※予告編からの変更が多数ありますのでご注意ください
「馬鹿にしやがって!馬鹿にしやがって!馬鹿にしやがってー!!!」
時計塔で学ぶ学生。ウェイバー・ベルベットは駆け足気味に廊下を歩っていた。
本来ならこの時間は講義を受けている筈だった。
しかし、彼は憎きケイネスの策略(ウェイバー視点)により講義中に論文をその場で引き裂かれて、笑い物にされてしまったのだ。
そして、いたたまれなくなった彼は教室を飛び出して今に至る。
「くそ!あいつは僕の才能を妬んでいるんだ!恐れているんだ!だから、あんな真似をして……!?」
その時の彼は注意散漫だったとしか言いようがない。
正面から来る荷物の満載された台車に気づく事が出来なかったのだから。
「いっつー」
「おいおい。大丈夫か?君?」
台車に脛を強打した彼は思わず、その場でうずくまってしまった。
その事により相手方に自身を観察する時間を与えてしまい、疑問を持たれることになった。
「君は学生か?講義はどうしたんだ?」
「あ、いや。ア、アーチボルト先生に用事を頼まれちゃって」
まさか講義を受けていたが講師に馬鹿にされて逃げ出してきました等と言える訳もなく。
多少の妥当性のある嘘をでっち上げた。
そう、これが彼の人生のターニングポイントだったのだろう。
「それはちょうど良かった。これを届けてくれるかな?」
「これ?ですか?」
「大事なものらしいからしっかり届けてくれよ」
台車を押していた男性はまだ他にも荷物があるらしく、忙しそうにその場を後にした。
残されたのはウェイバー・ベルベットと重要なものらしい小包一つだけだった。
なんとなしに送り主を確認する。
そこに書かれていたのは
「……マケドニア?」
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ウェイバーは荷物を受け取った後、図書館へと赴いていくつもの書物を紐解いて、この小包でケイネスが何をしようとしているのかを調べ上げた。
そうして、見つけたのが聖杯戦争だった
「聖杯戦争っていうのは肩書きも権威もいらない。正真正銘の実力勝負って事か。僕にもってこいの舞台じゃないか」
時計塔で家柄で軽んじられ、馬鹿にされてきた彼にはその言葉は酷く甘美に思えた。
「ん?英霊の召喚には聖遺物が必要?」
その文章にここまで持ってきてしまった小包に目を向ける。
恐らくこれがその聖遺物。
しかも、九代続いた魔術師の家系であるアーチボルト家などを使って手に入れたであろう一級品だ。
これを使えば強力な英霊が呼べるに違いない。
そう考え包装を破こうとした時にふと思ってしまった。
これでいいのかと、
もしも、この聖遺物で呼び出した英霊で勝利してもそれは本当に実力の証明になるのだろうかと。
(でも、まだ時計塔の一学生である僕に聖遺物が手に入れられるのか?他に何か方法は無いのか?)
改めて開いていた本を読み進める。
そして、見つけたのは触媒である聖遺物の縁が弱い場合には召喚者と相性が良い存在が呼び出されるという一文だった。
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「これで良しと」
ウェイバー・ベルベットは鶏の血で書かれた魔法陣の前に立った。
その魔法陣の中心には一本の模擬刀が刺さっていた。
彼が考えた作戦はこうだ。
触媒である聖遺物の縁が弱ければ召喚者との相性が優先される。
そして、天才である自分と相性の良い英霊が弱いわけがない。
それなら最初から触媒を敢えて酷く広義的なものに変えて自分との相性を前面に出すことにしたのだ。
その触媒に模擬刀を選んだのは最優のクラスであるセイバーを呼ぼうと考えたからだ。
ちなみにあの小包はケイネスの研究室の前に置いてきた。
そう、勝負はフェアで無くてはいけない。
決して聖杯戦争中に集中的に狙われないようになどとか思っていないのだ。
「さて、待ってろよ。僕のサーヴァント」
詠唱をはじめるその心には多分な期待と少々の不安があった。
聖遺物ですら無い触媒での召喚。
これは本当の意味での召喚者の実力勝負という側面がある。
つまり、これで呼び出されたサーヴァントの強さが自分の実力に直結すると考えて良い。
「
実力や才能は目に見えるものではない。
故に人は努力できる。
しかし、この方法ではそれが絶対とはいえないが見えてしまうのだ。
これで酷く弱いサーヴァントが現れたらウェイバー・ベルベットは折れてしまうだろう。
ただ、次代に全てを託すだけになっていただろう。
「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、」
だが、彼はそう
「天秤の守り手よ―――!」
酷く幸運なのだ。
「……問う」
「貴方が私のマスターなの?」
その日、