これで二回目の投稿ですね。
まだまだ始まったばかりですが、一話を読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。
読んでくださる方がいる、というだけでとても励みになります。
これからも頑張っていきたいと思います。
ただ、諸事情により、これから投稿が遅くなるかもしれません。
なんとか時間をひねり出していますが、正直、中々厳しいです。
ですので、次以降の投稿は気長に待って頂けると助かります。
長くなってすみません。では、本編をどうぞ。
執務室の窓ガラスがカタカタと震える。決して大きな音というわけでは無いが、確かに聞こえる。
秋も過ぎ去り、いよいよ冬が訪れる。
おそらく今頃、外では冷たい風が鎮守府全体を撫でているだろう。
ふと外の様子が気になり、作業の手を止め、席を立つ。
窓ガラスの前に立ち、景色をぼんやりと眺める。既に日はほとんど沈んでおり、外は薄暗い世界になっている。
最早、夜のとばりが下りきるのは時間の問題だろう。
そんな中、気付けば私は窓に映る自分を見ていた。
客観的に見れば若いだろう。事実、年齢もまだ二十代後半になったばかりだ。
しかし、この鎮守府に着任した時と比べれば、年を重ねていっているのは明らかだ。
何より、物事の考え方など色々と老けたと感じ、その事に少し悲しさを覚える。
とはいえ、こんな風になった自分が嫌いではない。着任してから今までの間、多くの事を経験してきた。
楽しかったこと、苦しかったこと、様々な事が脳裏に思い浮かぶ。
そして、楽しみを共有し、苦しみを共に乗り越えてきた仲間。彼女らとの日々を通して成長をしてきた自分を誇らしいと思う。
だが、まだまだ自分は未熟である、ということを意識しなくてはならない。
最近、深海棲艦の活動があまり目立つことが無かった。おそらく、次の侵攻に向けて力を蓄えているはずだ。
そう遠くないうちに大規模な作戦が発令されることになるだろう。
戦いに絶対は無い。
常に何が起こるか分からない。
だから私は一層、気を引き締めなければならない。変化する戦況を前に、最善の指示を出す。
全ては、彼女たちが明日を迎えるため。
それを実現するため、私も今は英気を養うことをしなければな。
と、今後の方針を決めたのと同時に背中に柔らかく、仄かに暖かい熱を感じる。
「難しい顔をしているわ…Admiral。どうかしたの…?」
どうやら自分で思っていたよりも深く考え事をしていたらしい。
私の後ろに立ち、そのしなやかな腕で私を軽く抱き体を預けてくる愛おしい存在に今まで気付かなかったとは。
「すこし、な…。なに、心配するな、いつもの考え事だ」
まわされたその腕を優しくとりながら、彼女に向き直る。
一瞬、彼女の温もりが離れるが、すぐに抱き寄せる。
今度はお互いに向き合い、正面から抱き合うという形で。
先ほどより熱をより強く感じながら。
「だが、こうやっているととても落ち着く。ありがとうな、ウォースパイト」
「私もよ、Admiral…。私も…とても落ち着くわ…」
胸板に頭を預けている彼女の髪を梳くように撫でながらお互いの感情を確かめる。
彼女の髪はとても綺麗だ。もちろん、撫でられている彼女は気持ちよさそうな表情をしているが、撫でているこちらも気持ちいい。
一切の引っ掛かりがなく、文字通り流れるように指が通っていく。
彼女の髪の色は、ミルクティー色だと私は思っている。
優雅さのなかに柔らかい暖かさを感じる。まさしく彼女らしいと私は思う。
英国随一の殊勲艦に相応しい戦いぶり、そして、仲間を想う優しさ。
それらを併せ持つ彼女がいれば、どんな困難だって乗り越えられる、そんな気持ちにさせてくれる。
「Admiral、夜も更けてきたわ。たまには私と一杯…どうかしら?」
気付けば、しんみりとした気持ちは消え去っていた。
自分の目の前にはいつもの彼女の微笑み。
強張った心を優しく包み込む、明るくも柔らかい笑顔。
「そうだな…それは、良いな…」
いつの間にか風は吹き止み、執務室に置かれた薪ストーブの中で木が穏やかに燃える音のみが聞こえる。
その少し離れた位置に、小さなテーブルを間に挟んで2人が向かい合って椅子に座っている。
「それじゃ、Admiral。
「
互いにワイングラス片手に軽く腕を上げ、相手に挨拶をし、口に赤ワインを含む。
英語に関しては、慣れないながらもウォースパイトの発音に近づける形で発音する。
正直、慣れないことをしたことに少しながら気恥ずかしさを感じる。
「ふぅ…やはりワインは中々良いものだな」
口の中に広がるブドウの芳醇な香りを確かめながら呟く。
「ふふっ、Admiralもすっかりワインの虜ね」
そういう彼女は、やはりさまになっている。
ワイングラスを少し傾け、色などを確かめる姿はまさに英国の女王そのもの。
言わずもがな、足を組み座る彼女は気品に満ち溢れている。
「初めて飲んだ時はびっくりしたがな」
何口か飲んでしみじみと思いふける。初めてワインを飲んだ時のことは今でも覚えている。
ウォースパイトが勧めてくれたのだが、如何せんワインについての情報が、原料が葡萄、ということしか知らなかったのだ。
