サモンナイト 勇者と姫と越響者   作:玄武Σ

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U:X読んでなかったので書きながらパラ読みしてたんですが、エライことになってしまいましたね。一サモンナイトユーザーとして出来れば時系列を繋げたいですが、ちょっと難しそう……


第37話 若様と勇者の夏合宿 summer battle in river

三国首脳会議が終わり、各勇者たちもそれぞれの国に移動することになった。

 

「ライ、すまんな。時間が無くて一国しか紹介出来んかった」

「そんな、これの用意してくれただけでもありがたいですって」

 

別れる間際、ライはレオからある物を受け取っていた。それはドラジェ領国というガレットの友好国への、パスポートのような物だ。レオはライのフロニャルド美食調査に協力するために、このようなものを用意したのだ。前回の魔物騒動での功労者なので、レオとしてはこれだけでは足りないと感じたようである。

 

「ライさん、もう行っちゃうんですね」

「仕事もあるしな。けど、戦はビスコッティ側につくから、またすぐ会えるさ」

「はい。ライさん、頑張ってください」

「パスティヤージュやガレットは、あたしやエニシアに任せときなさい」

「ああ。行ってくる」

 

そのままライは、至竜形態のミルリーフに飛び乗ってドラジェへと向かい、リシェル達もそれぞれの国へと向かうのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「いやぁ、平和ですね」

「ござるな」

 

風月庵の縁側で、シンゲンがまったりとしている。シンゲンは懐かしきシルターンの面影のあるこの庵がすっかり気に入っているようで、入り浸り状態だった。そんな彼に対してブリオッシュは、刀の手入れをしながら返事を返していた。

 

「お館様、お昼の時間ですよ。よければ、シンゲンさんも」

「おお、もうそんな時間でござるか」

「では、お言葉に甘えて」

 

使用人のカナタが運んできた昼食を、折角なのでシンゲンもいただくことにした。

 

「おそうめんですか。これは風流ですね」

「では、いただくでござる」

 

そのまま二人でそうめんをすすり始める。暑い中で冷たいものを一気に喉に通す、まさに至高のひと時であった。

 

「そう言えば、シンク君たちは河原で強化合宿、なるものをしてるそうですね」

「ああ。ガレットからノワールも参加して、監督役にセイロン殿が同行しているでござるよ」

「ほぉ……まあ、彼がついていれば一安心ですかね」

 

一度はミルリーフをめぐる戦いで、敵の非情な作戦をきっかけに衝突したこともあったセイロンとシンゲン。しかし、今では同郷の頼れる仲間として接している。

そのまま食事を続けていると、ある物について尋ねてきた。

 

「ところで、先程から聞こえるこの鈴の音は?」

「ああ、風鈴ですね。鬼妖界の夏の風物詩でして、この音を聞いて夏場に涼しい気分になるんですよ」

「ほう、そうでござるか。で、なぜそのようなものが?」

「ああ。それ、勇者様の地球からのおみやなんですよ」

 

シンゲンが風鈴について説明した後、カナタがその詳細を語った。

 

「シンク君の世界やこのフロニャルド、我々からしたら本当に不思議ですね。文化や種族が入り混じっている感じなど」

「拙者達からしたら、逆にそちら側の方が不思議にござるよ。特定の文化や種族が一つの世界に集まった感じなどが、特に」

 

そのまま食事中に小難しい話になってしまったが、何故か会話が弾んでいるという、奇妙な風景が出来上がってしまった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

一方、合宿先の河原にて

 

「「はああああああああああああ!!」」

 

シンクとユキカゼが、得物を構えてセイロンに飛び掛かる。

 

「まだ隙だらけだぞ!」

 

セイロンは咄嗟に飛び上り、そのままシンクに向かって行く。そして、そのままシンクの懐に飛び込んで鳩尾辺りに蹴りを叩き込む。

 

「がぁあ!?」

 

シンクはセイロンの蹴りを喰らって体内の空気を吐き出し、そのまま落下していく。そして更に、セイロンはユキカゼに向けて苦無を投げつける。

 

「なんの!」

 

しかし戦うユキカゼはそのまま自慢のスピードで回避、一気に斬りかかる。

 

