サモンナイト 勇者と姫と越響者   作:玄武Σ

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大学の課題やら5のプレイやらで投稿が遅れました。お待たせしてすみません。

あと、第1話のライの年齢を15歳に、本編を1年前から半年前に修正しました。U:Xとの矛盾を避けるために少しでも時系列を遠ざけると言う措置です。
ご了承ください。


第4話 やさしいお姫様 Hello princess!

エクレールからフロニャルドに関する常識などのレクチャーを受ける際、城下町の散策をすることとなる。

町にはいくつも屋台が出ていたので、一行は腹ごしらえをすることにした。

ライとシンクは串焼きの様な料理、ミルリーフはわたあめをそれぞれ購入し、食べ歩きながらエクレールの説明を聞く。

 

「戦は国交手段でもあるが、同時に国や組織を挙げてのイベント興行でもある。今回はガレットと戦ったが、もっと規模の小さい村同士や団体同士の内戦もあるな」

「村対抗の競技大会兼、お祭りみたいなものかな?」

「まあ……そんな言い方もできるな」

(戦いが競技大会……数年前の傀儡(かいらい)戦争に比べたらえらく易しいもんだな)

 

シンクの例えが解りやすく、納得するエクレール。対してライは、数年前に起こった傀儡戦争と比較していた。

傀儡戦争とは、大昔にリィンバウムを侵略しに来た悪魔の王の一人が現代に復活、ある森に封印されていた召喚獣を機械化した兵器【ゲイル】の技術を手に入れて、それによって再びリィンバウム侵略をしようと起こした戦争である。名前の由来は、その悪魔王が死体に霊を憑りつかせた不死の兵を大量に従えて戦いに赴いたことにある。

この兵は倫理など度外視した存在であるため、それを大量に用いた戦いよりも凄惨な戦いはないとライは思った。

そして再びエクレールのレクチャーに耳を傾ける。

 

「戦興業を行う際は、興行主が参加希望者から参加費用を集めて、それを両国がそれぞれに計上する。そして、戦を行い戦勝国が約六割、敗戦国が残りの約四割を受け取る、これは大陸協定で決められた基本の割合だ」

「ず、随分と合理的だな」

 

ライはエクレールの説明を聞いて感心していた。

 

「分配した費用の内、最低でも半分は参加した兵士の褒賞金に当てられる。この割合も協定で決まっている、そして残り半分が戦興行による国益だ。病院や砦を立てたり、公務を行うものを養ったりするのに使われている」

「それを考えたら、さっきの四割ってのじゃ足りないだろうな。どっちにしても負けられない戦いってことか」

 

ライはこのシステムを聞いて、やはり平和的に見えても戦争は戦争なのだと思った。

国としては勝った方が経済的に潤うというのが今の説明でわかったので、誰も死なない=平和とは考えにくいと思ったのだ。

そんな中、シンクは戦の概要を見てから思っていたある疑問について聞いてみることにした。

 

「これ、聞いてもいいのかな? その大陸協定っていうのを守らなかったり、本当に人が死んだりしちゃう戦いとかってあったりする?」

「フロニャ力だっけか? あの人が死なない理由。そんなものがあったらこの世界を欲しがる奴が、異世界から侵略に来たりとかしそうなんだけど」

「うん。人間どころか、感情のある生き物にはそういうことを考えるのってかならずいるから」

 

シンクの質問を聞いたライとミルリーフも同じような質問をする。

リィンバウムは生命の源であるマナが豊富なゆえに侵略されていたので、このフロニャルドもフロニャ力欲しさに異世界からの侵略を受けたのではないかという疑問が生じたのだ。まあ、ありえなくはないだろう。

すると、エクレールはバツの悪そうな顔をして再び口を開いた。

 

「ライ達の言うような敵はいなかったが、歴史を紐解けば、魔物との戦いなどに勇者の言うようなことはなくはないな」

「「魔物?」」

 

