サモンナイト 勇者と姫と越響者   作:玄武Σ

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英題がぶっちゃけ適当すぎる……orz
ガレット剣風録編、ようやく開始。


第38話 ガレット獅子団捕物帳 braver with okappiki

ガレット獅子団領・アヤセ

大陸の東方諸国からの移民が集まって作られたこの国は、シルターンや江戸時代の日本に酷似した文化となっている。襖や障子が建物に用いられ、住民の衣服も所謂着物に分類されている物だった。

そして、そんなアヤセの町にある一行がやって来た。

 

 

「へぇ~、ここも風月庵みたいに和風なんだね」

「確かに、よく似ているな。一体、この世界はどんな文化構造をしているんだ?」

「クラウレさん、あんまり難しく考えない方がいですよ~」

 

それは七海にジョーヌとベール、アロエリ&クラウレ、そして一行をビオレが先導していた。

何故七海達がこの町に来たかというと……

 

~回想~

 

数刻前、ガレットの首都ヴァンネットにて。

 

「そうか、追いはぎ事件は街でも噂になっておったか」

「はい。海龍亭じゃ、みんなその話題で持ちきりで…」

「先程、アヤセの町長から確認も取れた。守護力が働いてる街中だったから、死者や重い怪我人は出てないそうじゃが……」

 

追いはぎという、不穏な単語がレオの口から飛び出した。七海たちは先程、昼食を取りに街へ向かったのだが、その際にこの追いはぎ事件のうわさを店のウエイトレスから聞いたという。

レオがある程度言葉を紡いだ直後、いきなりガンッと何かを叩く音が聞こえる。音のする方を見ると、ガウルが右手を机に突き立てている姿があった。

 

「それでも、立派な強盗傷害だ! 放っておけねえだろ!!」

 

やはり王族としての責任感か、それとも愛国心が強いのか、その両方か、いずれにしてもガウルは自国での犯罪が心底許せないようである。

 

「ノワがまだ帰ってきてないが、お前達を連れて今夜あたり行ってみるか」

「「はい!」」

「行く!」

「ならば、俺達兄妹も力を貸そう。いいか、アロエリ?」

「はい、兄者。盗みなどという姑息な悪事、許してはおけません」

 

意外にもアロエリとクラウレも乗り気のようで、そのまま追いはぎ討伐に向かうことが決まった。

 

「よし。ならば儂も……」

「レオ様! それにガウ様も、ダメですよ!!」

 

レオも参加を名乗ろうとしたら、いきなりビオレに止めるめられてしまう。

 

「領主や王族が出て来たら、かえって事を大きくしてしまいます。それに今夜は、ミルヒ姫様と会食の予定があるじゃないですか!」

 

ビオレの言うことも尤もで、しかもすでに予定もあるので行きたくても行けない状況となっていたわけだ。その後、ビオレが一行の引率を名乗り、そのまま付いて行くことになったというわけだ。

 

「それじゃあ、僕とエニシアとミントは閣下たちと留守番をしておくよ。あんまり大人数だと目立つし、閣下の公務も手伝わないとね」

「ギアン、すまんな。お主がいると書類仕事が楽でな……」

 

ギアンはチャッカリ、レオの仕事の補佐という役職についていた。エニシア第一の彼なら、そんな彼女の世話になる国でのあれこれは知っておきたいので、こういう形に収まったというわけだ。

 

~回想了~

 

「では、私は町長に話を付けに行きますから、皆さんは先に町で調査をお願いします」

 

引率というわけで、ビオレが皆に指示を出す。そして、いざ移動しようとした直後

 

「あ、姉やん待って」

「これ、レオ様からの預かり物なんですが……」

 

ジョーヌとベールがそう言って、大きな布袋を見せてきた。そして中身を確認……

 

 

~十数分後~

「流石レオ様! 現地捜査と言ったら、やっぱり現地の人の服!!」

「これでどう見ても、地元の人ですね」

 