「ふっ」

 

しかし、セイロンは上半身を逸らしてそれを容易くよける。そして……

 

「ホアタアアア!!」

「うぐ!?」

 

そのまま正論はサマーソルトキックをかまし、ユキカゼの顎に命中する。しかし、ユキカゼは咄嗟に受け身を取ったため、すぐに体制の立て直しが出来た。

 

「流石はセイロン殿、強いでござるね」

「そなたこそ、あの速さはかなりの物だったぞ」

 

セイロンとユキカゼが互いの実力を称賛するが、明らかにセイロンの方が優勢だった。

直後、近くに置いてあったタイマーが鳴り、訓練の終了時間が来たことに気づく。

 

「うむ、どうやら終了のようだな」

「ですね。それにしても、セイロンさん強すぎです」

「拙者も、体術使いでこの強さの者は初めて会ったでござるよ」

「まあ、我はこちらの住人や人間と比べても、体が強靭なので当然だな。加えて、昔からの鍛錬の賜物というところだ」

「へ~……ところで、どんな鍛錬を積んだんですか?」

 

シンクが興味本位で聞いてみると、セイロンの口から驚愕の答えが返ってきた。

 

「うむ。まず自らの肉体を、骨が砕けるまで酷使する。そしてストラの力で治癒して無理やり鍛錬に臨める状態にして…」

「あ、すみません。それだけでお腹いっぱいです」

「拙者も、そこまでして強くはなりたくないでござる」

「そうか。まあさっきも言ったが、そなた達とは体のつくりが違うから、真似しろというのも酷な話だな」

 

ユキカゼですら顔を引きつらせる中、そのまま「あっはっは」といつもの調子で笑い始めるセイロン。

そんな中、別の場所で戦っているエクレールとノワールが気になったので様子を見に行ってみる。

 

「うわぁ…」

「派手に討ちあったでござるね」

 

辺りには訓練用の木刀が何本も折れて辺りに散らばっており、そんな中でエクレール達は揃って息切れしていた。

するとシンクはあることが気になって、エクレールに尋ねてみた。

 

「エクレ、まさか負け後してる?」

「イヤ、私の方が勝ち越してるんだが……」

「私が勝ち越すまで、負けない!」

 

どうやら、こんな感じでノワールが勝負を挑み続けていたのが原因だったようだ。しかし、流石にうっとおしく感じたのか、次のエクレールの一言で強制終了となった。

 

「ああ、もう……私の負けでいい! だから、終わりだ終わり!!」

「やったぁ……勝利ぃ」

 

そんな中、ユキカゼとセイロンがノワールに近づいて声をかける。

 

「ノワの負けず嫌いとど根性も、相変わらずでござるな」

「うむ。その様子なら、戦士として申し分なかろう」

「ガレット魂!」

 

褒められたのが嬉しかったのか、左手でガッツポーズを決めるノワール。いつもの無表情ながら、どこかドヤ顔にも見える不思議な様子であった。

 

「さて。では汗もかいたことだし、これから水練に移るでござるよ」

 

その後、ユキカゼの指示が入ったため、水に入るための服装に着替える一同。

その結果、シンクは黒地に炎の模様が描かれた海パン姿だったが………

 

 

 

 

 

「セイロンさん、まさかふんどしで来るとは……」

「シルターンでは水練といえばこの格好だからな。郷に入っては郷に従えとも言うが、今回は敢えてこちらにしたわけだ」

 

セイロンの水着チョイスに、シンクも度肝を抜かれてしまった。まだ女性陣が着替えているようだったので、先程流した汗を洗い落とそうと水浴びをしていたところの一幕だった。

しかし直後、その女性陣が着替えている小屋から、屋根を突き破って何かが飛び出してきた。

 

「うわぁあああ!?」

 

驚きつつも、どうにかシンクが受け止めたところ、それがノワールだと判明する。

 

「シンク、大丈夫?」

「うん、なんとか。ノワこそ大丈夫って……うわああああああああああああ!!」

 

シンクはノワールをよく見てみると、驚愕の事実が判明して思わず絶叫してしまった。

なんと彼女は全裸だったのだ!!

