サモンナイト 勇者と姫と越響者   作:玄武Σ

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ミルヒのミルリーフの呼び方についてですが、さん付けで違和感を感じたので呼び捨てに変更させてもらいます。

あと、ミオン砦戦は若干原作と違う展開になります。

では、最新話をどうぞ。


第6話 宣戦布告 We are the Génoise

完全に日が沈んで夜になる時間、ライ達はようやくフィリアンノ城に戻ってきた。

その道中、リコッタはライに渡された銃をいじっている。土地神の出現でうやむやになっていたが、リコッタがまたもシンクのケータイを狙っていたので、ライが自身の銃を囮として渡したのだ。彼の得意武器は専ら剣なので、もし銃が駄目になっても大丈夫だと判断したからだ。

 

「なあ、リコッタ」

「なんでありますか?」

 

ライはリコッタにあることを話していた。その内容はこうだ。

 

「今更だけど、オレにまで様付けってやめてくれねえか? もともとオレはここにいない筈だったんだし、ただの宿屋の店長なんだからそんな高貴な人間でもないんだしさ」

 

ミルヒにも持ちかけた話をリコッタにもするライ。だが……

 

「すみません。自分、どうも人を呼ぶときは愛称か様付けが定着してまして、しっくりこないというか…」

「ああ、そうか。わかった、我慢する」

 

ライはここで強情したらリコッタを困らせてしまい、またエクレールが五月蠅くしそうに思ったので、妥協することにする。

すると、エクレールがライ達に声をかけてきた。

 

「お前達、姫様のコンサートに汗臭いままで来られたら困る。風呂に入ってこい」

「いいけど、風呂の場所って?」

「案内図もありますし、中の者に聞いたら解るはずであります」

 

というわけでライ達は風呂に入ることになる。

 

「ねえパパ、久しぶりに一緒に入ろう」

「そうだな、たまにはいいか」

 

ミルリーフの爆弾発言とそれに賛成したライを見て、全員がギョッとする。

 

「え!? ちょ、ミルリーフ、何言ってるの!?」

「いくら親子でも、それはアウトでありますよ!」

「というか、ライ! 貴様はなぜ冷静なんだ!!」

 

エクレールの言うことは尤もだが、ライの一言で全員が納得する。

 

「いや、竜の姿になっちまえばたいして問題ないだろ?」

「「「あぁ……」」」

 

だが、ライはこう言っているものの、当のミルリーフまで同意見とも限らなかった。

 

「えー!? 私、こっちの姿のままがいい」

 

今度の発言には、流石にライも驚く。

 

「はぁあ!? お前、いきなり何言ってんの!?」

「ひさしぶりに頭洗ってほしいなぁ。こっちの姿じゃないとそれ無理だよ」

 

ミルリーフはご褒美代わりにシャンプーして欲しいらしい。

だが、見た目は幼いが女の子のミルリーフと一緒に風呂に入るのは、周りの目を考えると色々とマズい、そう思ったのはライだけではなかったので一斉に止めに入る。

 

「ダメだよ! いくら親子だからって女の子が男の人と一緒に入っちゃ!!」

「お前、羞恥心あるのか!?」

「その、色々とアウトでありますよ!」

 

全力で止めるシンク達。すると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ダメなの?」

「「「「!?」」」」

 

ミルリーフがウル目になりながら言う。

 

「わたしが、ミルリーフがパパに甘えたら、ダメなの?」

 

だんだんとミルリーフの目に涙が浮かんできた。その姿を見たシンク達は、背中に電流が走るような衝撃を受けた。

 

(なに!? この可愛さは一体なんなの!?)

(保護意欲が掻きたてられる!? 姫様とは別路線の愛しさを感じるぞ!)

(こんな顔でお願いされたら、断れないであります!!)

