愛に啼く月の進化論 -Gehen Sie im Licht-【蓮×ヴィルヘルム】   作:桜月(Licht)

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Extra Chapter Ⅰ Beginn des Vertrages 09

 

 

Extra Chapter Ⅰ Beginn des Vertrages 09

§Side Ren

 

 心地よくまどろんだ意識が最初に捉えたのは、微かな物音。

 柔らかい布に沈む身体が気持ちいい。

 もう朝なんだろう。眠気に閉じたままの視界は真っ暗なままだ。だけど遮光機能のついてない安っぽいカーテン越し、頬に日差しの熱をじわりと感じる。

 まだ寝ぼけている。思考が鈍い。

 そういえば、さっきの物音は何だろう。まるで俺以外の誰かが部屋にいるような。いや、それは別に珍しいことじゃないか。

 そこまでぼけっと思考を巡らせて、唐突に覚醒。

 

「って、――あ゛!?」

 

 間抜けな声といっしょに、全部を思い出して布団から跳ね起きた。

 焦って部屋の中をばっと見回す。居候の吸血鬼が部屋の中にいない。

 ちらっとベッドサイドの時計に目をやる。文字盤の針は六時五十分を指していた。

 

 ああ、そうだった。

 俺の日常はがらっと様変わりしてしまった。

 巻き込まれた殺し合い。そしてそれを引っ掻き回すように昨夜起きた異常事態。それにより神父と結んだ停戦協定。

 その協定のせいで妙に状況が安定して気が緩んだんだろう。まさかの爆睡。

 昨日までの倦怠感はすっかり身を潜めてすっきりと身体が軽い。ひさびさにまともな形で睡眠が取れた気がする。

 それはよかったが、肝心な居候はどこにいったんだ。

 

 一定ラインで信用はしている。ある程度好きにしろとも言ってある。

 魂と 忠誠心(ほこり)を担保に取られた以上、ルールの範囲を越えた暴挙に出ることはないだろうと踏んでいる。

 だからといって、姿が見えないのは不安だ。

 ある程度信用できると踏んだからこうしてルールの範囲で好きにさせているわけだが、始めたばかりの共同生活に朝一で姿が見えないのは慣れていなくてドキッとする。

 物音がしたから部屋の中にはいるんだろう。意識を澄ませばきちんと気配も感じ取れた。

 あいつが俺の目を盗んで、勝手に外に出て行ってなかったことに少しホッとする。

 

「ヴィルヘルム?」

 

 布団から抜けだしてベッドの縁に移動しながら、気配のする部屋の入口の方へ声を放ってみる。

 するとたしかに反応があった。

 乱暴にフローリングを踏み鳴らす足音が聞こえる。姿が見えるより先に、俺の嗅覚が微かな匂いを拾う。

 漂う血の匂いに混じって、うっすらとシャンプーの香りがする。嗅ぎ慣れたその匂いにヴィルヘルムの姿が見えなかった理由が分かった。

 

 どしどしとやけに乱暴な足音を連れて、予想通りの状況で居候が部屋の敷居を越えて現れる。

 Gパン履いて、首に使いかけのタオル掛けて、上半身は裸。適度に鍛えられている白い肌の身体はやっぱり彫刻みたいだ。

 思わず自分と比べてなんかイラッとしたのは男の 宿命(さが)だと言っておこう。

 白い髪はまだしっとりと濡れていて、朝日の透ける薄暗い部屋の中で束に纏まってゆるく揺れた。

 そういえば朝に弱いと言っていた。

 あれから寝たのかどうかは先に寝落ちてしまったせいで分からないが、どっちにしろ気分をすっきりさせるためにシャワーを浴びたんだろう。

 そう考えると行動がまるで人間そのもので、なんというか、笑える。微笑ましいっていえばいいのか、これは。

 

「おはよう、ヴィルヘルム」

 

 感じたおかしさを隠せないまま、少しはにかんだ顔で朝の挨拶を声に乗せる。

 すると、うっすら濡れた前髪の間からぎろりと鋭く俺を見た。ぶつかった赤い瞳。明らかに剣呑な色。

 

 ん? なんかこいつ、怒ってないか?

