サモンナイト 勇者と姫と越響者   作:玄武Σ

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3期の最新話でついに英雄王チームの過去編、判明しましたね。ダルキアン卿が今も生きてる理由が不本意な理由で驚愕でした。てっきり、アティ先生みたく先の人々の為に生き続けてるとか、そんな理由かと。


第36話 戦後の休息 Vacation in Biscotti reternnes

翌日、シンクとミルヒ恒例の朝のお散歩に、ライ達も参加することになった。ちなみに、保護者としてギアンが同行している。

その目的地の花畑にて。

 

「パラディオン、フォルム・フライングディスク!」

 

そこでライは、以前見たシンクとミルヒのあのやり取りを再度目の当たりすることとなった。

 

「姫様えら~い、姫様可愛い~」

 

シンクの投げたディスクをミルヒがキャッチし、それを見たシンクが頭をなでる。あの、犬と飼い主のようなやり取りその者の行いだった。

 

「シンク、一国の姫様を愛犬扱い……」

「な、なんか……背徳的に見えるね……」

「うん、これは流石に……」

「メイトルパの亜人の境遇を考えると、笑えない話だよね」

「よかった。あたしだけじゃないみたい」

 

レベッカが驚く中、エニシア達は表情を引きつらせて茫然としていた。その様子に、リシェルは以前にライとの混浴中に聞いたあのやり取りを思い出す。

 

「でも、わかる! 私もレオ様とかジェノワーズのみんな、つい撫でたくなるし」

『え゛!?』

 

そんな中でナナミが突然そんなことを言いだしたため、ライ達一行は驚きのあまり声を上げてしまう。

 

「七海、昨日はジェノワーズのみんなを超撫でてたし」

「ああ、そう言えばそうだったね」

 

レベッカからのカミングアウトを聞いて、それらしいものを見ていたエニシアが反応する。それによると七海の撫でテクは相当の物で、ジェノワーズの面々がすっかり骨抜きにされていたという。特にノワールは喉を撫でて欲しいという、まんま猫発言をしていたとか。

 

「ベッキーもクー様のこと、撫でたくならない?」

「うん、あのふわふわの尻尾とか特に」

「まあ、確かに触り心地よさそうだけど……じゃなくって!」

 

どうやらレベッカもクーベルを撫でてみたい願望があるようだ。リシェルもノリツッコミしていたが、実はちょっと触ってみたいらしい。

 

「パパ、ミルリーフもなでなでして」

「はいはい、しょうがねえな」

 

七海たちの話を聞いて触発されたのか、ミルリーフがライに撫でて欲しいと言い出す。仕方ないといった感じで、そんなミルリーフをなでるライであった。

 

「やっぱり、パパになでなでしてもらうのが一番気持ちいね」

「はは、そうか。ありがとな、ミルリーフ」

 

ライに頭をなでてもらうミルリーフは、糸目になってポワポワした雰囲気を醸し出している。その様子に、ついついライも撫で続けてしまっていた。

 

 

 

 

 

そして、その様子に刺激された人物が2名。

 

(ちょ、何アレ!? ただでさえ可愛いミルリーフちゃんが、さらに可愛くなってる!!)

(わ、私もすっごい撫でたい! けど、クー様に申し訳が……)

 

七海とレベッカが、ミルリーフから謎の撫でたいオーラを感じ取り、うずうずし始める。しかしレベッカの方は、クーベルへの浮気(?)を気にしてジレンマに陥っているようだった。

 

「みなさーん! よければ一緒にやりませんかー!」

 

そんな中、ミルヒが呼んでいたので一旦この話題は終わりにしておいた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

その後、エクレールとリコッタに案内される形で城内を見学することになった一向。

 

「ここが厨房であります。よく勇者様と一緒に、ここでおやつや感触をいただいたでありますよ」

「勇者様にライ君、いらっしゃい。お友達もたくさん連れてきて」

『こんにちわー!』

 

厨房のおばちゃん達が集まって来たので、挨拶を返しておく。すると、リシェルがある人物がいることに気が付いた。

 

「あれ? ポムニットじゃない」

「あ。お嬢様、おはようございます」

 

そう。ポムニットが厨房でおばちゃん達に紛れて、食事の下準備をしていたのだ。

 

「お嬢様方、今朝は休ませていただいてすみませんでした」

「いいのよ。あんたがいざって時に動けないのは、何か嫌だし」

 

ポムニットはある事情でついさっきまで寝ていたのだが、それは昨日の戦終了直後にさかのぼる。

 

~回想~

 

「ポムニット、どうしたの?」

「それが、ダルキアン卿との一騎打ちの後で何故か体の各部が痛みまして」

 