 

シンク達は涙目のミルリーフを見た瞬間、共通のことを思った。

 

メッチャ可愛い、お願い聞いてあげたい、と。

 

だがその一方で、ライは冷や汗を流していた。

 

(やべぇ。これ断ったら、こいつらに殺されそう…)

 

ライはミルリーフとは出会ってから濃厚すぎる(決していやらしい意味ではない)日々を送って来た。そのため耐性がある程度ついていたが、シンク達はそうでもない。下手に断ったら、シンク達にボコにされるヴィジョンが見えた。

 

 

「……わかった、今日だけだぞ」

 

それを聞いたミルリーフは涙が引いていき、すぐに満面の笑顔になった。

 

「ワーイ! パパ、だぁーいすき!!」

 

そのまま笑顔でミルリーフはライに抱きつく。その様子を見ていたシンク達は思わず頬を緩めており、揃ってミルリーフに悩殺されているのが伺えた。

 

(やれやれ、これが素だから恐ろしいよな)

 

その一方で、ライは頭を押さえしながらそんなことを考えていた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

城に入ったライ達は、現在迷子状態だった。

 

「誰もいないな」

「たぶん、みんなコンサートの準備で忙しいんだね」

「みんな、それだけ姫様のお歌がすきなんだね」

 

そんな感じの会話を時々交えながら城内をさまよっていると……

 

「あそこかな?」

「とりあえず入るぞ」

 

それっぽい場所を見つけた三人は、早速入ってみる。

 

「あ、ロッカー! 大正解!!」

「「ロッカー?」」

 

リィンバウムには銭湯のロッカーや類似するものが存在しないので、ライもミルリーフも首を傾げる。だが、シンクに脱いだ服を仕舞う簡易金庫のような物、と説明を受けて納得する。

早速服を脱ぎ、風呂桶を片手に風呂場に突入するが、彼らは近くにあった張り紙の存在に気付かなかった。尤も、気付いていてもフロニャルドの文字を読めないので意味ないが。ただし、その張り紙にはかなり重要な内容が書かれていた。

『大浴場 ただいまの時間 女性用。ミルヒオーレが使わせて貰っています』

 

 

「うわぁ、露天だ」

「広い風呂だな、流石は城ってか」

 

シンクは大浴場が露天風呂だったことに感動し、ライも広い風呂について感心する。

 

「あ、誰かあそこにいるよ」

「あ、本当だ。先客かな?」

 

ミルリーフが指差した方を見ると、湯気で見え辛いがたしかに人影がある。どうやら体を洗っていたらしく、シャワーでその泡を流しているようだ。すぐに流し終え、シャワーを止める。そして、体についた水滴を犬のように体を震わせて飛ばす。

その人物は、尻尾の毛や髪の色がピンクで、体は細く、胸は小さいが体格は女性のソレだった。

すると、女性はこちらに気付いて顔を向ける。

 

 

 

「「え?」」

「勇者様、とライさん?」

「あ、姫様だ」

 

人物はミルヒだった。ライもシンクも特殊な性癖があるわけではないので、周囲の人間が気にしなければミルリーフと一緒に風呂に入っても問題はない。

だが、目の前にいるミルヒの場合はそうはいかない。彼らは同年代、揃って10代だから思春期真っ只中なのだ。

そんな彼らが一緒の風呂場に裸でいるとどうなるか、言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

「ぎゃああああああああ!? なんで、なんで姫様がいるんだ!?」

「ああああああああああ!? ぼ、僕達何も見てませんから!!」

 

思春期真っ只中の二人が同年代の少女の裸を見たら、当然このようになる。例外のリアクションはドスケベの大歓喜ぐらいだろう。

 

「す、すみません。お二人の前でこんなはしたない…」

「イヤ、普通に考えて悪いのオレ達だから!!」

 

ミルヒは胸を隠しつつも、何故か自分が謝るという行為に出たためライが衝動的にツッコむ。

 

「とりあえず、僕達すぐに出て行きます!!」

「ああ、また時間を空けて出直すから…」

 

慌てて風呂場を出ようとした男子二人だったが、慌ててたために足元に注意が及ばなかったのがまずかった。

 

「「あ」」

 

足元には二人が持っていた風呂桶が落ちており、二人はウッカリそれに足を引っかけてしまう。ミルヒがいたことに驚いて床に落としてしまったが、二人そろってそのことを忘れていたのだ。

それによって二人そろって転んでしまい、湯船に落下してしまう。

 

「勇者様!」

「パパ、大丈夫!?」

 

ミルリーフとミルヒが湯船に近寄る。すると、二人が湯の中から顔を出す。

 

「お二人とも、ごめんなさい」

 

すると真っ先にミルヒの姿が映った。彼女は湯船に沈んだこちらを覗きこむようなポーズとなっており、そこに胸を隠すような手の配置が合わさってかなり大胆なポーズとなっていた。ライもシンクも反射的に湯に潜って見ないようにするのだった。

