東方零人記~とうほうれいじんき~   作:†Ria†

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ある日

平和な幻想郷で突然起こった異変

それは
無数の妖の消失…。



第1話~博麗の巫女

【博麗神社】

 

「ってな訳で、向こうじゃ大騒動らしいぜ!」

 

「へぇ…妖怪がねぇ…」

 

と、金の髪の少女“普通の黒魔術師”

『霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)』は

 

箒で境内を掃除する黒髪の少女“夢と伝統を保守する巫女”

『博麗 霊夢(はくれい れいむ)』に大袈裟に話してみせた。

 

魔理沙「ヘェ…って、本当に分かってるのか?

妖怪退治が専門のお前が、退治する妖怪が“消えていってる”んだぞ!?」

 

魔理沙は特に動揺しないで掃除を続ける霊夢の顔を覗き込む

 

霊夢「分かってるわよ。

それで向こう(妖怪)サイドが大変なんでしょ?」

 

霊夢はしつこい魔理沙にめんどくさそうに返しながら、小さくため息を吐く

 

霊夢「でもね魔理沙、私たちは“人間”なの、確かに私は妖怪が人間に危害を加えるようなら退治もしに行くけど…。

今回は“妖怪どうし”の問題でしょ?」

 

魔理沙「妖怪どうし…?

妖怪を消してる犯人も、妖怪だって言うのか?」

 

霊夢「ただの人間に妖怪を完全に消し去ってしまう力なんてないわよ。

とすると…答えは必然でしょ」

 

目を瞑り、ささやかな春風を肌に感じながら霊夢は話す

 

魔理沙「まぁ…そう言われるとそうなんだが…。なんだ…せっかく“異変”が起きたかと思ったのに…」

 

霊夢の言葉に納得したのか

魔理沙はつまらなそうに言って頭の後ろで手を組む

 

霊夢「…まるで異変が起きてほしい、みたいな言い方ね」

 

魔理沙「なに言ってんだ、起きたほうがいいに決まってるじゃないか!」

 

怪訝な表情で霊夢に振り向く魔理沙

霊夢はそんな魔理沙の表情を見て思うのだった…

 

霊夢「私の…周りの8割は、厄介で出来てるなぁ…」

 

 

 

魔理沙「しかしそうなると、いよいよもって暇な訳だが…。

三妖精でもいびりに行くか…」

 

と、魔理沙が空を仰ぎ呟いていると

 

「それですが、そう暇だとも言えなくなってるみたいですよ」

 

魔理沙「ん?」

 

霊夢「あんた…」

 

突如、空からそんな声が聞こえ、魔理沙と霊夢は

鳥居の上に視線をやった。

 

「毎度お馴染み射命丸です。

ちゃんと新聞読んでますか?」

 

言って、霊夢に向かって新聞を一束投げ渡す黒髪の彼女は

“伝統の幻想ブン屋”の二つ名を持つ“鴉天狗”

『射命丸 文(しゃめいまる あや)』

 

霊夢「また新聞……あんたも相当暇ね…」

 

霊夢は鳥居の上に立つ文に言って、新聞を開いた

 

魔理沙「なになに…?

“人里を襲う…妖怪続出”って!?」

 

霊夢「なによこれ…!

どういうこと!?

幻想郷の妖怪は人間が居て成り立つのよ!?

むやみに人間を襲えば…」

 

文「確かに…。幻想郷自体の存亡も危うくなりますね。

で…お二人は、妖怪の消失事件はご存知でしょうか?」

 

魔理沙「それなら知ってるぜ、昼夜場所を問わず、次々と妖怪たちが“神隠し”にあってるんだってな」

 

霊夢「神隠し…?

で、それとこの記事と、なんの関係があるわけ?」

 

文「神隠しとは少し違いますが…、ようは、妖怪を消し去っているのが、人間だと言う噂が立っている訳です」

 

魔理沙「なるほど、やられる前にやるって訳だ…」

 

霊夢「っ…バッカじゃないの?

