始業式があった日、生徒会室に呼ばれ生徒会長から<攻略>に参加してほしいとの事で俺はあっさりとOKしせっせと家に帰った。
家に戻って直ぐに風呂に入り明日の登校の準備をして布団の中に入るとあっさりと眠りについた───
夜中、誰かに呼ばれたような気がして目を開いてみるとそこは一面真っ暗な空間だった。俺は横になっていたはずがいつの間にか立っていた。
下を向くが地面さえ見えない。この暗闇が永遠と続いているように見える。
不意に背後から音が聞こえ振り向いてみると3mほど先に誰かが立っている。目を細めて見るが暗くて顔が確認出来ない、が誰だかは分かっていた。
その人物に近づきやっとその姿がしっかりと確認できる所まで来た。
見た目は9歳位の少年だった。
「またお前か…」
相手を睨みつけながらそう言い放つ。
「やぁ、また会ったね。」
とその人物は楽しそうに微笑んでいる。
「いい加減答えてくれ。お前は一体何者なんだ?なぜ俺の中に存在する。」
「前にも言ったじゃないか。僕は君で君は僕。自分が自分の中にいることがそんなに変かい?そもそも君なら聞かなくても分かってるんじゃないか?」
そう言われて言葉が詰まる。
頭の何処かではこの人物が誰なのかは分かっていたのかもしれない。だが自分で気づいてしまうと<今>が無くなってしまうと分かっていた。
「…」
「図星かな?」
「ああ…降参だ。」
「はは…諦めがいいね。今は無理でもいつか僕と向き合える日が来るかもね。」
「俺はそうは思わないな。」
「<向き合いたくない>んだろ?」
「それもお見通しか。さすがだな。」
「あはは。もう君の中で閉じこもってもう7年になるからね。君の考えを嫌でも分かるようになるよ。」
「そんなに長くいるのか。もういい加減出ていってくれよ。」
その言葉にこいつは苦笑して言った。
「無理だよ、そんな事僕にはできない。」
「俺が追い出してやろうか。」
「それも無理。」
「ホント、お前って謎が多すぎるよな。名前も知らないし。」
「目が覚めたら忘れちゃうからね。教えても意味無いよ。」
「なんでそんなめんどくさい仕様なんだ。」
「それは僕にも分からないよ。…もうそろそろ時間みたいだ。今日はここまでだね。」
「は?ちょっと待て、まだ聞きたいことが残ってるん…だ…よ……」
遠のく彼を追いかけようとするが体が鉛のように重くなり歩くことさえ困難になっていく。やがて視界が暗くなり彼の姿は見えなくなった。
「……っは!」
ガバッとベッドから上体を起こす。
息が上がっていて体に少し汗をかいていた。
「ってぇ…」
突然、目の奥が焼けるような痛みに襲われる。咄嗟に目を押さえその痛みが引くのを待った。
痛みが引いてから、そういえば。と時計を確認してみる。
4月9日 6時24分
目覚ましのかかる1分前に起きてしまったようだ。
「…学校か」
そう静かに呟きベッドから体を起こしリビングへ向かった。
着替えなど身支度を済ませてからあらかじめ用意していた学校指定バッグを持ち家を出た。朝食は夢のせいで食べる気分になれずそのまま登校した。
学校に着き上履きに履き替え、教室に向かおうとする。
「黒月くん。」
後ろから声をかけられた。
「?」
振り返るとそこには昨日会ったばかりの生徒会長が小さく手を振りながらこちらに手招きをしていた。
なんだろうと思いながらも生徒会長に近づいた。
「教はどういったご要件で?」
「実は色々と話したい事があって…放課後、また生徒会室まで来てもらっていいかしら?」
生徒会長は申し訳なさそうな表情でそう言った。
「特に用事は無いですし構いませんけど。
…もしかして昨日言っていた会議ですか?」
「ううん、ちがうわ。昨日君以外の9人の内5人には話をしたんだけど、あと4人残ってるの。だから会議は明日以降になると思うわ。」
「そうですか。あ、ついでですし聞きたいことが色々あるんですがその時いいですか?」
「いいわよ。ごめんね、時間とらせちゃって。」
「大丈夫です。それでは放課後で…」
そう言うと踵を返し教室へと向かった。
教室に入ると結構時間がギリギリで急いで席に着いた。間に合って良かったと安堵のため息をついていると隣から声をかけられた。
「なぁ…お前って入試トップだった黒月か?」
「あ、ああ…そうだけど。」
初めて会ったやつに名前を知られていたことに驚いて言葉に詰まりながらも言葉を返した。