レオからの預かり物とは、人数分の着物だった。七海が青、ジョーヌが黄色、といった具合に各自のイメージカラーに合わせた着物が用意されていたのだ。

 

「なんで私まで……」

「そっちはまだマシだろ。オレなんか落ち着かないにも程が……」

「アロエリ、郷に入りては郷に従え、というシルターンのことわざがあるらしい。ここにいる間、我慢するぞ」

 

ちゃっかりビオレとアロエリたちの分まで用意されたいた。そして、アロエリとクラウレの分は翼を露出するために背中部分が大きく開いた特注品だったのだ。そのため、アロエリはうなじが露出されて色気を醸し出し、図らずも周囲の視線を釘づけにしてしまったのだ。

そして、そのまま一同は情報収集に向かうのだった。

 

 

 

そして夕方

 

「で、集めた情報を纏めると…」

「追い剥ぎは、『その着物、綺麗ねぇ』って声をかけて、その相手に斬りかかってくるらしいで」

「しかも、子供や娘ばかりを狙う悪質な輩らしいな」

「とんだ変態さん、というわけですか」

 

お茶屋に集まって、一同は集めた情報を纏める。女子供ばかり狙う、ベールの言うこともあながち間違ってはいなかった。

 

「で、あたしいいアイデアを思いついたんだけど……」

 

七海が何かアイデアを提案しようとしたが、何故か途中でやめてしまう。向かいの席に座っていた一人の客に対して、警戒していたようだ。その男は一端の剣士のようで、すぐ傍には刀を置いている。

すると、アロエリとクラウレもその男のことを感じ取ったようだ。

 

(なるほど、あの男が怪しいのか?)

(アロエリ、流石。何かただならぬ物、みたいなの感じない?)

(かなり腕が立つようだな。少なくとも、ただの町民などではなさそうだ)

「お三方、どないしたん?」

「七海ちゃんのいいアイデアって?」

 

小声で話していると、ジョーヌとベールがそんなことを尋ねてきた。確かにジェノワーズは実力が伴っている猛者と言ってもいいが、そのような洞察力とは無縁のようだ(ただし、この場にいないノワールを除く)。

 

「ああ、ごめん。ビオレさんと合流してからね」

 

その後、一同は注文した団子に舌鼓を打って、茶屋を後にするのだった。

 

 

 

 

その後、ビオレと合流して作戦について話す。が……

 

「囮捜査なんて、国の勇者にさせられません! ダメです!!」

 

七海の提案とは囮捜査だったのだ。確かに、勇者は召喚した国では賓客として扱われる。そのため、そんな危険の伴う仕事をさせるわけにいかないのは、当然だった。

そんな中、ジョーヌたちがどうにか許可を貰おうと粘る。

 

「けど、ウチ等そこそこ有名人やし、アロエリたちも翼なんて目立つもん持ってるし」

「その点、七海ちゃんなら適任ですって!」

「ダメです!」

 

しかし、それでもビオレは折れない。するとそんな中、七海本人が動いた。

 

「ビオレさん、お願い! みんなが怖い思いしてて、子供も外で遊べないなんて、そんなの嫌だよ!」

 

頭を下げた後、七海はそのように懇願した。実は彼女が聞き込みをした際、小さな子供から友達が被害に遭ったという話を聞いたのだ。曰く、作ってもらったばかりの新しい着物を取られたらしく、それによって子供の外出は難しくなり、外で遊べる時間も限られてしまったというのだ。

七海は純粋に、その子たちの早く安心させたいという想いで、この囮調査を思いついた次第だったのだ。

 

「あたしなら大丈夫。エクスマキナだって持って来てるから、充分戦えるよ」

「それに、オレ達が空から確実に犯人を抑える。これなら問題ないだろ」

 

