サモンナイト 勇者と姫と越響者   作:玄武Σ

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最近、デート・ア・カンピオーネの執筆に熱が入ってましたが、三期の情報が入ったので一気に書き上げました。
それでは、最新話をどうぞ。


第32話 おてんばリス姫、襲来 Atacked Tiny Devil

その後シンクと七海は、ビスコッティとガレットのそれぞれの勇者として戦場を駆け巡る。鍛えられたといいうだけあって、シンクの戦闘技術や身体能力は以前に呼ばれた時とは比べ物にならないほどに跳ね上がっていた。対して七海も、シンクの師匠というだけあって棒術の腕は彼に勝るとも劣らないもので、尚且つ初見で放った紋章砲がシンクと互角の威力と、そちらのセンスも高いという文句なしの実力を見せたのだった。

しかしその後、それぞれの陣営からの援護射撃によって装備破壊(服が剥がれてインナー姿を晒す)してしまい、装備交換のために一時退却をする羽目になった。ちなみに、七海曰くその時のインナーは下着じゃないらしく、恥ずかしくないとのことだった。

 

 

そして、午前の部が終了して昼食の時間になった。

 

「本当にびっくりしたんだからね。せめて事前に話してくれたら…」

「だから、ゴメンって」

「まあまあ、ベッキー」

「まったく…いきなり知らない世界に連れ込むなんて、帰る手段があるからいいもののあまり感心しませんわよ」

 

どうやらレベッカの様子から、シンクはフロニャルドの詳細を何も教えずに連れて来たらしい。その様子に、無理やり召喚されるリィンバウムの召喚獣と同じ感覚を感じ取ったリビエルが不機嫌そうな顔でシンクに詰め寄る。

 

「リビエルさんの言うことも尤もですけど、それじゃサプライズになりませんってば」

「そうだって。私だってベッキーと同じ境遇だけど、こうして適応してるんだし」

「お二人がお気楽すぎるんですのよ」

 

シンクが七海と二人でリビエルを宥めるも、リビエルの方は取り合っていない。

 

「リビエル、そう目くじらを立てるな。楽しむ目的で連れ込んだのだから、これくらい気楽なものでちょうどいいだろう」

「そう言うセイロンもお気楽すぎますわ」

 

そんな会話をしている一方、ライの方はというと。

 

「それにしても、本当にお主が作ったのか? 城の料理長にも負けん腕前じゃぞ」

「閣下、それは流石に疑いすぎだろ。オレだって傷つくぜ」

「まあ、ご主人が剣を握るところしか見たことないなら仕方がないですよ。剣士も料理人も、揃って刃物を使う仕事ですが、本質がまるで違いますから」

 

こんな感じの会話だった。レオは前回、ライの料理を食したことが無かったので、その腕前に驚いている。

そんな感じで昼時の会話を楽しんでいたところ、七海がある話題をレベッカに振る。

 

「せっかくだし、ベッキーも参加したら?」

「そうだよ。ベッキーにも参加して欲しいかったんだよ」

「私はいいよ。遠慮しておく」

「「え~、そんなー!?」」

「はいはい。二人で同じ顔しない」

「二人とも。あんまり無理強いすると本当に怒らせちまうぜ」

 

レベッカが困っているように見えたので、ライがとりあえず助け舟を出すことにする。

 

「ライさん、ありがとう。で、私としては戦より…」

 

そう言って、レベッカは傍に座っていたミルヒとミルリーフの方に向き合う。

 

「私は姫様ともっとお話ししていたいし。あと、ミルリーフちゃんも」

「あ、私もです!」

「ふたりとおはなし? 別にいいよ」

「そういえば、あたしも姫様とはいろいろ話してみたいことがあったのよね~」

「リシェルも? 実は私もなんだ」

 

レベッカとミルヒとミルリーフに、そのままリシェルとエニシアが近づいて、会話に参加する。年若い少女がこれだけ集まれば、色々とにぎやかになりそうな雰囲気だ。その様子に、レオやライも満足げな顔をしている。

すると、シンクが午後からの戦に対してある疑問が浮かび、それについて尋ねていく。

 

「ところでライさん。そっちの配分はどうするんですか?」

「ああ。まずはオレとミルリーフ、セイロンとシンゲンがビスコッティに付こうと思っているんだ」

「で、あたしとルシアン、ポムニットとリビエルは途中結果を見て不利な方に……って、あれ?」

 

