霊夢は一人、ふて寝を決め込んでいた……のだが
【博麗神社】
霊夢「…………なんの用よ」
居間で一人、腕を枕に横になっていた霊夢は、ふと何かに話すかのように呟いた。
「あら、気づいてたの?」
すると、霊夢一人しかいない居間のどこからか、そんな声が聞こえ
霊夢「……はぁ、また、面倒ごとね?」
霊夢はダルそうにゆっくり体を起こすと、声の質問には答えず、そう問いかけた。
「ふふ、あなたがそう思うならそうなのかもね」
等と都合よく答えながら、声の主はようやく、その姿を見せることにしたらしい
ジーーッ!
と、ジッパーを下ろしたかのような音と共に、畳に座る霊夢の背後の空間に、裂目が表れ
そこから、その声の主は現れた。
霊夢「で、今度の要件はなに? 紫」
紫「まぁ……、そう慌てない事ね」
『八雲 紫(やくも ゆかり)』
金の髪と豊満なボディのお姉さんであり、次元の狭間に住まう“神出鬼没な妖怪”。
霊夢「あんたが自分から出てきたってことは、今回の件とあんたは関係ないみたいだけど」
紫「あら? 失礼ね、疑ってたの?」
霊夢「……」
紫のふてぶてしいセリフに、霊夢は内心ムカつきながらも、振り向き
霊夢「あのねぇ、普通の人間が太刀打ちできない妖怪たちが、次々と消えていったのよ?
狭間からどこへでも出れるあんたの他に、むしろ適任なんているかしら?」
紫「妖怪の神隠し……、そんな噂も立ち始めてるけど、これは私の仕業じゃないわ。
そもそも、それはまだ続いてるんだし」
霊夢「……だろうと思ったわよ。
さっきそれっぽい奴を捕まえてきたとこだったけど、検討違いだったみたいだし」
紫「あら、珍しく行動が早いわね。
……それで? その奴はどこ?」
霊夢「出てったわよ。魔理沙と一緒に」
紫「あらそう。少し興味があったのだけど……。
まぁいいわ。それじゃ、本題だけど……」
霊夢「はいはい、今度はなにをすればいいわけ?」
毎度の流れに、霊夢は嫌々ながらも付き合い、先を促した。
紫「吸血鬼の妹が消えたわ」
霊夢「…………は?」
・・・・・
【紅魔館 大図書館】
魔理沙「まったく無茶するなよな……」
美鈴との戦いに勝利したものの、零はすでにボロボロで、魔理沙に肩を貸してもらい、どうにか館内の大図書館まで足を運んでいた。
文「でも不思議ですねぇ、なんで……、門番のスペルカードが効かなかったんですか?」
零「そんなの僕が聞きたいくらいだ。
そもそも、僕はあのスペルカードってものの存在すら知らなかったのに……」
道中、スペルカードについての説明を受けた零だったが、当然、そんな物を自分が扱えるわけもなく
しかしならば尚更、美鈴のスペルカードの直撃を受け、無事だった事に説明がつかない。
それを不思議に思い、文は頭を捻らせていた。
魔理沙「……考えられるとすれば、剣の方じゃないのか?」
文「……なるほど、泥棒にしては賢い!」
魔理沙「喧嘩売ってるのかお前……」
文「やだなぁ、冗談ですよ!
けど……、剣の線は有り得ますね。
ただ、あんな透き通った剣、見るの初めてですけど」
魔理沙「私もだ。 前に天人が持ってた剣とは違うみたいだし。
なぁ、あれどこで手に入れたんだよ」
零「どこって……」
魔理沙に聞かれ、零はそれを思い出そうとしたが……
零(……あれ? ……どこで手に入れたんだ……?)
