ちゃんと材木座も登場しますよ・・・ちゃんと。
それではどうぞ!
Side総武高校二年F組
とある日の四限が終わった昼休み。教室には緊張した空気が流れていた。
原因はクラスのトップカーストにあった。ちなみに由比ヶ浜もここに属している。その中でひときわ眩い輝きを放つのが二人いる。
葉山隼人。
それがあの連中の中心にいる人間の名だ。サッカー部のエースで次期部長候補おまけに親は弁護士をやっていて家柄までいいというおまけつきだ。まあ家柄に関しては雪ノ下であるうちもそうなのだが。ちなみに葉山の父親はうちの顧問弁護士だったりする。そのため仲がいいとまではいかなくとも顔見知りくらいには面識のあるそんな奴だ。
隣で声を荒げているのが葉山の相方・三浦優美子
金髪縦ロールに着崩された制服、履く意味あんの?ってくらい短いスカート。
三浦の顔立ちは整っているが、頭の悪そうな見た目と言動のせいで俺はあまり好きじゃない。ていうか怖い。
話を戻そう。なぜ二年F組、この教室に緊張した空気が流れているのかというと、
「あの・・・あたし、ちょっと行くとこあるから」
と由比ヶ浜。
「あ、そーなん?なら帰りにあれ買ってきてよ。レモンティー。あーし今日飲み物もってくるのわすれちゃってさー。」
と三浦。
「え、え、けどほらあたし戻ってくるの五限になるっていうか、お昼まるまるいないからそれはちょっとどうだろーみたいな・・・」
由比ヶ浜がそう返す。すると三浦の顔が固まった。
「ユイさー、最近付き合い悪くない?」
となり現在に至る。トップカーストの雰囲気はクラスの雰囲気に直結する。よって現在、教室から何かと理由をつけて教室を出て行く者がほとんどだった。
「言いたいことあるならはっきり言いなよ。あーしら友達じゃん?隠し事とかよくなくない?」
三浦の言っていることは仲間意識の強要でしかない。その言葉の裏にはそれが出来ないなら仲間ではない。敵である。と言っているようなものである。
「ごめん・・・。」
下を向いていた由比ヶ浜が恐る恐る口にした。
「だーかーらーごめんじゃなくてなんか言いたいことあんでしょ」
そう言われて言える奴なんていない。ただ謝らせたいだけで攻撃がしたいだけなのだ。
まあ、なんっつーの?知ってる女の子が目の前で泣きそうになってるのを見て見ぬふりができるほど俺は腐りきった根性をしていない・・・と思う。
まあそれにあれだ。
・・・気に入らねぇんだよこの野郎。
「おい、その辺で—」
「謝る相手が違うわよ。由比ヶ浜さん」
その声は三浦の声よりもよっぽど冷淡にそして冷酷に響いた。けれどオーロラの如く美しい声。おれはこんな声を出せる人間は雪ノ下雪乃以外にありえない。
「由比ヶ浜さん。あなた自分から誘っておいて待ち合わせに来ないのはどうかとおもうのだけれど。遅れるのなら連絡の一本くらい入れるのが筋ってものでしょ」
「ごめんね。でもあたし、ゆきのんの連絡先知らないし」
ゆきのん!?そんなに仲良くなってたの?あの以来の時だけで!?コミュ力高すぎだろ。
「そうだったかしら。なら一概にあなたが悪いとも言えないわね・・・今回は不問にするわ。それに八幡」
「ひゃ、ひゃい」
この空気で俺に話振るなよ!びっくりしちゃったじゃねえか。
「あなたもよ。あなたは私の連絡先も知っているのに部室にも来ないでなにをしているのかしら。昨日の夜言ったでしょ?昼休みに部室に来るようにと」
そういえばそんなこと言ってたなあ。やっべーすっかり忘れてた。
「まあいいわ。時間もなくなるとあれだし、早く行きましょう」
「ちょ、ちょっと。あーしたちまだ話おわってないんだけどっ!」
ようやく硬直からとけた三浦が雪ノ下と由比ヶ浜に食ってかかった。
「何かしら?あなたと話す時間も惜しいのだけれど」
「はあ?いきなり出てきて何言ってんの?いまあーしがユイと話してたんだけど」
「話す?さっきのが?がなりたてるの間違いでしょ?一方的に自分の意見を押し付けているようにしか見えなかったけれど」
「はあ!?何言ってんの。意味わかんない!」
負け惜しみにしか聞こえないそんなことを言うと三浦は倒れこむようにして椅子に座った。
「先行くわね」
雪乃がそう言うと
「あたしも」
と由比ヶ浜が言った。俺も移動しないとな。と思い食べかけだった昼食のパンを包み直し荷物をまとめ、なるべく音を立てないように由比ヶ浜の横を通り過ぎると小さな声が聞こえた。
「ありがとう」
side奉仕部室
部室に着くと雪乃が椅子に座って本を読んでいた。
「由比ヶ浜さんは?」
「俺が教室を出た時はまだ三浦と何か喋ってたぞ」
「そう」
雪乃は俺たちが来るまで昼食を取らずにまっていてくれたらしい。
「ていうかなんで俺呼ばれたの?由比ヶ浜と昼食とるんじゃなかったのか?」
浮かんでいた疑問をぶつける
「その・・・私あまり他人と昼食をとったことがないの。だから・・・その・・・」
「なるほどな。」
要は気まずいと。そういうことか。
「でもな雪乃。由比ヶ浜相手にその心配は必要ないと思うぞ。あいつコミュ力高いし」
俺がそう言うと雪乃は納得したように
「それもそうね」
といった。
しばらくすると由比ヶ浜がやってきたので三人で昼食を食べ始めた。俺は続きだが。
由比ヶ浜の表情を見る限り三浦とは和解できたようだ。
「そうだ!あしたからもここでみんなでお昼食べようよ!」
由比ヶ浜が嬉しそうに言った。
「私は別に構わないけれど。八幡はどう?」
そう問いかけてきた。
「別に俺も構わないぞ」
そう答えておく。
「そう。なら決まりね」
そう雪乃が言った。」案外嬉しそうだ。
昼休みの残り時間は適当に駄弁って過ごした。といってもあまり時間がなかったので十分程度だが。
「じゃあまた放課後!部室でね」
由比ヶ浜がそう口にすると
「ええ」
「おう」
俺たちがそう答え教室へ向かった。
たまにはこんな昼休みも悪くない。
Side放課後 奉仕部室前
その日の放課後俺が部室に行くと、雪乃と由比ヶ浜が部室の前に立ち尽くしていた。
「何してんの」
「ひゃうっ!」
可愛らしい悲鳴とともにビクッと二人の体が跳ね上がる。
「八幡・・・びっくりした・・」
か、かわいい。今気づいたけどおれシスコン拗らせてね?
「驚いたのは俺の方だよ。で何してんの」
俺がそう問うと由比ヶ浜は部室の扉を少しだけ開いて中を覗き込む。
「部室に不審人物がいんの」
「不審人物はお前らだ」
「そういうのいいから。中に入って様子を見てきてちょうだい」
あいかわらず辛辣ですね。雪乃さん。
雪乃に言われ部室に入ると
「待ちわびたぞ。雪ノ下八幡!」
そう言って佇む男がいた。明らかに不審人物だった。
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次回は材木座回がメインです