太正?大正だろ?   作:シャト6

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第二十七話

あれから3日が経ったが、特にこれといった進展はない。スパイ衛星も飛ばし、銀座中にあるカメラで劇場や花組の連中を監視してるが、俺達が話してからその男は姿を見せなくなった。

 

「何で急に姿を見せなくなった?しかも俺らが話した翌日から。タイミングがよすぎる」

 

念のために、オペレーター達も数人街で情報を集めに行かせている。顔が同じだから、髪型や服装を変えさせてるけどな。

 

「とにかく、今は情報が手に入るのを待つしかないか」

 

そして俺は、普段通りに店を開けるのだった。そこから更に3日後、おっさんから電話がきた。聞くと、遂に花組の連中の私物が無くなったらしい。被害はさくらとすみれ、そして紅蘭の3人だ。さくらはリボン、すみれはチョーカー、紅蘭はスペアの眼鏡を盗まれたそうだ。俺は早速地下に行き、この6日間の様子を確認する。すると、夜中に劇場に忍び込んでる影を見つけた。

 

「やっぱ侵入してたか」

 

オペレーター「はい。犯人はこの日に運ばれた荷物の中に潜伏しており、そこから中庭を通り2階の花組の部屋に向かっています」

 

「しっかしコイツの動き、素人じゃねぇな。動きに無駄がねぇ」

 

モニターに映ってる犯人の動きは、素人じゃ絶対にできない動きだ。この時間は、大神の奴が巡回している。それを掻い潜っている。あいつは海兵であり花組の隊長だ。気配には特に敏感なはずだ。それに、侵入した紅蘭やすみれはともかく、さくらに限っては余程の事がない限り気配に気づくはず。

 

「それに気づかないって事は…少し厄介だな」

 

素人の犯行じゃないとすると、対応できる奴は限られるな。

 

「とにかく、米田のおっさんとあやめに話しておくか」

 

俺はさっきの動画を持って、大帝国劇場に向かった。花組の連中は、次の舞台の稽古中らしい。ま、此方にとっては都合がいいがな。

 

「おっさん、入るぞ」

 

中に入ると、おっさんが酒を飲んでいた。

 

「昼間っから飲んでんじゃねぇよ。ったく」

 

米田「別にいいだろう。で、珍しいな。お前さんが連絡も寄越さず来るなんてよ」

 

「ああ。大至急あんたの耳に入れとかなきゃなんねぇ内容でな」

 

米田「……」

 

すると先程までの酔っ払い顔から一転、真剣な表情へと変わった。流石は陸軍中将だな。酒は飲んでも飲まれるなって事か。

 

米田「それで、その内容ってのは?」

 

「これを見てくれ」

 

俺は持ってきた映像をおっさんに見せる。

 

「まずは、俺が独自に撮影させたカメラの映像だ。日付は、さくら達の物が盗まれた日の深夜だ」

 

米田「おいおい、まさか荷物の中にいやがったとは」

 

「この荷物は、この日に運ばれた物だ。おそらく、何かであんた等が使う荷物を調べて、隙を見て紛れ込んだんだろう」

 

米田「なるほどな。次から、人が入れそうな荷物は全部チェックしねぇとな」

 

「まぁ頑張んな。で、ここからの行動だが…」

 

荷物から出て素早く中庭に出、そこから壁をつたってさくら達の部屋の窓に近づく男。その男の動きを見ておっさんは驚く。

 

米田「おいおい…こいつは素人の動きじゃねぇな」

 

「ああ。それに、大神の見回りもうまいこと回避している。だからさくらは、部屋に侵入されても気づかなかったんだ」

 

米田「相当な手練れだな」

 

「だろうな」

 

すると、支配人室のドアがノックされる。

 

米田「開いてるからへぇりな」

 

あやめ「失礼します」

 

来たのはあやめか。

 

あやめ「あら、貴方も来ていたのね」

 

「ああ。おっさんに話があったからな」

 

米田「それであやめ君、何か用か?」

 

あやめ「はい。実は、最近この近くでネズミ小僧が出てるそうなんです」

 

米田「ネズミ小僧だぁ?」

 

あやめの言葉に、米田は驚く。

 

あやめ「なんでも、ここ最近現れたみたいで、被害もかなりなものだったそうです。宝石は勿論、一部のファンには貴重な物まで盗んでいるそうです」

 

「「!?」」

 

あやめの言葉に、俺とおっさんは顔を見合わせる。

 

米田「もしかすると…」

 

「ああ。その可能性は大いにあり得る」

 

あやめ「あの…」

 

「あやめ、これを見てくれ」

 

俺は、先程おっさんに見せた映像をあやめにも見せる。

 

あやめ「これは…」

 

「お前も分かるだろ?動きが素人じゃないと」

 

あやめ「ええ」

 

米田「おそらくだが、先程あやめ君から聞いた、ネズミ小僧に違いねぇ」

 

「だろうな。一部のファンには貴重な物も盗む。さくらのリボン、すみれのチョーカー、紅蘭の眼鏡。ファンにとっては喉から手が出るほど欲しい代物だ」

 

米田「となると、もしかするとまた来るかも知れねぇな」

 

十中八九来ると思うぜ。

 

「来るだろな。さくら、すみれ、紅蘭のは入手済み。となれば残りのマリア、カンナ、アイリスの3人の持ち物を盗むだろうよ」

 

あやめ「3人には、特に警戒するように伝えるわ」

 

「いや、それは無理だろう」

 

3人に伝えに行こうとするあやめを止める。

 

「大神やさくらといった、普段から稽古してる連中ですら気づかないんだ。警戒したところで、マリアやカンナも同じだろうよ」

 

あやめ「ならどうすれば」

 

どうすっかなぁ。…!そうだ。

 

「おっさん、1つ提案があんだが」

 

米田「提案?」

 

「ああ、それはな…」

 

俺は思い付いた事を2人に話す。

 

米田「なるほど」

 

あやめ「本当に上手く行くかしら?」

 

「なにもしないよりいいだろう」

 

米田「そうだな。よし!それでいこう」

 

こうして、俺の案が採用となった。さて、ネズミ小僧だかなんだか知らねぇが、チョーシに乗った事を後悔させてやるよ。

織姫とレニに対して

  • 大輔に織姫&レニ両方
  • 大輔に織姫。大神にレニ
  • 大輔にレニ。大神に織姫
  • 大神に織姫&レニ両方

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