それすらも、零の記憶には無かった。
文「でも、出したり消したりできるのなら、魔法で作り出してるんでは?」
と、ここで文は、必要に応じて手にしたり消したりと、剣を自由に出し消ししていた零の行動を思いだし、そう呟く。
魔理沙「だとすれば、剣を扱う程度の能力じゃなく、剣を作り出す程度の能力ってことか?」
文「それなら、作り出した剣に能力を付与させれても不思議じゃないような……」
零「……悪いがピンとこないな。
僕も、自分の能力を把握出来てる訳じゃないから」
二人の視線を感じ、視線も伏せ気味にそう話す零。
そんな零の様子に、二人はそれ以上の追求を止めた。
文「……それにしても、あなたも甘いですねぇ。
あの門番、まだピンピンしてたのに、これ以上は攻撃できないなんて宣言しちゃって」
零「……女を斬っても後味悪いだけだ」
魔理沙「って……、妖怪だぜ?」
零「分かってるさ。それに、あのまま続けてても僕に勝ち目は無かったからな。
あれで敗けを認めて通してくれたんだ。
話の分かる奴で良かったよ」
魔理沙「…………ん? 今のは当て付けか?」
零「……さぁな」
「止まりなさい」
雑談にも一区切りついた、そんな時。
声が聞こえ、零たちはその方向へ振り向いた。
魔理沙「あっ、パチュリーじゃないか!」
言って、魔理沙は視線の先に浮く、紫髪のパジャマ少女に手をふった。
“動かない大図書館”
『パチュリー・ノーレッジ』
この大図書館を管理する魔女だ。
パチュリー「なにをしにきたのか知らないけど、すぐに帰りなさい」
パチュリーは淡々と、真剣な表情で三人に告げる。
魔理沙「なんだよ、こないだ黙って本を借りたのをまだ怒ってるのか?
あれは悪かったって、それよりパチュリー、聞きたい事があるんだ……」
パチュリー「黙りなさい。
なにを聞いてる暇もないの、すぐにここから去りなさい。
これが、最後の忠告よ」
魔理沙「な、なんだよ……そんな怒らなくてもいいだろ…」
零「……なぁ、あの人は魔理沙と仲が悪いのか?」
魔理沙とパチュリーの会話から、零は文へ尋ねる。
文「泥棒と仲がいい人なんていないでしょう」
零「……確かに」
文「けど、今日はちょっとおかしいですね」
ため息混じりに返した後、普段と比べ、やたらとピリピリしているパチュリーの様子に、文は話した。
魔理沙「なぁ! ちょっと話を聞きたいだけなんだって!」
パチュリー「だから、帰りなさいって……!」
と、そこまで叫び、パチュリーはなにかを感じたのか、すぐに左側の壁へ視線を向け
パチュリー「っ見つかった!!」
ブブンッ!!
自身を囲むように風の結界を展開。
瞬間
ッッドオォォォンンッッ!!!!
「「!!?」」
大図書館の壁がなにかに吹き飛ばされ、壁を吹き飛ばしたナニかは、そのままパチュリーが展開した結界にぶつかった。
ビシビシビシッ!!
パチュリー「!!?」
展開する結界は歪み、次の瞬間
パァァァンンンッ!!!
それは跡形もなく消し飛ばされ
……ゴアッ!!
間も無く、ソレはパチュリーに迫り
ブアッ!!!
しかし、空を切った。
パチュリー「っ……魔理沙!」
ソレがパチュリーを捉える寸前、箒に股がり飛び出していた魔理沙が、パチュリーをひっぱり救出していたのだ。
魔理沙「おいパチュリー……、なんだよ、あの吸血鬼は……!」
パチュリーの服をひっぱりながら、背後の空中に佇む、パチュリーを攻撃した存在を指し、魔理沙は問いかけた。
パチュリー「なにって……、決まってるでしょ。
……レミィよ」
・・・・・
零「なんだよ……アレ」
文と共に本棚の影に身を潜め、そこから空中に佇む紫に近い青髪の少女、幼女とも取れる彼女を見つめ、零は呟いた。
“紅い悪魔”
『レミリア・スカーレット』
幼い見た目とは裏腹に、500年もの歳月を生きる吸血鬼であり
この紅魔館の主。
しかし、どうも様子がおかしい。
レミリア「ゥゥゥゥ……」
普段はプライドが高く尊大な態度の彼女が、今日に限ってはまるで野犬のように牙を剥き出しにし、その瞳孔は開き、唸りを上げ
更にその両手の爪は異様に伸び
背中から生える蝙蝠の翼は、より巨大さを増し、刺々しく変化していた。
ギロリッ!