ただの人間にそんな力があるわけないじゃない」

 

魔理沙「まぁ、妖怪を消し去る力なんてな…。

私も信じられないぜ」

 

と、不機嫌な霊夢に続き、眉を潜める魔理沙

 

文「そうは言っても、実際数々の妖怪が消えていますし、目撃者だって存在するんですよ」

 

霊夢「…目撃者?」

 

文「えぇ、妖怪が、1人の“少年”に消されるその瞬間を、目撃した人が」

 

霊夢「少年…?」

 

魔理沙「…その目撃者ってのは人だったのか?」

 

文「人ですよ、小さな村の子供です…。

…会ってみますか?」

 

霊夢と魔理沙の食付きを見て

文は小さく微笑んだ後、尋ねた。

 

魔理沙「そりゃもちろん!

なっ、霊夢」

 

霊夢「そうね…。

真相を知りたいのもあるけど、幻想郷の存亡がかかってるなら尚更。

幻想郷の規律を守る博麗の巫女として…。

この異変、解決してみせようじゃないの!」

 

 

 

 

【人間の村】

 

霊夢「…珍しいわね……普段はもっと活気があった筈だけど」

 

村に着き、霊夢は殆ど営業していない店を見て声を洩らす

 

文「人を襲う妖怪が頻繁に出回っていますからね、人は家に隠りっきりです」

 

魔理沙「気にしてないのは子供ばかりか…」

 

言いながら通りを見渡す魔理沙は、4人で固まって遊ぶ子供たちを見て呟き

 

文「あっほら、あの子供ですよ」

 

その中からたまたま捜していた子供を見つけた文は、霊夢と魔理沙に話して子供を指さした。

 

魔理沙「…子供は別に普通だな」

 

霊夢「当たり前でしょ」

 

文の指さす子供を見て、魔理沙はつまらなそうに呟き

霊夢はツッコミながら

 

霊夢「あんたらはここにいなさい」

 

「話がややこしくなるから」と付け足し

魔理沙と文に背を向け子供に近づいて行った。

 

魔理沙「全く、失礼なやつだぜ」

 

文「本当ですね。

あの巫女は礼儀がなってなくて困りますよ」

 

等と2人は口々に文句を言いながらも、霊夢に言われた通りその場から動かなかった。

 

霊夢「ねぇ、ちょっといいかしら?」

 

「ふぇ?おねーちゃんだぁれ?」

 

霊夢は、固まって遊んでいた子供たちの中に割って入り

目的の男の子に話しかける。

 

霊夢「悪い妖怪を退治するありがた~い巫女様よ。

それよりボク、この村に現れた妖怪を退治した“人”…知らない?」

 

「えっと…妖怪退治のおにぃちゃんのこと?」

 

問いかけに反応した男の子を見て、霊夢は更に質問を重ねる

 

霊夢「そうそう。

ボク、そのお兄ちゃんが妖怪退治してたのを見たんだって?」

 

「うんー!

おにぃちゃんねースゴいカッコ良かったんだよー!

でも…なんでおねぇちゃんおにぃちゃんの事知ってるの?

もしかしてお友だちなの?」

 

男の子は、霊夢の問いかけに答えると、純粋な疑問を霊夢に返した。

 

霊夢「そうよー。

ちょっとはぐれちゃったから、捜してるんだけど…」

 

「そーなんだー…!?

じゃあボクが、おにぃちゃんのとこまで連れてってあげるね!」

 

霊夢の嘘を完全に信じ込んだ男の子は、パアッ と表情を明るくすると、突然霊夢の手を引き歩き出した。

 

霊夢「えっ?ちょっ…」

 

いきなりの当たりに驚き、多少強引に手を引かれながらも、霊夢は男の子に着いて行き

 

魔理沙「ん? なんだ、交渉成立か?」

 

離れた場所で待機していた魔理沙は、動き出した霊夢を見て呟き

 

パシャ!

