おっさんと話してから数日が過ぎた。おっさんの話によれば、なんだかんだで各自あの戦いは悔しかったようで、暇があれば稽古などを行ってるようだ。ま、それはいいんだけどよ。
「ここ最近、あいつら全然食いに来ないのも虚しいもんだな」
少し前までは、開演前なんかには由里達やさくら達が飯を食いに来たんだが…
「ま、あの時の戦いを悔しいと思ってるなら、まだ見込みはあるけどさ」
んな事を思ってると、外から爆発音が聞こえた。
「な、なんだ!?」
慌てて外に出ると、劇場前でバイクがお釈迦になっていた。
「だ、大丈夫ですか!!」
すぐに乗ってた奴の元に駆け寄る。
「えろうすんません。ご心配かけまして」
ん?この独特の話し方…それにこの紫色の三つ編み。まさか!?
「もしかして、紅蘭さんですか?」
紅蘭「はい、そうですけど?って、森川はんやないですか!久し振りですな~」
やっぱりか。
「お久しぶりですね。お元気でしたか?」
紅蘭「ウチは元気だけが取り柄やさかい!森川はんも元気そうでんな♪」
そんな話をしてると、劇場から大神が出てきた。
大神「な、何事だ!?」
「あぁ大神さん」
大神「森川さん」
紅蘭「おっ、あんたが例の隊長はんかいな」
大神「えっと…あなたは?」
ま、知らないのは無理ないか。
紅蘭「ウチの名前、李紅蘭といいます。帝劇花やしき支部から、本日付で銀座本部に転属になりました。今度こちらにご厄介になります。よろしゅう」
おい紅蘭、俺がいる前でその話はしていいのか?
大神「そうだったのか。それじゃあ、支配人の所に案内するよ」
紅蘭「おおきに」
「紅蘭さん、またウチに食べに来てくださいね」
紅蘭「勿論や!森川はんの作る中華料理は、本場に負けず劣らずやさかいな。必ず食べに行くわ」
「お待ちしてますよ」
そして大神と紅蘭は、劇場に入っていった。結局、機密事項を話したことの追求はなかったな。
(いいのかそれで?)
ま、考えてもしょうがない。向こうには向こうの事情があるだろうよ。
「さて、店に戻るか」
まだ開店途中だった事を思いだし、俺は店に帰ったのであった。その夜、客足もなくなりそろそろ閉店しようかと思った時、おっさんが帰ってきた紅蘭達を連れてやって来た。
米田「ワリィな森川、急に頼んでよ」
「ホントですよ。本来なら、もう少し早めに言ってくれれば、仕込みなんかが出来ましたのに」
米田「だから悪かったって言ってんだろ」
かすみ「すみません森川さん、支配人が無茶なお願いをしまして」
「気にしないで下さいかすみさん」
謝って来たかすみを宥める。だって、おっさんが勝手に行動しただけで、お前には何の責任もないんだしよ。けど、こんな事を真っ先に止めそうな奴の姿が見えないな。
「そういえば、あやめさんの姿が見えませんが?」
米田「ああ、あやめ君は少し前から出張でな。明日か明後日には帰ってくる予定だ」
「なるほど。あやめさんがいないから、米田さんがこんな無茶な行動に出たと」
ハメ外すなとは言わんが、何もあやめがいない時を狙うなよな…
「まぁいいですけど。さて、まだ少ししか料理が出来てません。ですので、今できてる料理で始めて下さい」
さくら「あ、お手伝いします」
手伝ってもらう事もあんまりないが、出来た料理を運んでもらうか。
「でしたら、出来た料理を皆さんの所に運んでいただいていいですか?」
さくら「分かりました!」
マリア「さくら、私も手伝うわ」
マリアも手伝ってくれるなら助かる。いちいち厨房を離れなくていいしな。そして俺は急いで残りの料理を完成させていく。今日は紅蘭の歓迎会だ。なので、料理は紅蘭の故郷料理になる。
「お待たせ!春巻きに炒飯、拉麺完成したよ」
さくら「じゃあ、私は春巻きと炒飯を持っていきますので、マリアさんは拉麺をお願いします」
マリア「分かったわ」
「残りは私が持ていきますので、お2人も食べて下さい」
「「分かりました」」
そして俺は残りの二品を完成させ、さくら達の所に持っていった。
紅蘭「ん?森川はん、これって…」
由里「お豆腐と…何かしら?」
椿「お豆腐が白と黒の二つが交互に重なっていますね」
米田「けどよ、流石に豆腐だけ食えってのはねぇんじゃね~か?」
この豆腐には、これから面白い事が起きるんだよ。俺は豆腐の下に引いてあった笹の葉を全て抜き取る。するとそこから豆腐が角切りにされ、下から赤い液体が出てくる。
「まずは、特製
それを見た紅蘭が感激してた。
紅蘭「凄い…凄いで森川はん!!ウチには、今の光景がパンダに見えたさかい!!」
さくら「あの紅蘭、パンダって何?」
興奮する紅蘭に、さくらは質問していた。あ~…確かに今の時代じゃパンダは知らないか。確か日本に初めて上陸したのが1972年だったっけ?