その言葉に相手は「おお!」と珍しいものを見るようにしている。しかし未だに俺はこいつを誰だか分かっていない。それを察したのだろうか。
「あぁそっか、自己紹介がまだだったな。俺は
随分と体と声が大きいこいつは明というらしい。
「あぁ、
お互いに手を出して握手をする。
「いやぁ…入試トップだったやつと知り合えるなんて光栄だぜ。しかも馬鹿なヤツらとは違うタイプで良かったよ。」
明の言う馬鹿なヤツらとはきっと他人を見下すような、自分が優れていると優越感に浸っているやつの事だろう。
「それはなによりだ。魔術を使えるやつは禄な奴がいない。」
「ははっ!そうだな!」
と和気靄靄と話していると俺は「こいつとなら仲良くやれそうだ」と心の中でそう思った。
しばらくして担任の教師が教室に入ってきた。
「おーい、授業を始めるから座れー。」
────
──
─
「うへぇ…疲れたぁ…」
と机に突っ伏す明。
「早いな…まだ一時限目が終わったところだぞ。」
少々驚きながらも苦笑する。
明は文句を言うように愚痴をこぼした。
「だってよぉ、歴史なんて意味わかんねぇし。」
「言っても仕方ないだろ。ほら次の授業の準備だ。」
「次って確か魔術の実技授業だよな?」
「ああ、そうだ。」
明はガバッと体を起こし急いで準備をし始める。
「よっしゃ!俄然やる気出てきた!」
「復活早いな…」
そんな事は彼の耳には届かず。
「確か、対魔獣の武器が配布されるとか言ってなかったっけ?」
「そんなこと言ってたな」
「基本的なプレーンタイプだけど貰えるのはありがてぇよな。」
「俺は持参してるから大丈夫だけどな。」
「え"…そんなこと出来るのか…!」
「おいおい…昨日先生が話してたじゃないか。」
明はかなりショックを受けている様子だ。
「そこまで落ち込まなくても…後でちゃんと持ってこれるから大丈夫だと思うぞ。」
「本当か?!」
「ああ、でも早くて二学期からじゃないか?手続きとかも必要だし。」
明はその言葉に再び落胆した。
「二学期からって…あと5ヶ月も待たなきゃいけないのかよ…」
「残念だったな。」
「はあ…仕方ないか。」
「それまでは学園のやつで我慢だな。」
「ああ。」
「さてと…そろそろ時間だ。移動しよう。」
「ああ、そうだな。」
──────────
そして実技棟に移動し授業が始まった。
初めての授業だから担当教師の自己紹介から始まった。
「えー…実技担当の
そしてその隣の人物も自己紹介をはじめた。
「私は武器担当の
武器について聞きたいことがあればいつでも私の所にきてください。」
自己紹介が終わると吉野が説明を始めた。
「あ〜。去年は1年の二学期から武器を持たせるんだったが知ってる奴もいると思うが、ここ最近《
この学校は安全だが万が一のために今年の一学期から武器を持たせることになった。」
「では、私から説明をするよ。」
するとおもむろに武器を机の上に置いた。
「これは《対魔獣用武器》英語で《Weapons for Demonic Beast》だ。略して《
まぁ、言いにくいから普通に対魔武器って呼んでもらっても構わないんだけどね。と笑いながら話していた。
「それとWDBをいつも持ち歩くのも大変だから始業式の日に配った端末に登録して必要な時に呼び出せるように出来るからあとでやっておいてね。
あと注意点!WDBを出すのに少し時間がかかるから私が言うのもなんだけどあまりオススメはしないよ。不意打ちされた時とかに困るからね。」
その後一通りの説明が終わった。
「なるほど…これにはそんな機能があったのか…」凄いなぁと感心しているとWDBの配布が始まっているようだ。
「んじゃ俺行ってくるよ。じゃあな朔摩。」
「ああ。」
と言ったが既にその姿はここに無かった。
おおおお!これが学園で配布される武器か!というのが遠くから聞こえてきた。
「子供みたいだな…」と少々呆れながら溜め息をついた。
すると武器担当教師、片山が俺に気付きこちらに向かってきた。
「君は持ち込みかい?」
「ああ、そうなんですよ。」
「そっか。珍しいね。」
「そうですね。見たところ殆どが配布してもらってるようですし。」
「…ねぇ、君ってもしかして…「おーい!朔摩!!お前もこっち来いよー!!」
先生が何か言いかけた所で明が大声で声をかけてきた。
「あ、ああ。今行くよ。
それでは失礼します。」
「ああ。大丈夫だ。」
と急いで明の元へと行った。
(先生は何を言いかけたんだ…もしかして<あの事>か…?)