アロエリの言う通りだ。フロニャルドには動物の耳や尻尾、このアヤセには牛や羊を思わせる角の生えた住人がいる。しかし、今のところ翼を生やした種族は見たことが無い(まだ知らない国にいるかもしれないが)ので、セルクルやブランシール無しで空から奇襲をかけられる、という発想には至らない可能性が高い。

 

「……言っても聞いてくれないみたいですね。今回は勇者様の意見を尊重しましょう」

「ビオレさん、ありがとー!!」

 

ビオレが折れたのを聞き取った瞬間、七海はそのままビオレを押し倒す。しかも、そのまま嬉しさのあまりほっぺにチューまでする始末だった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

そして日が沈み切って夜が訪れた。七海は長髪のウィッグと付け耳で変装し、ベールのような物を被って顔をわかり辛くし、顔を知られていてもすぐにはばれそうになかった。

 

「お疲れ様どすぅ~」

「夜道はお気をつけて」

 

しかもかなり板についており、京都弁のような口調で見回りの兵士達に挨拶していた。

 

「七海ちゃん、ナイス変装」

「意外な特技もあった物だな。普段のアイツからは、想像がつかない」

「アロエリ、言い過ぎとちゃう?」

「お前達、静かにしろ。このまま七海の周囲を警戒しろ」

 

クラウレはそう告げるとアロエリと共に飛び立ち、ジョーヌとベールもこっそりと七海の尾行を開始した。

 

 

 

しばらく七海が歩いていると、橋に到着。そして、その橋を渡っている途中……

 

「ちょっと、そこの御嬢さん」

「うちどすかぁ?」

 

いきなり聞き覚えのない男の声が聞こえたので、そのまま振り返る。そこにいたのは、着流し姿に刀を携えた一人の男だった。着物の柄から察して、おそらくは先程茶屋で見かけたあの男だ。それなりに男前だが、耳が猫系でないため少なくともガレット人ではなさそうだ。加えてただならぬ雰囲気を纏っているため、警戒に値するのは確実だった。

 

「綺麗な着物だね」

(この人、やっぱり……)

 

男の第一声が追い剥ぎ犯と同じく着物を褒める言葉、七海はその男が追い剥ぎ犯だと思い、警戒を強めた。

 

「そんな恰好で夜道を歩いてちゃ、襲ってくださいと言ってるような物だろ?」

 

しかし、直後に発した言葉はむしろこちらを心配しているような物だった。だが、ひょっとしたら安心させてから事を起こすのかもしれない。そう思い、隠れていたジョーヌたちは早速飛び出す。

 

「犯人確定、ベール!」

「はいな!」

 

そのままベールは弓で攻撃を放つ。輝力を纏った弓は男に直撃した瞬間、爆発を起こす。

しかし、男は無傷で飛び出してきたのだ。

 

「!」

 

直後、今度は上空で待機していたアロエリの矢が飛んでくる。セルファンの彼女は動体視力も優れているのか、気配を悟られないほどの長距離から、下方の男に向けて矢を放ったのだ。

 

「はぁあ!」

 

しかし、男は咄嗟に抜刀、そのまま飛んできた矢を切り裂いてしまったのだ。

 

「はぁああああ!!」

 

しかし今度は七海が手に持っていた和傘で男に攻撃を仕掛ける。だが、男は沙耶でその攻撃を防いでしまい、そのまま和傘も折れてしまった。

 

「いや、ちょっと待ってくれ」

 

男は刀を収めた後、そのまま落ち着いた様子で七海達に静止をかけようとする。

 

「はあああああああああ!!」

 

しかし直後、上空から男を目掛けて何かが怒号を上げて飛んできた。男は再度抜刀して、それを弾こうとする。

 

「く!?」

「ぬぅん!?」

 

飛んできたのはクラウレで、はるか上空から勢いをつけての刺突を放っていたのだ。しかし、そのまま男は刀でそれを受け止め、そのままクラウレを弾き飛ばす。

 

(この男の太刀筋、かなりの物だ。出来る!)