 

「私、普段はこちらの大浴場にはなかなか入れないものですから……あの、私もう上がりますので! みなさんごゆっくり!!」

 

そのままミルヒは大浴場から出て行った。それに合わせてライ達は勢いよく顔を出す。

 

「やっぱり、パパも男の子だったんだね」

「どういう意味だよ、それ?」

 

茶化すようなミルリーフの一言に顔を赤くしつつ、疲れた様子で返すライ。

 

「あの、勇者様」

「はい?」

 

今度はミルヒが扉越しにシンクに声をかけてきた。

 

「召喚の事とかこれからの事とか、勇者様にお話したい事がいっぱいあるんです。ですから、コンサートが終わったら、少しお時間いただけますか?」

「あ、はい。いくらでも」

「ありがとうございます。では、また後ほど!」

 

ミルヒの言葉にそのまま返すシンク。それを聞いたミルヒは、嬉々とした様子で返す。

 

「ああ、びっくりした……」

 

ミルヒが去った後、ライは大きく深呼吸した後で呟く。

 

「パパ、あんなことがあっていきなりだけど…」

「はいはい、頭洗ってくれだろ。忘れてねえから安心しろ」

「ありがとう、パパ!」

 

というわけでライがミルリーフにシャンプーしてやることにする。すると、シンクがあることに気付いた。

 

「アレ? 姫様がいたってことは、ここ女湯?」

「「あ…」」

 

まあ、その心配は当然だろう。ミルリーフも自分が男湯に入るのはともかく、ライ達を女湯に連れ込むのはマズイというのは解っていた。

早速大浴場から出て、確認を取ろうとしたその時……

 

「きゃあああ!?」

 

いきなり、ミルヒの悲鳴が聞こえた。

 

「今のは!?」

「ライさん!」

「パパ!」

 

ライ達は大浴場を飛び出し、即座に着替えを済ませて外に出る。

 

頭上から視線を感じた一同が見上げると、謎の三人組の姿があった。左から順にウサギ、黒猫、虎の耳の少女達だ。

そして、中央の黒猫少女はミルヒを抱きかかえている。そのミルヒは縛られ、口も塞がれており抵抗できない状況だった。

とりあえず、ライは三人組に向かって叫んだ。

 

「お前等、一体何者だ!」

「我ら、ガレット獅子団領!」

 

ライの質問に答えるように、ウサ耳の少女がポーズを決めながら名乗りを上げる。どうやら所属はガレットのようだ。

 

「ガウ様直属、秘密諜報部隊!」

 

次は虎耳の少女が名乗りを引き継ぐ。

そして黒猫少女が一言もしゃべらないうちにその両脇に残りの二人が並んでポーズを決める。

 

「「ジェノワーズ!!」」

 

ジェノワーズと名乗る三人組が叫んだ直後、その背後で爆発が起こった。その時の爆炎が来ている服の色に合わせて、緑、黒、黄色い色をしていた。レオの時もそうだったが、この世界の住人は派手好きが多いのだろうか?

すると、ミルヒを抱えている少女がこちらに向かって話しかけてきた。

 

「ビスコッティの勇者殿と、レオ閣下を倒した戦士殿。あなた方の大切な姫様は、我々が攫わせていただきます」

「うちらはミオン砦で待ってるからなぁ!」

「姫様のコンサートが始まるまで、あと一刻半。無事に助けに来られますか?」

 

そのまま続けて虎耳とウサ耳の少女達も口を開く。

人前で堂々と誘拐を宣言しだすジェノワーズに、ライは怒鳴り口調で反論する。

 

「お前等、何ふざけたことを言ってんだ!! 大体、こんな堂々と誘拐して何のつもりだ!!」

「率直に言いますが、大陸協定に基づいて、要人誘拐奪還戦を開催させて頂きたく思います。こちらの兵力は二百、ガウル様直下の精鋭部隊」

「そして、ガウル様は勇者殿及びあなたとの一騎打ちをご所望です」

 

ライの反論に黒猫少女とウサ耳少女は説明を入れる。

 

「二人が断ったら、姫様がどうなるか!」

 

最後に虎耳の少女が脅しのようなことを言って戦いを強要してくる。

ジェノワーズが大体話し終わったところで、ライはミルリーフとアイコンタクトを取る。すると、ミルリーフがどこかに行ってしまう。

 