 そういえば、歩いてくる足音もずいぶん乱暴だった。床を踏み抜くほど激しくなかったからたいして気にしなかった。だけどそれが元ががさつで乱暴だからでなく怒っていたからだとしたら。

 俺、何かこいつを怒らせるようなことしたっけ?

 少なくとも今日はまだ何もアクションを起こしていない。思い返してもさっぱり記憶にない。

 考えても分からなくて、頭の中が疑問符で埋まる。分からないまま理由を聞いたら余計怒りだしそうだなと思った傍から、またフローリングの床を踏み鳴らす乱暴な足音。

 

 ベッドに腰掛けた俺の目の前にずいっと仁王立って、威圧するように険しく見下ろしてくるヴィルヘルム。

 ぐしゃりと怒りに口元を歪めて、逆八の字に眉をつり上げて。そして、一言。

 

「オハヨー、レン?」

 

 あ、やっぱり怒ってるな、これ。

 きちっと朝の挨拶は返ってきたが、ドスの効いた声に上がった語尾。

 明らかにご立腹の吸血鬼。

  理由(わけ)が分からないまま見上げれば、嫌そうにフンと鼻を鳴らした。

 面倒くさそうに溜息をきながらがしがしと乱暴に頭を掻くと、腰を曲げてずいっと顔を寄せてきた。

 至近距離から不機嫌に凄まれる。

 なまじ綺麗で整った顔をしているだけに迫力半端ない。

 怯まずに平常心を心掛けて、怒っている理由がしりたいとじっと瞳を見返せば伝わったらしい。

 不機嫌なへの字が解かれた吸血鬼の口から、理由がつらつらと語られだす。

 

「レン、おまえ俺に朝メシ作れって言ったよな。わざわざ時間まで指定してよ。

 ――なのに、冷蔵庫ん中が空っぽだ。人に頼み事しておいて食材すっからかんってのはどういうことだよ、ああ゛?」

 

 冷蔵庫。朝メシ。空っぽ。

 人殺しの吸血鬼の口から飛び出した所帯じみたワードに思わず吹き出しそうになるのをぐっと堪えた。

 耐えろ、俺。

 どう考えても悪いのはこっちだ。さすがにこの状況で笑うのはマズイ。

 朝食を朝七時に用意、それが昨夜の俺の指示。それを守ろうと、朝食を作るために苦手な朝からキッチンと冷蔵庫をチェックした吸血鬼。

 ダメだ、面白い。こいつがキッチンで器用にフライパン振る姿とか、想像すると壊滅的に似合わない。

 

「あー、うん、悪かった。ごめん」

「はア? それで済むと思ってんのかよ。この俺をわざわざクソだるい朝からこきつかうことの意味を知れよ、ボケがあ!」

 

 笑うのを必死に堪えて何とか謝ると、すかさず飛んで来る追撃。

 たしかにヴィルヘルムの言う通り、冷蔵庫の中はほとんど空のはずだ。最後に冷蔵庫の扉を開けた記憶を辿る。もう二日以上前だ。

 ヴィルヘルムの朝に弱い特性を考えれば怒るのももっともだ。

 だけどもちろん俺にだって言い分はあるぞ。言われっぱなしでいいわけがないから当然言い返す。

 

「それに関してはほんとうに悪かったよ。でも半分はおまえらのせいだぞ。

 おまえらが俺に突然非日常を叩きつけるから肝心な私生活が疎かになったんだよ。のんきに買い物してる余裕なんてあるかよ」

「……む」

 

