太正?大正だろ?   作:シャト6

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第五話

脇侍を倒した翌日、俺はいつものように朝食の準備をしようとしていた。しかし、1階に下りるとさくらが厨房にいた。

 

さくら「あっ、おはようございます」

 

「おはようございますさくらさん。随分と早いですね」

 

さくら「はい!2日ですがお世話になった森川さんに、どうしても朝食を作りたくて。すみません、勝手にお店の台所を使っちゃって」

 

「気にしないで下さい。ですが、よく調味料などの場所が分かりましたね?」

 

さくら「実は、私の実家も同じような場所に置いてあって。お米の場所や調味料の保存の仕方が同じだったので助かりました」

 

なるほど。さくらの実家でも、俺と同じ保存の仕方をしてたのか。なら、場所は大体想像できるわな。

 

さくら「もう少しでできますので、ゆっくりしてて下さい」

 

「ありがとうございます」

 

カウンターに置かれたお茶を飲みながら、朝食が出来るのを待つことにした。

 

さくら「お待たせしました」

 

どうやら出来たようだ。出てきたのは白米、味噌汁、漬物、焼き鮭、納豆、のりだった。見事にザ・日本の朝ごはんって感じだな。

 

「美味しそうですね」

 

さくら「お口に合うか分かりませんけど…」

 

「いただきます」

 

まずは味噌汁だ。…うん、いい感じに出汁も取れてていい塩梅だ。次は焼き鮭だ。…これもいい感じの焼き加減だ。

 

「どう…ですか?」

 

さくらは心配そうな表情で俺に感想を聞いてきた。そんなに心配せんでも普通に旨いって。

 

「ええ、とても美味しいですよ」

 

さくら「良かった」

 

俺の言葉を聞いて、安心したのかさくらも食べ始めた。

 

「味噌汁といい、この焼き鮭といい、さくらさんは料理が上手なんですね」

 

さくら「いえ、小さい頃からお母様に教えて頂いたおかげです。他にも裁縫など色々と」

 

「そうですか。優しいお母さんですね。これなら、さくらさんは良いお嫁さんになれますね。私が申し込みたいくらいですよ」

 

さくら「そそ、そうですか///」

 

顔を赤くして恥ずかしそうな表情をするさくら。これなら、何処に嫁に行っても恥はかかないだろうさ。

 

さくら「お嫁さん…森川さんの…お嫁さん///」

 

なにやらブツブツ言ってるが、何を言ってるか全然聞こえん。で、俺達は朝食をすませて大帝国劇場にやって来た。入り口ではマリアが立っていた。

 

マリア「来たのねさくら」

 

さくら「はい!」

 

マリア「森川さん、支配人室で米田支配人達がお待ちです」

 

「分かりました。ではさくらさん、マリアさん、私はここで」

 

俺はそう言い残し、おっさん達が待ってるであろう支配人室に向かう。何度か来てるから場所は分かる。

 

「あったあった」

 

目的の場所に到着したから、取り敢えずノックする。

 

米田『開いてるからへぇりな』

 

「失礼します」

 

取り敢えず今は敬語で話しておくか。中に入ると、おっさんと藤枝の2人だけだった。

 

米田「悪いな森川、こんな朝早くにさくらを送ってくれてよ」

 

「いえ、構いませんよ。此方も米田さん達にお話があったので」

 

米田「話って、俺とあやめ君にか?」

 

おっさんと藤枝は、互いの顔を見る。

 

「ええ…お2人と是非話したかったんですよ。現帝国陸軍所属で、帝国華撃団総司令の米田一基中将と、帝国華撃団副司令の藤枝あやめ中尉」

 

「「!!?」」

 

俺が発した言葉に、2人の顔は驚いていた。

 

米田「…何で俺とあやめ君が、その帝国華撃団の総司令と副司令と思ったんだ?」

 

「そんなの…あ~面倒だ。言葉遣い戻すぞ。言っちゃ悪いが、あんたら軍のデータなんて、簡単に調べる事が出来るんだよ」

 

あやめ「貴方…軍のデータを盗んだのね!」

 

「ま、盗んだとしても証拠なんて一切残してないけどな。んで、調べたらこの建物の地下に随分と面白い物があるみたいだな。確か、光武って名前だったか?」

 

米田「光武の事まで調べやがったか」

 

おっさんは呆れた表情をしながら呟いてる。

 

「それに、この劇場に出資してる連中も割れてるぞ。特に多く出資してるのが、貴族院議員の綾小路頼恒と神崎重工の神崎忠義だ」

 

あやめ「そんな事まで調べたなんて…」

 

藤枝の奴は動揺が隠せないみたいだな。

 

米田「…おめぇ、それほどの情報を何処で調べたんだ?」

 

「ん?ああ、“サイの花屋”だよ」

 

米田「なに!?サイの花屋だと!?」

 