 

文「幼子を連れ去る巫女…。

これはこれでいい記事が書けそうですね」

 

カメラのレンズ越しに霊夢と男の子を覗き込む文は、独り言を口にしながら小さくほくそ笑んでいた。

 

魔理沙「いや、どう見ても逆だろそれ…。

だが、お前の記事にしては面白そうだな!」

 

文「うーん? まぁ多少引っかかりますが……泥棒もようやく、私の新聞の良さに気がつきましたか!」

 

「あははははっ」と道の真ん中で笑い出した2人を視界の端に捉え

男の子に手を引かれながら、霊夢は哀れみの視線を送っていた。

 

 

 

 

【村外れ】

 

「おにーちゃーん!」

 

霊夢「ちょ、ちょっと待って…!」

 

村の外れまできて、霊夢の手を放し、突然走り出した男の子の行く先を見て

霊夢は足を止めた。

 

 

「……なんだ、またお前か…危ないからここにはくるなって言ったろ」

 

 

霊夢の視線の先には、身長170センチ程の黒髪の青年が

近づいてきた男の子に言って、額を小突く姿が映っていた。

 

青年「……あんたは…?」

 

と、青年はこちらを見つめる霊夢に気がつき、尋ねかける。

 

霊夢「…あんたね 妖怪を次々に消し去ってる“妖怪”…」

 

青年「…は?」

 

霊夢の唐突な質問に、青年は頭に?マークを浮かべる

 

霊夢「しらばっくれるなっ!!」

 

ヒュヒュヒュッ!

 

霊夢は青年の様子を見て、胸元から三枚の札を取り出すと青年に向けて投げつけた。

 

青年「なっ!?」

 

ダッ!

 

青年は慌てて身を引き唖然とする男の子から離れた。

 

ヒュッ!

 

青年が男の子から離れた瞬間を見計らい、霊夢は今度は男の子に向け札を投げつけた。

 

青年「!?」

 

ヲンッ!

 

札は男の子に触れる寸前、三角形の結界を作り出し

男の子を隔離した。

 

「お、おにーちゃん!」

 

青年「なにをっ!?」

 

霊夢「あの子は巻き込めないでしょ?

心配しなくても、時期に解けるわ」

 

霊夢は言って、ジリッと青年との間合いを計る。

 

青年「……どうしてもヤるつもりみたいだな…」

 

青年は好戦的な霊夢の目を見て、戦う覚悟を決めた。

 

 

 

魔理沙「……なーんだ、結局戦りたいだけだったんじゃないか…」

 

文「あれで好戦的ですからねぇ、あの巫女は」

 

一方、霊夢と男の子の後を着けてきた魔理沙と文は、青年と対峙する霊夢を見て呟いていた。

 

魔理沙「しかし運がないなあの男、ああ好戦的な霊夢が相手じゃ無事じゃいられないだろ」

 

文「あやや、男の方の心配ですか」

 

魔理沙「別に霊夢の味方って訳じゃないしな。

いっそのこと、アイツがやられてくれた方が、私の所に仕事が舞い込んできそうなんだが…」

 

ニシシッ と笑いながら、魔理沙は手に持つ箒をくるりと回す

 

文「どうですかねぇ。

あの目をしている巫女が、負けた姿を見たことないですが…」

 

文はカメラを構え、レンズ越しに霊夢を見ながら、楽しそうに笑っていた。

 

魔理沙「まぁ、霊夢の勝ちは揺るがないだろうがな、残念ながら」

 

文「大層な天才ですからねぇ…。

“夢と伝統を保守する巫女”

博麗 霊夢…」




紹介ページ

名前 :博麗 霊夢
読み :はくれい れいむ

二つ名:楽園の素敵な巫女.夢と伝統を保守する巫女

能力 :空を飛ぶ程度の能力.霊気を操る程度の能力.神々を体に宿す程度の能力

種族 :人間

呼称 :霊夢.紅白.巫女.貧乏巫女

所持スペルカード代表:
霊符「夢想封印」
夢符「封魔陣」

備考:
幻想郷の規律を守る博麗の巫女。
本作、東方Projectの主役であり、
今作、零人記の主人公でもある。
俗に言う天才だが
努力が報われると信じておらず、修行をサボっている為、力を完全には引き出せていない。

単純だが裏表の無い性格で、喜怒哀楽が激しく、怒りの言葉で短絡的な会話をすることも多い。

人・妖怪を問わず惹き付ける不思議な雰囲気の持ち主。
誰に対しても優しくも厳しくも無い平等な性格だが、仕事が妖怪退治な為、妖怪に対しては厳しい口調を向ける事もある。

仕事中は特に、好戦的な性格に変化する為、弱い妖怪からは恐れられている。
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