 その証拠に、最後に買い物に行ったのはおまえらが俺を半殺しにする前だと言ってやったら、さすがにヴィルヘルムが低く唸った。

 数日前の日常生活がままならない俺を同胞から聞かされているだろう。

 あれだけ狩りたがった獲物の動向におまえが興味がないとかありえない。だから知らないとは言わせない。

 その読みは外れていなかったみたいだ。至近距離に寄ったまま、逆ハの字だった白い眉毛が困ったように下がる。

 これで手打ちにしてくれるかと思ったが自分から仕掛けた手前、ヴィルヘルムはそう簡単に引き下がる気はないらしい。

 

「でもよお、食材ねえならメシ作れねえよな。今日はもうノーカンでいいだろ?」

「ダメだ。冷蔵庫になくても冷凍庫開ければ眠ってる何かが出てくるだろ。一品くらい何か作れ。命令は絶対撤回しない」

 

 状況が整っていないからと、ここぞとばかりに今回の命令実行は不可能だと訴えてくる。

 その訴えをぴしゃりと撥ね退けた。そんな甘えは許さない、ダメだからなヴィルヘルム。

 躾は最初が肝心だ。半分は俺の落ち度とはいえ、譲るわけにはいかない。

 せめてトースターで食パンくらい焼けよ。キッチンにパンがあったら、だけど。ない気がすっげーするけど。

 何か、何か食材一つくらい残っているはずだ、たぶん。

 ああ、もうなくてもなんとかしろよ。

 

 折れない俺に間近でぎりぎり犬歯が擦れる音。赤い瞳が余計に険しく眇む。

 

「ふざけんな! 食材がねえ以上はどうしようもねえよ、諦めろ!」

「断る。頑張る姿勢くらい見せろ! もう一回今度は冷凍庫探せよ!」

 

 朝っぱらから口論に火が着いて、額がぶつかり合う距離で睨み合う。

 こういうとき、俺とヴィルヘルムの相性はすこぶる悪い。似ているからだ。

 男なら誰だってそうかもしれないが、折れるってことが嫌いだ。簡単に言えば、負けず嫌い。

 こんなくだらない局面ですら、負けたくない。とくにこいつとは力量の差を度外視して最初からこうして意地を張り続けてきた。

 契約上立場が上な俺が上手に立ってスカさない限り、事ある毎にぶつかるのは当たり前だ。

 逆にそういう風に折れない奴だから、こういう歪な状態でも信用できると思っている。

 だからってやっぱり、こんなくだらない言い合いを朝からするのは面倒くさいけどな。

 今日は寝起きなのもあって、完全にスカすタイミングを間違えたみたいだ。

 

「うるせえ! 何か作ってやっから責任取ってまともな食材買ってこいって言ってんだよ!」

「やだよ。すげえ家事スキルあるんだろ、ここぞとばかりに披露してくれよ。あるモンでちゃちゃっと何か作れ!」

「……ッ!? てめえ昨日のそれ覚えてんじゃねーよ! ぽっくり忘れやがれ!」

 

 いっしょにキッチンまで行って、食材があるかないか現状の確認して、それからどうするか俺が指示して決めてやればいいじゃん、とか言うな。

 言われなくったって分かってる。

 不毛なのが分かっていながらお互い引くに引けなくなって子供じみた言い合いが加速する。

 俺をどうにか言い負かしたいヴィルヘルムが、無意識にかまたぐいっと距離を詰める。

 ベッドについに乗り上がったGパンの膝。首から垂れた湿ったタオルの端が俺の胸元にひやりと触れる。

 

「おいコラ、レン」

 

 赤い視線を外さないまま低い声で名前を呼ばれて。元々触れるか触れないかギリギリの距離がついに破られる。

 ぱさりと垂れた、しっとりと濡れた白い前髪。俺の頬を撫でて、その毛先のくすぐったさに思わず身を捩った。

 そしたら捩った勢いで運悪くベッドの縁からずるりとすべった俺の掌。

 完全に後ろへ崩れたバランスにやばいと思って咄嗟に掴まろうと伸ばした腕が二本。思いっきり、掴んだ。何って、それはまあ、うん。

 

