サモンナイト 勇者と姫と越響者   作:玄武Σ

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2月に入って、ようやく今年最初の投稿に入れました。

どうでもいい話ですが、3期の竜の森の設定を見て、キョウリュウジャーinフロニャルドというネタを思いついてしまったとです(※書く予定はないです。あしからず)。


第34話 乱戦! VSパスティヤージュ the ramble battle

『なんと3人目! パスティヤージュの勇者レベッカ誕生!!』

「おいおい、遅かったよ…」

「しかも、リシェルさんもなんか出してきたし」

 

レベッカの勇者承認を目の当たりにし、それを知らせる実況が流れた後で茫然とスクリーンを眺めているライ達。

 

「行け、レベッカ! パスティヤージュの勇者の力、見せびらかしてやるのじゃ!!」

「それじゃ、あたしも一緒に暴れさせてもらうわよ!!」

「うん。クー様、リシェルさん」

 

クーベルとリシェルに同時に言われたレベッカは、早速メルクリウスの力を試してみるとする。レベッカは本体に取り付けられているトリガーのような物を握り、輝力を箒状のメルクリウスの後方部分に充填しているような様子でいる。

そして、それから手を離すと同時に輝力を噴射して高速飛行を始めた。

 

「へぇ、結構速いじゃない。こりゃ、あたしも負けてられないわね」

 

その様子を目の当たりにしたリシェルは、先程召喚したグラビィティボードの上にサーフィンのようなポーズで立つ。そして、一緒に召喚された小型のリモコンらしき物を腰につけ、それのスイッチを押した。

 

「それじゃ改めて……

 

 

 

機界の新星リシェル・ブロンクス、派手に行かせてもらうわ!!」

 

叫ぶと同時にリシェルもグラビィティボードを高速で飛行させ、レベッカの後を追う。空を行く二人は、時に天高く、時に地上すれすれに飛んで戦に参加している者達の度肝を抜いて行った。その様子に、フランボワーズも思わず興奮気味に実況をする。

 

『飛んでいます! パスティヤージュの勇者レベッカと機界の新星リシェル、箒とトルネイダーのような乗り物にそれぞれ乗って、空を飛びまくっています!!』

 

その様子に、今日初めてとんだ二人は何やら楽しそうだった。ちなみに、リシェルも軍団との戦いの後で偶然このグラビィティボードを召喚したのだが、練習こそしていたものの召喚師としての修業で忙しかったりして、実際に飛んでみたのは今日で初めてだったりする。

 

「にゃっはははははははは!! そして、飛ぶのは勇者とゲストだけではないぞ」

 

そう言ってクーベルはクルマルスをはめた右手を掲げ、力を開放する。現れたクルマルスは槍という名を冠しているが、その実態はマスケット銃であった。曰く、パスティヤージュでは何故か銃を槍と呼ぶ習慣があるかららしい。

 

「そして、ウチの輝力武装!」

 

さらにクーベルは輝力武装を展開してレベッカたちと同じく空を飛ぶ。現れたそれは、操縦桿付きの空飛ぶ絨毯という、言っては失礼だがシュールなデザインをしていた。

 

「パスティヤージュ公国公女クーベル、参戦じゃ! スカイヤー、発進!!」

 

クーベルは名乗りを上げると輝力武装の名前を叫び、そのまま飛行速度を上げていく。そして、地上にいる自軍の兵達に呼びかけ始めた。

 

「ウチら三人で、これから劣勢を覆す。じゃから、皆も頑張るのじゃ!!」

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

クーベルの呼びかけに対し、兵達はその士気を挙げていくのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「レベッカにリシェル、見事な飛翔じゃ!」

「あたしも人のこと言えないけど、初めてにしてはやるじゃない!」

「うん。操作がなんかゲームっぽくてわかりやすいです!」

 

上空ではクーベル達3人が飛びながら会話を交わしている。

 

「それじゃ、今度は攻撃に回ってみるのじゃ。さっき教えた通りにやればうまくいくぞ」

「じゃあ、別れて別々に攻めるけど、それでいい?」

「はい。問題ないです!」

 

何やらレベッカもやる気満々なようなので、戦闘に関してはもう完全に問題なしとなっているようだった。

そして、レベッカは加速して敵兵の群がる一帯へと近づいていき、腰のホルダーからカードを取り出す。

 

「バレットカード、セット……」

 

レベッカが輝力を込めると、カードに絵柄が浮かび上がる。絵柄は星の周りに炎が描かれているという物だった。

 

「発射!」

 