 

「ごめんシンク。ちゃんと着替えてくるから!」

 

しかしノワールは大して照れた様子も無く、そのまま小屋まで戻って行ってしまった。

 

「あれは流石に、我もどうかと思うぞ」

「よかった、セイロンさんもだった……」

 

流石にセイロンも、ノワールのあの様子には動揺を隠せずにいた。いつも余裕な彼にしては珍しい。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

その後、女性陣と合流して水遊びをしていると、シンクはあることが気になってノワールに尋ねかける。

 

「ノワ、今回は何で一人でこっちなの?」

「実は、お館様達から魔物や禍太刀について聞きたかったんだ」

「実はガレットには、隠密部隊のような魔物対策部署が無いのでござるよ。それで、ノワに立ち上げをやってみないかと持ち掛けたでござる」

 

それを聞いたシンクとセイロンは、ディガルドの襲来と魔物騒動の二つの事件が頭をよぎる。

 

「なるほど。店主殿から聞いたが、一介の悪魔でしかなかったディガルドがその禍太刀とやらで魔王クラスの悪魔へと変異した。そのような危険極まりない物、放っておく者の気が知れるな」

 

下手をすれば国一つ、最悪世界一つ滅ぼすような存在への対策は、やっておいて当然だろう。

しかし、その一方でシンクはあることが気になった。

 

「あれ? そっちはそれでいいとして、ジェノワーズはどうするの?」

「当然続けるよ。なんたって、私がセンターのチームだからね」

「そっか。ノワ達ジェノワーズとも、また遊びたいし戦いたいからね」

 

そう言って、シンクはノワールの頭を撫でる。その際、彼女も気持ちよさそうにしていた。

 

「シンク、ジュース飲む? よければ取ってくるよ」

「いいの? ありがとう」

 

そのままノワールは、

すると、近くでユキカゼとバレーボールをしていたエクレールが、シンクに近寄ってきた。

 

「勇者、あまり他所の国の女と馴れ馴れしくするな」

「え? なんで?」

「なんというか、お前は年の近い女に対して馴れ馴れしいというか…」

「『他所の国の女の子を撫でてるくらいならもっと私を撫でろ、この鈍感勇者ああ』ってことじゃない?」

 

ハッキリしないエクレールの言葉を代弁するかのように、戻って来たノワールが割って入ってきて、そんなことを言いだす。しかし、それを聞いたエクレールは…

 

「ノワール……このアホ猫がぁあ!!」

 

ブチギレして、そのまま紋章を発動する。その時、彼女の左腕に輝力が纏われていったかと思うと、青い光を放つ鎧の腕とそれに握られた巨大な剣へと変じた。

 

「うぉお!? 新技出た!」

「輝力の刃、光臨剣でござる」

 

シンクが驚き、ユキカゼが技の解説をする。直後、エクレールは早速披露した光臨剣の切っ先をノワールに向け出す。

 

「この後の救命訓練、助けられる側は本当に気絶してる方が良くないか?」

「それは同感」

 

直後、ノワールも紋章を発動して新技を披露する。彼女の尻尾が七又に別れ、その一本一本の先端に刃が映えた、やたらと攻撃的なデザインをしていた。

 

「エクレ自ら気絶してくれるなんてね」

 

ノワールもやる気満々らしく、そのまま二人は戦闘を始めてしまった。

 

「輝力武装・セブンテール!」

 

ノワールはそのまま輝力武装の名を叫んでエクレールへと突撃していく。七本の尻尾による連続攻撃を凌ぎ、エクレールも反撃する。

 

「止めた方がよさそうだが……どれ、我も折角だから試してみるか」

 

かと思ったらセイロンも場の空気に乗って、自前で用意したという紋章を発動する。紋章は東洋龍が描かれ、輝力はシルターンの属性と同じ赤色をしていた。そしてセイロンの両足に輝力が纏わりついて行き、そのまま東洋龍の上下それぞれの顎を模したアンクレットに変異した。各所に牙のような突起まで生えて、かなり凶悪そうになっている。

 

「セイロンさん、紋章使うの初めてでしたよね!?」

「うむ。しかし、コツさえわかれば簡単に出来上がるぞ」

 

