やはりこの姉弟妹はまちがっている。   作:カーガッシュ

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な、なんとルーキランキングに載っていました!!

これからも応援よろしくおねがいします。




今回少し短めです。


ではそうぞ!


第4話そうして由比ヶ浜結衣は自分のやり方を見つける

俺が家庭科室に戻ると、すでに雪乃のクッキー講座が始まっていた。

「いい?由比ヶ浜さん隠し味とかそういうのは抜きにして、まずはこの本の通りに作るのよ。」

「うん」

二人がそんな会話をしているうちにすでに雪乃は生地まで作り終えていた。え?嘘でしょ?いくらなんでも手際良すぎない?

そこから雪乃は星やらハートやら丸やら型抜きで抜いていく。その間に俺はオーブンの天板にシートを敷いておいた。

「あら、ありがとう八幡」

「これくらいはやらないとな。役立たずみたいで嫌だし。」

そういうと雪乃はシートの上に様々な形をしたクッキーの生地を置いた。

オーブンはあらかじめ予熱してあるのでそこまで時間はかからずに焼くことができるだろう。

 しばらくすると、とてもいい香りがしてきた。下準備が完璧にできていたので閣下は予想通り、店に出しても恥ずかしくないような出来だった。

それをお皿に移し、雪乃がすっと差し出してきた。綺麗なキツネ色をしたクッキーはこれぞまさしくクッキーという感じだった。

ありがたく頂戴する。

「いただきます」

俺はどこかの美食屋のようにその言葉を口にした。

「うまっ。なんだこれ。前に作った時よりもだいぶ上達してんじゃねえか!」

俺の口から正直な感想が漏れた。前回雪乃のクッキーを食べたのは高校一年の夏くらいだっただろうか。その時も十分に美味しかったが今食べたはその時以上の味だった。

「ほんとおいしい・・・雪ノ下さんすごい」

「ありがとう」

雪乃が嫌味のない笑顔を浮かべてそういった。

「でも、ほとんどレシピ通りに作っただけなの。だから由比ヶ浜さんもレシピ通りに作れば同じように作れると思うわ」

「あたしにもできるかな。雪ノ下さんみたいに」

「ええ。レシピ通りにやればね」

 こうして由比ヶ浜のリベンジマッチが幕を開けた。

だが・・・

「由比ヶ浜さん、粉をふるうときは円を描くように。円よ円。小学校で習った?」

雪乃さんさらりとひどいこと言いますね。

「由比ヶ浜、かき混ぜる時はちゃんとボウルを押さえろ。それだとボウルごと回転していて全然混ざってないぞ」

「おい、やめろその桃缶をどうするつもりだ。隠し味はいいから。そんなもん入れたら水分で生地が死ぬぞ」

俺と雪乃は混乱し疲弊していた。

どうにか生地をオーブンに入れるともともと体力がない雪乃は肩で息をしていた。

オーブンをオープンするとさっきとよく似たいい匂いが立ち込めた。

だが・・・。

「なんか違う」:

由比ヶ浜は肩を落としてそう言った。食べ比べてみると先ほど雪乃が作ったものとは明らかに違う。

だが十分にクッキーと呼べるものができていた。

先ほどの木炭と比べれば大進歩だろう。

「なんでうまくいかないのかな・・・。言われた通りにやったんだけど」

「あのさぁ今思ったんだけど、うまいクッキー作る必要はないんじゃないか?」

「「はぁ?」」

由比ヶ浜と雪乃が声を揃えて言う。

「こんな言葉がある愛があればラブ・イズ・オーケー!!」

「古っ」

「つまりだ。お前らはハードルを上げすぎなんだよ」

フッとわずかに笑みがこぼれてしまう。この圧倒的優越感たまらねえぜ!

「ハードル競争の主目的は飛び越えることじゃない。最速のタイムでゴールすることだ。飛び越えなきゃいけないと言うルールはない」

俺がそう言うと、

「なるほど。いままでは手段と目的を取り違えていたと言うことね。さすが八幡ね」

「いやぁそれほどでも」

「褒めるとすぐ調子にのるところが玉に瑕ね」

雪乃さん辛辣ゥゥゥゥゥ。

まあそれはおいといて

「せっかくの手作りクッキーなんだ手作りの部分をアピールしなきゃ意味がない。店と同じようなもなもんだされてもうれしくないとまではいかないが、手作り感があって味はちょっと悪いくらいの方がいい」

俺は雪乃のクッキーならいつでも大歓迎だけどね!!!

「悪い方がいいの?」

と由比ヶ浜が不安気に問う。

「そうだ。上手にできなかったけど一生懸命作りました!ってところをアピールすれば、俺のために作ってくれたんだ。って勘違いすんだよ。男ってのは。悲しいことに」

「そんな単純なもんなの?」

「男っていうのは基本的に単純な生き物なんだよ。だから別に何かあるわけじゃない。はっきり言ってときどきジャリッてするような美味しくないクッキーでいいんだよ」

「うっさい!ユッキーマジ腹立つもう帰るっ!」

キッとこっちを睨むと由比ヶ浜はカバンを掴んで立ち上がった。ちょっと言い過ぎたかな。少しフォローしておこう。

「まぁ・・・なんだ。お前が頑張った姿勢が伝われば男心は揺れるんじゃねえの?」

「ユッキーも揺れんの?」

「ああ。揺れる揺れる超揺れる。てかユッキーって呼ぶな」

「ふ、ふうん」

俺が適当に答えると由比ヶ浜も適当な返しをしてきた。そして顔をそらし、再び帰り支度を始める。

「由比ヶ浜さん、依頼の方はどうするの?」

「あれはもういいや!今度は自分のやり方でやってみる!ありがとね、雪ノ下さん」

振り向いて、由比ヶ浜は笑っていた。

「また、明日ね。ばいばい」

手を振って今度こそ由比ヶ浜は帰って行った。エプロン姿のまま。

「本当に良かったのかしら」

雪乃がつぶやきを漏らす。

「私は自分を高められるなら限界まで挑戦するべきだと思うの」

「まあ正論だわな。努力は自分を裏切らない。夢を裏切ることはあるがな」

「どういうこと?」

「努力をしたって夢が叶うとは限らないそういうことだ」

それだけ言うと雪乃はその言葉の意味を察したようでそれ以上言及することはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ようやく俺にとっての初めての依頼が終了した。

雪乃と一緒に家庭科室の片付けを終わらせると雪乃が昨日と同じように鍵を職員室に返しに行った。そのあいだに俺は迎えの車を読んでおくことにした。

 迎えを呼んで数分後昇降口でぼっけーっとしていると雪乃が階段を降りてきた。

「おつかれさん」

「ええ。八幡も。今回の依頼を解決できたのは八幡のおかげ。素直に感謝するわ」

「ならそれに免じて姉ちゃんへの報告の件なんとかしてくれませんかねえ?」

「あ、今の今まで忘れていたわ」

やっべー墓穴掘ったぁぁぁぁ。言わなきゃ良かった。まじやっべー。べー。

「まぁ今回の件に免じて黙っていてあげるわ」

「あ、ありがたき幸せ」

「ふふ」

「はは」

「はははははっは」

そう言っておれたちふたりはこらえきれずに吹き出した。

そんな二人を春の夕日が包み込んでいた。

 




これにて初めての依頼編終了になります。
次回は衝突!雪乃VS三浦編と材木座編前半の予定です。文字数的に材木座編が前後半入るかもしれません!
次回もよろしくお願いします。



感想等よろしくお願いします。
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