「受けt「待て、シンク」」

 

シンクが宣戦布告を受けようとしたところに、ライが制止をかける。

 

「ライさん! 今断ったら姫様が」

「これじゃ相手の思うツボだ。とりあえず、オレに任せてくれ」

 

シンクに対して自分に任せるように言うライ。そして、再びジェノワーズに声をかけた。

 

「今日は昼間に戦やったんだろ。なんでこの時間にもう一回やろうって思ったんだ?」

「昼間の戦に参加していなかったガウ様、つまりレオ閣下の弟君がお二人の実力に興味を持ったので戦いたいと言うご所望です」

「本当にそれだけか? 誘拐ってのは身代金目当てとか何か得になる目的があるのが相場だろ」

「込み入った事情で深くは話せないんですが、ガウル様がミルヒオーレ姫様と話したいことがあるそうなんです」

 

そんな感じでジェノワーズに質問を投げ続けて対話を取るライ。

すると……

 

 

 

 

「ピギィ!」

「きゃあ!?」

 

黒猫少女の足に何かが噛みついた。それによって彼女はバランスを崩してしまい、そのまま抱えていたミルヒの体を落としてしまう。

 

「姫様!!」

 

このままではミルヒが怪我をしてしまうかもしれない、シンクが思わず叫ぶがその心配は無用だった。

 

「ぷにぃ!」

 

何処からともなく現れた不思議な生物が、ミルヒをキャッチする。その生物は、耳が手の様に肥大化した紫の毛の可愛らしい生き物だ。

 

「な、なんやコイ「ムイ、ムイー!」つぇ!!」

 

今度は虎耳少女に、ゴーグル付の飛行帽をかぶった蜥蜴をデフォルトしたような生き物がタックルをかます。

 

「ピ、ピギィ!」

「ぷに」

「ムイ」

 

そして、最初に黒猫少女に噛みついた生物がその後から現れた二匹を先導、そのまま飛び降りる。

すると、シンクはその生物に見覚えがあることに気付いた。

 

「あれって、まさかミルリーフ?」

「ああ。さっきあいつにアイコンタクトを取ってな」

 

そう、謎の生物は竜形態のミルリーフだったのだ。さっきライとアイコンタクトを取ったミルリーフは、ジェノワーズの死角に回って召喚術を使用、呼び出した召喚獣達とこっそりとジェノワーズに近づき、ミルヒの救出に向かったのだ。そして、ライがジェノワーズに対話をすることで時間を稼いでいた、ということだ。

ちなみに、ミルヒをキャッチしたのはプニム、虎耳少女にタックルしたのはテテという召喚獣だ。

 

ミルリーフと召喚獣達は無事に着地、プニムが抱えているミルヒも無事だ。

ミルリーフは再び人型に変身、ライやシンクと一緒にミルヒに近づく。そしてミルヒを縛っていた縄を解き、口を塞いでいた布も外す。

 

「姫様、だいじょうぶ?」

「ええ、ありがとうございます」

 

助けた本人であるミルリーフがミルヒの安否を確認する。どうやら縛られる以外のことはされていないようだ。

 

「ミルリーフ、よくやった」

「んふふ~」

 

ライがミルリーフを褒めながら頭をなでてやる。当のミルリーフ本人はそれによって至福の表情を浮かべていた。

すると………

 

 

 

 

 

(ふぇえ!? 勇者様、なんだかミルリ-フが物凄く可愛いんですけど!!)

(やっぱり姫様も!? ですよね、可愛いですよね!!)

 

ミルヒがシンクに小声で話しかける。どうやら、ミルヒもミルリーフに悩殺されてしまったようだ。

その一方で、ジェノワーズは何やら落ち込んでいる様子だった。

 

「しもうた。もう姫様が救出されてもうた…」

「これじゃガウ様の命令が達成できません…」

「どうしよう…」

 

あからさまにションボリモードなジェノワーズ。

すると、シンクがジェノワーズに声をかけてきた。

 

「君達…」

「「「え?」」」

 

その時のシンクの声には、静かな怒りが籠ってることにライは気が付いた。とりあえず、彼に任せることにする。

 

「そのガウルって王子が僕と戦うためだけに姫様を誘拐しようとしたってことでいいんだよね?」

「え? はい、そうですが…」

 

シンクの様子に戸惑いつつも、ウサ耳少女が答える。

すると、シンクは驚きの発言をした。

 

