太正?大正だろ?   作:シャト6

12 / 125
第十一話

おっさんと話してから数日が過ぎた。おっさんの話によれば、なんだかんだで各自あの戦いは悔しかったようで、暇があれば稽古などを行ってるようだ。ま、それはいいんだけどよ。

 

「ここ最近、あいつら全然食いに来ないのも虚しいもんだな」

 

少し前までは、開演前なんかには由里達やさくら達が飯を食いに来たんだが…

 

「ま、あの時の戦いを悔しいと思ってるなら、まだ見込みはあるけどさ」

 

んな事を思ってると、外から爆発音が聞こえた。

 

「な、なんだ!?」

 

慌てて外に出ると、劇場前でバイクがお釈迦になっていた。

 

「だ、大丈夫ですか!!」

 

すぐに乗ってた奴の元に駆け寄る。

 

「えろうすんません。ご心配かけまして」

 

ん?この独特の話し方…それにこの紫色の三つ編み。まさか!?

 

「もしかして、紅蘭さんですか?」

 

紅蘭「はい、そうですけど?って、森川はんやないですか!久し振りですな~」

 

やっぱりか。

 

「お久しぶりですね。お元気でしたか?」

 

紅蘭「ウチは元気だけが取り柄やさかい!森川はんも元気そうでんな♪」

 

そんな話をしてると、劇場から大神が出てきた。

 

大神「な、何事だ!?」

 

「あぁ大神さん」

 

大神「森川さん」

 

紅蘭「おっ、あんたが例の隊長はんかいな」

 

大神「えっと…あなたは?」

 

ま、知らないのは無理ないか。

 

紅蘭「ウチの名前、李紅蘭といいます。帝劇花やしき支部から、本日付で銀座本部に転属になりました。今度こちらにご厄介になります。よろしゅう」

 

おい紅蘭、俺がいる前でその話はしていいのか?

 

大神「そうだったのか。それじゃあ、支配人の所に案内するよ」

 

紅蘭「おおきに」

 

「紅蘭さん、またウチに食べに来てくださいね」

 

紅蘭「勿論や!森川はんの作る中華料理は、本場に負けず劣らずやさかいな。必ず食べに行くわ」

 

「お待ちしてますよ」

 

そして大神と紅蘭は、劇場に入っていった。結局、機密事項を話したことの追求はなかったな。

 

(いいのかそれで?)

 

ま、考えてもしょうがない。向こうには向こうの事情があるだろうよ。

 

「さて、店に戻るか」

 

まだ開店途中だった事を思いだし、俺は店に帰ったのであった。その夜、客足もなくなりそろそろ閉店しようかと思った時、おっさんが帰ってきた紅蘭達を連れてやって来た。

 

米田「ワリィな森川、急に頼んでよ」

 

「ホントですよ。本来なら、もう少し早めに言ってくれれば、仕込みなんかが出来ましたのに」

 

米田「だから悪かったって言ってんだろ」

 

かすみ「すみません森川さん、支配人が無茶なお願いをしまして」

 

「気にしないで下さいかすみさん」

 

謝って来たかすみを宥める。だって、おっさんが勝手に行動しただけで、お前には何の責任もないんだしよ。けど、こんな事を真っ先に止めそうな奴の姿が見えないな。

 

「そういえば、あやめさんの姿が見えませんが?」

 

米田「ああ、あやめ君は少し前から出張でな。明日か明後日には帰ってくる予定だ」

 

「なるほど。あやめさんがいないから、米田さんがこんな無茶な行動に出たと」

 

ハメ外すなとは言わんが、何もあやめがいない時を狙うなよな…

 

「まぁいいですけど。さて、まだ少ししか料理が出来てません。ですので、今できてる料理で始めて下さい」

 

さくら「あ、お手伝いします」

 

手伝ってもらう事もあんまりないが、出来た料理を運んでもらうか。

 

「でしたら、出来た料理を皆さんの所に運んでいただいていいですか?」

 

さくら「分かりました!」

 

マリア「さくら、私も手伝うわ」

 

マリアも手伝ってくれるなら助かる。いちいち厨房を離れなくていいしな。そして俺は急いで残りの料理を完成させていく。今日は紅蘭の歓迎会だ。なので、料理は紅蘭の故郷料理になる。

 

「お待たせ!春巻きに炒飯、拉麺完成したよ」

 

さくら「じゃあ、私は春巻きと炒飯を持っていきますので、マリアさんは拉麺をお願いします」

 

