サモンナイト 勇者と姫と越響者   作:玄武Σ

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ようやく書きあがりましたが、ストーリー自体はあんまり進みません。
第2期2話のラストまでですが、どうぞ。


第33話 爆誕、飛翔系勇者! Birth Magical Braver

各地で激戦が繰り広げられている中、ライとミルリーフは、シンクと七海と行動を共にしていた。湖に複数本の丸太が足場として植え込まれており進み辛そうだったが、身体能力抜群のライに、アスレチック経験者のシンクと七海は特に問題無さそうに移動している。ちなみに、ミルリーフは竜形態でないとこれを渡れなかったりする。

 

「シンクにライさん、今回は一時休戦といこう!」

「オーケー! ベッキーを一緒に助けに行こう!!」

「なあ、それってオレとも戦う気だったのか?」

「ピギィ~」

 

何やら不穏な言葉が七海の口から洩れたが、ライが尋ねてもそれに関する返事は返ってこなかった。その一方で、竜の姿のミルリーフが気にしたい方がいいと言わんばかりの様子で鳴いている。

 

「失礼します。勇者様方」

 

その時、上空から一人の青年の声が聞こえる。その時に空から降りてきたのは、ブランシールに跨った、クーベルの付き人キャラウェイだった。

 

「お二人のご友人レベッカ様は、我が主クーベル様と大事なお話し中です。よって、この場はお通しできません!!」

 

キャラウェイはそのまま剣を抜き、こちらに向かって突撃してくる。しかし、牽制目的だったようで、こちらに大したダメージは無かった。

 

『空を自在に駆ける大型鳥ブランシールを駆る、パスティヤージュ独自の空騎士!』

『空騎士相手に、勇者二人と委託騎士ライはどう戦うのか!!』

 

パーシーとフランボワーズがノリノリで解説をする。その直後、キャラウェイは剣に輝力を纏わせていく。

 

「晶術剣・スピネルファイヤー!!」

 

技名を叫ぶと同時に、剣から輝力を複数の球状に変化させて射出していく。その攻撃は、紋章術で同じ技を使うよりも弾速が圧倒的に速かった。

 

「うぇ!? 速!!」

「みんな、回避!!」

 

とっさの判断で、ライ達は一斉に足場から離れる。

 

「ふぅ。危なかった~」

 

そのまま移動を続けながら、七海は漏らす。しかし、直後に彼女の前にキャラウェイが回り込んでくる。

 

「隙ありです!!」

 

空中で身動きが取れない状況の中、七海に危機が迫る。絶体絶命のその時、

 

 

―ヒュンッ―

「な!?」

 

何処からともなく矢が飛んできて、そのままキャラウェイへと向かって行く。しかし、ブランシールを咄嗟に旋回してそれを回避するのだった。

 

「キャラウェイといったか。少し待ってもらおう」

「ライと勇者二人の前に、オレ達の相手をしてもらおうか」

 

矢の飛んできた方向から二人分の声が聞こえ、キャラウェイだけでなくライ達もその方を向く。そして、そこにいた声の主を見てシンクと七海は驚き、ライも「よし!」といった感じの顔をしている。

 

『おーっと! 空騎士対勇者に割って入ってきたのは、ガレット側の協力者であるクラウレ&アロエリだー!』

『どうやら二人揃って空騎士キャラウェイに用があるみたいですね。一体、なんなんでしょうか?』

 

パーシィとフランボワーズが声高々にクラウレたちの紹介をする。その一方、二人がキャラウェイに武器を向けながら話しかけてきた。

 

「空を自在に掛けるといったが、お前はその鳥に乗っているにすぎないのだろう? なのでその言葉、生まれながらに翼を持つ、オレ達セルファンへの挑発とみた!!」

「空での戦いを語る前に、我ら兄妹を倒して貰わねば困るな」

『おーっと! 助っ人二人から空騎士への挑戦という、まさかの事態が発生!! これは見事な空中戦が期待されます!!』

 

セルファン兄妹の挑戦に、パーシィが実況を加えて盛り上げる。突然の事態にも対応するあたり、さすがプロといったところか。

 

「そういうことで、この男は我々に任せてもらおうか。空での戦いという物を、この男に教えてやらねばな」

「クラウレ、すまねえ」

「礼はいい。それよりも勇者二人、自分たちの友ならをさっさと助けてこい」

「「はい、ありがとうございます!」」

 

そのままシンクと七海も二人に礼を言い、ライ達と共にその場を後にする。

 

「仕方ありません……だったら、私も全力でお二人のお相手をさせてもらいます!」

「望むところだ! 掛かってこい!!」

 

ライ達が走り去るのを確認したキャラウェイは、そのままクラウレたちの挑戦を受けて、果敢に向かって行った。

 

 

 

「さて、このままレベッカのところまで急いだほうがよさそうだな……シンク!」

「わかってます。七海、輝力武装のやり方ってわかる!?」

「輝力武装……ごめん、わかんない!!」

「じゃあ、見て覚えて!!」

 