魔理沙「っ!」
ある程度離れた場所でパチュリーと共に空中に留まる魔理沙は、その様子のおかしなレミリアに睨まれ、びくりと体を硬直させた。
魔理沙「っ……くそ」
パチュリー「……臆するのも無理ないわ」
ただ睨まれただけで、畏縮してしまった自分が情けなくて魔理沙は呟き、そんな彼女を見て、パチュリーはそう口にした。
パチュリー「アレは真性の吸血鬼、もはや人間ではどうすることもできないわ」
魔理沙「……なんでレミリアはあんな姿になってるんだ?
喧嘩にしちゃやりすぎだろ……」
パチュリー「……さぁ。喧嘩程度なら良かったんだけど……。
長年レミィと一緒にいたけど、私も初めて見る変化よ。
それに、レミィは今正気を失っている。ここはどうにか逃げて、あの姿になった原因を突き止めないと……。
対処するのはそれからよ」
魔理沙「逃げる? そんなまどろっこしい事しなくても、あいつを動けなくすれば早い話だろ?」
パチュリー「馬鹿な事言わないで。
見てたでしょう? 私の魔法でさえ簡単に破るのよ?
あなたがどうにかできるレベルじゃないわ」
魔理沙「なんだよ、ずいぶん逃げ腰だな。
そんなの、やってみなくちゃ分からないだろ!」
ドンッ!!
パチュリー「っ! 待ちなさい魔理沙!」
パチュリーの制止も聞かず、魔理沙は箒にまたがったまま、再び加速し、レミリアに向かっていった。
魔理沙「行くぜ! 受けてみろ! 魔符『スターダストッ!!』」
叫びながらレミリアに向かって行った魔理沙の眼前に、虹色に輝く符が表れ
ギュボッ!!
瞬間、魔理沙の周囲には星型の魔弾が形成された。
ドドドンッ!!
レミリア「……!」
ドォォンンッ!!
魔騨は魔理沙よりも速くレミリアに向かっていき、直撃
魔理沙は爆煙が上がったその場を避けるように天井近くにまで飛び上がり、そこから爆煙を見つめる。
すると
ボッ!!
レミリア「ハァァァッ……!!」
魔理沙「げっ!?」
まるでダメージを負っていないレミリアが、爆煙を突き抜け魔理沙に近づき
ウボッ!!
魔理沙「!?」
ザンッ!!
レミリアはその長く鋭利に伸びた爪で魔理沙を殴るように切り裂き
パチュリー「魔理沙!」
吹き飛ぶ魔理沙が床にぶつかる寸前、パチュリーは床と魔理沙との間に水のクッションを作り出し
ザブンッ!!
魔理沙が水の中に落ち、勢いを殺すと
ザパンッ……
水は弾けて消え、魔理沙は低い位置から床に横たわる結果となった。
しかし
レミリア「ハァーー……ッ」
レミリアはまだ、魔理沙を狙っていて
ブーーーンッ……
レミリアの背後に、紅い弾幕が展開される。
パチュリー「っ! 土水符!『ノエキアンデリュージュ!』」
キュ――――ッドドドドドドッ!!
そんなレミリアの行動を先読みし、準備していたスペルカードを発動したパチュリーは、展開した流水の弾幕を速攻してレミリアへ向け連射した。
レミリア「!」
ドドドドドォォンンッ!!