魔物というと異形の存在というイメージがあるため、そのような存在がいない地球出身のシンクはすぐにイメージが出来た。だが、リィンバウムには天使や悪魔、獣人や妖怪、といった様々な異世界の住人が召喚術などで目の当たりに出来ることもあり、ライ達は魔物という単語にあまりピンとは来ないようだった。

そしてエクレールは再びレクチャーを再開する。

 

「我々が戦で負傷せずにいられるのは、戦場指定地に眠る戦災守護のフロニャ力、さっきライが言った通りそのおかげだな。ただし、それ以外の土地だと怪我もする死にもする」

「じゃあ、守護されていない地域ってどのぐらい?」

「オレ等だって死にたくねえから、教えてくれ」

「元々守護力が強い場所に国や町、砦が出来ているんだ。街道や山野は危険な場所が多いな」

「つまり、町の外は危ないところが多いんだね」

 

ライ達の質問にエクレールは丁寧に答えて、ミルリーフが最後に結論をまとめる。

 

「とくに街道は大型野生動物の危険度も高い。だが戦の為に移動する隊列に加われば逆に安全な旅が出来るという利点もある」

「まあ、武装している集団だからな。いざという時に守ってくれるだろうしな」

 

ライ達へのレクチャーが一通り終わったところ、エクレールが呆れ口調でこんなことを言い出した。

 

「しかし、貴様らは何も知らないのだな」

 

気に障ったシンクはムッとする。するとそこでライが口を開いた。

 

「お前なぁ、知らなくて当然だろ。オレもミルリーフもシンクも、フロニャルドって世界自体の存在を今日知ったばかりなんだからな。逆に聞くけど、お前はリィンバウムにどんな国があって、誰が納めているか知ってんのか? シンクの住んでいるニッポンって国のことどれぐらい知ってんだ?」

 

ライも今のエクレールの発言を快く思っていなかったので、とりあえず反論する。

エクレールも少し考えてみたが…

 

「全く知らんわ!」

「だろ。だから、さっきみたいな言い方は感心しねえな」

「ぐっ………悪かった」

 

ライに言い負かされたエクレールは、先程の発言について謝罪する。

その後、気を取り直して別の話題を振った。

 

「まあ、とりあえずリコの所に行くぞ。何か進展があるかもしれないしな」

「誰?」

 

いきなり知らない名前が出て来たので、シンクは誰なのか尋ねてみる。

 

「本名はリコッタ・エルマール、学院の主席研究員で私や姫様の友人だ。さっきの映像で姫様と一緒に映っていたぞ」

「ああ、あの子か」

 

というわけで、リコッタのいる学院へ向かうことになった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「申し訳ないであります!」

 

学院にやって来たライ達は、目的の人物であるリコッタの謝罪を受けていた。

 

「このリコッタ・エルマール。誠心誠意、勇者様やライ様達がご帰還される方法を探していたでありますが……力及ばず、未だ何ともどうにもこうにも…」

「おい、ちょっと落ち着け」

 

ひたすら謝りっぱなしのリコッタだったが、見かねたライが声をかける。

 

「まあ、まだ1日もたってないのに見つかるとは流石に思っていないからな。シンクもそうだろ」

「え、ああ、そうそう」

「本当でありますか?」

「ああ。だから、そんなに気にすんな」

 

どうにかしてリコッタを安心させるライ。

もう一つ、ライはある問題について一同に話す。

 

「それに」

「「「それに?」」」

「オレとミルリーフを召喚したのが、誰かわかんねえんだよ。だから送還方法があったとしても、現状は帰れねえんだ」

「え、本当でありますか?」

「詳しく聞かせて貰おうか」

 

事態について気になったシンク達は、ライから事情を聞いてみる。

 

「オレとミルリーフの足元に、いきなりあの魔法陣に似たヤツが出てきてそれに吸い込まれちまったんだよ」

「その魔法陣、色とかかいていた字とかがさっきのとびみょうに違ったんだ」

「あと、召喚されて最初に出てきたのが、戦場のはずれの林だったからな。召喚主にも会えてねえんだよ」

 