エクレールとノワールの新技を、一回見ただけで同じ要領の技を完成させてしまったセイロン。その様子にシンクは驚愕するが、セイロンは気にせずこの技に名前を付け始める。

 

「龍の顎門(あぎと)を模した鎧で蹴り砕く、ということで龍顎蹴(りゅうがくしゅう)と名付けさせてもらおうか」

「割とシンプルでござるね」

 

セイロンがつけた輝力武装の名前に、ユキカゼがつい直球な感想を告げてしまう。しかし、セイロンはそんな様子も気にせず、走る準備をしていた。

 

「では、少し行ってくる」

 

そのままセイロンはエクレールとノワールに向かって、駆け出す。そしてそのまま二人の間に割って入り、龍顎蹴で光臨剣とセブンテールによる攻撃を同時に防いでしまった。

 

「な!?」

「セイロンさん、それって……」

「すまんが、新技を試すついでに決闘の仲裁をさせてもらうぞ」

 

そのまま二人に詫びを入れ、セイロンはまずノワールに飛び蹴りを放って吹っ飛ばす。そして、そのままエクレールと向き合うと、エクレールの方から声をかけてきた。

 

「そういえば、前回は貴様に恥をかかされていたな。せっかくだから、今ここでその借りを返させてもらう!!」

「おいおい。そんな事をまだ覚えているとは、お主も器が小さいな」

 

そして、セイロンはそのままエクレールに戦いを挑まれる。エクレールが光臨剣で斬りかかるも、セイロンの龍顎蹴で防がれてしまう。そしてセイロンはストラで己の筋力を跳ね上げて、エクレールをそのまま弾き飛ばしてしまう。

 

「では、遊びは終いだ!!」

 

そしてセイロンはエクレールがひるんだすきに、一気に彼女の懐に飛び込んで蹴りを入れる。そして複数回蹴りを入れてはサイドステップで回り込んで、また連続蹴りを入れ、またもサイドステップで回り込んで連続蹴り、という一切の隙も無い攻撃を叩き込む。

 

「ホワタアアアアアアアアア!!」

 

そしてとどめに飛び蹴りを決めて、エクレールを沈めた。これがセイロンの必殺技、奥義・吼龍連舞撃である。

 

「隙だらけだよ!!」

 

直後、先程まで動きのなかったノワールが頭上から迫ってきて、そのままセブンテールで攻撃してきた。しかし、セイロンは咄嗟に飛びのいてノワールの攻撃をかわす。

 

「おっと、危ない。そう言えば、忘れていたな」

 

そしてセイロンはノワールへと反撃を取ろうと、ある行動を始める。手頃な岩を足場に、空高く跳びあがったのだ。ノワールは何をするつもりなのかとキョトンとしていたが、それがいけなかった。

 

「龍顎蹴のこの意匠は、単なる洒落ではないぞ!!」

 

直後、セイロンが空中から地上のノワールに向けて左右の足で交互に蹴りを入れるモーションを取った。直後、それは起こった。

 

「ええ、飛んできた!?」

 

なんと、セイロンが蹴りを放つとは彼の足を離れて、ノワールへと目掛けて飛んでいった。しかも、途中で連結して東洋龍の頭そのものへと変化したのだ。そしてそれは巨大な口を開けて、今だノワールへと向かって行く。

 

「だったら、迎え撃つ!!」

 

しかし、ノワールは諦めずにセブンテールを使い、迎え撃とうとする。龍顎蹴が巨大な口を開けてノワールに食らいつこうとすると、セブンテールが連続突きを放って破壊しようとする。手数で一気に押そうとしているようで、攻撃のスピードと回数は共に激しい物だった。

 

「よし、後はこのまま……!?」

「ホワタアアアアアアアアア!!」

 

安心したのも束の間、今度はセイロンがノワール目掛けて飛び蹴りのポーズのまま落下してきたのだ。龍顎蹴に気を取られていたノワールはその蹴りを防ぐことが出来ず、諸に喰らってしまった。

さらに、そのまま龍顎蹴の顎門に飲み込まれ、爆発する。

 

 