言いかけたところでいきなり何かが羽ばたくような音が聞こえて、話が打ち止めになった。

 

「な、なにアレ……?」

「でっかい鳥?」

 

空を見上げて音の正体を探ろうとしたところ、それは巨大な鳥が羽ばたいている音だと判明した。見たところセルクルとは別種のようで、はじめから空を飛ぶ為の体のつくりをしているようだ。

 

「何者だ!?」

「まさか、話に聞いていた魔物か!?」

「待て、二人とも」

 

クラウレとアロエリの二人が武器を手に取って飛び立とうとするが、すぐさまレオが止めに入る。

 

「あれは魔物ではなくブランシールといってな、パスティヤージュという国で乗用に飼育している生物だ」

 

フロニャルド経験のあるライやシンクも初めて聞く生物と国の名前が出てきて、一同は首を傾げる。すると、乗っていた人物がこちらに対して話しかけてきた。

 

「おーーい! ミルヒ姉にレオ姉ぇ!!」

「クーベル! それにキャラウェイも!」

 

乗っていたのはリスの耳と尻尾を生やした、見た目年齢がミルリーフと同じくらいの少女と、その付き人と思われる同種族の青年だった。ミルヒ達の名前を呼び、レオも向こうを知っている様子から友人か何かだと思われる。

 

「お二人とも、どうなされたんですかー!」

「この戦にウチも、パスティヤージュも参加するのじゃーー!!」

 

ブランシールの背に跨ったまま飛行するクーベルは、この場にいた全員に目的を告げる。

 

「でもって、ウチはその子をいただくのじゃ!!」

 

そう言ってクーベルは、ある一人の人物を指さす。そこにいたのはセイロンやクラウレ、シンゲンといった屈強そうな面子ではなく、

 

「え……まさか?」

「そうじゃ! お主じゃ、レベッカ!」

「えええええええええええええええええええ!!」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

その後、クーベルのことは領主及び勇者&ライ一行以外には伏せられた状態で、戦の午後の部が開始されようとしていた。

ここからはライ一行だけでなく、バナードやブリオッシュといった解説に回っていたメンバーも戦に参加することになっていた。本気の戦闘をする気満々で、まさに盛り上がりどころというわけだ。

 

『『それでは、準備も整ったようですので、午後の部これより開始…』』

『その戦、ちょっと待ったーーーー!!』

 

パーシーとフランボワーズが声を合わせて戦開始の合図を出そうとしたところ、幼い少女の声で待ったコールが掛かる。すると、スクリーンにクーベルの姿が映っていた。

 

『ウチじゃ。パスティヤージュ公国代表領主、クーベル・e(エッシェンバッハ)・パスティヤージュじゃ!』

 

幼いながらにノリノリな様子のクーベル。その唐突な登場に、観客も参加者の大半も若干困惑気味だった。

 

 

「クー様ーーー!」

 

ただし、リコッタはクーベルと仲がいいようで、手を振りながら笑顔で名前を呼んでいる。

 

『えっと、どうかしましたか? クー様』

『どうしたもこうしたもないぞ、ミルヒ姉。それから、レオ姉もじゃ!』

『なんじゃ、儂もか?』

『確かに我がパスティヤージュは戦興行がそれほど盛んではない。じゃがそっちで勇者とか呼んで内輪だけで盛り上がるのはズルいのじゃ!!』

 

 

『えっと、混ざってもらうのはうれしいですけど、ルールとかはどうしましょう?』

 

それを聞いた途端、クーベルは何か企んでそうな悪い顔をし出す。

 

『ふふふ……それはこの子、異世界からの客人レベッカを預からせてもらう!!』

 

そう言ってレベッカを指さすクーベル。すると同じタイミングでブランシール複数羽にぶら下げられた、巨大な台座のような乗り物が下りてきた。そしてクーベルは従者二人にレベッカを運ばせ、その乗り物に一緒に乗ってそのまま空へ飛び立ってしまった。

 

『ウチはこの子に一目ぼれ、これから口説いてみせるのじゃ! なぁーはっはっはっは!!』

 

クーベルはレオやガウルを真似ているのか、悪者っぽい口調でそんなことを言う。しかし、容姿の幼さからかあまり似合っていないのだが、本人は気づいていない。

 

『返して欲しくば、我がパスティヤージュが誇る飛空術騎士団四十騎と、エッシェンバッハ高速陸士隊を打ち倒してみろ!! さらにそれだけではないぞ。なんと、ミルヒ姉の陣営にお客として呼ばれたリィンバウムという世界の者達、その何人かがウチに協力してくれることになったのじゃ!!』