マリア「分かったわ」

 

「残りは私が持ていきますので、お2人も食べて下さい」

 

「「分かりました」」

 

そして俺は残りの二品を完成させ、さくら達の所に持っていった。

 

紅蘭「ん?森川はん、これって…」

 

由里「お豆腐と…何かしら?」

 

椿「お豆腐が白と黒の二つが交互に重なっていますね」

 

米田「けどよ、流石に豆腐だけ食えってのはねぇんじゃね~か?」

 

この豆腐には、これから面白い事が起きるんだよ。俺は豆腐の下に引いてあった笹の葉を全て抜き取る。するとそこから豆腐が角切りにされ、下から赤い液体が出てくる。

 

「まずは、特製大魔術熊猫麻婆(マジカルパンダマーボ)完成!!」

 

それを見た紅蘭が感激してた。

 

紅蘭「凄い…凄いで森川はん!!ウチには、今の光景がパンダに見えたさかい!!」

 

さくら「あの紅蘭、パンダって何?」

 

興奮する紅蘭に、さくらは質問していた。あ~…確かに今の時代じゃパンダは知らないか。確か日本に初めて上陸したのが1972年だったっけ?

 

紅蘭「パンダっちうのはな、ウチの国中国にいる動物のことなんや。白と黒の毛の色しててな~、それがこのマーボと同じ色なんや♪」

 

由里「へ~そうなんだ」

 

アイリス「アイリス、写真で見た事あるよ!すっごく可愛いんだ」

 

さくら「そうなんだ~」

 

「見た目は可愛いけど、パンダはクマ科の仲間ですし」

 

すみれ「く、熊なんですの!?」

 

「はい。普段は特に人を襲う事はないんですけど、発情期になれば獰猛になるんですよ」

 

俺は前世で見たパンダの意見を言う。

 

紅蘭「その通りや。しかし森川はん、あんさんえらい詳しいですな」

 

「え、ええ…知り合いに専門家がいまして。ついこの前まで中国にいたのでその時に」

 

あぶねぇ…ついベラベラ喋り過ぎた。

 

「さて、次はこれです」

 

紅蘭「これは…お焦げやな?」

 

「ええ、もうそろそろ」

 

すると、まん丸のお焦げから湯気が大量に吹き出し、それが割れ中から熱々の餡が現れた。

 

「幻のお焦げ料理完成!!」

 

すみれ「素晴らしいですわ!」

 

紅蘭「ホンマや!中華料理は美味しいのは勿論、見た目にもインパクトがあるんや!森川はんは、見事にそれを両方引き立てとる!!」

 

「さぁ、食べて下さい」

 

『いただきます!!』

 

それぞれが料理を食べる。

 

さくら「美味しい!この麻婆豆腐」

 

マリア「本当ね。この辛さが何とも言えないわ」

 

すみれ「ですが…少し辛すぎませんこと?」

 

アイリス「辛い~!!」

 

あぁ、アイリスやすみれには早かったか?

 

紅蘭「すみれはん、アイリス、麻婆豆腐は豆腐とタレを一緒に食べてこそやで?」

 

「そうですね。一応本場四川並みの辛さなので、苦手な方は無理して食べないで下さい」

 

紅蘭「けど、この麻婆豆腐はウチも初めて食べるな」

 

流石紅蘭、気が付いたか。

 

「ええ、白いのは絹ごし豆腐ですが、黒い豆腐には黒砂糖が混ざっています」

 

紅蘭「そうか!白い絹ごし豆腐から黒い甘い豆腐、そしてタレ。この三種が交互にウチらの口の中に襲い掛かって来よるんや!!」

 

米田「けど、甘い豆腐がこんなに合うなんてな」

 

マジカルパンダマーボは好評だな。

 

由里「この餡かけおこげも美味しいですよ」

 

かすみ「ええ、中の具にもしっかりと餡が染み込んでいるわ」

 

椿「凄いですよ森川さん」

 

大神「士官学院時代に、様々な国の料理を食べましたが、こんなに美味しいのは初めてです」

 

「ありがとうございます」

 

どうやら、今回の料理も気に入ってくれたみたいだな。そしてそのまま宴が始まり、夜遅くまで盛り上がったのは言うまでもない…

米田司令が狙撃されたが、森川も命を狙われるかどうか

  • 米田と同じく、狙撃されて一時的離脱
  • 【輪廻を調整されし者】だから、狙撃しても
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。