 

爆発が晴れた直後、シンクが倒れているエクレールを回収しに向かい、セイロンは爆発跡地にノワールを回収しに向かう。

 

「「きゅう~~~~……」」

「え、エクレがだま化してる……」

「少しやりすぎたか。すまんな、二人とも」

 

エクレールとノワールは揃ってけものだまへと化しており、セイロンの完全勝利という結果に終わった。

 

「せ、セイロンさん強すぎじゃないですか?」

「初めて紋章を使って、エクレとノワに同時に勝つとは……」

「うむ。年期の差とでも言っておこうか?」

 

その後、近くの小屋へと運ばせてストラによる治癒を施したら、何故か元の姿に戻るのが早かったという。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

その頃、ライはどうしてるかというと

 

「パパ、あそこがドラジェみたいだね」

「みたいだな」

 

丁度、ドラジェ領国に到着したようだ。レオから予備知識として聞いていたが、ドラジェは山岳部の国らしく、首都は山岳部に位置していた。

どうやって国内に入ろうかと思っていると、城の方から何かが飛んできた。見てみると、それは人が乗ったセルクルだった。どうやら、ミルヒのハーランと同じ飛翔種のようである。すると、乗っていた人物がライに話しかけてきた。

 

「すみません! ガレットのレオンミシェリ閣下から紹介いただいた、ライさんでしょうか?」

「ああ! そっちは?」

「僕は、このドラジェの現代表領主で王子のレザンです! 通信でお話は伺ってます!」

 

王子自らが出迎えをしてくるという、破格の待遇が待ち構えていた。

 

「王子、わざわざ出迎えすみません!」

「いえいえ、ガレットは我が国と貿易でお世話になってますからこれくらい当然です。それに、数か月前の魔物騒動を解決した英雄の一人とあらば、お出迎えしないわけにいきませんから!」

 

クーベルはあまり触れていなかったが、レザンの様子からしてディガルドの一件は各地に広まっているようだった。そして、そのままライはレザンに先導されてドラジェの城のテラスに向かう。そして、そのテラスから城へと入っていった。

 

「レオンミシェリ閣下から聞いたんですが、ライさん達はリィンバウムという世界からいらしたそうですね」

「ああ、そうです。けど、いきなりその話をしてどうしたんですか?」

 

廊下を歩いているとレザンがライにいきなりその話題を持ち掛ける。唐突なことに戸惑うライだったが、直後にレザンの口から驚きの事実が告げられた。

 

「実は先日、我が国も勇者召喚を行ったのですが、ライさん達と同じリィンバウムの方々をお呼びしたんです」

「ええ!?」

「王子様、呼んじゃったの!?」

 

レザンの話を聞いて、驚きを隠せないライとミルリーフ。まあ、リィンバウムとフロニャルドが自分たちの知らないところでもつながっていたのだから、当然だろう。

 

「で、その方達なんですが……」

「おーい、王子ぃい!」

「……あ、噂をすれば」

 

どうやら呼ばれた勇者が出てきたらしく、その人物が近寄ってきた。

やって来たのは青い髪の、ライより年上の青年と長い茶髪の女性、そして狐の耳と尻尾を生やした和服の少女だった。

 

「あれ? ネスティさん達は?」

「ネスは図書館で召喚関係の本探しに行くってさ。で、バルレルはまた戦士長さん達と酒盛りしてる」

「ま、またですか……ネスティさんはともかく、バルレルさんは自重してください」

 

どうやら別行動している仲間がこの青年にいるらしい。酒盛りをしている方についてはしょっちゅうのようで、レザンも気疲れした様子で項垂れている。

 

「レザン君、その子が例のお客様ですか?」

「はい。リィンバウムのとある宿屋で店長をしている、ライさんというそうです。料理の勉強のために各地を見たいと、レオ閣下から紹介をされたそうで」

「宿屋……」

 

青年の方は宿屋という単語を聞いて、少し考えるしぐさを取る。直後、何かに気づいた様子でライに声をかけてきた。

 

「もしかして君、忘れじの面影停の店長かな?」

「な、何でオレの店の名前を?」

「やっぱり! ユエルが世話になったって聞いたよ!!」

「ユエルの知り合い……まさか!」

 

