リリカルな世界の転生者   作:鈴木颯手

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皆さんお久しぶりです。書きかけのこの話を見つけたので三年半ぶりに完成させて投稿することにしました。


第十五話 慈悲無き蹂躙・1

 「急げ!新手が来ないうちに捕まった人々を助けるぞ!」

 

 時空管理局ジルバー・アイギス一等空佐は部下に指示を出しつつ迫り来る異形の化け物、幻魔やゾンビを魔力弾で殺していく。

 

 ここはハクアが有する養殖場の一つ。アイギスは垂れ込みからこの場所を特定して信頼できる部下のみで上に伝えずに保護を行ったのだ。

 

 しかし、準備はしてきたがそれでもゾンビはともかく幻魔相手に劣勢であった。それは単純に幻魔を相手にするための戦力が不足しているからだ。いくら一等空佐の階級でも誰にも知られずに準備するにはあまりにも難しすぎた。それでも人々の平和を守るために入局したアイギスは大粒の汗を滴ながらも必死に幻魔とゾンビは食い止めていた。

 

 「隊長!この施設の人間は全て保護しました!ここは我々が抑えますので急いで船に戻ってください!」

 

 「!?バカを言うな!部下をおいて逃げれるわけがないだろう!?」

 

 「後から必ず向かいます!急いでください!」

 

 「っ!必ず戻ってこいよ!」

 

 アイギスは断腸の思いで戦線を後にする。尚、余談だがこの後すぐに敵の増援が到着。管理局は十名程度だったため逃げることは完全に諦め敵を食い止めることに命を懸けた。そのかいあって二十分程押さえることに成功して全滅した。

 

 さて、そんなことになるとは知らないアイギスは敵に会うことなく養殖場を抜け近くに止めてある船に無事に撤退することができた。

 

 「一部の部下がまだ残っている。だが、このままいるのは不味い。そのため十分たって戻らない場合このまま管理世界まで戻る」

 

 「「「「「了解!」」」」」

 

 アイギスは部下の安否を気にして直ぐにでも向かいたかったが船の艦長として、この部隊の隊長として苦渋の選択を行った。しかし、これは悪手ではなかった。もしこのまま管理世界まで向かっていたら行く先の管理世界は死の星となった可能性があるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイギスが戻ってから五分後それは起きた。

 

 「隊長、大変です!一部保護した人間が突然ゾンビ化!保護した他の人間や局員を襲って今なお増え続けています!」

 

 その報告に驚くと同時に詳細な報告をさせる。

 

 「被害は!?」

 

 「保護したスペース付近は完全に放棄。駆動炉がある中心部は死守していますが破られるのは時間の問題です!」

 

 「くそ!」

 

 戦況の内容ににアイギスは思わず壁を殴り付ける。今回行った救出作戦が徒労となったからだ。

 

 駆動炉は次元航行艦にとって心臓部である。これを奪われては航行する事など不可能なのだから。故にアイギスは決断する。

 

 「私が行く!その間に船の出港準備をして置け!」

 

 

 「了解しました!」

 

 部下にそう命じたアイギスは数名の部下を連れて一気に駆け抜ける。途中保護した人々のゾンビが襲い掛かってきたが返り討ちにして駆動炉への道を進んでいく。しかし、そんな彼の下にブリッジより凶報が走る。

 

 「艦長!敵が侵入してきました!」

 

 「何!?数は!」

 

 「正確な数は不明ですが先ほどの化け物が大量に……うわぁっ!?」

 

 「どうした!?おい!応答しろ!」

 

 突然の悲鳴と共に通信が切れアイギスは嫌な予感に襲われていた。既にこの船は自分のものではなく敵の手中に……。

 

 そこまで考えたアイギスは決断した。

 

 「……駆動炉を守る味方と合流しこの艦から離れるぞ」

 

 「で、ですが艦がなくては逃げることは出来ません!」

 

 「この艦に固執すればそれこそ敵の思う壺だ。敵の艦を奪いそれで脱出する」

 

 「……了解しました」

 

 艦長の決断に部下たちは悔し気に答える。アイギスたちは駆動炉の見方を救出するべく再び動き出した。

 

 ……そこに、更なる絶望が待ち受けているとも知らずに。

 

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