そしてレベッカはそのカードを敵の密集地に目掛けて投げつける。それに気づいた兵達も危険を感じて逃げ出すが、逃げ切る前にそれが被弾してしまう。

ドォーン、という爆発音を出してそのまま何人もの兵士たちを撃破してしまう。

 

レベッカは旋回して再度新しいカードを取り出すと、今度は稲妻のような絵が浮かび上がる。投げると今度はカードから雷撃が放たれて広範囲にわたって敵を撃破していく。

 

「うっひゃぁ……すっごい攻撃ね。ロレイラルの機械兵器も真っ青だわ」

「あれがパスティヤージュの晶術弾じゃよ、リシェル。レベッカは術師系勇者じゃからな」

「なるほど。こりゃ、あたしもなおさら負けてられないわ!」

 

レベッカの様子を見てリシェルもやる気が出たらしく、彼女もクーベルから離れて別の一団に向けて攻撃を開始し始めた。

 

「こういう場合は、これを召喚したら……」

 

リシェルはポーチからサモナイト石を取り出して、早速召喚術を行使する。現れたのは、頭と両手そして尻尾に電気プラグを備えた水色のロボットだった。

この召喚獣は旧型で個体数も多くないが、強力な電撃を使える召喚獣で、名をエレキメデスという。

 

「で、さっきクー様から教わった晶術でエレキメデスにチャージして……」

 

リシェルがエレキメデスに輝力を流し込んだ途端、それは起こった。

 

「グ、グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

エレキメデスがうなり声のような物を上げ、体中から凄まじい量の電気を放っている。心なしか気持ちよさそうに見えるのだが、敵側からしたら嫌な予感しかしないであろう。

 

「行くわよ! ボルツテンペスト!!!」

ドッゴォオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!――――

 

エレキメデスが尻尾と両腕のプラグを地上に向けて、そこから一斉に凄まじい雷撃を放出する。それは地上にいる敵兵を一人残らず飲み込み、あっという間に全滅させてしまった。

 

『なんと新星リシェル、呼び出した不思議生物を輝力で強化したかと思ったら、あっという間にビスコッティ、ガレットの両軍から兵力をごっそり削り取ってしまった!! これが彼女の言うロレイラルの機械兵器の力、凄まじいです!!』

「いや、あたしもこの威力は想定外なんだけど……」

 

フランボワーズの実況を聞いて、攻撃を放ったリシェル本人も茫然とした様子で呟く。召喚術は下手に輝力と組み合わせない方がいいかもしれない、彼女は思わずそう思ってしまった。

 

しかし直後、ブランシール部隊が次々と撃墜されていく様子が見えた。見てみると、地上でリコッタが率いてきた砲撃部隊が対空射撃を行っている様子が見えた。

 

「あ、コレ拙いわね」

「リシェル、味方がピンチじゃ!」

 

直後、クーベルがこちらに近づいて声をかけてくる。

 

「これからウチとレベッカでリコの部隊を狙うが、リシェルも一緒に行くか?」

「当然よ。ここで活躍しないで何時するっていうのよ」

「よし、それならば行くぞ」

 

 

 

 

 

リコッタ率いる対空部隊にて

 

リコッタが砲撃の後で新しい弾薬を入れていると、上空から何かが近づいてくる様子が見えた。

目を凝らしてよく見ると、メルクリウスにクーベルと二人乗りしたレベッカの姿があった。しかし、先程クーベルと話していたはずのリシェルの姿が何処にもなかった。

 

「みんな、迎撃であります!!」

『はい!!』

「リコッタちゃん、私も援護するよ」

 

リコッタは主力の出現に驚き、そのまま一斉射撃の指示を出し、ガレット側から協力者として同行していたミントも攻撃に参加する。しかし、レベッカは複雑な起動で飛行し、その全てを避けてしまう

 

「うおぉ、すごいぞレベッカ!!」

「3Dシューティングの要領でなんとかなりました!」

 

クーベルはレベッカの飛行技術に感心するが、彼女によればこれもゲームの感覚によるモノらしい。

 

「その油断、命取りにならないといいね」

 

直後、リコッタの隣にいたミントが不敵な笑みを浮かべながら呟く。その瞬間、二人の真上に巨大な影が出現する。

 

「え?」

「うそ……」

 

それは、ミントがいつの間にか召喚していたワイヴァーンだった。しかも、ブレスの発射準備も完了している。

 

「これでチェックだね。フレアキャノン、発射!」

 

ミントの宣言と同時に、ワイヴァーンは火炎弾とブレスの連射をレベッカたちに向けて放つ。

 

「だめ、避けきれない!!」

 

レベッカが諦めかけたその時

 