ブリオッシュとの一騎打ちの後、ポムニットは何故かそのような体調不良を訴えていた。フロニャ力の影響でそのようなことは起きないはずなのに、だ。

 

「拙者は普通に戦っていただけにござるが、一体どうして?」

「まあ、ダルキアン卿が卑怯な真似をするはずないしな」

 

ライもブリオッシュも、皆目見当がつかなかったがミルリーフがあることに気づく。

 

「ねぇパパ、ひょっとしたらポムニットさんの生まれが……」

「え? ああ、そういうことか」

「ライ殿、何か心当たりでも?」

「ダルキアン卿、ディガルドにフロニャ力の加護が聞かなかったって、前に言ってたよな」

「ああ。悪魔とやらが魔物と近かったのかして、その恩恵を受けられなかったようなのでござるよ。ユキカゼ、確かにそうでござったよな」

「はい。けど、それが何か……」

 

ブリオッシュもユキカゼも、それを間近で見たため鮮明に覚えている。しかし、それとポムニットに何の関係があるかは見当もつかなかった。

 

「ポムニット、話しちゃってもいい?」

「いえ、折角ですからわたくしの口から話させていただきます」

 

リシェルが話そうとすると、ポムニット自らの口から語られ始める。しかしそれは、シンク達にとっては衝撃的な内容だった。

 

「実はわたくし、悪魔と人間のハーフなんです」

『な!?』

 

ポムニットの衝撃の告白に、その場にいた皆が驚いた。春先に起こったディガルドによるフロニャルド滅亡未遂、その脅威を知るシンク達は当然で、逆に知らないレベッカや七海でも悪魔という単語だけでもインパクトがあるのに、そのハーフというポムニットの出自には驚かずにはいられなかった。

 

「わたくしの母が昔、故郷の村を悪魔に滅ぼされてしまって、その時に悪魔の子供を身ごもってしまったのが、わたくしだったりします」

「けど、ちゃんと人間の母親に育ててもらってるから、ポムニットさんはディガルドみたいなこと考えてないから安心してくれ」

 

いくらフォローしていても、この事実はそうそう受け入れられるものではないとライ達は思う。しかし、その心配は気鬱だった。

 

「まあ、一騎打ちした身として彼女の潔白は直接感じ取った。なので心配いらぬでござるよ」

「いくらディガルドと同じ種族でも、それがポムニット殿も邪悪な存在という証明ではござらぬからな」

 

そんなこんなで、ポムニットの出自についてはあっさりと受け入れられたのだった。それはライ達が、リィンバウムとフロニャルドの認識の違いを改めて実感し、同時にこの世界の良さでもあると瞬間でもあった。

 

~回想了~

 

「まあ、今は全快ですのでこうして厨房のお手伝いをさせていただいております」

「な、なるほど」

 

その後、おばちゃん達が以前シンクやリコがさせてくれたというつまみ食いを勧めてきたので、ありがたくいただくことにした。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「そして、ここが騎士団の練習場になります」

「あれ、なんか賑やかじゃない?」

 

食後の休憩を済ませた後、次にエクレールに案内されて練習場を訪れるが、妙に騒がしいことに七海が感づく。しかし、その原因もすぐに分かった。

 

「ホワタァアアアアアアア!!」

「ぬぐぁあ!?」

「どうした? この程度でやられるほど貴様らも落ちぶれてはいないだろう!!」

「く、まだまだぁあ!」

 

なんとセイロンとクラウレが騎士達と乱闘していた。しかも数の差をモノとしない無双振りだ。

 

「お前ら、何やってんの?」

「おお、店主殿達に勇者一行。おはよう」

「なに、こいつらの練度が気になったのでな。少し手合わせと、訓練をまとめてやっていただけだ」

 

クラウレ達の話を聞いていると、七海はあることが気になって、セイロンに話しかけてきた。

 

「セイロンさんって、カンフーやってるんですか?」

「かんふー……とはなんだ?」

 

首を傾げるセイロンに対し、七海がカンフーについて簡単に説明する。

 

「いや、地球の中国って国にそんな名前の武術があって、ちょうど今のセイロンさんみたいな掛け声をあげて戦ってるんですよ」

「ほう、そうなのか。しかし残念ながら、違うな。あれはストラという技の為の息吹だ」

「ストラ??」

「呼吸法によって身体能力や自然治癒力を強化する、リィンバウムの武術家の必須技だ。応用すれば他者の傷や肩こりなども治療できるぞ」

「へぇ~」

 

セイロンからストラの概要を聞いて、感心した様子の七海。すると、その様子にセイロンがある提案を出す。

 

