「あっついな…」
ここ最近暑い日が続いている為、外を歩いてる人もいつもより少ない。
「ここ最近客足もさっぱりだな」
そんな事を思ってたら、夕方頃から外の人の人数が増えてきた。その中には浴衣を着てる人も何人かいる。
「浴衣…あぁ、そういえば今日は神田川で花火大会があったっけ」
思い出した思い出した。けど、そうなると余計に客足が減るな。
「しゃあない。今日はもう店を閉め…ん?」
すると店の電話が鳴る。
「はいもしもし。こちらオアシス」
米田『森川か?』
電話の相手はおっさんからだった。
「おっさんか。どうしたんだ?」
米田『いやなに、実はこれから大神達と神田川に花火を見に行くんだが、お前も来ないか?』
「花火見物って、さくら達を連れてけば混乱するんじゃないか?」
帝劇の人気女優が来れば、会場は混乱するのは目に見えて分かる。
米田『それは安心してくれ。俺達は屋形船を貸し切って見物するつもりだからよ』
なるほど。それなら見つかっても近づいてこれないって事か。
「そうか。けど、俺も一緒でいいのか?」
米田『当然だ。むしろお前を誘わないとあやめくん達に、一緒に船に乗せねえて言われてな』
「おいおい…」
なんだかおっさんが哀れに思えてくるわ。
米田『だから俺からも頼む』
「あ…あぁ。分かった。取り合えず帝劇に今から向かうわ」
米田『頼んだぞ』
俺は店の閉店準備をし、戸締りをして帝劇に向かった。帝劇に到着すると、既にロビーには全員が揃っていた。
「皆さんお揃いですね」
さくら「森川さん!」
すみれ「来ましたわね」
さくらにすみれ、マリアが俺に近づいてくる。
「こんばんはさくらさん、すみれさん、マリアさん。少し前に米田さんからお誘いを受けまして」
マリア「そうだったんですか」
「はい。皆さん浴衣姿、凄くお似合いですよ」
俺がそう言うと、全員が顔を少し赤く染めていた。
米田「来たな森川」
「米田さん。今日は誘っていただきありがとうございます」
米田「いいってことよ」
あやめ「それじゃあ出発しましょうか」
俺達は屋形船がある神田川に向かった。全員が乗り込み発進する。みると、運転は大神がしている。流石は海軍出身者だな。船の運転はお手の物ってか?
ドドーン!!
すると空に花火が打ち上がる。花火大会の始まりだ。しかし、やはり花組の乗ってる屋形船は人目がつくな。まぁ、宣伝も込めてのぼりとか掲げてたら分かるか。
さくら「綺麗…」
紅蘭「そっかぁ。さくらはんは初めて見るんやったな。両国の花火」
さくら「ええ。もう感動しちゃって」
すみれ「そうでしょうねぇ。なんたってさくらさんは、チャキチャキの田舎娘ですものね」
さくら「むっ…」
すみれの一言でさくらは、持ってる団扇を握りしめていた。ったく、こんな時くらい黙っててくれよ…
マリア「私も初めて見た時はそうだったわ。日本の花火もいいものね」
マリアは花火を見ながらそう言う。
大神「皆!お待たせ!」
すると大神はスイカを切って出てきた。
アイリス「わ~!スイカだスイカだ!」
カンナ「流石隊長!気が利くぜ!」
紅蘭「ウチ塩かかってへんやつや!」
するとアイリス、カンナ、紅蘭は大神の所へ行きスイカを取る。その反動で大神は川に落下したがな。
さくら「大丈夫ですか!」
あやめ「あら?大神君、酔い覚まし?」
米田「にしちゃあ、ちと早くねぇか?」
大神「はは…ちょっと飲みすぎました」
あやめとおっさんは、下で酒を飲んでいた。お前らは飲みすぎだ。
カンナ「隊長!これうめぇぜ!」
アイリス「ホント!冷えてて美味しい」
紅蘭「ほんま。流石大神はんや」
お前らはお前らで、スイカ食いながら言うなよ。
大神「はは…そりゃよかった」
ほら見ろ、大神も苦笑いしてるじゃねぇかよ。そして俺達は花火を満喫し、家に戻り眠りについた。翌日、俺はいつもの様に店の観点準備を終え、帝劇にいる。だが、いつもと違いなんだか慌しい。
「よう」
米田「森川か」
「随分と劇場内が慌しいみたいだが?」
米田「ああ。そりゃあ多分あれだ。大神が今回の脚本を書いたからな」
「大神が?」
おっさんの言葉に俺は驚く。