パチュリー「ごめんね……レミィ」
吸血鬼の弱点である流水を使い攻撃した事で、レミリアが無事ではすまないと予想したパチュリーは、小さく呟いた。
零「ダメだ逃げろっ!!」
刹那、そんな零の声を聞き、パチュリーは伏せていた顔を上げた。
瞬間
ドスッ!!
パチュリー「……え?」
目の前には、恍惚としたレミリアの表情が
そして床には、
ポタ…………ポタポタッ
真っ赤な血が滴り落ちた。
魔理沙「ぱ、パチュリー……!」
文に肩を借りて立ち上がった魔理沙は、切り裂かれた左腹を押さえながら、立ち尽くすパチュリーの名を呼んだ。
パチュリー「…………レミィ……」
フッ……ドシャ
レミリアの名を呟き、気を失ったのか、床に倒れるパチュリー。
そんな彼女の腹部は、赤く血で染まっており
それは、レミリアの爪により貫かれた傷口から流れ出ていた。
文「これは……かなりマズイんじゃ……」
さすがの記者もこの状況には余裕も無さげに呟き、頬をひきつらせる。
レミリア「……ァはぁ……」
爪についたパチュリーの血を舐めながら、レミリアは次の獲物を見定めるかのように、文と魔理沙を見つめる。
文「……これは……、一度退散しますよ。
どうもあの吸血鬼、私たちが知っている者とは随分違うようですし」
魔理沙「けど、パチュリーをあのままにしておけないだろ!」
文「……とは言え、私たちでは現状手に余りますね。
今の吸血鬼は、弾幕ごっこをしている訳じゃないようですし。
純粋な戦闘では分が悪すぎますから」
魔理沙「っ……」
先ほどのレミリアの一撃を受け、その戦闘力の差を思い知らされた魔理沙には、これ以上、文の言葉に切り返す事はできなかった。
文「さてと、それじゃあ後はあの人ですか……」
魔理沙の沈黙を了解の意とし、文は問題の人物に視線を向けた。
文「やってくれますね、あれはただの自殺ですよ」
魔理沙「……?」
文の言葉に、うつ向いていた魔理沙は顔をあげる。
魔理沙「なっ!?」
「ハアァァッ!!」
レミリア「……?」
ガキンッッ!!
そこには、レミリアに斬りかかる零の姿があった。
零「っ……! 簡単に受けとめてくれるなっ」
レミリア「……」
ブンッ!!
零「うわっ!?」
零を獲物だとも認識していないのか、レミリアは表情一つ変えずに、受けとめていた剣の刃を引き、零ごと本棚へ向け投げ飛ばした。
ドカァンッ!!
文「あちゃ~……」
魔理沙「なにやってんだアイツ……」
零「っっ……」
バサバサッと、被った本を振り落としながら立ち上がる零。
文「なにやってんですか! 逃げますよ! 早くこっちに!」
文は、立ち上がり、まだレミリアに向かっていく気なのか、剣を構える零に叫んだ。
しかし
零「断る!」
文「……は?」
零「目の前に女が倒れてるのに、黙って見過ごせるかよ!」
文「……はぁぁ?」
魔理沙「……」
零「逃げるなら行け! こいつは僕が……! 倒す!!」
言って、再び駆け出す零。
文「あの馬鹿……なにいってんですかね」
魔理沙「ふっ」
文「……?」
魔理沙「ははははっ!」
文「あーもぅ、なんなんですか今度は」
魔理沙「悪いな文屋」
ぐいっと、借りていた文の肩から腕を引く魔理沙
魔理沙「私より弱いアイツがあれじゃ、私が逃げる訳にはいかないだろ?」
ニッと笑って、完全に戦意を取り戻した魔理沙は、スペルカードを手にした。
文「…………あー! なんでこんなに馬鹿ばっかり…!」
魔理沙「馬鹿で結構、少なくとも目の前の奴を見捨てて逃げる腰抜けよりは100倍マシだゼ!!」
文「~~! いいですか、私は支援だけですよ!」
魔理沙「支援する暇があればなっ!」
パシッ! と、床に落ちていた箒を魔法で手繰り寄せ、魔理沙はそう言うと
魔理沙「行くぜっ!」
ドンッ!!