紅蘭「パンダっちうのはな、ウチの国中国にいる動物のことなんや。白と黒の毛の色しててな~、それがこのマーボと同じ色なんや♪」
由里「へ~そうなんだ」
アイリス「アイリス、写真で見た事あるよ!すっごく可愛いんだ」
さくら「そうなんだ~」
「見た目は可愛いけど、パンダはクマ科の仲間ですし」
すみれ「く、熊なんですの!?」
「はい。普段は特に人を襲う事はないんですけど、発情期になれば獰猛になるんですよ」
俺は前世で見たパンダの意見を言う。
紅蘭「その通りや。しかし森川はん、あんさんえらい詳しいですな」
「え、ええ…知り合いに専門家がいまして。ついこの前まで中国にいたのでその時に」
あぶねぇ…ついベラベラ喋り過ぎた。
「さて、次はこれです」
紅蘭「これは…お焦げやな?」
「ええ、もうそろそろ」
すると、まん丸のお焦げから湯気が大量に吹き出し、それが割れ中から熱々の餡が現れた。
「幻のお焦げ料理完成!!」
すみれ「素晴らしいですわ!」
紅蘭「ホンマや!中華料理は美味しいのは勿論、見た目にもインパクトがあるんや!森川はんは、見事にそれを両方引き立てとる!!」
「さぁ、食べて下さい」
『いただきます!!』
それぞれが料理を食べる。
さくら「美味しい!この麻婆豆腐」
マリア「本当ね。この辛さが何とも言えないわ」
すみれ「ですが…少し辛すぎませんこと?」
アイリス「辛い~!!」
あぁ、アイリスやすみれには早かったか?
紅蘭「すみれはん、アイリス、麻婆豆腐は豆腐とタレを一緒に食べてこそやで?」
「そうですね。一応本場四川並みの辛さなので、苦手な方は無理して食べないで下さい」
紅蘭「けど、この麻婆豆腐はウチも初めて食べるな」
流石紅蘭、気が付いたか。
「ええ、白いのは絹ごし豆腐ですが、黒い豆腐には黒砂糖が混ざっています」
紅蘭「そうか!白い絹ごし豆腐から黒い甘い豆腐、そしてタレ。この三種が交互にウチらの口の中に襲い掛かって来よるんや!!」
米田「けど、甘い豆腐がこんなに合うなんてな」
マジカルパンダマーボは好評だな。
由里「この餡かけおこげも美味しいですよ」
かすみ「ええ、中の具にもしっかりと餡が染み込んでいるわ」
椿「凄いですよ森川さん」
大神「士官学院時代に、様々な国の料理を食べましたが、こんなに美味しいのは初めてです」
「ありがとうございます」
どうやら、今回の料理も気に入ってくれたみたいだな。そしてそのまま宴が始まり、夜遅くまで盛り上がったのは言うまでもない…
米田司令が狙撃されたが、森川も命を狙われるかどうか
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米田と同じく、狙撃されて一時的離脱
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【輪廻を調整されし者】だから、狙撃しても