サモンナイト 勇者と姫と越響者   作:玄武Σ

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お待たせしました、最新話をどうぞ。

P.S.タグに「独自解釈&オリ設定」を追加しました。


第9話 それぞれの対決 Heroes Attack

ブリオッシュが名乗りを上げた直後、それに合わせるかのように花火が打ち上げられた。

いや、おそらく合わせて打ち上げられたのだろう。この局面でガレットがそれを行うはずもないことから、ビスコッティ側しかありえないのだ。

 

「花火だと!? 誰だ、こんなものを上げたのは!!」

 

砦の周辺で部下を率いていた、警備隊長らしき人物が声を張り上げて怒鳴るが……

 

 

 

 

直後、警備隊員が全員まとめてけものだまへと変化していく。そして、その後ろには彼らを倒したと思われる人物が立っている。

ユキカゼだ。

 

「拙者、ビスコッティ騎士団隠密部隊…」

「おのれー! いつの間にー!!」

「うぇ…最後まで言わせてほしいでござる」

 

名乗りを途中で邪魔されたユキカゼは、自分に向かって突撃してきた隊長に向かって、構えを取る。

 

「紋章拳」

 

ユキカゼの紋章が手の甲に浮き上がる。直後、彼女は物凄いスピードで走りだし、敵隊長の懐に一瞬で飛び込んだ。

 

「ユキカゼ式体術、狐流!」

 

輝力で強化された拳は、隊長の甲冑を砕き、大ダメージを与える。

 

「蓮華昇!!」

 

それだけでは終わらず、拳と同様に強化された蹴りを放つ。その威力は凄まじく、蹴り上げられた隊長は天高く打ち上げられてしまう。

隊長が限界まで空に打ち上げられたかと思うと、ユキカゼは同じ高さまで跳びあがり、そのまま懐から小太刀を取り出す。

 

「斬!!」

 

そしてその小太刀で斬撃を放って止めを刺し、そのまま隊長はけものだまへと変わる。

とりあえず、この隊長に何か言葉を送るとしたら、「フロニャルドに居てよかったね」が適切だろう。

 

「ビスコッティ騎士団隠密部隊筆頭、ユキカゼ・パネトーネにござる」

 

最後に物凄くいい笑顔でニン、と言うユキカゼ。

 

「ユッキー! 花火と砲弾、ゲットして来たでありますよー!!」

「ナイスでござる、リコ!」

 

直後に、救出されたリコッタとミルリーフが麻袋いっぱいの花火と砲弾を持ってユキカゼのところへ駆けて行く。

ちなみに、もう直接戦場に乗り込むことになったのでワイヴァーンは送還している。

すると、ミルリーフがユキカゼの方に駆け寄ってきた。

 

「ユッキー、今の必殺技すごくかっこよかったよ!」

「ミルリーフ、ありがとうでござる」

 

凄くキラキラした笑顔でミルリーフがユキカゼに言うと、当のユキカゼ本人も思わずお礼を言う。

ちなみに彼女、物凄く人当たりがいいこともあってかミルリーフもすぐに仲良くなり、思わず愛称で呼んでいるほどである。

ちなみに、その時の会話の最中に、リコッタのことも愛称のリコで呼ぶことを了承されたのだった。

 

「じゃあ、早速エクレ達の援護に向かうでござるよ」

「「了解(であります)、ユッキー!」」

 

そして、ユキカゼがミルリ-フとリコッタを同時に負ぶる。二人とも体が小さいのでユキカゼもまとめて負ぶることが出来たようだ。

足に輝力を込め始めると、足元に大きな紋章が展開、さらにユキカゼがジャンプすると、物凄いスピードで高く跳びあがっていった。

 

「お~、やってるでござるな~」

 

ユキカゼが砦内を見下ろすと、兵達が一斉に移動を始めている様子がよくわかった。おそらく、ビスコッティ最強であるブリオッシュが現れたことから、彼女を物量戦で倒そうと待機兵達を集めてる最中なのだろう。

 

「リコ、ユッキー。さっき話したアレ、さっそくやっちゃおっか」

「了解であります。応援の一発をドカンといくでありますよ!」

「でござる!」

 

ミルリーフが何かを提案すると、二人そろってそれを了承すると、一誠に集めた花火と砲弾をばら撒く。そして、それと同時にミルリーフがサモナイト石に魔力を込め始めた。

リコッタとユキカゼには繚乱大百花という合体技があり、これには大量の花火と砲弾を用いるのだ。だが、今回はミルリーフも加えて更にアップグレードした技にしようと言う案らしい。

 

「リコ&ユッキー式砲術」

「+ミルリーフのペンタ君召喚」

 