箒にまたがり、レミリアに向かっていった。
文「スペルカード! 旋符『飄妖扇ッ!』」
キィィ─────ンッ!
魔理沙が突っ込むのと同時に、文はスペルカードを発動
自身の周りに鎌鼬を生み出し
文「行けッ!」
フォフォフォンンッ!!!
レミリアに向け放った。
一方魔理沙は
ドドドドドドッ!!
レミリア「……」
レミリアへ向け先制して魔弾を放っていたが、やはり通用しないようで
しかし、レミリアの周囲は爆煙に包まれた。
魔理沙「……きたか」
背後に迫る文の鎌鼬を感じ、すぐに軌道を変えると
魔理沙「こいっ!」
零「なっ!?」
レミリアに向かっていた零の服の襟を掴み、空中へ飛び上がった。
ブンッ!!
爆煙を晴らすため、腕を振るったレミリア
そんな彼女の眼前には
ヒュアッ!!
レミリア「!!」
ガガガッッ!!!
文の放った鎌鼬が迫っていて
複数の鎌鼬は、問答無用にレミリアを引き裂いた。
文「さぁ隙は作りましたよ!」
魔理沙「じゃあ次は……! お前だ!」
零「っえぇっ!?」
ブンッ!!
文の攻撃により動きを止めたレミリアへ向け、空中から零を投げ飛ばす魔理沙
魔理沙「一撃やってみろ!」
零「一様怪我人だぞ!?」
飛ばされながらツッコミつつ、観念し、剣を構える零
零「後で覚えとけよ……。
……斬気閃ッ!」
ザンッ!!
レミリアとのすれ違いざま、零は剣を振り抜き、その翼を切り裂いた。
そして
魔理沙「これで最後だ! 恋符!『マスター……」
魔理沙は八卦炉に魔力を収束、その標的を、レミリアに絞った。
だが
魔理沙「スパー…………!?」
いざ放とうとした瞬間、魔理沙は目を疑った。
魔理沙「なっ!? どこにっ!?」
ほんの一瞬前までそこに居たレミリアが消えていたのだ。
零「な、なんだ……!?」
文「……これは」
それは、地上で様子を見ていた二人も同じで
しかし
文「……やっぱりあなたですか」
文はなにかに気づいていたのか、背後に迫ってきた影に、振り向かずにそう話した。
文「十六夜咲夜」
「……」
“完全で瀟洒な従者”
『十六夜 咲夜』
この紅魔館のメイド長であり、実質館を管理する、館内唯一の人間。
常に身に付けているメイド服と、銀髪が特徴だ。
文「時を操る程度の能力ですか……、相変わらずチートですね」
咲夜「……どんな事情があろうと、お嬢様を傷付ける者は……排除する」
ジャラッ と、ナイフを手のひらで広げ、文を威嚇する咲夜。
魔理沙「おい待て! 今の吸血鬼は正気じゃないんだ!」
咲夜「言ったでしょ、どんな事情があろうとも……」
と、咲夜がそこまで口にした時だった。
ズバンッ!!
文「!?」
咲夜「っ…………!?」
咲夜は、背後に匿っていたレミリアの爪に背中を引き裂かれ
ドシャッ!!
咲夜「……お、お嬢様……」
血を流して床に倒れた。
文「あらら……」
魔理沙「言わんこっちゃない…」
レミリア「アハッ……」
文と零がつけた傷は、持ち前の回復力ですでに完治しており
レミリア「…………」
咲夜「っ……」
レミリアは倒れる咲夜に、爪を突き立てた。
ブアッ!!
レミリア「!!」
スカカッ!!
