やはりこの姉弟妹はまちがっている。   作:カーガッシュ

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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。



今回で材木座編終了です。材木座小説への指摘がブーメランになってるようで心が削られた第8話です。

それではどうぞ!


第8話 雪ノ下八幡は材木座義輝の本物を垣間見る。

Side雪ノ下家 夜

 

家に帰り夕飯を済ませ風呂に入ると時間が空いたため忘れかけていた材木座の小説を読むことにした。ちなみに姉ちゃんは友達の家に泊まるそうだ。

 現在の時刻は夜9時時間がかかってもこの量なら日付が変わる頃には読み終わるだろう。

 材木座の書いた小説もといラノベはよくある異能バトルものだったのだがあまり面白いとは言えないような出来だった。まだ全て読んでいないし分からないが少なくともここまでの展開はつまらなかった。

 まず第一に展開が早すぎる。ありえないほどの展開の速さでこれでは読者側がおいてきぼりになる。日常パートかと思えば次のページでは戦闘パートに入っているなんて場所もあった。

 第二に文章の書き方。倒置法多すぎ。読みづらい。おそらく材木座はこういったかんたんな文法を使えば読者が親しみを持ちやすいとか思い倒置法を使っているのだと思うが、いくらなんでもこれでは使いすぎだし、そんなことは最低限のことが書けるようになってからでいい。

 まだ半分も読み終えていないのにここまで指摘箇所が目につくということはこの先もっと増えるということが予想できる。

「全く。読むのが嫌になるぜ」

そう俺は一言つぶやいた。だがこれは材木座が自分の描きたいものを描いた結果だと思うと読むのをやめることはできない。それはきっと本物だから。

 またしばらく読み進めていると(読むことが苦痛になりつつあるのだが)なぜかいきなりヒロインが服を脱ぎ出すシーンが出てきた。いや。本当にいきなり。風呂に入ろうとしたわけでもなく、着替えをするわけでもなく、いきなり。こういう描写がないと最近のラノベは売れないというのはわからなくもないがいくらなんでもいきなりすぎる。展開が繋がらないし第一この小説にはこんなシーン必要ない。結構硬派な異能バトルの世界でこれでは世界観ぶち壊しだ。そんなのは学園ハーレムものかなんかでやれ。と赤ペンで書き込んでおいた。

 それからしばらくして材木座の小説を読み終わり原稿を見直すと、そこには俺の指摘が赤ペンで大量に書かれていた。正直ここまでとは思っていなかった。これでは赤ペン先生ならぬ、血みどろ先生だ。なにそれ怖い。

「ふうー。つかれたー」

そう言って時計を見ると日付が変わってから二時間経過していた。やはりただ読むだけではなく指摘出しなどもしていると、それなりに時間がかかるようだ。

「寝るか」

そう言って俺は材木座の原稿を鞄につっこむとベッドに入り眠りについた。

 

 

 

Side総武高校奉仕部

 

次の日の放課後、部室に行く雪乃がうたた寝していた。起こすのもあれなので部室にあった去年の冬に使ったであろう、毛布をかけておいた。

 しばらくして部室のドアが勢いよく開かれた。

「やっはろー」

そう言って由比ヶ浜が突入してきた。

「あれー、ゆきのん寝てるのー?ユッキーも眠そうだねー」

そう問いかけてきたので

「いやお前、逆にあれ読んでなんでそんな元気なんだよ」

そういうと由比ヶ浜はギックっという効果音がしそうな反応を見せた後

「や、やっぱり?あたしもマジ眠くて」

「お前、絶対読んでないだろ」

その問いかけには答えず由比ヶ浜は窓の外を見て鼻歌を口ずさんでいる。

 「そろそろ材木座も来るだろうし、雪乃起こしておくか」

そんなことを言っているが胸中では材木座に雪乃の寝顔を見せるわけにはいかない!なんてことを考えていた。そうこうしているうちに由比ヶ浜が雪乃を起こすことに成功したようだ。

「その様子だと雪乃も相当苦労したみたいだな」

俺がそう問いかけると

「ええ。徹夜なんて久しぶりにしたわ。私この手の小説は前に八幡に借りた数冊くらいしか読んだことないし。それは面白かったけど・・・」

「ああ。そういえばそんなこともあったなあ」

「へーゆきのんそういうのも読むんだ。あたしも今度読んでみようかなあ。ユッキーおすすめとかあるの?」

「俺のオススメはガガガ文庫だな。今度適当に見繕ってきてやるよ」

「なら、お願いしようかな」

「おう。まかせとけ」

こうして布教が完了したのであった。

 

