俺達の高校生活は、平穏に過ぎていく   作:”アイゼロ”

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はい、どうも、アイゼロです。

最終回です。

それではご覧ください。


18日目

太宰家にて春歌の手料理をご馳走になり、夜も更けてきたため、カバンを手に取り、玄関に向かう。

 

「じゃ、また明日な」

「あ………。うん」

「…どうした?」

「何でもないよ!また明日ね」

 

人の何でもないや大丈夫は当てにならないとはこの事だな。だって明らかに今寂しそうな顔してたし。春歌の友達から聞いた話だが、春歌は俺と出会ってから感情が豊かになったとか。初体験が多くていい刺激にもなったんだろう。それと同時に感情が出やすくなったって事か。別に悪い事じゃないけど。

 

まだ9時ちょい過ぎだし、11時までに帰れれば問題ない。

 

「んじゃ、春歌の部屋行くか」

「…え?帰らないの?」

「……やっぱ帰るか」

「待って!もうちょっと一緒にいたい!」

「分かったから」

 

若干浮足立ってる春歌の隣を歩き、前回来た時よりも片付いている春歌の部屋へきた。

 

「座って」

 

ベッドの上で自分の座っている隣をポンポンと手で誘導する春歌。

 

「何するんだ?」

「さあ?」

「何も考えてないのかよ」

「だってまだ帰したくなかったから」

「明日会えるじゃねぇかよ」

「気分の問題!」

 

強引に話を終らせ、意味もなく袖を掴む春歌。しばらくして春歌の横顔を窺うと、上目遣いでこちらを見ていた。わずかに頬が赤に染まっている。

 

「な、なんだ?」

「八幡はさ、この状況で何も思わない?」

「この状況?」

「年頃の男女が誰もいない家で2人きり」

「………この変態」

「なっ!?」

 

全くこの子は一体何を言ってるんだか…。そんなえっちぃ子だとはね……。

 

何も思わねぇわけないだろ。俺だって一応男だ。結構我慢してる方だ。あのね、今だってドキドキしてハートキャッチされそうなんだよ。もう付き合ってる時点でキャッチされてるか。

 

「ねえ、本当に何もしなっ…!」

 

不安な表情を浮かべる春歌の頭にそっと手を置いた。

 

「何も思ってないわけじゃねぇよ。ただ、俺も不安なだけだ」

「…別に一線超えるわけじゃないよ。ただ、過剰に触れ合うというか」

「いや、俺だってぶっちゃけそうしたい。けど、俺が耐えきれねぇ……」

「…………えええ!」

「触れるとあまりの刺激で気絶しそうだ」

「えぇ…」

 

あ~、失望されたか。理性が人1倍強い分、そういう事にはヘタレを超えたチキン野郎なんだよ。煩悩もあるし性欲もあるが、体と精神が追いついていない状態なんだ。

 

事情を話したら、見事に心底呆れられてしまった。

 

「子供か!?」

「う、うるせえ。仕方ねぇだろ……」

「いつもはチラチラ見てるくせに」

「ぐっ…」

「はぁ、じゃあ私からした方がいっか」

 

そう言って春歌は俺の両肩を勢いよく掴み、無理矢理キスをした。春歌は結構力を入れていたみたいで、危うく歯同士がぶつかりそうになった。さらにその勢いでベッドに仰向けで倒された。

 

「これじゃ、立場が逆……」

「ああ。お前ビッチになってる」

「八幡がヘタレだからでしょ!」

 

ごもっともです。

 

「俺、そろそろ帰るわ」

「あ、もうこんな時間。じゃ、また明日ね」

「おう」

 

 

俺が超絶怒涛のヘタレ高校生という事を暴露した翌日。いつもと同じ時間に家を出て、登校。教室に入り、俺はいつものように真っ先に席に座り、本を開いて、自分の世界を創る。

 

「おはよう」

 

しばらくして、俺の世界に入り込み、笑顔で挨拶をしてくれるのは、最初で最後の彼女であり、婚約者の春歌。

 

「おう、おはよう」

 

今の様子じゃ、昨日の事は特に気にしてないようだな。切り替えが早すぎてまだ気にしてた俺が恥ずかしくなってくる。

 

特に何事も無く、トラブルに巻き込まれるわけでもなく、ただただ平穏に過ごす彼女との高校生活。これからも普通に平和に過ごしたい。厄介ごとは面倒くさいからな。

 

「ねえねえ八幡」

「どした?」

「昨日の事皆に話したら、『かわいい』って言ってるよ」

「はぁ!お前何言ってんだよ!」

 

彼女は舌を出しながら悪戯な笑みを浮かべ、すぐにその場を去った。あいつ後でお仕置きする。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

これにて完結です。個人的にはこのシリーズ、あまり完璧には書けてないと思ったりしちゃってます………。前作で全話オリジナルにしたおかげかな。たはは……。

読んでくれた皆さん、ありがとうございました。オリヒロ『太宰春歌』は、どこか別の短編集に載せたいと思います。もうこんな企画しない………。

それでは、アデュー。

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