リコッタとユキカゼが手の甲に紋章を発動したのと同時に、大量のペンタ君が召喚される。ペンタ君は実は不定形生物(ようはスライムみたいなもの)なので、分裂すれば数も増やせるのだ。

これによって、現在大量の爆発物がミオン砦上空にあるのだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

嫌な予感しかしないのは気のせいではなかろう。

 

「「「爆裂、大百花~!!!」」」

 

リコッタとユキカゼが拳を合わせ、さらにその上にミルリーフが手を置く(ミルリーフは紋章が無いので形だけ)。

直後、輝力が周波のような感じで飛び散った花火に行きわたり、全ての花火と砲弾の導火線に火がつく。

そして、それがペンタ君と一緒に砦内に降り注ぎ……。

 

 

 

 

 

 

 

―ドッッッッカーーーーーーーーン―

『ぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!?』

 

花火や砲弾が一斉に爆発、さらにそれがペンタ君にも誘爆して、本来の繚乱大百花よりも規模の大きな爆発となる。

それによってガレット兵達は逃げまどい、だま化し、もう阿鼻叫喚としか言いようのない大惨事となっていた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

爆発の規模は凄まじく、ゴドウィン等だけでなくライ達まで驚いていた。

驚きつつもこの状況を利用して移動を始めてる辺り、結構上等だ。

 

「エクレ、これ一体何事!?」

「おそらく、リコとユキの合体技だが、こんな強力だったか?」

 

シンクが大慌てする中、エクレールは冷静に状況を分析する。友人達の合体技だということには気づいたようだが、同時に様子が可笑しいとも思ったようだ。

そして、その隣でライが冷や汗をかきまくっている。

 

(やっぱ、ミルリーフが一緒に何かやらかしたのか? このやり過ぎ感、絶対そうだ)

 

流石親子とでも言おうか、ライはミルリーフが一緒になって大暴れしたのだろうと分析していた。

三人がちょうどこちらへと走って来たセルクルに飛び乗って親玉のガウルの下へ急ごうとする。すると、エクレールがブリオッシュに向かって叫んだ。

 

「ダルキアン卿! エクレール・マルティノッジです!!」

「応!」

 

敵兵達を倒しつつ返事をするブリオッシュ。もともと強いうえにそんな余裕がある辺り、最強の名は伊達ではないようだ。

 

「我々はこの戦に決着をつけるために、中に突入します!」

「存分に務めてくるでござるよ。ここは拙者とユキカゼに…」

 

そのままもう一度裂空一文字の準備をする。

そしてもう一度放つと、それによって目の前の兵達が一斉に倒されていく。

 

「任せるでござるよ」

 

そしてゴドウィンに刀の切っ先を向けながらいい笑顔で言うのだった。

 

「ジョー、ベル。ここに親方様が…」

 

丁度その時、ノワールが駆け付けてきた。ブリオッシュがこちらに向かっているかも知れないと報告に来たようだが…

 

「…もう遅かったみたい」

「うん、そうなんよ」

「ノワ、遅いです」

 

既に到着しているため無駄足だったようだ。だが、すぐに無駄足でもなくなったようである。

 

「お前らぁあ!!」

 

いきなりゴドウィンがジェノワーズの面々に大声で呼びかける。

怒鳴るような口調だったので三人揃って思わずビクッとする。

 

「ダルキアンは俺が相手をする。お前等は親衛隊長を抑えろ!!」

「「「は、はい!」」」

 

ブリオッシュの介入によって圧倒的に不利になったにもかかわらず、ゴドウィンの目からは闘志は消えていなかった。そんな彼の指示に従って、ライ達の後を追うジェノワーズ。

やはりすんなりとは通してはくれないようだ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

その頃、ミオン砦に向かって全力疾走するセルクルの姿があった。

そして、その背に乗っているのは……

 

「ガウルめ。未遂に終わったとはいえ、誘拐なんぞ勝手にしおって…」

 

ガレットの現領主であるレオだった。どうやらガウルがミルヒを誘拐しようとしていたことは彼女にとって不本意であったようで、それを実行しようとしていた彼に折檻をしようとしているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ~。あの女、強い怒りと、それ以上にデカイ不安があるみたいだな。こいつは丁度いいぜ」

 

その一方、上空でその存在を悟られないようにしながら飛ぶ男がおり、そいつはレオの姿を見ながらそう漏らしている。

それはもう、凄まじく邪悪な笑みで。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

シンクが砦の内部に乗り込むと、一人の人物がいた。年はシンクと大体同じ、レオとよく似た銀髪が特徴であることから、彼がガレットの王子ガウルのようだ。

 

「来たのは勇者の方か。俺はガレットの…」

 

