太正?大正だろ?   作:シャト6

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第三十八話

カンナとすみれが行った西遊記の公演も今日で終わり、花組の連中も一息つけるな。

 

「ま、最初は色々あったが、無事に終わっておっさんもホッとしてるだろうな」

 

俺は支配人室で、頭を抱えてたおっさんの事を思い出す。すると、外の天気が少し暗くなる。

 

「曇ってきたな。夕立でも降りそうだな」

 

空を見ると、徐々にだが雲に覆われている。こりゃ客足が少なくなるな。

 

「ま、別にいいがな。趣味でやってるだけだし」

 

すると、荷物をたくさん抱えたさくらを見つけた。フラフラして危なっかしいな。只でさえさくらの奴はコケるのに。

 

「仕方ない。手伝いに行くか」

 

俺は店を閉めて、さくらの元に行く。

 

さくら「よいしょっと…」

 

「相変わらず危なっかしいな」

 

俺は荷物を持つ。

 

さくら「森川さん!?」

 

俺に気づいたさくら。

 

「随分と買い込んだな。何かあるのか?」

 

さくら「そうなんです。今日で西遊記の公演が終わるので、皆さんと楽屋で打ち上げをするんですよ」

 

「なるほど。だからこんなに飲み物やつまみがあるのか」

 

さくら「はい。少しだけ買いすぎちゃって」

 

「危なっかしいから手伝ってやるよ」

 

さくら「そんな、悪いですよ」

 

「気にすんな。それに、早くしねぇと雨が降るぞ。多分夕立だろうがな」

 

さくら「雨!?も、森川さん!早く行きましょう!!」

 

さくらはそう言うと、慌てて俺を後ろから押す。そして劇場に着き楽屋に到着した。

 

さくら「はぁ…すっかり遅くなっちゃった…」

 

「仕方ねぇだろ。荷物の量が量なんだからよ」

 

さくら「あの…さくらです。遅くなりました」

 

さくらが楽屋のドアをノックした瞬間…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴロゴロゴロ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っと、随分デカい雷だな」

 

さくら「あっ!?」

 

するとさくらは、座り込み壁にもたれ体を小さくする。

 

大神「さくらくん!!どうした?大丈夫か!?」

 

さっきの声を聞いて、楽屋から大神達も出てきた。

 

すみれ「さくらさん!どうなさったの!?」

 

紅蘭「かんにんや。さくらはんがこないに恐がるとは、思ってもみいひんかったんや」

 

いや、これは紅蘭達が驚かせた事じゃねぇ。

 

さくら「か、雷様に…お、おヘソとられちゃう!」

 

すみれ「はぁ…?」

 

なるほど。さくらの奴雷が苦手なのか。だが、怖がり方が尋常じゃないな。過去になにかあったんだろうな。

 

「大丈夫ですよさくらさん」

 

俺は怖がって震えてるさくらを優しく抱きしめる。

 

マリア「さくら、貴方…本気で言ってるの?」

 

マリアがそう言うと、館内放送が入る。

 

由里『大神少尉、大神少尉。米田長官がお呼びです。指令室までお越し下さい』

 

大神「くそっ!よりによってこんな時に…」

 

「大神さん。さくらさんの事は自分に任せて下さい」

 

大神「森川さん…」

 

「米田さんが支配人ではなく、長官として大神さんを呼んだと言う事は、華撃団関係だと思われます」

 

大神「…分かりました。さくらくんをお願いします」

 

そして大神は指令室に走って行った。

 

すみれ「それにしても…雷様が恐いなんて、よく『光武』で戦えますこと!」

 

アイリス「アイリスだって雷様こわいもん!」

 

カンナ「さくらは…よっぽど幼い頃に、恐い思いをしてるんだな」

 

「そうみたいですね。すみれさん、人は誰でも小さい時に恐い思いをすれば、大人になっても払拭できない事もあります。すみれさんも覚えはありませんか」

 

すみれ「!?」

 