「興味があるなら、基礎を教えてやってもいいぞ?」

「え、いいんですか!?」

「うむ。実はストラは女性の方が強力な力を出せるらしくてな、七海殿はセンスもよさそうだから威力にも期待が持てそうだ」

「おぉお! そう言われるとなおさら使いたくなってきた!!」

 

七海の眼がライ達にはキラキラして見える。以前シンクがブリオッシュに神狼滅牙を継いでほしかったという話を聞いて覚えてみたいと興奮していたが、やはり血は争えない&この師匠にしてこの弟子あり、を体現している状態だった。

 

「えっと、盛り上がっているところすまないが……」

「お? ああ、すまんすまん。そろそろ交代か」

「ごめんね、エクレちゃん。で、セイロンさんはあとで忘れずに教えてくださいよ」

「ああ。楽しみにしておいてくれ」

 

エクレールに促されて、一同は練習所を空ける。そして、シンクとエクレールが対峙し始めた。

 

「勇者、お前が留守の間も鍛え続けたんだ。レベルアップした私の剣術を見せてやる」

 

エクレールはシンクに告げた後、背中の鞘から愛用の双剣を抜き取り、天高く投げた。そして大ジャンプした後でその剣をキャッチし、そのまま無事に着地した。

 

「エクレちゃんも、エクストリームキャッチするんだ」

「勇者様の影響であります」

「あれも地球のスポーツなんだ。すごいなぁ」

 

七海とリコッタ、エニシアがエクレールの様子について話している。何故か三人とも声が似てる気がしたライ達であったが、言及したらややこしくなりそうなので気のせいということにしておくことにした。

 

「シンク、これ使いな」

「ライさん、どうも」

 

そんな中、ライがシンクに自身の剣を貸してやる。そしてそのまま二人の模擬戦が始まる。

 

「ほう、この二人は互角の実力のようだな」

「で、シンクはエクレちゃんは仲いいの?」

「いいコンビでありますよ。見ていて飽きないであります」

「確かに、二人ともすごく生き生きしてるね」

 

クラウレが二人の実力に感心している横で、レベッカやルシアンがリコッタとシンク達について話している。ライは前回もこの様子を見ていたので知っていたが、

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

その後、一行が案内されたのはブリオッシュ達の住居である風月庵だ。ちなみに今度はギアンが離脱し、代わりにリビエルとシンゲンが同行している。

 

「みんな、お待ちしてたでござる」

「ユッキー、来たよ~」

 

早速ユキカゼが隠密隊を伴って出迎えてきたので、ミルリーフが挨拶する。夏場だけあってか、白地にアサガオの模様が目立つ半袖の浴衣を着ている。

 

「和風建築?」

「おお! 話に聞きましたが、本当に鬼妖界の建築様式なんですね!!」

 

七海が風月庵の建築様式に気づく横で、シンゲンが興奮気味になっている。本人曰く故郷のシルターンに未練はないらしいが、それでも見慣れた様式の建物になつかしさが掻き立てられたようだ。

 

「ユキカゼ、先日の戦は中途半端にしてすみませんでしたわ」

「構わないでござるよ」

 

その後、庭で隠密隊の犬達を可愛がっている最中、リビエルはユキカゼと話しをしていた。あの後、ブリオッシュがポムニットを倒した直後、同時にレオもクーベルを下したりで他の一騎打ちがそのまま勢いでうやむやになってしまったとか。リビエルはその謝罪のためにわざわざ同行していたという。

一方、ライとシンクはブリオッシュと話しをしていた。

 

「二人とも、久しぶりでござるな」

「ダルキアン卿も、元気そうで何よりです」

「うむ。拙者もユキカゼも、隠密たちも元気でござるよ」

 

ライ達と挨拶を済ませたところで、ブリオッシュはライにあることを尋ねてきた。

 

「ところで、ライ殿やリビエル殿に聞きたいことがあるのでござるが」

「オレとリビエルにですか? リビエル、ダルキアン卿がお前に聞きたいことがあるってよ」

 

それを聞いたライは、早速リビエルを呼んでその話について聞いてみることにした。

 

「一体、何があったんですの?」

「うむ。少し気になることがあってな」

 

そしてブリオッシュから質問が来るのだが、それは変わった内容だった。

 

「悪魔と天使の間に、子を成すことは可能でござるか?」

「えーっと……すみません、専門外! リビエル、頼む!」

「まったく……一応出来なくもないかもしれませんが、そもそも敵対する種族同士ですから、いても数えるほどしかいないと思いますわよ」

「そうでござるか」

「あの、何でいきなりそんな話を…」

 

唐突すぎる質問だったので、ライ達は当然その真意が気になる。そして、その真意が明かされた。

 

