窓から飛び降り、テロリストの後を追う。
(ったくテロリストはなんでこう無駄に足が速いかなぁ…)
左腰に差している鞘に剣を引き抜く。
朔摩のもう一つの武器《ミリタリー・ソード》。
「さて、どこにいるのやら…」
周りをキョロキョロと見渡してテロリストの姿を探す。
「連れ去られてからまだ5分くらいだったかな。まだ近くにいるはずだ。それにいきなりここから脱出しようなんて思ってないはずだ。」
もし今から脱出しようとすると学園内で捜査をしている教師達に見つかる可能性が高い。それにこの学園は強力な結界が張られている。何十人いようとそう簡単に破壊できるものではない。
「もし脱出をするなら校門しか無いわけだからそこを必ず通るしかない。」
校門で待ち伏せと考えたがそれでは捕まった生徒をすぐに救出することが出来ない。
そこでふと忘れていたこと思い出した。
(そもそと奴らの狙いはなんだ?この学園にそれほどいいものがあるのか?)
そうなるとこの学園の何かを奪いに来たとするとその何かを奪うまで帰ることはないだろうと朔摩は考えた。
(何がともあれ急がないと生徒の命が危ない。)
日蝕眼を使い学園内の生命反応を探す。
その瞬間、背後から人の気配が感じ振り返って視線を向けるとすごい勢いで斬りかかってきた。
(こいつ…さっきの生徒の証言とは違う…犯人は複数いるのか。)
次々と降り掛かる斬撃の雨をササッと躱し、目の前の相手に左手でボディブローを打ち込む。
「がっ…!!」
相手は口から血を吐き出し、よろけるが体勢を立て直し朔摩と距離をとる。
すると突然、相手が大声で叫んだ。
「おい!お前ら、出てこい!!」
(やっぱり隠れてやがったか。)
5、6人が朔摩を取り囲む形で並び立つ。
謎の人物達を呼び出したさっきの奴はどうやらこの中でリーダーのようだ。
「やれ」
そう合図をするとテロリスト達は一斉攻撃を仕掛けてきた。
「っしゃァァァァ!!」
「ゃあぁぁぁぁぁ!!」
「死ねやぁぁぁぁ!!」
「うらぁぁぁぁぁ!!」
声を上げ襲いかかってくるとほぼ同時に朔摩の剣が赤い炎に包まれた。
全属性の魔術に存在する基礎魔術<エンチャント>。今の朔摩は火属性のエンチャントを使っている。
そして左手でホルスターから銃を抜き取り前方2人の額に向け、発砲する。
2人はそのまま頭から血を吹き出しながら地面に落下した。
「ふっ!!」
踵を返し後ろから来る3人を薙ぎ払うように炎に包まれた剣で水平斬りを叩き込む。
3人は上半身と下半身と真っ二つに切断され、その場に転げ落ちる。
「さて…お前の仲間は死んだが、お前はどうする?」
と鋭い目つきで敵リーダーを睨みつける。
「
リーダーは小さく舌打ちをしてすぐに不気味な笑みに変える。
「そんなに知りたきゃ力尽くで聞き出すんだな!」
ははははっ…と大きな声で笑うと自分の指を少し噛み切り指先から出た血を地面に垂らす。
「さぁ…魔獣のお出ましだ!!」
血が落ちた場所にゲートが開き大量のスレイヴが現れた。
「流石のお前でもこの数は無理だろ!?」
「すぐに終わらせてやる。その次はお前だ。」
そう言うとスレイヴの大群に向かって走った。
一振りするとその炎がスレイヴからスレイヴに伝染し次々と燃えていく。そして、あっという間に全てが燃え尽き灰と化した。
「…これで片づいたな。さて、次はお前の番だ。」
「っ…」
リーダーの様子を見て相当焦っている様子だった。どうやらここまでとは思っていなかったらしい。
サッと相手の元まで素早く走り、そのまま敵の頭を掴み壁に叩きつける。
─バキィッ─
「っぐぁ…!」
「もう一度言う…生徒の居場所を教えろ。」
メリメリと壁にめり込ませ質問する。
敵リーダーは苦しそうにしながらも俺の質問に答えた。
「き…旧校舎近くの…倉…庫、だ。」
「そうか。」
敵リーダーの頭にから手を離すと地面に崩れ落ちるように倒れた。
今は動かないようだがこのまま放置してなにか問題を起こされても困る。
(一応拘束しておくか。)
手足を縛り口にテープを貼りその辺に転がしておき、急いで旧校舎付近の倉庫に向かった。
その頃、幸奈の方は。
腕に巻かれた縄をなんとか切ろうと錆び付いた柱に擦り付ける。
(待ってるだけじゃダメ…早くここから脱出しないと…!)