シンクはそのまま輝力武装の実践を行う。まずは紋章を発動し、そのまま輝力を練って発動形態をイメージ。これでイメージに沿ったものが輝力で形成されたら輝力武装の完成だ。

そして、シンクが輝力を纏った状態で飛びあがり、ライもミルリーフを抱いた状態で両足を輝力で強化して飛びあがる。そして、シンクを覆っていた輝力がはじけ飛ぶと、炎を噴射して飛ぶサーフボードのような乗り物に乗った彼の姿が現れ、ライものその上に乗っかる。

 

『出たー!! 勇者シンクの輝力武装、滑空ボード・トルネイダー!! 前回召喚された時、その斬新なデザインと機能で瞬く間に人気を集めた代物だー!!』

『ライさんは前回と同じくトルネイダーに便乗しております! なぜ輝力武装を使わないのか以前聞いたんですが、直接戦闘のために輝力を温存しているからだそうです!』「オッケー、大体わかった」

 

実況の終了後、七海も今のを見て感じを掴んだらしく、早速実践し始める。七海の周囲を輝力に反応したのか、湖の水がひとりでに巻き上がって彼女の体を包んでいく。

 

『あーっと! これはまさかー!?』

 

フランも興奮した様子で実況し、直後に七海が飛び出してきた。輝力武装が完成したらしく、彼女の足にはインラインスケートのような物が装着されている。そして、それの影響か七海は水の上を沈むことなく高速で滑走していく。

 

「ガレットは海と川に恵まれた水の都なので、波乗り勇者で行っちゃいまーす!!」

 

そのまま滑走していく七海は、輝力で水を隆起させ、それをジャンプ台にして一気に飛びあがっていく。

 

「それじゃ、このままベッキーを助けに行こう!!」

「いつあの子がやる気になるかわかんねえ。だから急ぐぞ!!」

 

そのままシンクとライを乗せたトルネイダーは高速で移動し、七海もそれを追う形で移動を始めた。

 

 

 

その頃、中央バトルフィールドにて

 

「本来なら、お前さんと決着をつけたいところじゃったんだがのう」

「たまには共闘も悪くないでござるよ」

 

レオとブリオッシュがセルクルでかけていく中、悠長に会話をしており、後ろの方でもビオレとユキカゼが同じような感じだった。天下無双と言わしめるレオに、大陸最強であるブリオッシュがタッグを組んでいるのだからこそ、兵達にも余裕があるという訳だろう。

すると、目の前にパスティヤージュの兵達が立ちふさがってきた。

 

 

「ほう、お前は確か……」

 

そんな中、レオとブリオッシュは兵達の先頭に立つメンバー達を見る。

 

「さきほどはどうも、レオ姫」

「レオ様とブリオッシュさんでしたっけ。僕はリシェルの弟、ルシアンといいます」

「どうも、レオンミシェリ陛下にブリオッシュ様。わたくし、ルシアンお坊ちゃまとリシェルお嬢様の世話役、メイドのポムニットと申します」

 

リシェル以外の協力者が全員この場に揃っていた。顔合わせ程度しかしていなかったルシアンとポムニットは、レオとブリオッシュに対して改めて自己紹介する。

 

「そこのルシアンとやらはともかく、リビエルと、それからポムニットとか言ったか。儂は姫でも陛下でもなく閣下じゃ。そこのところは間違えないでもらおうか」

「まあ、そう言わないでござるよ」

 

若干機嫌が悪くなった雰囲気のレオを、ブリオッシュがなだめる。

そんな中で、ポムニットが一同の先頭に立って口を開く。

 

「しばらく前にライさんがお世話になった方々ですが、お嬢様の為にもここはお通しできません。よってわたくし達がお相手させていただきます」

 

そう言ってポムニットは背負っていた二つの武器を手に取る。右手には大斧、左手には大剣をそれぞれ握っていた。

 

「ほう……ダルキアン、こいつ儂とお主の得物をそれぞれ持っておるぞ。これは相手をしてやらねば失礼という物じゃのう」

「そうでござるね。ではポムニット殿、その挑戦お受けするでござるよ」

 

ポムニットの様子を見てレオもブリオッシュもやる気満々のようで、二人とも得物を手に取って戦闘態勢に入る。レオに至っては宝剣であるグランヴェールまで使用する始末だった。

 

「では、拙者達は……」

「残る二人のお相手をすればいいわけですね」

 

そう言って、ユキカゼとビオレは残っていたルシアン&リビエルに視線を向けた。そして、二人揃って構えを取って臨戦態勢に入る。

 

「ユキカゼ、そう言うことだから遠慮は無縁ですことよ」

「ビオレさん、よろしくお願いします」

 

そう言ってリビエルは杖を、ルシアンは剣を構えて、それぞれユキカゼとビオレに対峙する。

 

「では、行きます!!」

 

第一声をポムニットが発し、それを合図に対決が始まった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

一方その頃、クーベルとレベッカのいる空中テラス。リシェルもそこにいた。

 