だが、シンクは急いでいるのでガウルの名乗りをいちいち聞いてる余裕がないようで、いきなり攻撃を仕掛けようと駆けだす。

 

「聞く耳、ねえってか!」

 

その一方、ガウルは名乗りを中断されたにもかかわらず、嫌な顔一つせずに壁にかけてあった武器を手に取り、近くに停めてた自身のセルクルに跨って臨戦態勢に入る。

そして、シンクの攻撃を防いで、そのまま鍔迫り合いに持ち込む。

 

「ちょっと急ぎの用事があるんでね、早いとこ終わらせてもらうよ!!」

「いいぜ、出来るもんならなぁ!!」

 

ついに勇者VS王子の一騎打ちが始まった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

一方、シンク達が一騎打ちをしている部屋の手前では、ライとエクレールがジェノワーズと対峙していた。

シンクが奥へ進み、ライ達もそれに続こうとしたらベールの弓撃で妨害されてしまったので、彼女たちを倒してから先に進むことにしたのだった。

 

「お前、さっき抜けてたっていう…」

「はじめまして、ノワール・ヴィノカカオです。さっきはあなたの娘とちょっと戦ってました」

 

一人だけライと会っていなかったノワールは、律儀にも自己紹介をする。

 

「ガウ様は一騎打ちを所望って、姫様誘拐しようとしたときに()うたはずやで」

「というわけで、お二人はその間私たちジェノワーズのお相手をしてもらいます」

「エクレとは久しぶりにやりたかったから、そこのところよろしく」

 

ジェノワーズの面々がそれぞれの得物を構えながら口にする。ノワールは投げナイフ、ジョーヌは船の錨のような巨大斧、ベールは弓、とそれぞれの戦闘能力が形になったような武器だ。

 

「エクレール、あのノワールってやつはお前をご所望みたいだな。残りの二人はオレがやるから、行って来い」

「な!? おい、さっきやたらと息切れしてたが大丈夫なのか!?」

 

エクレールは、さっきライがストラの加減を誤って体力を必要以上に消耗してしまったことを懸念している。

 

「なに、ちょっとそれに効く木の実を持ってたからかじって回復した」

 

このライが言う木の実とは、キッカの実というリィンバウムではさほど珍しくないが、回復薬として重宝される果実のことである。実は、ライの腰に下げているバッグにいくつかの回復薬が入っており、キッカの実もそこに入っていたのだ。

 

「そうだとしてもまだ回復しきってないだろ! そんな状態で二対一などとふざけてるのか!?」

「いや、オレは大真面目だ」

 

エクレールが忠告するも、ライは効く耳を持たない。

 

「だからいけ「パパー!」って、ミルリーフ!?」

 

かと思っていたら、こちらに向かってミルリーフが駆けてくる。

 

「ミルリーフ、リコッタ達の手伝いはどうしたんだ!?」

「もう親方様とユッキーがほとんどやっつけちゃったから、パパの方を手伝おうと思って」

 

まあ、ブリオッシュ達に任せればあの場の戦況は問題ないだろう。

 

「……実は、手伝ってくれたらかなり助かる。ありがとうな」

「まあ、この場は一人でも戦力がある方がいい。手伝ってくれ」

「オッケー、まかせて!」

 

ということで、三対三になってどうにか対等に戦えそうだ。

ライ達もジェノワーズも構えを取り、戦闘準備万端である。

 

「じゃあ、手加減なしでブッ飛ばさせてもらうぜ!」

「そこはライと同感だ。覚悟しろ!」

「わたしもがんばっちゃうぞ!」

「…やれるものならやってみて」

「そう簡単に勝ちは譲らへんで!!」

「覚悟しちゃってくださいね」

 

ベールがそのまま矢を放ち、ノワールとジョーヌも駆け出す。それに合わせてライ達も駆け出した。

 

(姫様。ちゃんと約束の時間にコンサート、行くから!!)

同時刻、シンクはガウルと戦いながらミルヒとの約束を守り通すことを思う。果たして、決着はどうなるか?

 

 

 

 

 

~オマケ~

「ところで、親方様とユッキーって誰だ?」

「前者はダルキアン卿の敬称、後者はユキカゼの愛称だ。ちなみに、私はユキと呼んでいる」

 

構えを取りつつ、ライはエクレールとそんなやり取りをしていた。

まあ、二人の敬称と愛称もいきなり聞いたので、わからないのも当然だろう。




ペンタ君の分裂やキッカの実については、完全に独自解釈&オリ設定です。

ペンタ君は今回の合体技のために分裂できるという設定を追加、キッカの実は木の実食べてHP回復するのは、傷が癒えるのではなく戦闘中にたまった疲労が、食べた瞬間に回復する方が自然だと思いました。
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