「先日、昔の知り合いを夢で見たのでござるが、天使と悪魔の両方の翼を持った不思議な姿だったのでござるよ」

「「な!?」」

「そ、そんな人がいたんですか?」

 

話を聞いた一同はその人物の容貌に驚き、シンクも思わず問い尋ねてしまう。

 

「あまり多くを語ろうとはしなかったでござるが、どこかの国に勇者として呼ばれたのを拒んで逃げ出したらしくてな。その道中にしりあったでござる」

「何か元の世界に未練があったと見るのが妥当だけど……」

「ですが、そんな方がいるなら間違いなく異端視されてしまうはず。そんな方からしたら、フロニャルドは願ったり叶ったりな世界だと思うのですが……」

 

その人物についてはよくわからないことがあるが、とりあえず今はブリオッシュの話を聞くことにする。

 

「ただ、その人物はフロニャルドの戦の在り方が気に入らぬらしく、それを正そうとしていたそうでござる。そして、それが叶わなかったら……」

「「「叶わなかったら?」」」

 

 

 

 

「フロニャルドを滅ぼす。そう言っていたでござる」

 

少し間を置いてブリオッシュが発したその答えは、ライ達に少なからず衝撃を与えた。

 

「また、ディガルドみたいなやつとやり合わねえといけないかも知れないのか」

「しかも、最近見た夢に出てきたってことは、近い内に会うかもしれませんね」

「いずれにしても、警戒しておくに越したことはないでござるな」

 

とりあえず、重苦しい雰囲気でせっかくの休日がぶち壊しになりそうだったので、この話は一旦打ち切りにしておいた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

そしてその日の夜

 

「いいお湯だったね」

「大浴場、広かったですね」

「でしょ。あたしも前に入ったけど、何処の貴族のお屋敷でもこの広さは無いわね。流石王宮」

 

リシェルとエニシア、そしてレベッカが風呂上がりに廊下でおしゃべりをしている。七海は家族に連絡を入れに、別行動を取っていたためこの場にはいない。

そんな中、レベッカがある話題を口にする。

 

「フロニャルドってなんというか、凄いお隣感覚の異世界ですよね」

「そうね。異世界同士で連絡が取れたり、星詠みなんて物で様子を覗き見出来たり、なんてあたし達からしたら画期的すぎるわよ」

「うん。リィンバウムじゃ行き来する手段だけでも貴重なのに、これは凄いよ」

 

以前もライが気づいて、リコッタ達から聞いて驚愕したあの話題である。

 

「聞いたんだけど、全部リコッタちゃんの発明のおかげらしいよ」

「みたいね。けど……」

「けど、なんです?」

 

エニシアからその話を聞いたリシェルは、何か言いづらそうにしている。

 

「あの子、見知らぬ機械を見たら物凄い興奮するってライから聞いたのよ。分解してみたいって、やたら興奮してたらしいわ」

「えっと、それが何か?」

「ロレイラルの機械とか、無闇に見せられないわよ」

「な、なるほど……」

 

リシェルのその答えを聞いて、ものすごく納得する二人。

その話をいったん区切った後、レベッカからある話題が振られた。

 

「そういえば、リシェルさんもエニシアさんも、ライさんのことが好きなんですか?」

「え!? いや、そうだけどいきなりなんで……」

「まあ、見てたらすぐ気づきそうだからそこら辺は聞かないけど、本当に唐突だね?」

「いや、それで現状とかどうなのかな~って気になってしまって……」

「ああ、そういうことね。あたし等の現状としては、ライがどっちかに振り向くまで対等の勝負って感じね」

「ちなみにライ公認だよ。けど、まだ決めかねてる感じみたい」

「ふむふむ」

(たぶん、シンクのこと気にしてるんだろうけど、今は黙っておこうかしらね)

 

レベッカの真意が気になったが、取りあえず親切心で黙っておいてやることにした。

 

「ところで、明日からエニシアはガレットに行くのよね」

「うん。七海ちゃんやギアン達も一緒だから、何とかなると思う」

「なるほど。じゃあ、後でゆっくり語り合いましょうか」

 

そのままリシェル達は一旦部屋に戻った後、別室に集まって女子会を楽しんだのだった。




当初は恋バナを書こうと思いましたが、芸術音楽祭のところまで取っておくことにしました。すみません、話を進めたかったもので。

あと、ちょくちょく感想でライ達の英雄結晶について聞かれますが、これについては当初から考えている、シリーズ繋がりのあるパワーアップ形態を参考にしようと思っています。なので、シンク達とはかなり毛色の違う物が出てきますので、お楽しみいただけたら幸いです。
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