「案の定、わが軍の大ピンチじゃ」

「ねえ。ポムニット達も強いけどあの二人、特にダルキアン卿は別格だろうし」

 

リシェルとクーベルが戦況を見て少々不安気になっていたが、そこでクーベルはレベッカの方に視線を移す。

 

「やはり、ここはレベッカに勇者として頑張ってもらわねば……」

「けど、私は本当にシンク達みたいに戦えなくって……」

「うんにゃ。何も、連中と同じようにとは言うとらん」

 

レベッカが反論しようとした瞬間、それを遮ってクーベルは口を開く。そして、今度はリシェルが口を開く。

 

「そうよ。この世界には紋章術なんてものがあるし、さっき聞いたんだけどパスティヤージュの独自技術があれば、運動音痴でもうまくやれるらしいわよ。実際、あたし達のいたリィンバウムでも召喚術は誰でも使えるんだけど、直接戦ったりするのが苦手な方が召喚術が得意だったりするわけだし」

「うむ。リシェルのいう召喚術とは別ものじゃが、ウチ等のパスティヤージュは所謂術師タイプの戦い方でちょうどそれに該当する。で、宝剣もそれに特化した物なんじゃ」

 

そう言ってクーベルは懐から二つの指輪を取り出す。どうやら、これが待機状態の宝剣のようだ。

 

「これがその宝剣、"天槍クルマルス"と"神剣メルクリウス"じゃ」

 

宝剣の実物を目にしたレベッカは目をパチクリさせ、視線を勇者用の宝剣である神剣の方に寄せた。そして、再びクーベルが口を開く。

 

「実を言うとな、ウチも代表領主の見習い期間中での。ミルヒ姉やレオ姉のような愛され領主に憧れておるんじゃ。そしてレベッカ、お主もシンク達に憧れておるとウチの直感に響いたのじゃ。そういう訳で、お互い頼りないかもしれんがその分同じ目線で頑張れると思った。それがお主を勇者として見初めた理由じゃ」

「そうなんですか………けど、本当に私でいいんですか?」

 

クーベルから自分を選んだ理由についてハッキリと説明されるが、今だに実感がわかずにそう尋ねてしまう。

そして、クーベルはレベッカに詰め寄って陽だまりのような明るい笑顔で告げた。

 

「じゃから、ウチはそう言うお前に惚れたんじゃ! だから、自信を持て!!」

「そういう訳だから、さっさと認めちゃえば? あたしだってサポートしたげるから、頑張んなさい」

 

リシェルにまで言われ、レベッカは決心したような表情となり、メルクリウスを手に取った。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『おや? 空中テラスで……』

『何やら動きが……』

 

フランボワーズとパーシィが交互に実況をする。どうやらクーベルたちの動きがこちら側でも察知できたようだ。

その直後、クーベルが動き出す。

 

「諸君。、待たせたのぅ! たった今、秘密兵器が誕生したのじゃ!!」

 

クーベルのその発表に、全員が戦闘行為を中断する。皆が何事かと思う中、詳細に気付いたミルヒは笑顔を浮かべている。

そして、レベッカがカメラに映る位置まで出てきて、メルクリウスをはめた右手を掲げる。

 

「装着!!」

 

そして掛け声をあげた。のだが……

 

「あれ?」

 

全く反応なし。

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあ!?」

 

かと思われた直後、レベッカの体がメルクリウスから発せられた光で覆われた。そして少し時間が立って光が晴れると、そこにはいわゆる魔法少女のようなフリフリ衣装になったレベッカがおり、魔女の箒のような形状の乗り物に跨っていた。

 

 

何故かはるか上空で

 

「きゃあああああああああああああああああああああ!?」

 

それに気づいたその時、レベッカは重力に従って落下してしまう。

しかし、クーベルがクルマルスをはめた手を目の前につき出すと同時に輝力が蝶のようになって無数に舞う。どうやらこれをクッション代わりにするようだ。

そしてレベッカも咄嗟に箒に取り付けられていたトリガーのような物を握ると、後方から輝力をジェット噴射して落下速度を緩める。そしてどうにかクッション部分に落ちて、無事着地に成功した。

 

「で、出来た…」

 

レベッカは一連の出来事に茫然していると、クーベルにそのまま前につき出される。

 

「にゃーっはっはっはっはっは、 見さらせぃ!! これがパスティヤージュの新兵器、勇者レベッカじゃ!!」

 

高笑いしながらクーベルがレベッカの自慢をする。すると、その横でリシェルがサモナイト石を取り出し、そのまま召喚術を行使する。

そして、召喚された物にそのまま飛び乗った。

 

「ついでに、これが私の乗り物。その名もグラビィティボード! これで私も飛ぶわよ!」

 

そのままリシェルもレベッカの隣に並ぶ。そして、レベッカがクーベルに促されて口を開いた。

 

「レベッカ、リシェルと共に行くのじゃ」

「はい。パスティヤージュの勇者レベッカ、頑張ります!!」

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