太正?大正だろ?   作:シャト6

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第七十三話

おっさんに魔神器の事を説明されてから1週間。その間は降魔も出ず平和な日が送れている。

 

大輔「ま、流石に続けて出てはこないか」

 

今は夜。もう結構遅い時間だ。時計を見ると既に日付が変わっていた。

 

大輔「おっと。調べ物をしてたらこんな時間か。なら、俺もそろそろ寝るか」

 

資料をしまい、自分の部屋に戻ろうとした時…

 

 

 

 

 

 

ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!

 

 

 

 

 

 

 

外から鉄の音が響き渡る。

 

大輔「今の音は…帝劇方面だな?」

 

俺は気になり、店を出て帝劇の方に向かう。到着すると、帝劇の周囲を囲むように、鉄の防御壁みたいなのが立っていた。

 

大輔「な、なんだありゃ!?」

 

俺が驚いていると、防御壁を飛び越えた人影を見た。

 

大輔「……」

 

俺は怪しいと思い、その人陰を追い掛けた。防御壁を飛び越え着地すると、帝劇の正面玄関が開いていた。慎重に中に入ると、中にいたのは葵叉丹だった。

 

米田「動くな!」

 

するとおっさんが葵叉丹に叫んだ。

 

米田「葵叉丹…だな」

 

叉丹「ククククク…久し振りだな、米田」

 

米田「何!?」

 

すると葵叉丹は、手だけを後ろにしおっさんに攻撃する。

 

大輔「だりゃああああ!」

 

「「!?」」

 

当然そんな事させないがな。

 

叉丹「貴様は…!!」

 

米田「森川!」

 

大輔「ようおっさん。危ないとこだったな」

 

米田「なんでお前が?」

 

大輔「ちと調べ物をしててな。すると、こんな夜更けにあんな音が聞こえて、何かあったと思ってな。んで来てみたら案の定、帝劇には防御壁みたいなのがあるし、飛び越えて中を見れば、葵叉丹がいるしよ」

 

叉丹「貴様…」

 

叉丹は俺を睨みつける。

 

大輔「葵叉丹…いや違うな。元帝国陸軍対降魔部隊所属だった、山崎真之介少佐?」

 

米田「なっ!?」

 

叉丹「貴様!」

 

俺の言葉におっさんは驚き、葵叉丹は睨み付けてきた。

 

大輔「驚いたぜ。あんたの事色々と調べてたからな。んで、前戦った時に改めて資料を見返して分かったって訳だ」

 

米田「お前…なのか?」

 

叉丹「フッ…昔の事だ。さて、米田。魔神器はどこだ?」

 

大輔「やっぱり狙いは魔神器か」

 

米田「…お前に教える訳ねぇだろうが。魔神器を奪って、この都市を滅ぼすつもりなんだろ」

 

叉丹「フッ…」

 

米田「何故だ山崎!かつて共に帝都を護ったお前が…何故帝都に仇なそうとする!」

 

叉丹「貴様も本当は分かっているはずだ。帝都が…存在を許されぬ呪われた都市だということを!」

 

米田「な、何!?」

 

どういう事だ。?帝都が呪われた都市だと?

 

叉丹「この地は降魔の…【大和】の民の者だ!故に帝都は、滅ぼされねばならぬ!この地を本来の…あるべき姿に戻すためにな!」

 

大輔「あ〜それはそれは。流石は元科学者らしい回答だな」

 

叉丹「なんだと?」

 

大輔「神にでもなったつもりかよ。お前も北条氏綱と同じだな。欲に目が眩んで【降魔実験】をした愚か者とな」

 

叉丹「黙れ!!」

 

葵叉丹はキレて、能力で俺を持ちあげ放り投げる。だが、その程度じゃ意味ないぞ?

