーフの背中から下りて、ブリオッシュ達のところに駆け寄る。

 

「ダルキアン卿、一体何事ですか?」

「いきなりでかい爆発が起こったと思ったら今度は妙な黒い繭みたいなやつが出てきたんだが、あれは?」

 

どうやらライ達はブリオッシュが神狼滅牙を使った際の爆発に気が付き、それでこちらにやって来たようだ。

 

「爆発は禍太刀、あの魔物の力の核になっていたあの刀を親方様とで封印しようとした技によるものでござる。そして、あの繭は…」

「ディガルドが禍太刀を自らの体に突き刺して取り込もうとし、その時に自らを覆い隠すために起こしたものでござる」

「「「「「な!?」」」」」

 

ライ達は驚愕した。ディガルドを倒しきれず、しかもキリサキゴホウの力の核だった禍太刀を取り込まれてしまったという

 

「どうやら禍太刀の力を逆に掌握しようという魂胆のようでござるが…」

「じゃが、あの刀は魔物の肉体で長いこと生命を喰らっておったから、相当な力を蓄えておるはずじゃろう。そんなものを体に取り込んだら、逆に支配されかねんのでは?」

「それが、あの者は気迫だけで自分を乗っ取ろうとする禍太刀を抑えつけていたのでござるよ。果たしてどうなるか…」

「どっちにしても、危険な敵の誕生に変わりはないってことだな」

「ライの言う通りです。警戒を怠らないようにしましょう」

 

エクレールの一言で、ライ達は問題の黒い繭の方に視線を移す。そして、いつディガルドが出てきてもいいように臨戦態勢に入った。

 

「あの、ダルキアン卿…」

「ライ殿、どうしたでござるか?」

「実は、オレが例の刀をさっき適当に投げ捨ててしまって、もしあそこでもっと別の手段を取っていればこうは…」

 

ライは先程の行動に罪悪感を感じ、ブリオッシュにそのことで謝罪の言葉を投げようとする。

 

「禍太刀は普通にやっても破壊は不可能、封印しか手がないのでござるよ。だからライ殿や勇者殿が無理に何かしようとしたら逆に取り込まれた可能性もあったでござるから、そう悲観的にならないでいいでござるよ」

「ダルキアン卿…」

「それよりも今は、あやつが出てくるのに備えて億でござるよ」

「…わかった」

 

そして、ライ達はディガルドが中にいる竜巻に視線を向けたのだった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

その頃ディガルドは、竜巻の中心で苦しそうにしている。彼の体内で禍太刀が肉体の主導権を奪おうとしているようだ。

 

「う、ぐぉぁあ、うぐぅぁああ…」

『我ニ喰ワレヨ。ソシテ破壊ノ限リを尽クセ』

 

ディガルドの脳に、禍太刀の意思が直接語り掛けてくる。

 

(……俺は、ここで死ぬのか? こんないかがわしい刀一本に意識を食われて、体を取られて、そんな無様な死に方で死ぬのか? つーか、俺は何で異世界支配なんて考えたんだ?)

 

薄れゆく意識の中でディガルドがそんなことを考えていると、彼の脳裏にある記憶が蘇っていく。

それは今から数年前のこと…

 

 

 

『ここは、リィンバウム? 俺は召喚されたのか?』

『物分かりが良くて助かりますね。そして、私が召喚した者です』

 

ディガルドはどうやら、一度リィンバウムに召喚されたことがあるらしく、目の前の色白い肌をした銀髪の男に召喚されたようだ。そしてこの男……いや、この悪魔(・・)こそが…

 

『ディガルド、あなたには護衛としてアルミネスの森に付いて行ってもらいます。期待していますからね』

『ありがたき幸せ、メルギトス様!』

 

そう、かつてリィンバウムを侵略した際に調律者(ロウラー)と兵器に改造された豊穣の天使アルミネによって封じられ、数年前に復活して傀儡戦争を引き起こした大悪魔メルギトスだ。ここからわかるように、ディガルドはメルギトスに仕えていた悪魔だったのだ。ただし、メルギトスと彼の腹心の悪魔達が、召喚師から血識で覚えた召喚術により後から呼び出したことようだったが、それでも忠誠心は強かったようだ。

だが…

 

『メルギトス様、申し訳ありません…』

 

ディガルドは調律者とその仲間達との戦いにより負傷、それによって強制送還されてしまう。サプレスに戻った彼は、傷が完治したころにはメルギトスが再び召喚してそばに置いてくれると信じ、サプレスで己の肉体をいやすのだった。

だが、彼のその望みは果たされなかった。

 

 

『め、メルギトス様が死んだ、だと?』

『ああ。クレスメントの、調律者の末裔に負けた。しかも死に際にばら撒いた源罪(カスラ)もアルミネの生まれ変わりに浄化されて、一矢報いることすら出来なかった』

 

ディガルドはサプレスにて同朋からメルギトスの悲報を聞いて愕然としている。この悪魔はディガルドと同じく後からメルギトスによって召喚されたようで、メルギトスの死によって強制送還されたらしい。

その詳細を聞いたディガルドは、膝をついた。

 

『くそう、調律者め。よくも、メルギトス様を…』

 

そのまま、ディガルドは悔し涙を流している。彼にとってメルギトスはそれほどまで尊敬できる存在だったようだ。

 

それからどれくらいの時間が過ぎたか、ディガルドはある決心をしたのだった。

 

(いいぜ、人間ども。メルギトス様は死んだが、リィンバウムが欲しい悪魔はまだまだいるし、これからも増えていく。俺もその一体になって、最強の魔王になってリィンバウムをや他の異世界を牛耳ってやる!!)