ユエル

以前にトレイユで知り合ったオルフルという亜人の少女の名で、リィンバウムで一番古い国の聖王国からおつかいでやって来たところを知り合った。ギアンとの最終決戦の際に堕竜化した彼の攻撃が街に向けられたが、ユエルの知り合いだというある召喚師が結界で防いでくれたことで、街は無事だった。つまり、彼はその召喚師本人ということになる。

 

「直接会うのは初めてだったな。俺はマグナ・クレスメント、こっちの子は護衛獣のハサハだ。よろしくな」

「アメルです。初めまして、ライ君」

 

これが運命を超えし者、超律者(ロウラー)とのファーストコンタクトであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

そして夜になった頃、シンク達合宿組は夕食の後片付けをしていた。

 

「まさか、セイロンさんも料理できるとは驚きましたよ」

「しかも、凄まじく美味かった……貴様、隙無さすぎではないか?」

「いや、これはシルターン料理の調理法が確立されている故の結果だ。我自身は手習い程度の腕前だよ」

「その割には、干物の下準備とかテキパキこなしてたね」

 

ノワールの視線の先には、開きになった川魚を即席の物干し竿に釣るしているのが見えた。昼間の模擬戦の後で、取った魚を捌いて作ったという。ちなみに、ノワールの今の格好は何故かピンクの着ぐるみパジャマ(何故か猫)だ。

 

「さて、明日は朝に今日の特訓のおさらいをして、昼からお館様と剣の特訓」

「そちらは我の専門外だから、ここで交代というわけだな」

「早く休んで、涼しい内から始めたいな」

 

そんなわけで、片付けの終了と同時に就寝となった。

しかしまたもノワールが口を開く。

 

「寝る前に好きな人告白大会とかしないの?」

「しない! 寝ろ!!」

「えっと、拙者はお館様と姫様と」

「するな!」

「ていうか、それ主旨違うし!」

「あっはっは、これも若さだな。愉快愉快!」

 

 

 

 

翌朝

「えっと、これはどういう状況にござろう?」

 

そう言うユキカゼが見たのは、何故かシンクとエクレールが小屋の外で寄り添って寝ていた。しかも、エクレールがシンクに膝枕しているという状況だった。

 

「たぶん、二人で話してて、仲良く撫でっこしてる内に、シンクがエクレの膝の上。で、昼間の疲れでその内に爆睡、と」

「ほう、それで決まりだな」

 

ノワールが状況を推理してみると、セイロンが納得する。直後、二人が目を覚ました。

 

「「うわあああああああああああああああ!!」」

「おぶぅう!」

 

二人揃って絶叫し、直後にエクレールはシンクに腹パンを喰らわした。かなりの慌て様だった。

 

「エクレ…」

「イヤ、違う! これはそう言うことではなくて……」

「まあ、別に間違いを犯したわけではないのだ。これくらい減る物でもなかろう」

「イヤ、そう言うことではなくて…」

「二人とも仲良しコンビなのは、みんなよく知ってるから」

「だから違うと言ってるだろーーーーー!!」

 

 

 

その後、風月庵に行って修行の成果を見せることとなった。

 

「貴様、私が苦労して覚えた技をもう…」

「違うよ。エクレと同じで神狼滅牙がベースなんだから、似るのは当然だよ」

 

何とシンクが覚えた技は、光臨剣の色違いと言ってもいい、よく似た技だった。こちらは炎を思わせるオレンジが勝った赤色をしている。

 

「ノワールも含めて、皆よくやったでござるな。しかし、セイロン殿もまさかこれほどとは…」

「ああ。この技、中々に楽しいな。我もすっかり気に入ったぞ」

「そうでござるか。これなら勇者殿達に拙者の魔物退治の技を、伝えていけそうでござる」

 

全員分の成果を見て、ブリオッシュも満足そうにしている。こうして、ビスコッティの夏のひと時が過ぎていった。




ついにマグナと接触! 書きたかったシーンだったので、満足しております。
次回のガレット剣風録編でも書きたいシーンがあったりします。なのでこうご期待。
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