そこで考えるのをやめた。
「どうしたんだ?」
「へへっ、見ろよこの大型剣。やっぱりでっけぇな。」
「でもこれはまだ初期状態だからこれからアップグレードなり買い換えるなりしないとな。」
「そのアップグレードってのはどうやるんだ?」
「それさっき説明してたろ。聞いてなかったのか?」
「え?マジで?あはは…聞いてなかったわ。」こんなので大丈夫か?とため息が漏れる。
「この学園はポイント制なんだ。お前のことだ、まずポイントのことから説明しよう。成績が良ければより多くポイントが貰える。入試の時の成績だってポイントにされてるぞ。例えば1位だったとすると10000pt、10位だと1000pt。今後の実技試験や筆記試験の点数だって貰えるptに影響する。ちなみにお前は入試何位だった?」
「えっと…確か、9位だったかな。」
「へぇ…意外と成績良かったんだな。」
「あ、それ馬鹿にしてねぇか?」
「まあ、そんなことは置いといて。」
「おい…」
「9位だと確か、2000ptだったよな…」
「へぇ…俺ってそんなに貰ってたんだな。」
自分の貰えたptに意外そうに驚く。
「自分の事ぐらい把握しとけよな…」
と今日三度目のため息をした。
「まぁ、細かい事は気にすんなって。な?」
「わかったわかった。だから叩くな。」
バンバンと背中を叩く明に困りながらも何とかやめさせた。
「話続けるぞ。そのptを使えば自分の武器や防具を強化、新調する事ができる。簡単に説明したらこんな感じだ。詳しいところまでは説明できない。」
WDBの配布が終え、実技訓練をする事になった。
「ではこれから実技訓練を始める。
くれぐれも怪我の無いようにな。」
実技訓練はWDBによって異なるが、俺の場合は片手剣なので無数に用意された機械人形と10分間戦いスコアを出す、という内容だった。
次から次へと向かってくるロボットを斬り倒してはまた出てくるものを倒す…そんな訓練を繰り返した。
「いやぁ〜、疲れた!」
と体をのばしていう明に
「お前はどんな訓練だったんだ?」
「俺か?俺は湧いてくるロボットをひたすら斬るって内容だったぞ?」
「なんだ、俺と同じなのか。」
「お前スコアいくら位だった?