米田「そうだ。1度でいいから自分で舞台を作ってみたいとぬかしやがってな。一応、俺やあやめくん、かすみ達もフォローに入ってだがな」
「なるほど。しかし、大神の奴随分思い切った事をするもんだな」
米田「まぁな。俺も最初は驚いたがよ。面白いと思ってな」
「おっさん、あんたも充分思い切った事してるの気付けよ…」
俺は呆れながらおっさんにそう言うのだった。俺は台本を見せてもらう。
「“真夏の夢の夜”か。いいタイトルじゃねぇか」
米田「今回は、何かかも自分達でするらしいからな。衣装や演技指導もな」
「なるほど。って事は今他の連中は練習中って訳か」
米田「そういうことだ。お前さんの分のチケットは、既に店に届けてあるからよ」
「ありがとな。んじゃ俺は、少しあいつらの様子を見てくるか」
俺は支配人室を出て舞台の方に向かう。今回は客席側から見てみる。中に入るとマリア達が練習を行っている。
「これは面白そうだな」
俺は本番を楽しみにしながら店に戻る。そして数日後、遂に本番当日を迎えた。俺はあいつらに声をかける為舞台裏に向かっていた。すると大神が物凄い剣幕で走ってきた。
「大神さん?」
大神「森川さん…」
「隊長服なんか着てどうしたんですか?」
大神「……」
大神は俺の質問に黙る。こりゃ何かあったな。
「まさかとは思いますが、脇侍が出現して一人で出撃するつもりですか?」
大神「!?」
図星か。ったく、今日はお前がお前が考えた折角の舞台だろうが。
「…ったく、お前はバカか」
大神「も、森川さん!?」
「この口調、マリアを助けた時に聞いただろ。他の連中には黙ってろよ」
大神「は、はい…」
「折角お前が一から考えた舞台だろうが。お前はそのままあいつらの舞台を見届けてやれ」
大神「ですが!」
俺はこれ以上言ってもダメだと思い、大神を気絶させた。
大神「グッ…な、何故…もり…」
「悪いな大神。お前達の頑張りを無駄にしたくないんだよ」
俺はそう言い残し、帝劇から出て行った。
「さて…悪いがこれ以上あいつらの邪魔はさせねぇ」
俺は脇侍が出現した場所に向かった。
「…君…が…くん!」
大神「う…うぅ…」
あやめ「大神君!よかった、気が付いたのね」
大神「あやめ…さん」
俺は森川さんに気絶させられ、あやめさんに起こされた。
あやめ「いったい何があったの?支配人に伝えに行く途中で、大神君が倒れていたから」
大神「倒れて…そうだ!」
俺は慌てて立ち上がり、あやめさんに確認する。
大神「あやめさん!森川さんは!!」
あやめ「えっ?森川さんなら、用事が出来たって言って帰って行ったわ」
大神「なんてことだ…」
俺は、あの時の森川さんの言葉を思い返す。
森川『悪いな大神。お前らの頑張りを無駄にしたくないんだよ』
あやめ「大神君?森川さんがどうかしたの?」
大神「実は…」
俺はあやめさんに全てを説明した。俺の代わりに森川さんが黒之巣会と戦いに行った事。それで俺は気絶させられた事。
あやめ「そんな…」
大神「あやめさん!急いで米田司令に伝えて下さい!」
あやめ「そうね。大神君、貴方も来てちょうだい」
そして俺とあやめさんは、司令がいる舞台袖に向かった。
米田「大神、あやめくん。なにしてんだ?」
あやめ「司令…実は」
俺とあやめさんは、森川さんが黒之巣会と戦いに行った事を説明する。
米田「あのバカ…だが、どうかしてるぞあやめくん。帝都防衛と芝居と、どっちが大切だと思ってる!」
あやめ「それは…分かっています。でも」
米田「でももへちまもねぇ!黒之巣会が出た以上公演は中止だ!」
マリア「なんですって!?黒之巣会が」
米田「しかもよりにもよって、森川が出撃するなんてよ!」
さくら「森川さんが!?」
米田「しかもよりによって、森川が出撃するなんてよ!」
さくら「森川さんが!?」
私は米田支配人の言葉を聞いて驚いた。
米田「大神!何であいつを一人で行かせた!」
大神「申し訳ありません。自分も森川さんに気絶させられてしまって」
あやめ「大神君から聞きましたが、森川さんは皆の為に一人で出て行ったんです。今日まで必死に頑張ってきた皆の努力に応えるために」
米田「そんなこたぁ…そんなこたぁ分かってる。だが、あいつ1人で行かせたのは…」
森川さん…
ビーッ!