 

着地して、再度構えを取るクラウレは男の剣技が相当の物だと判断して、警戒を強めた。

しかし、今度は七海がエクスマキナを発動して戦闘態勢に入る。

 

「アヤセを騒がす、連続傷害強盗犯! アタシの変装にまんまと騙されたのが、運の尽き」

「「そのとーり!!」」

 

七海の言葉に続いて、ジョーヌとベールが駆けつけて武器を構える。ジョーヌは何故か、普段の獲物ではなく刀を携えていた。

 

「我ら獅子団捜査網が、その顔しかと見届けました!」

「さあ、神妙にお縄につくんや!」

「えーっと…………こいつらのノリはともかく、貴様も抵抗するだけ無駄だ」

 

上空から舞い降りたアロエリが、七海達のノリに茫然としてしまう。しかしそれでも武器を構えて男に向けるのを忘れないのは、流石一流戦士といったところか。

 

「ごめんよ、この遊びはまた今度。君達も保護者なら、さっさと彼女たちを連れて帰りなよ」

 

しかし、男は子供の遊びに付き合うような余裕のありすぎる様子で、話ながら懐から何かを取り出す。出てきたのは見たところ札のようだが、取り出した直後にその札がいきなり紫色に光出した。

 

「わああ!?」

 

いきなり札が爆発したかと思うと、辺りを煙で覆いつくしてしまった。

 

「くそ、煙幕か!」

「しまった、逃げられてもうた!」

 

爆発そのものに威力が無く、煙が晴れると同時に男の姿は何処にも見えなかったのだ。

 

「みんな、手分けして探そう!」

「だな。俺と兄者は上空から探すから、七海達も地上を頼む!」

「了解、アロエリ! ベール、行くで!」

 

そのまま七海達はチームを分散し、男の捜索に向かう。しかし、その際にクラウレは先程の男の様子について考えていた。

 

(あの男の様子、何かおかしい。確かに只者ではないが、あれでは盗みよりも普通に戦興行に出て稼いだ方が得なはず……)

 

違和感を感じつつも、クラウレはそのまま捜索を続けた。

 

 

 

 

一方、その頃

 

「アカン、こっちやない」

 

ジョーヌは捜索途中、行き止まりに引っかかってしまう。そしてそのまま引き返そうとした途端……

 

「おねぇちゃぁん」

 

振り返った先には小さな子供がいた。赤い着物を着たウサギ耳の、おかっぱ頭の少女だった。しかし、幼い少女には似合わない、大きな鉈が右手に握られている。そして、

 

「その着物綺麗ねえ………ウチにちょーだぁい」

 

そう言って鉈を振りかざし、ジョーヌに飛び掛かって来たのだ。

 

(この子がホンマの追い剥ぎ……しまった!)

 

そう悟ったものの、時すでに遅し。恐怖してそのまま目を瞑ってしまったジョーヌに、刃が迫ろうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君、大丈夫?」

 

しかし、一向に切られる様子が無いと思ったとたん、聞き覚えのない女性の声が聞こえる。

ジョーヌが目を開けると、そこには槍を携えた一人の女性がいた。彼女はピンクを基調とした色の服を着て、髪もピンクでそれを後頭部で纏めていたが、ポニーテールではなく広がった特有の髪型をしていた。

 

「姉ちゃんが助けてくれたんか。ありがとうな」

「いいってことよ。それじゃあ、アタシはぐれた仲間を探してるからこれで」

 

そのまま女性は、ジョーヌに別れを告げて去って行ってしまう。

 

「って、さっきのあの子は!?」

 

女性が去っていった後、ジョーヌは慌てた様子で犯人の姿を捜す。しかし、先程の少女はおらず、代わりに一匹のうさぎが気絶していた。

 

「このウサギが変身してたんか……まさか、魔物?」




今回はキリがいいのでここまで。
最後に出てきたキャラですが、勘のいい人ならすぐわかるかな?
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