「――っあ?」

 

 既にベッドに片膝乗せてたから上手く踏ん張れなかったんだろう。

 後ろの布団目掛けて思いっきり倒れた俺。がっしり掴まれてたヴィルヘルムももれなくついてきた。

 転けたのは情けないが床じゃなくてよかった、痛くなかったし。

 これならヴィルヘルムも平気だろう。そもそもこいつが聖痕以外で怪我を負うのかどうかすら怪しいけど。

 

 見上げると、怒りを通り越してすっかり呆れたらしいヴィルヘルムの顔がある。

 俺に腰をがっちり掴まれたまま、こっちの腰に跨った上半身裸の吸血鬼。真上にある赤い瞳に倒れこんだ俺が映っていた。

 ああ、やっぱり綺麗な顔してるんだな。

 殴る蹴る以外ではじめて身体に触れたが、案外普通だった。普通の人間とは違う感覚はもちろんあるが、想像していたよりは人間のものに近い。

 もしかしたらこれも首輪の効果でこいつだけが特別という可能性もあるから、これだけで判断するのは早すぎるかもしれないが。

 

「……レン、離せ。あんま撫でくり回すな、犬じゃねえぞ俺は」

 

 押し殺した呻くような声に白い喉が動く。

 肌の感触が気になるあまり腰を掴んだ指先が肌を軽く撫でてしまっていたらしい。

 

「ああ、俺に触られるの嫌なんだっけ。悪い」

「分かってんなら早く離せ。じゃねえとどけねえ、危ねえだろうが」

 

 ヴィルヘルムの口振りに違和感を覚える。

 嫌そうに寄る眉根に顰めっ面。この状況が嫌なのは間違いないだろう。

 それなら俺を振りほどくなり突き飛ばすなりしてさっさと離れればいいのに、逃げずに大人しくされるがままだ。

 掴まれた腰で俺を跨いだまま、じっと耐えるように口元を引き結んでいる。

 不思議に思って考えれば、すぐに正解が思い当たった。ほんとうにそうだとしたら感心する。

 確かめるために、がっしり腰を掴んでいた手の片方を外して綺麗に鍛えられた白い背中をわざと大きく撫でてみる。

 

「……ッ」

 

 詰めた吐息で不満をこぼしながら心底嫌そうに白い身体が身じろいだ。

 それでもやっぱり逃げなかったから、ヴィルヘルムの律儀さに好感を覚える。

 

 触られるのが嫌でも、耐える。触られたことで罵倒の言葉を吐くのも禁止。

 不可抗力だろうが俺に怪我なんて負わせたりしたらその時点で即刻アウト。契約違反で 死亡確定(リタイア)だ。

 そういうルールだったよな。関係を円滑にするために、最初に俺が決めたんだ。

 だからこの状況が嫌でしょうがないのに律儀に性格に似合わない我慢をしている。

 腰を掴む手を乱暴に振りほどかずに大人しく俺に撫でられるがまま。俺の決めたルールに従順な白い身体。

 

「ヴィルヘルム、おまえやっぱ凄いな」

「……感心とかいらねえから、もう離せよ、触んな馬鹿レン」

 