逆に、葡萄ジュースは飲んだ事がある。つまり、単に葡萄ジュースにアルコールが入ったものだと思っていた。
しかし、いざ口にしてみると、日本酒とは違った独特の風味のアルコール分。しかも、そのワインがやや辛口だったのもあって、単純にもの凄くむせた。
味も葡萄の味がしなかった、というか感じる余裕がなかったので、かなり予想を裏切られることになった。
「あの時のAdmiralの顔、とても面白かったわ」
片手に作った軽い握り拳を口元に添え、笑いを堪えるさまは、上品で可愛らしい。
「というか、ウォースパイトにも責任があると思うぞ。初心者にいきなり辛口ワインはきついだろう…」
「Sorry、確かにそれは否定出来ないわね。でも、今ではこうして一緒に飲んでくれて嬉しいわ。Thank you so much.」
「…まあ、な。あれがあってから甘口を初め、色々なワインで徐々に自分の舌を慣らしたおかげだな。こうして2人でゆっくり酌み交わすことが出来るのは」
結果この時間が出来たことについて、あの事件(?)に感謝すればいいのかと思い始めている自分に思わず苦い笑いがこみあげる。
だが、彼女が好きで嗜んでいるものを自分も好きになるということは素直に嬉しい。小さな事だが、また一歩、彼女を知ることが出来たと感じるからだ。
それから、彼女とは様々なことを話した。私が酒豪のイタリア艦に絡まれたこと、もう後何か月かすれば新しい年になるということ、彼女がドイツ艦の子達と上手くやれているか、などその他にも色々なことを語り合った。他愛無い内容の話も中にはあったが、それも含めて、日常を彩る大事なスパイスだ。
そうして時間が過ぎていき、私が何度目かとなるワインをグラスに注いだ時に瓶の中身が底をついた。中々気に入っていた一品だったので、少し寂しい気分になる。
「Admiral,一応確認するけれど、今日の分の仕事はもう無いのよね?」
ウォースパイトはワインが空になったのを確認すると私に尋ねてきた。
長い時間飲んでいたので、お互いの顔に赤みが少しさしている。所謂、ほろ酔いというやつだ。
その時に感じるフワフワとした感覚が心地よい。
「ああ、さっきまでやっていたのは来週の分のやつだ。別段、急ぎという訳ではない」
「じゃあ…」
そう言うとイスから立ち上がり、私の目の前に来て、まだ少しワインが入っている私のグラスを手に取る。
私は座っているため、必然的に彼女はこちらを見下ろす形になる。
いったい何をするのかと疑問に思っていると、彼女はワインを全体の量の半分ほど口に一気に含んでグラスを元の位置あたりに置く。
そして、少し足を開いて座っていた私の両足を挟み込むようにして、私の太ももの上に跨いで座ってくる。
その両手は私の両肩にそれぞれ置かれ、僅かに目尻の垂れた瞳がこちらを見据える。
ああ、なるほど…と、理解した瞬間、彼女の端正な顔が目と鼻の先まで近づき、そのすぐ後、唇に熱を感じた。
それと同時に、彼女の口から芳醇な香りの液体がこちらに送り込まれてくる。
さきほど彼女が口に含んだワインだ。
彼女の唾液が含まれているだろうその液体を少しずつ飲み込む。
普段のワインよりも何十倍、いや何百倍も美味に感じ、心まで満たされていくのが分かる。
また、彼女へのお礼のために、送り込まれたワインを少し口内で転がし、今度は彼女に舌を使って流し込む。
嬉しそうな表情を浮かべながら、彼女は律儀に飲み込んでくれる。
ワインがなくなったらまたグラスを手に取り口に含む。
お互いに瞳を閉じて、相手を想いやりながら、この工程をひたすらに繰り替えす。
やがてグラスのワインもなくなった。
しかしこれだけではまだ物足りない。
今度は舌を使った深いキスを始める。私は彼女の腰と後頭部に、彼女はこちらの首に抱き付く形で手を這わせ、お互いに相手の口内を愛撫するかのように舌を絡ませる。
「んっ…んぅ、ちゅ……あ、んぅ…ちゅぷ、んっ、くちゅ…んっ、もっ、とぉ……」
ワインの残り香が混じる甘い匂いで鼻腔の奥まで満たしながら、無心で舌同士を絡ませ、相手の愛情を深く感じる。
時折聞こえるウォースパイトの悩ましい吐息をBGMにひたすらこれを行う。
しばらくして、乱れた呼吸を一旦整えるため、お互いの顔を僅かに離す。
唾液とワインで出来たアメジスト色の架け橋が2人の間に舌伝いで架けられ、すぐに重力に従って垂れ落ちる。
改めて彼女を見てみると、頬はすっかり上気し、その美しい顔立ちは蕩けたようになっていた。
そんな彼女を、とても愛おしく感じた。
「Admiral…」
「ウォースパイト…」
目線を交わし、お互いに相手の気持ちを汲み取る。
「My Darling、今日は寝かせないわ…」
「…ああ、私も君が欲しいよ…My Queen」
しばしの間見つめ合い、再びお互いの距離が狭まっていく…そして、強く結びついた
部屋を優しく照らす薪ストーブの炎。
いつも静かに燃えるそれは、今日だけは一段と強く燃え、2人の心にも火を点すかのよう。
その夜、それは消えることも、衰えることも無かった。
キャラ崩壊は出来るだけしないように努めています。
崩壊している場合は……悪しからず。
あと唐突ですが、ウォースパイトのMMDに心を奪われました(真顔)