 

大輔「へ〜。これがあんたの能力か」

 

俺は普通に着地する。

 

叉丹「クッ…化け物め!」

 

大輔「いやいや、化け物な人に化け物って言われるとは心外だわ」

 

大賢者『解。マスターは葵叉丹を遥かに凌ぐため、その回答は間違っていないと思われます』

 

あら〜…大賢者にまでそういわれるとはね。お兄さん泣きそう…

 

 

 

 

 

 

 

 

バタン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると扉が閉まった音がした。そっちを見るとあやめがいた。

 

叉丹「…あやめ」

 

あやめ「山崎少佐…どうして…あなたが…」

 

叉丹「そうか。お前は降魔戦争で死んだものと思っていたが…まだ米田の下にいたとはな…フフフフフ。会えて嬉しいぞ、あやめ」

 

あやめ「動くと…撃ちます」

 

あやめは、近付いてくる叉丹に銃を向けた。

 

叉丹「強がりはよせ。お前に俺が撃てるのか?」

 

あやめ「……」

 

そう言われたあやめは、目の前に来た叉丹を撃てずにいた。そうだよな…いくら敵とはいえ、好いてた奴だしな…なんて甘い考えは俺が許さん。

 

叉丹「あやめ…俺の目を見ろ」

 

大輔「そうはいかなねぇぞ!コンカッセ!!」

 

叉丹「!!」

 

俺は近づいた叉丹目掛けて蹴りを入れる。当然帝劇の床はヒビ割れ凹んだ。

 

叉丹「貴様…どこまでも邪魔を!!」

 

大輔「あやめとお前が、昔どんな関係だったかはどうでもいい。だがな、俺の事を好いてくれてるのに、黙って見過ごす事なんかできるか」

 

叉丹「おのれぇ!」

 

俺はあやめを抱きかかえ、こう言った。

 

大輔「これ以上あやめに何かするなら、俺が相手になってやるよ…」

 

俺は殺気と覇気、魔力等を全て開放して叉丹に向けた。あやめやおっさんには被害が無いよう抑えておる。

 

叉丹「ぬう!!」

 

大神「そこまでだ!葵叉丹!!」

 

すると大神達も、外の降魔を倒し終わってやって来た。

 

葵叉丹「クッ…これ以上は分が悪い」

 

そう言い残して、叉丹の奴は消えていった。

 

大輔「大丈夫か?」

 

あやめ「はい…ありがとうございます」

 

大輔「な〜に。当然の事だ」

 

あやめ「…嬉しかったです。『俺を好いてくれてるのに、黙って見過ごす事なんかできるか』と言ってくれた時は…」

 

大輔「…まだ返事は言えないが、キチンとお前らと話し合いながら決めたいんだよ。もちろん、この事が完全に片付いたらな。悪いが、それまで待っててくれ」

 

あやめ「…はい」

 

さくら「…随分といい雰囲気ですね…森川さん」

 

するといつの間にか俺の近くに来たさくらがそう言う。後ろにはすみれやマリア、アイリスに紅蘭。何故か風組の連中までいた。

 

大輔「あ〜…」

 

さくら「私も言われましたけど、あやめさんみたいにそんな風に言われたかったな〜」ギュウ…

 

大輔「イテテテテ!」

 

そう言いながら脇腹を抓るな!

 

大輔「分かってるっての!お前らにも、この戦いが終わったら全員で話し合うっての!だから抓るのを止めろ!」

 

さくら「ふ〜ん…」

 

そう言いながら俺から離れた。ったく…

 

大輔「おっさん。あやめの奴は今日ウチで預かる」

 

米田「なんでだ?」

 

大輔「叉丹が何かしてないか調べる。人体に何か影響はないかとかな」

 

米田「そうか」

 

大輔「ま、流石に霊力関係はそっちに任せるがな」

 

米田「分かった。あやめくんを頼む」

 

大輔「任せろ」

 

そして俺は、あやめお姫様抱っこして店に戻った。

 

さくら「…羨ましいです」

 

『うんうん』

 

カンナ以外の女性陣が、さくらの呟きに頷いてたのは知らなかった俺である。

織姫とレニに対して

  • 大輔に織姫&レニ両方
  • 大輔に織姫。大神にレニ
  • 大輔にレニ。大神に織姫
  • 大神に織姫&レニ両方

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