その言葉を聞いた瞬間、おっさんは驚いた。

 

あやめ「支配人、サイの花屋というのは一体?」

 

米田「サイの花屋…この帝都一の情報屋だ。その正確さ、早さは軍をも凌ぐと言われている。その分、かなりの金額で取り引きされるらしい」

 

あやめ「……」

 

米田「おめぇ、それほどの大金を払ってまで、俺達の事を調べたのか?」

 

「いや、金は一銭も払ってないぞ」

 

「「……えっ?」」

 

俺の言葉に、おっさんと藤枝の目が点になっていた。

 

米田「ど、どういうことだ!?サイの花屋はタダで情報は売らないと聞いたが」

 

「いや、売らないもなにも…サイの花屋って俺の事だし」

 

「「……はああああああああああっ!!!!!!?」」

 

今度は2人して、バカデカイ声で叫ぶ。

 

「うるさ」

 

米田「ちょっと待て!お前がサイの花屋だと!?」

 

「ああ。自分で調べるんだから、金なんか必要ないからな」

 

米田「おいおい…」

 

おっさんは等々頭を抱えた。

 

米田「…だが、お前がサイの花屋だったんなら、これだけの情報を手に入れれてもおかしくはねぇわな」

 

おっさんは、俺が持ってきた資料を見ながら言う。

 

米田「んで、こんな事を調べて俺達に教えるためだけに、わざわざ正体を明かした訳じゃねぇんだろ?」

 

流石おっさん。俺がただ単に情報を教えただけと思ってない。

 

「ああ。色々と調べたが、さくらやマリア達はあの光武ってのに乗って、街とかに出てる鎧を着た物と戦ってんだろ?」

 

米田「そうだ」

 

「そこでだ。俺が持ってる技術とかで、おっさん達を手助けしてやりたいと思ったんだよ」

 

米田「なんでそんな事を思った。お前さんになんの得があるってんだ?」

 

「得か…」

 

ま、なんだかんだでおっさん達との付き合いも長いしな。

 

「ま、強いて言うならウチの常連の連中に何かあったら、ウチの店は大打撃だからな」

 

「「……」」

 

俺がそう言うと、おっさんと藤枝の顔はキョトンとしていた。

 

米田「フフフ…ハハハハッ!確かに、お前にとっては大打撃だわな」

 

あやめ「フフッ、そうですね」

 

「……」

 

米田「けど、帝都一の情報屋が味方になるってんなら、これ程ありがたい事はねぇ。これからよろしく頼む」

 

「ああ」

 

俺とおっさんは、ガッチリと握手をするのであった。

 

「さて、言うことも言ったし俺はそろそろ帰らせてもらう」

 

米田「なんでぇ、もう帰るのか?」

 

「ああ。俺は元々さくらの奴を送る序に、藤枝に呼ばれただけだしな。だから話もついでにとおもってな」

 

あやめ「私の事はあやめで結構よ」

 

「そうかよ」

 

そして俺は劇場を後にした。帰った後はいつも通りに店を開店した。それから数日後、おっさんから電話があり、明日さくらが劇場で初舞台だそうだ。で、俺にも見に来ないかとチケットを送って来た。ま、折角の初舞台だし、見に行く序に差し入れでも持っていくとするか。

 

「そうと決まれば、何を作るかな…」

 

冷蔵庫の中を開けると、いくつかの果物と昨日店で使った春巻きの皮が残っていた。今日は舞台を見に行くので仕入れは明日の朝になっている。なので冷蔵庫の中は碌な物が残っていなかった。だが…

 

「果物が結構あるから、あれを作ってみるか」

 

メニューが決まった俺は、早速作る。テキパキと料理を作る。流石に小松やサンジの料理技術等あればやっぱ楽だな。

 

「さて、最後の仕上げは向こうでさせてもらうか。やっぱ出来立てが美味いしな」

 

仕上げを残した料理を詰めて、劇場に向かう。おっさんは来たら顔を出してくれって言ってたし、来賓客用の入り口から入ってくれって言われたな。そんな事を考えながら劇場に到着すると、既に入り口は開門前なのに人で溢れかえっていた。

 

「へ~、やっぱ人気なんだな」

 

その光景を見ながら、俺は来賓客用の入り口から入った。

 

「あら、いらっしゃい森川さん」

 

「こんにちは榊原さん」

 

榊原「もう森川さん、由里でいいっていつも言ってるじゃないですか」

 

「ええ、中々慣れないもので」

 

由里「もう」

 

「米田支配人はいますか?」

 

由里「ええ、支配人室でお待ちですので」

 

「じゃあお邪魔しますね」

 

そして俺は支配人室に向かった。ノックすると中からおっさんの声が聞こえたので中に入る。

 

米田「おう来たか」

 

「来たかじゃね~よ。まさかさくらが女優としてデビューするなんて流石に驚いたぞ」

 