ドゥウウンッ――

「え?」

『なんと、勇者レベッカと公女クーベルに炎が迫ろうとした瞬間、鎧のような物が出現してそれを防いでしまった!!』

 

パーシィが実況するように、現れた鎧がワイヴァーンの攻撃を防いでしまっていた。しかし、これの正体をクーベルだけは気づいていた。

 

「むふふ……リシェル、ナイス演出じゃった!!」

「まったく、クー様も憎いことするわね。そりゃ、絶体絶命のピンチから助っ人が来るのはアタシもカッコいいと思うけど」

 

 

どうやら、リシェルがいなかったのはクーベルがこの演出の為に指示を出していたかららしい。ちなみに、リシェルが召喚したのはアーマーチャンプという防御用の召喚獣だ。

 

「それじゃあ、リコを撃破させてもらうぞ!」

 

そのままレベッカがメルクリウスを加速させて対空部隊へと接近し、クーベルもクルマルスを構えて攻撃準備を完了していた。

 

「喰らえ、ガーネット・スパーク!!!」

 

クーベルが技名を叫ぶと、クルマルスの銃口から高出力のビームが放たれ、対空部隊の中央に着弾すると同時に大爆発が生じた。爆発が晴れると、リコッタ以外のビスコッティ兵がけものだまと化している。

 

「や、やられたであります……」

「うん。ちょっと油断しちゃったね」

 

爆炎でせき込みながらミントとリコッタは言葉を交わす。しかし直後……

 

 

 

「とどめじゃあ!」

「「へっ?」」

 

クーベルからの追撃が二人を目掛けて飛んで、そのまま命中した。

 

 

 

ビリリッ――

 

「「え、えええええええええええええ!?」」

『ぶふぅぉおっ!?』

『ええ!? フランさん、大丈夫ですか!?』

 

ミントとリコッタの着ていた服が破れて、まとめて生まれたままの姿と化してしまう。その光景を目の当たりにした際、実況席のフランボワーズが鼻血を吹きだしてぶっ倒れ、パーシィもつい驚いてしまう。

 

 

「にゃーっはっはっは!! リコ、無様じゃのう!」

「ミントお姉ちゃん、ごめんね! これ、一応勝負だし!!」

 

レベッカとリシェルの表情は引きつっていたが、クーベルは嬉しそうな様子で勝利を宣言していた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

一方その頃、中央バトルフィールドにて

 

「はあぁ!」

「でやあぁ!」

「くっ!?」

 

レオとブリオッシュの攻撃を両手の武器で防ぐポムニット。見たところ防戦一方のようだが、流石に彼女でも2対1で、しかもこの世界で最強クラスの二人を相手にするのは分が悪いようだった。

しかし、先程のクーベルによる兵達への呼びかけを目の当たりにして、レオの動きが止まった。

 

「ダルキアン、儂はクーベルをどうにかするからお主に彼女の相手をしてもらいたい。いいか?」

「構わぬでござる。領主同士の対決の方が盛り上がる筈ゆえ、ここは拙者に任せるでござるよ」

 

そのままレオは愛騎ドーマに駆け寄り、飛び乗ってそのまま先に進んでしまった。しかし、ポムニットはそれを止めには入ってこない。

 

「妨害してくると思ったが、もうバテたでござるか?」

「いえ、わたくしもつい礼の方を優先して無茶をしてしまったと反省していたところです」

 

そう言うと同時に、ポムニットはなんと持っていた斧と大剣をブリオッシュ目掛けてブン投げてきた。

 

「!?」

 

予想だにしない事態に驚いたブリオッシュは飛び退いてそれを躱す、しかし、それがバックにいた一般兵達に命中し、一気に数十人がけものだまへと変じた。

 

「ついわたくしも使える武器がお二人の得物と同じだったもので、ガラになく盛り上がる物と思ってそれを使って相手をしてしまいました」

 

そう言ってポムニットは、エプロンのポケット部分から何かを取り出し、それを両手に嵌めていく。

 

「それは、籠手でござるか?」

「はい。わたくし、殴ったり蹴ったりする方が得意なもので」

 

穏やかな笑みを浮かべるポムニットだったが、纏っているオーラは戦い慣れた戦士のそれだった。やはり、慣れた戦闘スタイルはその人物の戦闘能力をフルに引き出せるようだ。

 

「では、行かせてもらいます!」

「な!?」

 

直後、ポムニットは凄まじい速さでブリオッシュの懐に飛び込み、殴り掛かる。しかし、百年以上を生きた歴戦の勇士であるブリオッシュは、多少驚きつつも後ろに飛びのいて容易くそれをよける。

