おっさんの回復傾向も順調の中、日に日に暑くなってくる日を感じながら、俺とさくらと大神は陸軍病院に来ていた。
大神「…ふう、暑いなあ。支配人のお見舞いに来るのも一苦労だね」
さくら「もう、すっかり夏ですね」
大輔「確かにな。けど、さくらは随分と涼し気な格好してるな」
さくら「うふふっ、サマードレスっていうんです。似合ってます、大輔さん?」
大輔「まあな。普段見れない格好だから、新鮮だわ」
大神「そうだね。よく似合ってるよ」
さくら「ありがとうございます。大輔さん。大神さん」
大輔「取り敢えず着いたんだし、とっとと中に入ろうぜ」
大神「そうですね」
病院の中に入ろうとすると…
「わんわん!」
さくら「…あら?」
「わん!」
さくら「わあ、かわいいワンちゃん。よしよし」
大輔「首輪はしてないな」
大神「じゃあノラ犬ですね」
「わんっ!」
するとノラ犬は、俺達から離れていった。
さくら「かわいい子犬でしたね…あの子…帝劇で飼えればいいんですけど…」
プーッ!!ププーッ!!!!
すると車道に出てしなった子犬めがけて、車が突っ込んで来ていた。
大神「危ない!」
大神は車道に出て、子犬を抱きかかえなんとかって事なきを得た。
大輔「大神!」
さくら「大神さん!」
俺とさくらは急いで大神とノラ犬に駆け寄った。
大輔「無事か?大神」
大神「…ええ、なんとか」
さくら「…よかった」
「待て!」
安堵してる俺達に、車を運転してた奴が降りてきた。そいつは軍服を着ていた。
大輔(あの軍服は…米田のおっさんと同じ、陸軍の軍服だな…)
「我々の車の前に飛び出してくるとは貴様、どういうつもりだ!?我々が怪我でもしたらどうするのだ!?返答次第ではただでは済まさんぞ!」
はっ?この軍人何言ってんだ?ノラ犬の事より、自分たちの方が大事ってか?
大神「しかし…あのままではあなた達に車が、この子犬を引いてました」
「何だと?貴様……我々より犬コロの命の方が大事だとほざくかっ!!」
大輔「……」
さくら「ちょっと待って下さい!皆さん、いくらなんでも失礼じゃありませんか!?」
「貴様たち…帝国軍人に向かって、その口のききかたは何だ!?」
口の利き方も何も…何言ってんだこの馬鹿は?
大賢者『告。この時代における軍人の権力は、かなり高いものと思われます』
大輔(いや、いくら軍人の権力が高いとはいえ、一般人に高圧的な態度とるか?普通…それとも、米田のおっさんとかあやめやかえでがおかしいってのか?)
大神「その階級…陸軍の将校だな…」
「ほう…貴様も軍属か?階級と名を名乗れ」
大神「お前達に名乗る名はない!」
「何だと、貴様!!」
「…待て。この顔には、見覚えがあるぞ。女ばかりの腐れ部隊、帝国華撃団の隊長…大神一郎だな?」
ほう…大神を馬鹿にするだけでなく、さくら達花組の連中をよりにもよって腐れ部隊ときたか……
「貴様…昼間から女を連れてチャラチャラと出歩き…あまつさえ、我々の行く手を遮ろうとは言語道断!よって、鉄拳制裁を加える!貴様のような奴が、日本を駄目にしているのだ!!」
さくら「そんな…言いがかりだわ!大神さん!加勢します!!」
大神「待つんだ、さくらくん!ここで騒ぎを大きくすると、陸軍と海軍の問題になる。米田支配人のいない今…揉め事はまずい」
「ふん、どこまでも腑抜けな男め!では、いくぞっ!」
すると男は、大神を思いっ切り殴った。
さくら「大神さん!」
「待てっ!」
すると、車に残ってた男が降りてきた。そして、大神はその男を見て驚いていた。
大神「あ、貴方は!?」
「……」
「貴様、無礼な!陸軍大臣、京極慶吾閣下に敬礼をせんかっ!」
大輔「へ〜…あなたが陸軍大臣、京極慶吾閣下ですか」
「何だ貴様は!民間人が、閣下の名前を気安く呼ぶでない!」
京極「よい。貴方が、大神一郎少尉ですか。いい眼を…していますね」
大神「……」
京極「そしてあなた…やはりお父上の面影がありますね。真宮寺さくら…」
さくら「えっ!?お父様…お父様を知っているんですか…!!」
京極「ええ…あの方も哀れなものだ。きっと…今頃は…馬鹿な死に方をした…無駄死にをした…とあの世で悔いて…ゴハッ!!」
大輔「それ以上喋るな。耳障りだ」
俺は京極に腹パンをお見舞いする。
大神「森川さん!!」
さくら「大輔さん!?」
「き、貴様!京極閣下になんてことを!」
部下が殴りかかってくるが、俺は大神の分も含め、少し強めに顔面を殴った。すると案の定、殴りかかってきた奴は伸びてしまった。
大輔「チッ…加減してこれかよ…」
京極「なん…だと…」
大輔「ま〜そんな事はどうでもいいか。んで陸軍大臣の京極慶吾閣下。誰の父親が無駄死にだって?誰の父親が馬鹿な死に方をしただって?悪いが、もう一度、俺に、聞こえるように、言ってくれるか?」
蹲ってる京極の髪を掴んで、俺は顔を近づける。
京極「何度でも…言ってやるさ。真宮寺一馬は…無駄死を…ガハッ!!」
大輔「悪い。全然聞こえないもんだわ。もう一度どうぞ。repeat?」
京極「…クッ」
さくら「大輔さん!もう止めてくだだい!」
大神「そうです!それ以上にすれば、森川さんの立場が!」
大輔「……」
大賢者『告。真宮寺さくらと大神一郎の言う通りです。マスター』
…分かったよ。
大輔「大神とさくらに感謝するんだな」
俺は掴んでた髪を離した。
京極「この屈辱…忘れんぞ!」
大輔「別に忘れんでもいいわ。文句あるなら、俺個人にしろよ?これで帝劇や華撃団に文句言ったら…潰すからな?」
京極「クッ…戻るぞ!」
「ハッ!」
そして京極は、車に乗り込んだ。
京極「…名を聞いておこう」
大輔「森川大輔。劇場近くで飲食業をしてる、しがない料理人だ」
京極「森川…大輔…その名、覚えておくぞ」
そして京極達を乗せた車は、出発していった。
大輔「さてと…取り敢えず大神に肩貸すか」
俺は座ってる大神の右腕を掴んで、自分の方に回した。
大神「森川さん…」
大輔「お前が気にすることはない。お前が人として当然のことをしたんだ。それに関しては、誰にも文句は言わせねぇ…」
さくら「大輔さん…」
そして俺達は、米田のおっさんが入院してる病室に向かったのだった。途中で大神の治療をお願いしたのは当然である。
米田司令が狙撃されたが、森川も命を狙われるかどうか
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米田と同じく、狙撃されて一時的離脱
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【輪廻を調整されし者】だから、狙撃しても