 

 

 しばらくしてまたまた部室の扉が荒々しく開いた。

「頼もう」

そう言って入ってきたのは材木座だった。

「では早速、聞かせてもらおう」

材木座は偉そうに椅子に腰かけながら言った。 

「ならまずは俺から」

「おお!よろしく頼む」

そういわれて俺は短く息を吸うと

「つまらなかった。想像を絶するつまらなさで読むのが苦痛ですらあった」

「げふぅっ!」

気持ちの悪い断末魔を上げる材木座。

「さ、参考までにどの辺がつまらなかったのかご教示願えるかな」

「まず文法が滅茶苦茶で何が言いたいのかがわかりにくい。それと倒置法多すぎ。」

「そ、それは平易な文体で作者に親しみを・・・」

予想通りだった。

「そんなことは最低限ちゃんとした日本語をかけるようにしてからにしろ。他にもいろいろあるぞ。このシーンなんでヒロインが服をいきなり脱ぎだすんだ?結構硬派な設定なのにおかしいだろ」

「さ、最近のラノベはそういう要素がないと売れないというかなんというか」

「だからそんなことは最低限かけるようになってからだろ。まあルビに関しては異能バトルものだししょうがないとしたらこのくらいか?」

そう言って材木座のほうを見ると

「ぴゃあっ!」

また変な悲鳴を上げながら材木座は四肢を投げ出したまま白目をむいている。

「なら次は雪乃だな」

雪乃に話を振ると

「右に同じ。詳しくはこれを見て頂戴」

そう言って雪乃は赤ペンで血みどろになった材木座の原稿のコピーを渡した。

「なら俺もこれ」

雪乃に続いて俺も原稿を渡した。

「じゃあ次は由比ヶ浜さん」

「え、あ、あたし!?」

由比ヶ浜は鞄からしわ一つないコピー用紙の束を取り出した。やっぱり読んでねえじゃねえか。

「難しい漢字いっぱい知ってるんだね」

「ひでぶっ!」

「とどめさしてんじゃねえよ」

作家志望にとってその言葉はあまりのもきつい。褒めるところがそれしかないということだから。

「なら最後に一つ言わせてもらう・・・。あれ何のパクリ?」

この言葉がとどめとなり材木座床をのたうち回っていた。

「八幡・・・。あなた容赦ないわね」

雪乃が材木座をみてものすごい勢いで引いていた。

「ちょっと・・・」

由比ヶ浜は俺の脇腹をつつく。

「まああれだ。大事なのはイラストだから。中身なんてあまり気にすんな」

 

 

 

材木座はしばらくの間呼吸を落ち着かせるためかラマーズ法を繰り返している。

「また読んでくれるか」

思わず耳を疑いこう言ってしまった。

「は?」

「また読んでくれるか」

熱いまなざしを俺と雪乃に向けてくる。

「お前・・・」

「ドMなの?」

いや、そうじゃねえだろ。

「お前、あれだけ言われてまだやるのかよ」

「たしかに酷評はされた。我以外全員死ねとすら思った。だがそれでも誰かに自分の書いたものを読んでもらえるというのはやっぱり嬉しいよ」

そう言って笑顔を浮かべた。それは剣豪将軍ではなく材木座義輝としての笑顔だった。

そうか。こいつはもう立派な作家病なんだ。書きたいことがあるから、伝えたいことがあるから書く。たとえそれが認められなくても誰かの心を動かせたらうれしい。それが作家病なんだと。

「ああ。読むよ」

読まないわけがない。だってこれは材木座が中二病を突き詰めた結果手にした本物だから。

「また新作が書けたら持ってくる」

そう言って材木座は去っていった。

 

 

帰り支度をすると俺は雪乃に言った。

「今日帰り近くの本屋よりたいから先に帰っておいてくれ」

そういうと雪乃は

「私も帰りに買い物に行きたいしついていくわ」

そう言った。

「わかった。なら昇降口で待ってるわ」

そう言って俺は特別棟の廊下を歩き始めた。

 

 

同時刻、総武高校の校門前で、亜麻色の髪の少女と、アホ毛をゆらす少女が二人、雪ノ下弟妹を待ち受けているのであった。

 

 

 

 




どうでしたでしょうか。あの二人の登場です!




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