「だったら、僕の方からそっちに乗り込む。これだったら姫様も誘拐しないでいいはずだよ」

「……つまり、勇者様からガウル様への宣戦布告、ということでよろしいのでしょうか?」

 

シンクの発言に黒猫少女が質問をすると、シンクは思いっきり叫んだ。

 

「ああ、そうさ。僕はビスコッティの勇者シンクだ! どこの誰とだって戦ってやる!!」

「…わかりました。では、ミオン砦でお待ちしております」

 

そして、そのままジェノワーズは去っていくのだった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「姫様、勇者!」

「大丈夫でありますか!?」

 

数分後、ようやくリコッタとエクレールが到着する。

 

「姫様、大丈夫でありますか?」

「ええ、ミルリーフのおかげです」

 

リコッタがミルヒの安否を確認している中、エクレールはライと向き合っている。

 

「ライ、あの時は勇者をよく止めてくれた。礼を言う」

「ん?」

 

いきなりエクレールがライに対して礼を言う。

 

「あの時、このバカが宣戦布告を受けていたら公式の奪還戦になって姫様がコンサートに出れなかったかもしれない。だからコイツを止めてくれたお前には感謝してるんだ」

「ああ。あのままじゃ姫様がどうなっちまうかわかんねえから、慎重にやるべきだったからな」

 

ストレートにバカと言われているシンクだが、何故か反応がない。

 

「そして勇者、お前なにを勝手に宣戦布告したんだ?」

 

今度は、そのシンク本人に声をかけるエクレール。

 

 

「エクレール、勝手なことしてゴメン」

 

シンクはエクレールの方を見るなり彼女に謝った。

 

「僕の世界じゃ、人が攫われるのって大変なことなんだ。しかも相手はコンサートを控えている姫様だった。みんながコンサートを楽しみにしてるのに、その王子は姫様を誘拐しようとした。僕は、ビスコッティの勇者として、僕個人としても許せなかったんだ」

 

このシンクの言葉を聞いたミルヒ達は、思わず感激した。

彼はこんなにもこの国の民のことを思ってくれた。それも勇者としてだけでなく、一個人としてもだ。これは感激するしかないだろう。

早速シンクが一人で移動をしようとしたら……

 

「オレも協力するぜ」

「わたしも」

 

ライとミルリーフが協力すると名乗りを上げた。

 

「ライさん、いいんですか?」

「オレも帰る目途が付くまでは戦に協力するって姫様と約束したからな。協力させてもらうぜ」

 

ライの協力は、とりあえず約束によるものだった。一方のミルリーフは…

 

「パパに頭洗ってもらう約束が延期しちゃったから、早く終わらせなきゃ」 

「「「「「あ、あはははは……」」」」」

 

ミルリーフの理由を聞いた全員は、苦笑するしかなかった。

 

「……まあそれは置いといてだ、私も参加するぞ。さっさと終わらせて姫様の歌を聞きたいしな」

「自分も微力ながら、協力させてもらうであります!」

「二人もありがとう。じゃあ、早速行こう!」

 

エクレールとリコッタも今回の戦いに協力してくれるという。

戦力が集まったところで、早速ミオン砦に向かうことにする。

 

「あの、勇者様」

 

こんどはミルヒがシンクを呼び止めたので、シンクはミルヒの方を見る。

 

「勇者様の気持ちは嬉しいのですが、勇者様にはコンサートに来てほしいので、無理はしないでください」

 

ミルヒのこの言葉を聞いたシンクは、笑顔でミルヒに向き合った。

 

「はい。絶対に戻ってコンサートを見に行きます。勇者は嘘をつきません!」

「……はい、わかりました」

 

シンクとミルヒがここで約束を交わす。ライはこの光景を見て、これが召喚師と召喚獣の本来のあり方ではないか、と心のどこかで思った。

 

「よし、もう行けそうだな。じゃあ、早速行くぜ!」

「「「「オーー!」」」」

 

ライ達によるミオン砦攻略戦が、いま幕を開けたのだった。




姫様誘拐については原作通りの展開が多く、他サイトの作品で一つだけ似たような展開があったのを見て参考にさせてもらいました。

あと、ミルリ-フの可愛さを爆走してます(笑)

最後に一言。





黒星先生の描く女の子は世界一ぃ!!
自分の中の揺るがない事実です。
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