そう。シンクを呼ぶのに使った魔法陣は、ミルリーフやさっきの姫の髪の様なピンク色だった。だが、ライ達が吸い込まれた魔法陣はそれより色の薄いピンク、ようするに桜色をしていたのだ。ついでに、ミルリーフはあの短い間に書かれていた文字も見ていたらしい。

 

「召喚主がわからない、確かに問題だな」

「でも、ひょっとしたら送還は召喚とは違う原理で行われる可能性もありますし、ライ様も帰る手段を見つけられる可能性はまだあるでありますよ」

 

リコッタがライに安心させるように言う。

すると、エクレールがライとシンクにあることを聞いてきた。

 

「ところでお前達、帰るまでの期限についてはどれぐらいだ?」

 

エクレールに言われて、二人は帰るまでの期限について計算をする。

 

「あと16日」

「オレもそれ位が限界か?」

「! それなら希望が湧いてきたであります!!」

 

期限を聞いたリコッタは嬉々とした様子で告げる。

これを聞いたライは、リィンバウムの召喚師でもかなりの時間がかかりそうな課題を16日以内で達成できるという自信に驚かされた。

 

「あ。リコッタ、ちょっといい?」

 

すると、シンクが何かを思い出すようにリコッタにあることを聞いてみる。

 

「召喚された穴のところから、電波通ったりしないかな?」

 

シンクはそう言って携帯電話を取り出す。対するリコッタは電波という単語を知らないようで、不思議そうな表情で聞き返してきた。

 

「え~っと、この携帯電話っていう通信装置が使えるようになる……なんて言えばいいのかな?」

「通信というと、フロニャ周波みたいなものでありますね。 なら、何とかなると思うでありますよ」

「本当!? じゃあ、お願いしてもいいかな?」

 

リコッタの一言で無効と連絡が取れそうだと解り、シンクは思わずその準備を頼む。リコッタの方も、特に断る理由がないので許可を降ろす。

その一方で、ライはエクレールに話しかけられる。

 

「そういえば、お前は連絡を取る道具とか持っているのか?」

「ああ。オーナーに持たされているのが一応あるな」

 

そう言ってライは、ポケットの中から通信装置と思われるものを取り出す。テイラー曰く、召喚術でロレイラルから召喚された最新の通信メカなのだとか。

 

「ライ殿、ここにいたか」

「兄上」

「ロランさん」

 

ライを呼ぶ声が聞こえたので振り向いてみると、声の主はロランだった。

 

「何か用でもあるんですか?」

「いや、私じゃなくて姫様がね。勝利に貢献してくれた君達にお礼を言いたいそうなんだ」

 

どうやらこの国の姫がライを呼んでいるらしい。特に断る理由もないので行くことにした。

 

「わかりました。あ、シンクも来るか?」

「いえ。僕はちょっと試したいことがあるから、先に召喚台に行ってきます」

「わかった。じゃあ、あとで」

 

ライはシンクと一旦別れて、ミルリーフと一緒にロランに案内されて、姫のところへ向かった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

やって来たのは、目的の人物であるミルヒオーレ(以下ミルヒ)のいる自室。話によると衣装直しの途中だそうだ。

 

「姫様、ライ殿をお連れいたしました」

「はい、通してください」

 

ロランがノックをすると、先程の放送で聞いたミルヒの声と同じもので返事が返ってきた。

扉を開けると、その先にミルヒはいた。最初にスクリーンで見た時のようなドレスではなく、もっと動きやすそうな格好をしていた。ただし、それでもライ達が着ているような物よりは高そうだったが。

 

「お待ちしておりました、ライ様。私がビスコッティ共和国のフィリアンノ領代表領主、ミルヒオーレ・F(フィリアンノ)・ビスコッティです」

「ああ、どうも。あと、オレは様づけされるような大層な奴じゃないんで、呼び捨て、だめならさん付けでお願いします」

「わたしも、呼び捨てでいいよ」

「ふふ、わかりました。では、ライさんと呼ばせてもらいます。あと、そちらはミルリーフでいいですか?」

「うん」

 