ジリジリと縄がすり減って残り三分の一まで切れた。
(あともう少し…もう少し!)
ブチンッと言う縄の切れた音が聞こえ両腕が自由になった。
(よし…これで脱出できる。)
そうはいったもののここが学園内のどこなのか分からない。
出口は真正面にあるが監視達が見張っている。
幸いあそこからここは見えないお陰でこちらが縄を切ったことを気づいていないようだ。
(とりあえず隠れないと…)
そろ〜っと静かに物陰に隠れる。
そこでちょうど監視の1人がこっちに来た。
自分がいない事に焦りと驚きが見て取れる。
「おい!人質が逃げたぞ!」
「マジかよ…ボスに殺されるじゃねえか!」
「早く見つけ出せ!奴に俺たちの事を話されたらたまったもんじゃねぇ!」
「分かってるよ!」
バタバタと監視達は外へと探しに行った。
(よし!今なら逃げられる!)
ダッと出口へて走り出した。
しかしそれを遮るように上から巨大な何かが降ってきた。
─────
(旧校舎付近の倉庫ってどこだよ…)
学園に入って間もない朔摩には学園全体図を知らないため倉庫はおろか旧校舎の場所さえ知らない。
一度教室棟に戻ろうとしたがそんなことをしている間に
(どこかに学園全体図があればいいんだけど…ん?)
そこには掲示板のようなものがあり全体図が載せられていた。
「こんな所にあるのか。」
とりあえず全体図を覗いてみるとここはかなり広いようで倉庫を見つけるのは大変そうだ。
(旧校舎、旧校舎…あった。ここの近くに倉庫があるんだな。急ごう。)
ダッと地面を蹴り走った。
(あそこか。)
そう言って倉庫前に立ち目の能力を使う。
(っ…中に大型の魔獣がいる…これはまずいな、生徒が危険だ。だが真正面から行くのはバカのやることだ…どこかに隠れて入れるような場所は…)
倉庫全体を見渡し中に侵入できそうな所を探す。
(あそこがいいな。)
勢いよくジャンプし、倉庫の屋根に音を立てずに着地する。
(どれどれ)
と心の中で呟き目の能力を再び使う。
(ヤバッ、
しゃりんと剣を腰の鞘から抜き突入の準備をする。
そして思いっきり窓ガラスを蹴り破った。
────
ドォォォォンと大きな音に驚き目を見開く。
埃が舞い前が見づらくなるが徐々に周りが見えやすくなる。
そこにいたのは巨大な魔獣だった。
「グルルルルゥァ…」
フー、フーと荒い息をたてこちらを睨らんでいる。
体長はおそらく5mはある。
(なに…これ…こんなのがなんで…)
すると魔獣の影から先程のテロリストが出てきた。
「あら、気づかなかった?実はこの子ずっと天井に引っ付いていたのよ。あなたが逃げ出した時に殺させる為にね。」
そう言いながら不気味な笑いをする。
「クッ!」
幸奈は魔獣を避け出口に向かおうとするがそこで魔獣が乱暴に手を振り上げ、幸奈を叩き潰そうとしてくる。
「グワァルァァァ!!」
ダンダンダンダンと幸奏目掛けて地面を叩くがそれを幸奈は避け続ける。
「あら〜やるじゃない。でも、いつまで続くかしら。そんなに逃げ続けてもいつか潰されちゃうわよ〜」
魔獣の攻撃を避け続けていた幸奈が手を魔獣に向けて魔術を打ち込む。
「グゥ!ガァァェ!」
魔獣に当たり少し怯んだがすぐに攻撃を再開した。むしろ攻撃したことによってより凶暴になった。