そんなレミリアに向け、零は剣を、文は団扇を振り抜くが、レミリアは瞬時にそれを避け、空中へ繰り出した。
魔理沙「うわっ!?」
ブオンッ! と、空中に留まっていた魔理沙を気にも止めず風圧で吹き飛ばすと、天井ギリギリまで飛び上がったレミリアは、そこから魔理沙たちを見下す。
すると
キィィン!
……ギュアァァッッ!!!
レミリア「フフフッ……」
零「なっ!?」
文「この館ごと破壊する気ですか……」
レミリアの眼前にスペルカードが浮かび、消えると同時に、背後に巨大な魔方陣が浮かび上がり、そこから投擲用の槍が複数生み出された。
更に、レミリアはその中でも一際巨大な物を手にし……
そして
ググッ……
魔理沙「冗談じゃないぜ……」
ボヒュッ!!
それを魔理沙へ投げつけた。
零「文ッ!!」
文「えっ??」
と同時に、零は文の名を呼び駆け出していて、文は咄嗟に
文「疾風『風神少女ッ!!』」
スペルカードを発動、疾風の如く速さで零を連れ、魔理沙の目の前に現れた。
魔理沙「……はぁ!?」
零「うおぉぉぉっっ!!」
バシィィィッッ!!
投擲された魔力の槍を、自身の剣で叩く零。
いやそもそも、それを叩ける事がまずおかしいのだが……。
バチチチチチチッッッ!!!!
零「アアァッッッ!!」
バ─────ンッ!!!!
レミリア「……!」
文「え……!」
魔理沙「はあぁ!?」
なんと、レミリアの放った魔力の槍を四散させた零。
ヒュウゥゥーー
タンッ
零「……今の感覚……」
空中に留まる術を持たない零は、空中から落下、床に着地し
まるでなにかを思い出したかのように、クリアホワイトの剣を見つめた。
魔理沙「なんだったんだ…今の……」
空中から零を見て呟く
文「……分からないけど、それを気にしてる場合じゃなさそうですよ」
との文の言葉に、魔理沙が顔を上げれば
魔理沙「っ!?」
文「どうやら今度は、防がせる気もないようです」
そこには、先ほどと同程度の魔力の槍が数十
その矛先を魔理沙たちへ向け、一斉に射出しようとしていた。
レミリア「……サヨナラ」
零「くそっ……!」
その場の誰もが抗う事を諦めた。
その時
シュラララララララララッッッ!!
レミリア「!!?」
突如として、レミリアの周りを、虹色に輝く札が囲んだ。
魔理沙「っこれは」
「はぁ? なんなのよこの状況」
続いて聞こえたこの声に、皆、一斉に振り返る。
零「あいつ!」
文「ようやくですか……」
魔理沙「……! 霊夢っ!!」
そこには、博麗霊夢の姿があった。
霊夢「よく分かんないけど、とりあえず……。
悪いわねレミリア」
スッ と、大幣(おおぬさ)の先をレミリアに向ける霊夢
霊夢「霊符『夢想封印』……」
キュアッ!!
レミリア「!!」
ドオォォォォ───ンンンッッ!!!
名前 :射命丸 文
読み :しゃめいまる あや
二つ名:伝統の幻想ブン屋、里にもっとも近い天狗
能力 :風を操る程度の能力
種族 :鴉天狗
呼称 :文、ブン屋、天狗、記者
所持スペルカード代表:
風符「風神一扇」
疾風「風神少女」
備考:
妖怪の山に住む鴉天狗の少女にして新聞記者(ブン屋)。
幻想郷最速。
博麗大結界の成立よりも以前、1000年以上前の鬼がいた頃から幻想郷に住んでおり、現在の幻想郷には無い「海」を知っている。
記者としてのONとOFFの差が激しく、丁寧な口調はONの証拠。
常に記事のネタを捜して飛び回っており、異変の無い時は自ら起こしてでっち上げるほど。
天狗に変じる前は鴉だった。
彼女自身は幻想郷でも最高クラスの力を持っているが、決して力を見せびらかせようとはしない(これは彼女に限らず天狗の特性)。