俺は673だったぞ。」
「俺は1547だった。」
「嘘だろおい!チートかよ!」
俺の点数を聞いてかなり驚いている様だ。
「まあな。」
「俺も頑張らないとな…」と悔しそうに呟いた明。
「とりあえず俺は、もう一戦してくる!」
と明は走っていった。
(さて、俺ももう一戦やるとするか…)
壁から離れ俺も歩いていった。
────
──
─
「今日はここまで!次回はまた違う訓練をするから覚悟しとけよ。」
「うわぁ…あの先生マジで鬼教師だな…」
「そうか?これくらいが丁度いいと思うが…」
「お前の頭と体はどうなってんだ…」
「人を異常者みたいに言うんじゃない。」
「いでっ」
座り込んでいる明の頭にチョップをかましてやった。
「さて、教室に戻ろうか。」
頭を擦りながら明が立ち上がり教室に向かった。俺もその後に続き歩いていった。
実技棟を出た瞬間、俺は魔力の反応を感じた。そして直ぐにどこからか爆発音が聞こえた。
「うわっ、なんだ?!」
突然のことに明や周りの生徒はかなり慌てている。
それを落ち着かせようと全員に何が起きたかを話す。
「爆発だ。多分教室棟からだ。」
「はぁ?!それってやべぇんじゃないか?!」
「ああ。」
「おいおい、大丈夫なのかよ?!」
「いや、俺に言われても…」
すごい勢いで迫ってくる明を落ち着かせようとする。
「あ、ああそうだな。」
「とりあえず俺は様子を見てくる。中にまだ人がいるかもしれない。」
「はぁ!あぶねぇじゃねぇか!ここは先生に任せて避難しようぜ。」
「それじゃあ助かる命も助からない。」
「はぁ!」
「明、お前も避難してろ?」
明は頭をかいて
「〜〜っ、ああ!分かったよ!俺も行く!」
「…そうか、なら西の入り口に行ってくれ。
俺は東から行く。」
「分かった!」
明は大型剣をかついで走り去っていった。
東入り口につき柱に身を隠し中を確認する。
入り口付近は特に何も無い様だ。
腰に付けているホルスターから愛用の銃《SIG P226 E2》を取り出す。
マガジンを外し弾が入っていることを確認すると元に戻す。
銃を構え屋内に入り壁に張り付いてさらに奥の様子を見てみる。
ここにも何も無いようだ。
さっき教室棟から大勢の生徒が出ていってたけど多分まだ残っている生徒もいるだろう。
「2階に上がってみるか…」
教室棟はなかなかの大きさで確か縦200m横100mで5階建てだったはず。
この巨大な建物の中から爆発源を見つけるのは困難だろう。
「使うか…」
目を1度閉じて意識を集中させる。
バッと目を開けると視界の周りが黄金に光る。
「直線にして約30m先に生命反応…3階か。」
急いで階段を駆け上がり生命反応がある方へと向かう。
「ここは…図書室。」
ドアに耳を当てる。
「音がするな…開けてみるか」
銃を構え直し、勢いをつけてドアを蹴り開けた。
「動くな。」と銃を向けたがそこには逃げ遅れた生徒達がいた。
「驚かせてすまない。
君達はなんでこんなことになったか知ってるか?」
すると奥の方にいた男子生徒が前に出てきて怯えながらも淡々と話し始めた。
「俺達もそこまで詳しい訳じゃないんだけど、1年の教室辺りから魔獣が出たとか…」
「魔獣?本当か?」
よほど怖かったのだろう。まだ怯えているようで震えた声で喋っている。
「あ、ああ…あの近くにもまだ…逃げ遅れた人がいたはずだ…」
「そうか、ありがとう。行ってみるよ。」
男子生徒は驚いたように喋った。
「き、君は逃げないのかい!?」
「ああ、ちょっと気になって…」
不意に後ろから新しい生命反応がこちらに向かってきたのがわかった。
─この邪悪な気配…魔獣か。─
バッと後ろに振り向いた瞬間何も無い壁から何かが飛び出してきた。
その物体に銃を向け発砲する。
「キシャァァァアァ!!」
飛び込んできた影に銃弾が命中した。血が飛び散り軌道がずれ朔摩の少し左に落ちた。
「ヒッ…」と避難していた生徒達から短い悲鳴が聞こえた。
顔についた返り血を拭いながら安心させるよう声をかける。
「大丈夫。もう死んでる。」
よく見るとやはり魔獣だった。
丸い犬のよう顔にギョロッとした大きい目がついて胴体はなく代わりに顔からから紙のように薄い手と尻尾がはえている。
「
基本的に集団で行動する
下級の魔獣だが数が多いと厄介だが…
「なんで1匹なんだ…」
何がともあれ急いだほうが良さそうだ。
「あんた達も早く外に出た方がいい。
ここを真っ直ぐ行って階段を降りると出口が近い。安全は確保してるから大丈夫だ。急いでくれ!」
「わ、分かった。ありがとう
君も気をつけてくれよ。」
「ああ。」
生徒達は急いで出口に向かった。
窓から無事脱出した事を確認すると、俺は奥へと向かった。途中で新たな生命反応がありそこが資料室だと分かり向かおうとするが生憎校内の構造をよく知らない。しかし、道中校内の地図がありそこで資料室の場所を確認するなり急いで向かった。幸い同じ3階なため直ぐに着ける。
「嫌な予感がするな…」
さっきも言ったがスレイヴは集団で行動をする。
だが例外がある。
その例外とはそのスレイヴが《
《
可能性があるとすればそれだ。
《
《
しかし先ほどのスレイヴは通常種より少し強く思えた、となると相手は相当の手練だろう。
そう考えてるうちに資料室近くまで来たようだ。
ここからは慎重に行かなければ。
壁に寄りかかり資料室前の様子を伺う。
資料室前はさっきの場所よりスレイヴの数が多い。
(あそこだけ多いということは魔獣使いは資料室の中にいるということか…念のためにもう一度使っておくか。)
目を瞑り意識を集中させ目を開く。
資料室の中に生命反応が三つある。
(見た感じ逃げ遅れた生徒が2人…魔獣使いが1人ってとこか。)
生徒2人が逃げ込んだ資料室に運悪く魔獣使いが入ってきたという感じだろう。
(幸い魔獣使いは生徒に気づいてないみたいだな。
早いとこケリつけないと見つかるのも時間の問題だな…
それより魔獣使いは何が目的だ?