 

ディガルドのリィンバウム支配はメルギトスの弔い合戦を兼ねていた。ゆえにここまでの執念を見せていたようだ。

そして、それをはっきりと思いだしたディガルドは、我に返る。

 

「そうだったな、俺はメルギトス様の意思を継ぐんだった。こんなわけのわからん刀一本に支配されてられねえんだった」

『ナニ? ……ギガ!?』

 

ディガルドのつぶやきと同時に、禍太刀の意思の意思が苦しみだした。

 

「俺はメルギトス様を超える最強の悪魔王になる! そしてメルギトス様が成しえなかった、全異世界の制覇を成し遂げる!! てめぇはそのための贄となれ、キリサキゴホウ!!!」

『ギ、ギガガガガガァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!?』

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

同時刻、ディガルドを覆っていた繭に異変が起こった。

 

「な、なんかヒビが入ってきてません?」

「それに、光みたいなものが漏れてるんですけど…」

 

シンクやミルヒがその様子にうろたえていると、ブリオッシュはそれを見て何かに気づく。

 

「全員、離れるでござるよ!!」

「え!?」

「わ、わかりました!!」

 

普段冷静なブリオッシュが出さないであろう大きな声だったために、何かあると察して全員がその場を走って離れた。

 

―ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン―

 

繭が爆発した。

 

「あ、危なかった…」

「ダルキアンが気づかなかったら、儂ら全員があの爆発に巻き込まれたというわけか」

「ダルキアン卿、感謝します」

「礼には及ばんでござるよ。それよりも、あそこから出てくるであろうディガルドに警戒しておいた方がよいでござるよ」

「はい、わかりm……!?」

「な、何ですかコレ…」

 

その時、その場にいた全員が全身に悪寒を感じ取った。

すると…

 

 

 

 

 

 

 

『ふはははは…っあははっ、あは! あーひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!!』

 

狂ったような笑い声が響くと同時に、爆風が晴れる。そして、そこに立っていたディガルドの姿が現れる。

 

「な、なんだコイツは…」

「これが、あのディガルドなのか?」

 

ライ達はその姿を見て驚く。ディガルドの容姿は元の姿から大きくかけ離れたものと化していたのだ。

全長30メートルはあろう巨体に武者甲冑を纏い、側頭部から生えた二本の角、両目とは別に額から生えた巨大な目玉、どす黒い色をした蝙蝠のような翼、先端部分が三又に裂けた鋼鉄で覆われた尻尾、そして一番に目を引くのは、右腕と一体化して巨大な刀と化した禍太刀。魔人と形容してもいい禍々しい姿をしていた。

そして、この姿にレオは見覚えがあった。

 

「あ、あれはまさか…」

「レオ様、あれをご存じなのですか?」

「ああ。先程、天空武闘台で仮眠を取った時に夢で見た人型の巨大な魔物じゃ。あれはディガルドが変じた姿じゃったか」

 

レオの見た夢で現れた魔物は、キリサキゴホウではなかった。ディガルドがその力の核である禍太刀を取り込んだ姿であったようだ。

 

『ふふふ。今の俺は魔物だとかそんなもんで量れる存在じゃねえな』

 

その時、ディガルドが

 

『このフロニャルドを拠点とし、リィンバウムを始めとした異世界の全てを総べる為に顕現した至高の悪魔。禍太刀を力の核として魔王クラスの大悪魔と化したのが今の俺だ。さしずめ、禍太刀の悪魔王ディガルドとでも名乗ろうか。あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!』

 

自ら悪魔王を名乗るディガルド。だが、それだけの凄まじい威圧感と膨大な魔力が放たれており、ハッタリではないのは確かだった。

 

「親方様…」

「ああ。今回の相手は今までの魔物達とは比較にならないかもしれぬでござるな」

 

今までに幾多ものの魔物を退治して封じたブリオッシュとユキカゼだったが、そんな二人でも戦慄を感じるほど、今のディガルドは危険な存在だという。

 

「それでも……

 

 

 

それでもこいつを倒さねえとオレ達に明日は来ねえ!!」

「パパ、わたしもがんばる!!」

 

真っ先に戦闘態勢に入ったのはライとミルリーフだ。ライは剣と銃を同時に構え、ミルリーフも至竜形態のままで、最初から手加減なしの全力状態だ。

 

「ライさん、そうですね。僕達であいつを倒しましょう!!」

「みんなの笑顔のためにも、負けられません!!」

「みんなの笑顔は姫様の笑顔。このエクレール・マルティノッジも、力をお貸しします!!」

「儂とグランヴェールの力も見せつけてやろう。覚悟しろ、ディガルド!!」

「若者達がこうも張り切っているなら、拙者も手を貸さぬわけにいかぬな」

「お役目だけでなく、拙者としても貴様の存在は許せぬ!!」

 

ライに触発されたシンク達も次々と獲物を構え、臨戦態勢に入り、ディガルドに相対する。戦闘準備は万端のようだ。

 

「そういうわけだ、ディガルド。

 

 

 

 

 

 

地の果てまでぶっとばしてやる!!!」

『ほざいてろ、下等生物どもがああああああああああああああああ!!』

 

今まさに、決戦が始まった。




ディガルド、第1期のラスボス化!
果たしてどうなる!?
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