4th/Jul/2017 10:24 太平洋
夏の暑い日差しが照りつけ、どこまでも凪いだ海が広がる太平洋上を1機の航空機が飛んでいた。
「スクランブルかかったからとすっとんできたはいいが、何もいやしねぇじゃねぇか。」
コクピットに座った機長らしき男が言った。
「一帯をすべて探したはずですが...。」
後方のソナー員が困惑したような声で言った。
「逆合成開口レーダーを使っても見つけられませんでした。いったい...」
「コイツ《P-3C対潜哨戒機》に乗って12年と3ヵ月、こんなことは初めてだ...な。」
機長の声からは不安や恐怖が感じられた。当然である。P-3Cは本来潜水艦を見つけるために作られた航空機でレーダーやソノブイ、赤外線暗視装置まで備えた正にオライオンという名に相応しい優れた哨戒機だからだ。その装備をフルで活用しても敵潜の発するノイズの一つすら拾えなかったのだ。潜水艦は速力が低いため絶対に捜索範囲内にいるはずなのだ。
「仕方が無い。燃料も少ないし帰投しよう。」
機長は帰投するため無線で連絡をいれようとした。
そのとき、
「機長!ソナーに感!方位210、距離700、深度...10...!」
「!?目視で確認しろ!」
機長を含めクルー全員が焦っていた。上空を哨戒機が飛んでいるのに浮上するなど自殺行為に等しいからだ。普通はありえない。
「目標を視認!しかし...!」
目標を目視で確認したコパイの声は困惑していた。
「なんだ!?どうした!なにがいる!?」
コパイの顔は蒼白だった。
「目標は船舶ではない!」
その瞬間クルー全員が衝撃を受けた。
「船舶じゃないなんてことがあるか!ちゃんと確認しろ!」
「確認してますがあれはどう考えても船じゃありません!」
コパイは怯えているのか半泣きになりながら反論した。
「もういい!貸せ!」
機長はコパイから双眼鏡を半ば奪い取るようにして受け取り、覗き込んだ。
「なんだ...あれは.....」
そこにはまるで漆黒の岩のような物体が浮かんでいた。否、泳いでいた。
まるで
「恐竜だ.....」
機長は感動とも畏怖ともとれるえも言われぬ感情に支配された。
基地に帰投した後、彼らはありのままを報告した。しかし、信じる者は誰一人いなかった。
後日、彼らは同じ海域を捜索したが発見どころか、手がかりさえも入手できなかった。
しかし、彼らの機体に搭載されていたカメラの映像により、ようやく謎の生物の存在が認められた。
彼らの発見が後に全世界を巻き込む大騒動になるなど、この時はまだ誰も知る由がなかった。