「ガァァァァァ!!」
魔獣が怒り狂ったように地面を叩く。
避け続けていたが地響きで足がぐらつき転んでしまった。
「あらあら…転んじゃうなんてドジね。あなたの戦い楽しませてもらったわ。
あなたにはもう用済みだし、死んでもらうわ。」
ニヤッと不気味な笑みを幸奈に向ける。
幸奏はその瞬間恐怖に囚われ意識が遠のいた。
ジリジリと魔獣近づき逃れようと尻餅をつきながらも後ずさる。
後退しているうちにとうとう壁に当たってしまう。
(私…ここで死ぬ…の?いや、いやっ…!死にたくない!)
魔獣が手を大きく振りかぶり幸奈目掛けて振り下ろされようとした瞬間ヒュンッという音を立て細長い物が勢いよく天井から落ちてきた。
─ザシュッ─
「ギガガェゴァァァ!!!」
魔獣に刺さったと同時に周囲に凄い風が吹く。
そしてすぐに痛みに悶絶する魔獣の頭に人が降ってくる。
魔獣の目には銀色に輝く鋭い剣が刺さっていた。
その人物は剣の柄を持ち引き抜き大きく幸奈の方へ飛び退いた。
「大丈夫か?」
幸奈は呆然としていて気づかないうちにすぐそこに来ていた。
その人物は朔摩だった。
何故ここに学園の生徒がいるのか、色々な疑問があるがとにかく助かったということに力が抜ける。
「すぐに終わらせるから少し待っててくれ。」
「だ…ダメだよ!逃げて!」
すると朔摩の剣は赤く輝き真紅の炎に包まれた。
「あんた、何邪魔してくれてんのさ!スレイヴ、やりな!!」
魔獣は朔摩目掛けて飛び込んできた。
朔摩は左手を突き出す、すると魔獣は朔摩にぶつかる手前で何かの障壁に阻まれて跳ね返され壁に叩きつけられる。
魔獣に隙ができたところで朔摩が攻撃に出る。
魔獣に向かって走り炎を纏った剣を振りかぶり一気に振り下ろす。
「ギガガガィアエォォ!!!」
咄嗟に鋼鉄のような腕でガードするが柔らかいものを斬るように魔獣の腕が切断され周囲に赤黒い鮮血が飛び散る。
しかしそんな残酷な光景も幸奈の目には入っていなかった。
朔摩の剣技に見とれ、その光景しか幸奈の目には映っていなかった。
(すごい…目が追いつけないほど動きが速い。相手が次の行動に移すよりも早く二手三手と攻撃をしてる。その剣技も速すぎて目に見えない。)
朔摩の剣の輝きは消えることなく光の軌道を残していた。
その光の軌道はまるで夜空に輝く流星のようだった。
そして斬られ続けていた魔獣が断末魔の叫びを上げその場にグッタリと倒れ込んだ。
「嘘でしょ!!スレイヴしっかりしなさい!!あいつらを殺るんだよ!!」
と謎の人物は死体に話しかけている。
朔摩は顔に着いた返り血を拭い
「さて、あんたはどうする?このまま戦って捕まるか、大人しく捕まるか…あんたの部下は全員拘束済みだが?」
「クソ!!」
そう言うと朔摩に向かって銃を発砲するが全て剣で弾かれる。
しかしまだ諦めないようで懐からナイフを取り出し朔摩に向かってくるが、ナイフの持つ手を掴まれそのまま足を引っ掛け後頭部から地面に叩きつけられる。
「警察はもう呼んである…大人しくしろ。」
そう言うと縄を取り、うつ伏せにさせ手を後ろで縛った。
「これで一件落着っと。」
腰に手を当てふー…と息を吐く。
踵を返し幸奈の方へ歩いてきて幸奈の前で跪いた。