やわらかい雰囲気、丁寧な口調で自己紹介をするミルヒ。

呼び方云々の話を終えて、ミルヒは次の話題を振る。

 

「今回の戦、私達ビスコッティを勝利に導いてくれたこと、ありがとうございます」

「いや、むしろあんたが呼んだ勇者の活躍を奪って悪かったって思ってんだけど…」

「いえ、ライさんがいなかったら私達は負けてしまって、そのままションボリでした。だから、ありがとうです」

「いy「はい、ストップ。パパ、このままじゃいつまでも話が終わらないからここでお終い」…すまん」

 

ミルリーフに制されたので、ライは思わず顔を赤くしてしまう。

 

「ミルリーフの言う通りですね。じゃあ、別の話に変えますね」

「ああ、わかった」

 

ミルヒはそう言って、ライに勇者召喚に至ったの経緯などについて話した。

 

「つまり、あのガレットのお偉いさんがここ最近、戦を何度も繰り返すようになったせいで負けっぱなしだったと?」

「はい。それで、一国の主にのみ使用が許される勇者召喚を行って、シンク・イズミ様を呼んだのですが……」

 

話している途中で、ミルヒは少し暗い表情になり、黙り込んでしまう。

 

「成る程。送還できないと知らないでやっちまったのか」

「はい。だから、勇者様にとても迷惑な結果になってしまって…」

 

ミルヒの表情はさらに暗くなった。よほどシンクのことを気にしているらしく、ライもミルリーフも彼女がどういう人物かがよくわかった。

とにかく、優しい。ただその一言に尽きる、そんなお姫様だった。

ライは、そんなミルヒを安心させようと先程の学院でのやり取りを話すことにした。

 

「ああ、なんか16日以内に帰れたら問題ないらしくて、リコッタもそれなら希望があるって言ってましたよ。連絡も出来るかも知れないって」

 

それを聞いてミルヒが反応する。そして、ライも話を続ける。

 

「あと、オレのいた世界じゃ召喚が生活を支えるもので、真逆の送還術ってものもあるから、そっちを調べたらシンクを帰せるかもしれないん」

「ほ、本当ですか?」

 

ライから話を聞いたミルヒは、表情がさらに明るくなった。よほどシンクのことを気にしていたようだ。

 

「だから、もし向こうに連絡できたら、召喚術に詳しい仲間に聞いてみるわ」

「はい。ライさん、ありがとうございます」

 

その後、ライも帰る目途がつくまでは戦に協力すると約束して、部屋の外に出る。

 

「ライ殿、姫様に会った感想はどうだい?」

 

部屋から出て、真っ先にロランが聞いてきたのはその話題だった。

 

「初めて会ったばかりだから、まだ何とも言えませんけど……いい人だとは思います。国のことを第1に思っていて、シンクのことも申し訳なさそうにしていて…」

「うん。なんだか、いっしょにいて心地のいい、パパみたいな感じの優しい人の雰囲気がしたよ」

「……求めていた答えと違うが、好印象なようでよかったよ」

 

ライ達の答えを聞いたロランは一瞬黙るが、穏やかそうな表情でそう告げた。

 

「…ちなみに、求めていた答えって?」

「勇者殿が答えたことだが、そこに可愛くて素敵が入っていると完璧だったのだが」

 

ロランの答えを聞いて、ライは思わずズッコケた。まあ、こんな答えを聞いたら仕方ないだろう。

ロラン曰く、ミルヒは愛され系お姫様で国民達も総じてその答えを出すとか。

 

「……ライ様―!」

 

遠くからライを呼ぶ声が聞こえたと思うと、リコッタが走って来た。

 

「ライ様、通信の準備が出来たであります」

「おお、グッドタイミング!」

「ちょうどそのための機械を騎車で運ぶので、相乗りして行くでありますか?」

「ああ、頼む」

 

リコッタに案内されて、ライとミルリーフは召喚台に向かうのだった。




セルクルは馬じゃありませんが、他に適切な言葉が無いので馬車とさせてもらいました。
何かあったら教えてください。(解決しました)
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