ポムニットはすかさず追撃しようとサマーソルトキックを放つが、仰け反ってそれも楽に避けてしまった。

 

「流石に、一筋縄ではいきませんか」

「いやいや。ポムニット殿もなかなかの腕前にござるよ」

「最強の騎士様に褒めていただいて、光栄です」

 

互いが互いの実力に驚きつつ、中々の名勝負が繰り広げられようとする予感があった。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

こちらは、セルファン兄妹VSキャラウェイの水上バトルフィールド

 

「喰らえ!」

「くっ!?」

 

クラウレがキャラウェイの背後に回って槍を振るうが、ブランシールを旋回させてその攻撃を避ける。

しかし、そこにアロエリが先回りしており、そのまま矢を射ってきた。

 

「そこだ!!」

「なんの!」

 

しかし、晶術による球状のエネルギーを剣先から撃ち出してその矢を撃ち落してしまった。

 

「ぜぇ…ぜぇ……」

「貴様、思ったよりやるな」

「伊達に騎士は名乗っていませんからね」

 

キャラウェイは二対一でありながら、クラウレ達と互角の勝負をしていたようだった。確かにクラウレの言う通り、飛ぶことに秀でているセルファンの二人に空中戦での分があったが、キャラウェイはパスティヤージュの晶術という、この世界ならではの戦闘法を駆使し、加えてクラウレがまだリハビリ中で全快じゃなかったため二人を翻弄することに成功したのだった。

しかし、クラウレもアロエリも実戦経験は豊富であるので段々と晶術に対応することに成功し、どうにかここまで凌いできたというわけだ。

 

「……兄者、あの二人とリシェルが、想像以上に暴れているみたいですね」

「そのようだな……」

 

中継映像でリシェル達の活躍を見て、クラウレは少し思案する。そして、あることをアロエリに伝えた。

 

「アロエリ、この場は預かろう。お前はあの小娘をどうにかしてくれ」

「兄者……わかりました」

 

そのままアロエリはクラウレの指示に従い、ライ達のいる方へ飛び去っていく。

 

「では、次の一撃で決着をつけさせてもらおうか」

「ですね。お互い、体力の限界みたいですし」

 

ここでクラウレは、ガレット側から与えられた紋章を初めて使用する。セルファンの戦士としての意地なのか、いままでアロエリ共々紋章術を全く使っていなかったのだ。

同じくキャラウェイも晶術の使用準備が完了していた。

 

「行くぞ!!」

「はい!」

 

そして、クラウレとキャラウェイは同時に飛び立ち、そのまま激突しようとしていた。

 

「晶術剣・ソニックセイバー!」

 

しかしキャラウェイはクラウレといくらか距離がある状態で剣を振るうと、同時に剣先から超高速で晶術のエネルギーが打ち出された。ソニックと名の通り、音速と見紛うスピードだった。

しかし、クラウレは間一髪でそれを察知し、急に高度を上げてそれの回避に成功した。

 

「な!?」

「喰らえ! 天破槍!!」

 

クラウレは、そのままはるか上空から輝力を纏った状態で槍を投げつけた。クラウレは元からの持ち技を紋章術で強化して使用したのだ。

そして、投げられた槍はそのままキャラウェイを乗っていたブランシール諸共貫き、そのまま爆発した。

 

「あ~れ~……」

 

爆発が晴れると、パンツ一丁になったキャラウェイとけものだまと化したブランシールが、目を回しながら湖に落ちていった。

 

「私の勝ち……と言いたいところだったが、引き分けらしい」

 

クラウレが呟いた直後、先程撃ち出されたキャラウェイの攻撃がいつの間にか迫ってきていた。どうやら追尾式だったらしく、加えてクラウレは体力消費から避ける余裕がなかったため、そのまま直撃してしまった。

そのままクラウレもパンツ一丁に剥がれて湖へと落ちていった。

 

『おっと! ここで空騎士キャラウェイとセルファンのクラウレ、同時にダウン! パスティヤージュとガレットの双方に撃破ボーナスが入りました!』

 

そして、その実況を聞いていたライ達はというと。

 

「アロエリが来てくれるみたいだけど、クラウレがやられたみたいだな」

「ですね……あの、ライさん」

「私たち、ベッキーと先に勝負させてもらってもいいですか?」

 

シンクと七海はライにそんな頼みをしてきた。まあ、せっかく幼馴染が乗り気になってくれたのだから、ここで勝負したいというのも当然だろう。

 

「まあ、別に良いぜ。オレはリシェルの方を抑えておくから、頑張れよ」

「「はい! ありがとうございます!!」」

 

勇者対決と幼馴染対決が、もうすぐ迫っていた。

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