「大丈夫か?もうすぐ救急車も来るから…怪我とかあったら言ってくれ。」
「多分…大丈夫。あの、ありがとう…助けてくれて。」
そう言うと朔摩は笑顔で
「どういたしまして。さて…もうすぐ警察たちが来るから俺達はここから離れよう、警察の邪魔になる。立てる?」
と手を出してきたが
「あ、うぅ…え〜と、ごめんなさい。腰が抜けて立てないの。だから…ちょっとおんぶしてくれない夏奈…?」
顔を赤くして言う幸奈をみて朔摩は目をぱちくりさせ、あぁ…なるほどっと言って幸奈に背中を向ける。
「ほい。どーぞ。」
「あ、ありがとう…」
幸奈が背中に乗ったのを確認すると、「よいしょ」と言って立ち上がった。
出口から出たら入れ替わりのように警察が入っていった。
すると1人の警察が声を掛けてきた。
「ちょっといいかな?」
「何でしょう?」
「君たちは
「はい、そうです。」
それから色々と警察からの取り調べを受けた。
「もういいよ。ありがとう。時間をかけて済まなかったね。」
「いえ…それでは。」
そのまま避難所である第一体育館へと向かった。
「…君って強いんだね。」
「まぁ、昔っから鍛えてるしな。そういう風に育てられたし。」
「そうなんだ…お父さんかお母さんに教えてもらったの?」
「いや、俺に親は居ない。教えてくれたのは……な、習い事…かな。」
親がいないと聞き余計なことを聞いてしまったと落ち込んでしまう。
「そ…そうなんだ…ごめんね、余計なこと聞いて。」
「いや、気にしてない。」
(そういえばなんで習い事って言った時言いよどんだろう?まあいいか。)
「今日は助けてくれて本当にありがとう。」
「お礼ならさっき聞いたよ。さ、もうすぐ体育館だ。見た感じ怪我は無いけど後で病院に行っといた方がいいよ。」
「分かった。」
「よし、体育館に到着。ここからはもう1人で大丈夫だろう。」
「うん。ありがとね。」
「いいよ。気にするなって。
じゃあ、俺も戻るよ。」
「分かった。じゃあね。」
と手を振る。
彼はすぐに見えなくなり、幸奈は避難所に入っていった。
この出会いによって2人の人生は大きく変わる事になった。
第一章 学園騒乱編 終
はい。こんにちは!
今回で学園騒乱編は終わりです!
短かったですね…バトルシーンも短い。何もかもが短いような…
それと題名詐欺になってないか心配です(汗)
今更ですがこの作品は主人公激強系なんですよ。
最初から強い系が苦手な方すみません。
それでもこれからもどんどん強くなっていきます!(多分)
次回の題名はもう決まっています。
題名は《ブラッドタワー攻略編》になります。
今ここで説明しますがブラッドタワーとは第二次世界大戦の2年後いきなり魔獣が活発化し、ある土地に魔粒子を集めゲートが出現してそのゲートから出てきたのは天をも貫く大きな塔。その頂上から血のように真っ赤な液体が滝のように流れて来ていることから《ブラッドタワー》となったのです。
推測で3000階もあるかと言われており、現在2870階まで制圧出来ているとか。
1階1階の敵はそこまで強くはないんですが50階ごとにでる敵が強力なんです。
そのブラッドタワーを2871階から攻略をすると言うお話です。