 正直な気持ちをぽろりとこぼすと、これっぽっちも嬉しくなさそうな顔して俺に跨ったままヴィルヘルムが溜め息を吐く。

 せっかく褒めてやったのに可愛くないから、もっと嫌がらせてやろうかとまた背中をするりと撫でる。

 そしたらまたもぞりと身じろぎした後、犬みたいに低くぐるぐると唸った。飼い主に抵抗するペット感半端ないな、おい。

 これ以上やると白いチンピラがキレて面倒くさいことになるだろうからここらで止めておこうかな。

 どうせなら触れられるのに慣れてくれると嬉しいけど、そこまでは望み過ぎだろう。

 こうやって予想以上にきっちりルールを守っているんだから俺としては充分だ。

 ただ、慣れればヴィルヘルムの方が楽になるからどうせなら慣れて欲しいとは思う。

 もちろんそう簡単に 外国人嫌い(ゼノフォビア)が克服できると思っていないが、毎度嫌がるのも耐えるのもヴィルヘルムが面倒くさいだろう。

 環境に慣れるのは得意そうだし、精神的にも肉体的にもさっさと俺を受け入れてしまえば楽になるはずだ。

 他の奴は無理でも俺一人くらいは嫌いや苦手の線引を好意的な方へ越えておきたい。その方がこの先間違いなく有利に進めるだろうし。

 なんだか凄い言い回しになったが、とにかくこいつに接触を避けられるのは俺としてももったいないってことだ。

 撫でるたびに毎回嫌がられるんじゃ、面白くない。

 こんなに綺麗なのに、触れない。触ったら嫌がられるっていうのはヘコむ――って、ちょっと待て。なんだそれ。

 

 変な方に転がった思考に自分で慌てる。ちょっと思考が混乱した。

 そのせいで、ヴィルヘルムの背中に回っていた片腕にぐっと力が入る。

 

「――ッ、てめえまたっ!」

 

 焦った俺の片腕に引き寄せられて、またぐらりとヴィルヘルムの身体が傾ぐ。

 押し倒されて、受け入れたような、傍目から見て誤解を招きそうな危険な体勢。あきらかに状況が悪化した。

 これ以上はキレるだろうと思っていた通り、また至近距離に寄った赤い瞳にぐっと怒りが宿った。

 さすがにこれは俺が悪い。素直にヴィルヘルムを解放して、謝ろう。

 なのに、悪いことって重なるんだよな。

 こういうジンクスって、絶対だ。おまけにあいつはいつだってタイミング最悪だ。

 

「おっはよー、蓮! 愛しの香純ちゃんが愛妻ラブラブ朝ご飯作りきましたよーん!」

 

 ぱかっといつもの調子で開いた大家に内緒の秘密の扉。そこからひょっこり顔をのぞかせた制服姿の幼馴染。

 

「ふえっ?」

「あ?」

「……あー゛」

 

 三者三様の反応。

 こっちをぽかんと見る香純の間抜け面を俺とヴィルヘルムが揃って投げた視線で確認。

 とたん、俺を押し倒すヴィルヘルムの身体がわなわなと震えたのを香純を見る視界の下半分に捉えた。

 ちらっと、目の前にある綺麗な白い貌を盗み見る。

 それはもうチンピラ全開で怒りに満ち満ちた顔をしていた。首輪がなかったら俺はこの場で撲殺確定だっただろう。

 ごめん、うん。俺が悪い、ヴィルヘルム。

 俺もいろいろありすぎていろんなことを失念してたんだ。

 おまえのことで手一杯で香純のことを綺麗さっぱり忘れていたとかほんとうのほんとうにうっかりすぎるよな。

 だけどやってしまったものはしょうがない。大事なのは今ここからどうするかだろう。

 だからそんな恐い顔すんなって。

 腹くくって協力して全力で誤魔化すしか道はないぞ。ホモのレッテル貼られたくなきゃ手伝えよ、ヴィルヘルム。

 

「……え? え? え? ふに゛ゃあああああああああああああぁあ!?」

 

 上半身裸の超絶イケメンな外国人とベッドで抱き合う幼馴染。しかもどうやら合意っぽい。

 朝っぱらからとんでもない衝撃の光景を目撃してしまい、部屋どころかアパート中に響き渡る香純の悲鳴。

 それになんとなく 既視感(デジャヴ)を覚えながら、密着したヴィルヘルムの腕の中で盛大に諦めの溜め息を吐いた俺だった。

 

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