俺にそう言われ、すみれは自分もトラウマになっている事を思い出す。すみれは蜘蛛が苦手だからな。さくらの気持ちも少しは分かるはずだ。

 

すみれ「そう…ですわね。さくらさん、申し訳ありませんでしたわ」

 

すみれはさくらに謝る。やはり、自分も同じ様にトラウマをかかえている分理解できるわな。そして打ち上げはお開きとなり、それぞれ部屋に戻って行った。俺は未だにさくらの側にいる。だが、相変わらず外は雨が降り雷が鳴っている。

 

「さくら、雷の音が聞こえねぇ地下に行くか?」

 

俺の言葉にさくらは頷く。ホントは勝手に地下に行っちゃまずいんだが、今回は緊急だし仕方ねぇよな。そして地下に行きプールがある更衣室に入る。

 

「ここなら余程デカい雷が落ちない限り聞こえねぇだろうよ」

 

さくら「…森川さん」

 

「なんだ?」

 

「森川さんにだけ…お話しておきたいんです」

 

「……」

 

俺は黙ってさくらの話を聞く事にした。

 

さくら「あたし…子供の頃、お転婆で…喧嘩友達のたけしくんと遊んでたんです…あの日、お祖母ちゃんが外で遊んじゃダメだというのに、たけしくんを誘って…木登りをしていました。すると、突然…空が真っ暗になって…たけしくんは、雷様におへそを取られたんです」

 

なるほど。それを子供の時に体験したから、未だに雷が苦手なのか。そら、子供の時にそんな体験したらトラウマになってもおかしくねぇよな…

 

「…その子が雷に打たれたって訳か」

 

さくら「はい…あたしが、お祖母ちゃんの言う事を聞かなかったから…それ以来…あたし…雷様が怖くて…いつか、たけしくんのようにおへそを…」

 

「……」

 

さくら「おかしいでしょ?光武に乗って戦うパイロットが、雷様を怖がるなんて…」

 

「そうでもねぇよ。人間なにかしら苦手なものはある」

 

さくら「……」

 

「さくらだけじゃねぇ。すみれ、マリア、カンナ、紅蘭、アイリス、米田のおっさん、あやめ、三人娘の連中もだ。当然俺にだってある」

 

さくら「森川さんもですか?」

 

おいおい…そんな意外そうな顔で言うなよな。

 

「当たり前だろ。俺だって人間だ。苦手や怖いもんだって1つや2つあるっての」

 

さくら「…そうですよね。誰にだって苦手なものありますよね」

 

「そういうことだ」

 

さくら「フフッ、でも意外です。森川さんにも苦手なものがあったなんて」

 

「おいおい。俺はどんな奴だよ」

 

さくら「フフフ♪」

 

「ったく…」

 

ま、なんとかさくらの恐怖を和らげる事はできたみたいだな。なんて事を思ってると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴロゴロゴロ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さくら「きゃ~~~~~~~っ!!?」

 

突然地下に響く音に、さくらは俺に抱き着く。

 

さくら「ああ……か、雷様が、怒ってる…」

 

「さくら!しっかりしろ!!(さっきの音は、雷の音じゃねぇ!爆発音だ!けどなんで地下で?…まさか、黒之巣会の連中か!?)」

 

すると再び爆発音が響き、部屋全体が揺れる。

 

「!?まずい!!」

 

俺はさくらを抱きかかえ、素早く奥に避難した。俺達がいた場所に瓦礫が落ちてきて入り口を塞いだ。

 

「チッ!瓦礫で入り口が塞がったか…」

 

さくら「か、雷様に…お、おヘソとられちゃう!」

 

どうする!さくらは未だにこの状態だし…俺の技じゃ脱出は出来るが、劇場が崩れる可能性がある。こういう時に四次元ポーチを持ってこなかったことを後悔するとはな。さて…どうするかな…

米田司令が狙撃されたが、森川も命を狙われるかどうか

  • 米田と同じく、狙撃されて一時的離脱
  • 【輪廻を調整されし者】だから、狙撃しても
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