米田「以前言ったじゃね~か。本来は帝都を護る為だが、それ以外はウチで女優をするって」

 

そう言われ、俺は言われた時の事を思い出す。

 

「…あ~確かに言ってたな」

 

確かにあの時そんな事言ってたな。あの後色々あって忘れてったわ。

 

米田「で、今日がさくらの初公演って訳だ」

 

「今頃あたふたして、めっちゃ緊張してる姿が思い浮かぶな」

 

米田「まぁな」

 

苦笑いしながらその姿を思い浮かべる俺とおっさん。

 

「っとそうだ」

 

俺は持ってきた差し入れを思い出す。

 

「おっさん、開演まで時間あるか?」

 

米田「ああ。まだ開演まで時間はあるが」

 

「なら悪いが厨房貸してくれないか?差し入れ持って来たんだよ」

 

俺は持ってきた差し入れが入ったバックを見せる。

 

米田「そりゃありがたい。あいつらも喜ぶだろうよ」

 

「今回は、女子に嬉しい差し入れだしな。悪いけど、皆をどこかに呼んでほしいんだが」

 

米田「なら控室でいいだろ。そこでよく打ち上げとかするしな」

 

「なら後程」

 

俺は厨房に行き、差し入れの料理を仕上げる。

 

「揚げ終わったし、控室に行くか」

 

出来た料理をもって、皆が待っている控室に到着した。

 

「すいません、どなたか扉を開けてもらってもいいですか?手が塞がっていまして」

 

『分かりました!』

 

中から聞こえた声はさくらの声だった。扉を開けてもらい中に入ると、既に皆が集まってた。

 

「お待たせいたしました」

 

アイリス「わ~い!大輔お兄ちゃんだ!!」

 

「こんにちはアイリス」

 

俺は足元にやって来たアイリスに挨拶する。持ってきた料理は置かれてたテーブルに置く。

 

「これは私の差し入れです。女性が多いですし、もうすぐ舞台が始まるので軽めの物にしたんですが」

 

中を開けると、先程揚げたばかりの料理がある。

 

マリア「これは?」

 

すみれ「舞台前に、こんな油ぎってる料理を持ってきたのですか?」

 

「これは見た目は春巻きですが、こう砂糖を軽くまぶして切ると…」

 

切られた春巻きの中から、果物の甘い香りが広がる。

 

さくら「うわ~美味しそうですね」

 

「名付けてフルーツ春巻きです。あっさり甘口なので、おやつやお夜食なんかにピッタリなんですよ」

 

アイリス「いただきま~す!」

 

いち早くアイリスが食べる。さて、どうかな?

 

アイリス「美味しい~!お兄ちゃん、これ凄く美味しいよ」

 

「口に合ってよかったです」

 

さくら「ホント!物凄く美味しいですよすみれさん、マリアさん」

 

さくらにそう言われ、マリアや神崎も食べる。

 

マリア「あら、本当ね」

 

すみれ「しつこい味と思いましたが、随分とサッパリしていますのね」

 

「ええ、流石に講演前ですし差し入れならこういったのがいいと思いまして」

 

あやめ「でもこれ、本当に美味しいわね」

 

あやめの奴もそう言う。ま、喜んでもらえてなによりだ。

 

米田「確かに美味いけど…俺にはちょっとな」

 

「まぁ、男性はそう言うかもしれませんけどね。あやめさん、これ同じのなので由里さんや他の方達にも」

 

あやめ「ありがとう。あの子達も喜ぶわ」

 

残りを受け取り、あやめは控室を出て行った。俺もそろそろ行くか。

 

「では皆さん、講演楽しみにしてますので」

 

米田「頑張れよさくら。今日はお前さんの初舞台なんだからよ」

 

さくら「は、はい!頑張ります!!」

 

あ~…こりゃ駄目だ。おっさんの言葉で緊張しちまってる。仕方ない、少し緊張をほぐしてやるか。

 

「さくらさん、初めての講演で緊張するのは分かります。なので緊張するなとは言いません。ですが、女優として初めて上がる舞台です。そんな機会は今後二度とないでしょう。ですので自分が後悔しないようにしてください。大丈夫です。今まで練習もなさってるんです。必ず上手く行きますよ」

 

俺はさくらの頭を撫でながらそう言う。

 

さくら「森川さん…私、頑張ります!」

 

「ええ、頑張ってください」

 

どうやら緊張はほぐれたようだな。控え室を出て、俺は米田のおっさんと一緒に、さくらの初舞台を見守った。その劇は無事に終わったのであった。

 

(ま、頑張ったんじゃないか?)

 

拍手が起こる中、俺もさくらを見ながら拍手を送った。

米田司令が狙撃されたが、森川も命を狙われるかどうか

  • 米田と同じく、狙撃されて一時的離脱
  • 【輪廻を調整されし者】だから、狙撃しても
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