 

そう言ってクーベルが戦力と一緒に紹介したのは、先程不利になったほうに付くと言っていたリシェル達だった。

 

『はーい! ライの幼馴染のリシェル・ブロンクスよ。今回あたし達は、不利な方に付かせてもらおうと思ったんだけど、急遽パスティヤージュに付かせてもらうことにしたわ』

『途中参加ということでハンデを背負わされていますから、当然の結果ですわね』

『ライさん、すみません。今回はお嬢様達を守るのがわたくしの役目ですので…』

『ポムニットさん。ライさんもわかっているから、落ち着いて』

 

パスティヤージュ側の協力者だったが、ポムニットの所為であまり緊張感が感じられなかったが、そこもご愛嬌だ。

 

『ガレット的には、レベッカが何処に滞在しようと構わんから、パスティヤージュもビスコッティ諸共撃破するがの。しかし、ウチの勇者がなんと言うか…』

『私はレベッカさんを助けたいですけど、シンクはどうするつもりです?』

 

レオもミルヒも自国の勇者に問いかけるようなことを言う。クーベルからの挑戦状は、友人をかけてということなので受けるかどうかはシンク達次第、という形式のようだ。

しかし、勇者二人の返事は最初から決まっていた。

 

「「受けて立つ!!」」

 

その一言に、両勢力が湧きたつ。

 

『これは、大変なことになってまいりました!!』

『それでは、三国の代表方に開戦のコールをお願いします!!』

 

「今回の戦は、三国混戦のバトルロイヤル!!」

「撃破ポイント勝負の総当たり戦。勇者二人は、レベッカさんの奪還!」

「ファルネット湖水上戦・午後の部スペシャルマッチ、開戦!!」

 

順にクーベル、ミルヒ、レオが簡単なルールの説明と開戦の合図を告げ、一気に戦闘が始まった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

まず、湖面エリアの一角でビスコッティとガレットの両軍の1部隊が、戦闘を始めようと接触を開始する。それぞれの部隊は、ロランとバナードの両軍騎士団長が率いており、ビスコッティ側にはシンゲンが、ガレット側にはギアンとエニシアが同行している。

 

「まずはバナードの部隊を撃破をしようと思う。シンゲン殿、行けるか?」

「ええ。自分は特に問題ないですよ」

 

「ギアン殿、協力感謝いたします」

「なに。勝つためならこれぐらい当然ですよ」

「頑張りましょう、バナードさん」

 

それぞれの騎士団長が、同行者と会話を挟みながら部隊を率いて、接触を図る。

そしていざ戦闘を始めようとしたその時、何処からともなく輝力による攻撃が飛んできて、後に続いていた両部隊の兵達を次々と撃破していく。そして、攻撃の飛んできた方角を見ると、そこには先程クーベルが紹介していた飛空術騎士団の姿があった。

 

「なるほど、空から地上へ目掛けて遠距離攻撃というわけですか。厄介ですね」

「ああ。先にあちらを片付けた方がいいかもね」

 

シンゲンとギアンが飛空術騎士団への対応について話し合っていると、似たような会話をロランとバナードも行っていることが分かった。

そして、その直後に敵が再び輝力を照射してきた。

 

「ロラン!」

「わかった。皆、後ろに下がれ!!」

 

咄嗟にロランが一同の前に躍り出たかと思うと、紋章を展開して術を行使する。

 

「障壁陣!!」

 

技名を叫ぶと同時に、ロランの目の前に輝力で出来た壁のような物が出現。それがそのまま攻撃を全て防いでしまう。

 

『流石は鉄壁のロランの代名詞、防御の紋章陣! あれを全て防ぎきってしまいました!!』

 

パーシーによれば、ロランは防御特化型の戦士らしい。おかげで、こちらの主力は無傷で済んだ。

 

「レミエス、あいつらを撃ち落せ!!」

 

直後、ギアンがいつのまにかレミエスを召喚しており、攻撃の指示を送っていた。どうやら、先程の防御の際に召喚術を行使していたようだ。いきなり奇怪な姿の巨獣が現れたのだから、おそらく向こうの飛行術騎士団も驚いているであろう。

そして、レミエスは咆哮を上げると同時に飛行術騎士団を目掛けて黒い稲妻を次々と落としていく。確実に効いているようで、稲妻が命中した相手は次々と小さな球状の影になって落下していく。おそらく、ブランシール諸共けものだまになったのだろう。