すると突然開演のブザーが鳴り響いた。仕方なく私達は舞台に出る。出るとそこには大勢のお客様が集まっていた。
さくら「皆さん、こんばんは」
私の挨拶で会場は拍手に包まれる。これだけのお客様が入ってくれるのはとても嬉しい。だけど…
カンナ「おい、どうすんだよ」
すみれ「わたくしに聞かないで下さいまし」
すみれさんとカンナさんも話している。皆気持ちは同じ。だったら言わなきゃ!
さくら「皆さん、ごめんなさい!今夜の特別公演は中止にします!」
『え~!!』
お客様がそう言う中、私達は急いで出撃準備をし、翔鯨丸で発進するのだった。
さて、目的の場所に到着したが…
「相も変わらず、ガラクタがたくさんいるな」
ざっと見ただけでも軽く10体以上いるな。
「さて、あいつらが心配する前にさっさと終わらせるかな!!」
俺は1体の脇侍に突っ込む。
「コリエシュート!!」
首を蹴り飛ばしその場に着地する。すると全部の脇侍がこっちを見る。
「さて…次はどいつだ!!」
俺は刀を三本投影する。左右の手と一本を口に咥える。
「この技…これだけ数が多いと使いやすいかもな。龍…」
俺は刀を構え、囲まれた脇侍目掛けて放つ。
「巻き!!!」
脇侍『ガガガガガガガ!!!』
龍巻きで数体の脇侍を切り刻む。だが、まだまだ脇侍の数は多いな。
「二刀流…
俺は次々と脇侍を斬っていく。
「えぇい!鬱陶しい!!」
俺は脇侍から距離を取り、秘密道具を取り出した。
「能力カセット~!!」
このカセットには、元々はドラえもんの秘密道具だが、この世界に俺を送った神様の計らいで、人間には決して出せない技が収録されている。例えばワンピースにある悪魔の実の能力などだ。ただし、制限時間もある。1時間だ。
「俺の時代も、録音できる時間は60分だったしな。さて」
俺は紅色のカセットを腹部に当てる。するとカセットは吸い込まれていく。
「!!…わしの出番かのう」
俺はカセット赤犬を入れた。俺前世の時この能力好きだったんだよな~♪
「屑鉄どもが。まとめて始末しちゃる!」
俺は周りに被害が出ない程度に威力を抑え技を放った。
「流星火山!!」
上空からマグマの塊が隕石みたいに落下してくる。ってか、ここ街中じゃなくてよかった~。
「威力抑えてこれかよ…このカセット使いどころ間違えないようにしないとな」
俺はこの秘密道具は、余程の事がない限り極力使わないでおこう。
「さて、まだまだ行くぞ!!」
俺は今度はある英霊の呪文を唱える。
「是非もなし!三千世界に屍を晒すがよい。……天満轟臨!これが魔王の
信長の宝具の三千世界で、一気に脇侍の数を減らした。
「ようやく数えれる程に減ったか」
だが流石に俺の体力も削られている。そんな事を考えてる間に、1体の脇侍が俺の背後から斬りかかってきた。
「しまった!!」
流石に俺も連戦で気が抜けたのか、その隙を狙ってきた。
ボン!ボボン!!
「!!?」
『帝国華撃団・花組、見参!!』
「皆さん…」
さくら「ごめんなさい、森川さん」
マリア「これは私達花組全員の責任です。文句の方は後でいくらでも聞きます!」
「さくらさん、マリアさん」
紅蘭「森川はん、やっぱり森川はんもおらんと嫌やわ」
アイリス「いつもみんな一緒だよ大輔お兄ちゃん」
「紅蘭さん、アイリス」
カンナ「大将!憂さ晴らしにパ~っと暴れようぜ!」
すみれ「少尉が考えた舞台。そして、森川さんにお見せする舞台。邪魔した者がどうなるか、思い知らせてやりますわ」
「すみれさん、カンナさん」
俺はさくら達の言葉に感動する。
大神「森川さん」
「大神さん」
大神「貴方も俺達の仲間。立派な花組の一員なんですよ」
「花組の一員…」
はっ!嬉しい事を言ってくれるな。
「ありがとな」
俺は小さな声だが、お礼を言った。
大神「いくぞ皆!」
『了解!!』
大神「カンナ!敵の陣列を乱せ!!」
カンナ「任しとけぃ!!」
カンナが敵陣に突っ込んでいく。
カンナ「桐島流奥義!