まぁそんな事、後で吐かせたらいい。)
まずは資料室前にいるスレイヴを片付けよう。
銃だと発砲音で魔獣使いに気づかれてしまう。それならばと俺は視線をスレイヴに向けキッと睨むとスレイヴは跡形もなく燃え尽きた。
朔摩の目は《日蝕眼》という魔力が宿った目をしている。使用すると黒目の縁が黄金に光り、生命反応をキャッチや《
(この調子で残りも消そう。)
一体、また一体と次々に燃やされていき、やがてスレイヴは一匹も残らず消された。
(さて、突入するか。)
ドアを蹴り破ろうとした時、右側から大声で呼ばれた。
「おぉーい!朔摩ぁ、大丈夫かー!!」
ビクッと肩を跳ねさせ振り向いた。
「あのバカっ、気づかれるぞ!」
小声で毒づき、ハッとした。
ドアの向こうからガタン!という音が聞こえた。
(しまった!!)
ドアを蹴り破り中に入ったら窓から生徒を抱えて飛び降りる影が見えた。
「クソッ…!」
そこに明がドテドテと走ってきた。
「どうしたんだ?」
と自分がまずいことをしたとも知らずに喋る姿が頭にきた。
「お前、大声出すなよ!!
気づかれただろうが…!!!」
明の胸倉を掴み声を荒らげる。
「わ、悪かった。」
俺はそこで我に返った。
「俺も急に声を荒らげて悪かった…頭を冷やすよ。」
「そ、そうか。」
「中に入るぞ。」
「わかった。」
不意に後ろから声がした。
「あ、あの…!」
「…ん?」
そこには逃げ遅れた女子生徒の1人がいた。
そういえば連れ去られたのは1人だったな…と思っていると。
「あの…先輩が私を…私を庇って…つ、連れ去られました…!先輩を…た、助けてください!」と泣きながら喋る女子生徒を宥めた。
しばらくして女子生徒が落ち着いた所を見計らって質問した。
「それに聞きたいことがあるから少しいいかな?」
「は、はい。」
それから、先輩を連れ去ったのはどんな奴だったのか?どんな服装をしていたのかと色々と聞いて分かった事は─
「なるほどな…相手は緑のフードを被っていて顔が見えなかった。
でも髪の長さと喋り方が女性ぽかった…か。」
「は、はい。あのどうにかなりますか?」
「ああ、多分大丈夫だ。まだ遠くには行ってないはずだから…俺は直ぐに後を追うよ。
明、この人を頼めるか?」
「おうよ!任せとけ!」
明は胸に手をトンッと叩いた。
さっきはあんな事があったのに頼もしい所もあるんだなと思いながら明の肩を軽く叩き窓に向かって歩いた。
「じゃあ頼んだぞ。」
「おう!気をつけろよ、朔摩。」
「分かってるよ」と窓に向かいながら言い放った。
「よっと。」
そう言うと、3階の窓から飛び降りた。
小説を書いているTwitterの優しい先輩からのアドバイスの元、無事書き終えることができました!
先輩には大感謝です!
こんなありきたりな小説を読んでくださってる皆様…本当にありがとうございます!まだまだこれからも書いていきます!