 

「これ、自分いらなかったんじゃないですか?」

「まだ始まったばかりだから、気にやまなくても大丈夫だ」

 

そんな中、特に活躍しなかったシンゲンとバナードがポツリとそんなことを呟く。

 

「さて、邪魔者もいなくなったことだし……」

「バナード、今度こそ決着と行こうか」

 

そして、そのまま残った軍勢と共に一騎打ちに乗り出したのだった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

一方こちらは、平原エリア。こちらを行くのはビスコッティからはセイロン、エクレール、リコッタの三人。ガレットからはジェノワーズとミント(+オヤカタ)の四人と一匹がそれぞれ部隊を率いている。こっちの方は、始めから両軍で手を組んでパスティヤージュの撃破に乗り出している。

 

「まずは前線の術騎士達を切り開いて、兵達を導く。そのために、我々が突撃を仕掛ける!」

「ああ。任せてもらおうか」

 

エクレールと並んで走るセイロンが、彼女から作戦の説明を聞いている。ちなみに、周りの面々はセルクルに乗っているが、セイロンは一人だけ自分の足で走っていた。

 

『龍人族のセイロン、セルクルと並んで走っています! ものすごい脚力に、私も驚きを隠せません!!』

 

パーシーも驚愕に満ちた声音で実況をしている。まあ、シンクもこれぐらい速く走っていたが、それは勇者超特急という輝力技を使っていたためである。そのため、純粋な脚力のみで走っているセイロンに驚くのは無理なかった。

 

しかしその直後、向こうに見えていたパスティヤージュ陸士隊の前線メンバーが、紋章も展開せずに輝力を照射してきた。それを見たエクレールは、ジョーヌと二人で前に躍り出て楯で攻撃を防ぐ。

 

「あやつら、なぜ紋章術を紋章なしで使ったのだ?」

「いや。あれは晶術といって全くの別物だ」

 

セイロンの疑問にエクレールが応える。彼女の言う通り、パスティヤージュが使うのは紋章術ではなく晶術という別物で、紋章が展開されずにそのまま攻撃が行われる。そのため、予測不能な攻撃が可能となっているのだ。

非常に厄介な攻撃を仕掛けてくる中、セイロンが一つの提案をしてきた。

 

「ここは我に任せてもらおうか。切り込みをかけるから、お前達はそれに続いてくれ」

「待て! 何でお前が私達に命令を…」

「わかりました。なら、私やリコッタちゃんで援護をします。セイロンさんも気を付けてください」

 

エクレールが命令してきたセイロンに反発しようとしたところ、ミントの言葉に遮られてしまう。その一方で、セイロンは走力を上げて陸士隊に向かって突っ込んでいく。

 

直後、陸士隊は持っていた銃から輝力を二人に向けて一斉照射していく。晶術は先程説明したような特性から軌道が読みにくいという特徴もあるが、セイロンはお構いなしといった感じでそれを次々と避けていく。そして、ある程度接近したところでジャンプする。

 

「ウォアタアアアアアアアアア!!!」

 

そして叫びながら陸士隊の一人に蹴りかかる。相手側が楯でその蹴りを防いできたが、セイロンはその状態で足に力を入れて、一気に飛び退く。

 

「我の攻撃は、これだけではないぞ!!」

 

そして、そのまま袖から苦無を複数個取り出して投げつける。投げつけられたそれらは、陸士隊の乗るセルクルたちの足に命中して、そのままバランスを崩した。

 

「セイロンさん、離れて!!」

 

直後にミントの叫び声が聞こえたので、その通りにセイロンは後ろに飛びのいた。直後、上空にいきなりペンタ君の大群が召喚され、さらにリコッタの放ったものと思われる、無数の輝力弾が陸士隊目掛けて飛んできた。

ペンタ君が陸士隊と接触したと同時に輝力弾が命中、そのまま一気に誘爆して前線部隊を蹴散らしていく。

 

「ミント様、やったであります!!」

「リコッタちゃんの協力のおかげだよ」

 

そのままミントは、リコッタに求められるがままにハイタッチをする。何気にノリノリだった。

 

このような具合で、VSパスティヤージュは滑り出しは問題なしのビスコッティ、ガレット両国であった。




晶術の特性は、自分がパッと見で抱いた印象からです。具体的な情報も無いので、このようになりました。
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