大神「右敵部隊はマリア!アイリスは森川さんの回復を!!」
「「了解!!」」
大神「左敵部隊は紅蘭とすみれくんだ!」
「「了解!」」
マリア「スネグーラチカ!!」
マリアは必殺技を放ち、脇侍数体を凍らせる。
アイリス「大輔お兄ちゃん。イリス・マリオネ~ット!」
すると俺の体力や気が回復する。これがアイリスの力か。
「ありがとうアイリス」
紅蘭「頼むで!チビロボ達!」
すみれ「神崎風塵流…胡蝶の舞!!」
あっという間に脇侍の数を減らしていく。
すみれ「ふん。ちょろいもんですわ」
大神「残りの敵はさくらくん、森川さん!俺達で片づけるぞ!」
「「了解!」」
残り五体を俺達で対処する。
大神「狼虎滅却…快刀乱麻!!」
大神が2体の脇侍を倒す。
さくら「森川さん!」
「ああ!」
残りは俺とさくらで倒す。
「瞳に映る輝く星は!」
さくら「皆の明日を導く光!」
「「今、その光を大いなる力に変えて!破邪剣征・桜花乱舞!!」」
そして残りの脇侍を倒し終わった。
「なんとかなったか」
そして俺達は劇場に戻る。
「皆さん…」
俺はさくら達の方を見る。
さくら「森川さん、どうして1人で行ってしまったんですか」
「……」
俺はさくらの問いに何も言わない。
マリア「そうです。隊長を気絶させてまで、森川さん1人で出撃なんて」
「…皆さんの頑張りに水を差したくなかったんですよ」
俺はそう応える。
「たった1日の公演ですが、大神さんを始め皆さんがこの日の為に精一杯準備していました。だから、私はそれに応えたかったんです」
『……』
俺の問いに誰も何も言わない。
さくら「それでも」
するとさくらが話し出す。
さくら「それでも、言って欲しかったです。もし…もし森川さんに…何か…あったら…あたし…」
するとさくらは、俺の胸に抱き着き泣き出してしまった。見るとマリアやアイリスも目に涙を浮かべていた。
「さくらさん…」
大神「森川さん。花組は、出撃の時必ず全員で無事に戻ると決めています。そこに森川さんも入っているんですよ」
「大神さん…」
すみれ「そうですわ」
カンナ「だよな」
紅蘭「森川はんも、立派なウチらの仲間や!」
「…ありがとうございます」
そして俺はさくらを泣き止まして、上に戻る。するとかすみ達がおにぎりなどを持って忙しそうにしている。俺達はそのまま舞台に行くと、客席にいた客は誰一人帰っていなかった。
米田「遅えぞこのばかやろう!」
するとおっさんがおにぎりややかん、そして割烹着を着て立っていた。
米田「見ての通りだ。公演中止だって言っても、人っ子一人動かねぇ。おめぇ達が帰って来るのを待ってるって言ってな。仕方ねぇからこのザマよ」
さくら「大神さん」
大神「うん!」
米田「なにボサッとしてやがる!お客が待ちかねてんだぞ!さっさと支度して来やがれべらぼうめ!」
そしてさくら達は支度に行った。そして俺は大神と一緒に客席の後ろから見届ける。
さくら「あの頃の~♪こ~と~♪胸の中に~♪思い出が~♪くるくると~♪ま~わ~る~♪」
そしてさくら達の1日限りの舞台が始まった。立ち見も出る程の人気だったのも嬉しい事だった。俺と大神は、かすみ達に差し入れられたおにぎりを食べながら見ていると…
『『よかったな。夢が叶って(守れて)』』
「「!!?君は(お前は)…」」
『『もう1人の俺さ』』
「「もう1人の俺?」」
『『俺は君(おまえ)でもあり、君(お前)もまた俺でもある。帝劇を愛し、花組を思う限り、君(お前)と俺は同じ存在であり続ける』』
大神「俺は夢でも見ているのか?」
「同意見だ」
まさか、俺と大神…自分自身と話すとはな。
『『夢?さぁそれはどうかな。でも(けど)、夢を叶える為もう1人の君(お前)は、いつでも応援している。そして皆も…』』
そして俺と大神は、舞台の方に一瞬目を向け再び見る。しかしそこには俺と大神はいなかった。こうして、一日限りの公演“真夏の夜の夢”は無事に終わり大盛況だった。
米田司令が狙撃されたが、森川も命を狙われるかどうか
-
米田と同じく、狙撃されて一時的離脱
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【輪廻を調整されし者】だから、狙撃しても