ONE PIECE~海賊王への導き手~ 【にじファンから移動】 作:グリム★
キラの背後にRUINの魔の手が忍び寄る。
※8月21日修正
肩をグルグルと回しキラはクリーク海賊団との距離を詰める。
海賊の何人かはキラの存在に気づき尻餅をついた。
脚に力を入れ踏み出そうとした瞬間……
「お嬢さん、下がってな!ここは、戦うコックさんに任せとけ!」
キラを押しのけ、いかついコック二人が海賊達に突っ込んでいく。
『どりゃあああああああ!!!!』
海賊達の悲鳴が響き渡る……戦うコックさん……侮れない……
キラはクスクスと笑う……完全に気を抜いていた……流れ弾が飛んでくる。
『あぶねぇ!』
ギリギリのところでキラはサンジに抱きかかえられ難を逃れた。
「何してんだ! ボーっとすんな!」
キョトンとするキラの顔を見つめサンジは頬を染める……
サンジはボソボソと「こいつは男……」と繰り返し言っているようだ。
「あ、ありがとう」
笑顔でキラはサンジにお礼を言う。
「か、かわいい……って違うッ!」
サンジは、絶叫しながら近くにいる海賊達を蹴り飛ばす……どうやらキラの出番はなさそうだ。
それほど海のコック達は強かった。
レストランなのに中々武器が充実しているようだ。
近くの瓦礫に腰をかけ戦場を見つめていると……背後に気配を感じた……
「お前、旋律のキラだな……」
クリーク海賊団の一人がキラの背後に立っている。
ゆっくりと振り返り男の手を見ると”ルイン”のタトゥーが彫ってあるようだ。
「紛れてたってわけ……」
「貴様には、死んでもらうぞ……我等の野望の為に……」
背後へと回りこまれ思い切り背中をサーベルで切りつけられるが……『剛』でその攻撃を完全に防ぎきった。
振り向き様男の顔面に拳を叩き込む……鼻から血を吹き出し後退する。
「な、なぜだ……貴様、悪魔の実の能力者か……ならば!」
腹部を白い棍棒の様な物で殴られるが……キラは何事も無かったかのように男の腹部に拳を叩き込む。
鈍い音が聞こえると同時に口から血を吹き出す……
「バカな……海楼石が通じない……能力者ではないのか……?」
まったく動じていないキラの姿に混乱しているようだった。
男の腹部に手を添え力を込める。
『剛砲!』
強烈な掌底を見舞うと男は泡を吹きながら膝から崩れ落ちる……背中の皮膚からは、骨が肉を突き破っているようだ。
キラは合掌し悲しそうな顔で男を見つめる……
「キラ!これつけろ!」
ルフィがキラにガスマスクを投げる……突然の出来事に困惑の表情を浮かべる……
「早くつけろ!毒ガスだ!」
サンジが叫ぶ。
どうやらクリークが毒ガスを放ったようだった……急ぎマスクを付ける。 あたり一面にガスが立ち込めた。
ガスマスクを持たないものたちは一斉に海へと飛び込んでいく……
時間がたち……ガスがはれたころ……キラはガスマスクをはがし辺りを見回す……
サンジがルフィを指差し叫ぶ。
「あのバカ!無茶する気だ!」
ルフィがクリークの攻撃を体で受け止めながら突き進んでいく。
クリークの表情からもあせりが見てとれた……
キラは、サンジの隣に立ち声を掛ける。
「ウチの船長……無茶するだろ?」
「ああ、お前らも大変だな。助けにいかないのか?」
微笑みルフィの姿を見つめる……ゆっくりとキラは口を開く
「ここで負けるようなら……それまでさ」
『ゴムゴムの大槌!!!!』
強烈な一撃がクリークを捉える……
クリークを破ったルフィだったが網のようなものを掛けられ共に海へと沈んでいった。
キラは、笑顔でサンジの方を見た。
「うれしそうだな。キラ」
笑顔でサンジはキラに問いかける。
キラも笑顔でサンジに答えた……
「……悪魔の実の能力者ってカナズチなんだ」
「な!?バカ早くいかねぇと!」
サンジが海に飛び込む……ルフィを助け出し海面から顔を出しキラを睨み付け怒鳴りつけた。
『てめぇのとこの船長だろうが!』
微笑みキラはサンジに答える。
いずれはお前の船長になる男だと……
複雑そうな表情を見せるサンジ……それもそうだろう自分達と一緒に行くとなるとレストランを去らなくてはならない……
サンジは海から上がりルフィを自室へと運んだ。
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椅子に腰掛け談笑しながら2人でルフィの目覚めを待つ。
ふと疑問をサンジが口にする。
「なんでこいつに付いて行こうと思ったんだよ」
寝ているルフィを指差しキラを見つめた。
キラは出会った時を思い出すかのように答える。
「俺はいままでいろんな海賊を見てきた……でもな、こいつ見たいな奴は初めてだったんだよ」
思い出しながらクスクスと笑うキラにサンジは頬を朱色に染めた。
キラが小首を傾げ口を開けたままのサンジに何事かと聞こうとするが……ルフィが勢いよく起き上がる。
起きると同時にルフィの腹の虫が泣く……
クスクスと笑いキラは部屋のドアノブに手を掛けた。
「何か食べ物もらってくるよ」
部屋を出てすぐ……話し声が聞こえる。
サンジが楽しそうにオールブルーについて語っているようだ。
自分達の目指す先、偉大なる航路(グランドライン)にはオールブルー……その可能性がある……
彼も行ってみたいのだろう……オールブルーへ……
キラは少し立ち聞きすると笑みを浮かべ食堂へと向かった。
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『メシだぞぉ!』
食堂への扉を開けると同時にコックの一人が声を上げた。
キラの存在に気づきコックは自分の隣の席をバンバンと叩く。
「おお。キレイな兄ちゃん。ここ座りな」
「あ、ああ……でも……」
席を見渡すが……2人の……ルフィとサンジの席がない。
「あいつらは、床でいいんだよ。」
部屋から食堂へと来た二人は席が無いのを確認すると仕方なく床で食事を始める。
コックの一人がスープを一口すすると……大声を上げた。
『おい、なんだ!このクソマズいスープ!』
床から立ち上がるとサンジは不味いと口にしたコックのもとへと歩み寄っていく。
「それは、俺の作ったスープだ……まずい訳が……!」
これが合図かのごとくコック達は口々に不満を口にしスープを床へと捨て始める……
まるでサンジを追い出そうとしてるかのように……
状況を察しキラは部屋を出る……
「あいつを連れて行ってくんねぇか。お譲ちゃん」
オーナーゼフがキラに声を掛けた。
微笑みを浮かべ口を開く。
「やはりあなたの指示ですか?オーナー」
「あれぐらいしないと行こうとしやがらねぇからな」
笑みを浮かべ食堂を見つめる……何年もサンジと一緒にいるのだ……一番彼の性格を熟知しているだろう。
「彼が行きたいといえばね……」
それだけ言うとキラはゼフの横をすり抜け扉へ手を掛ける。
扉を開けると心地良い風が入ってきた。
外へと出ようとするキラの背中にゼフが声を掛ける。
「あいつがお前らと一緒に行くと言うとはかぎらねぇぞ?」
何も答えずキラはゆっくりと扉を閉めた。
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外に出てキラは大きく体を伸ばし全身で日光を浴びる。
容赦なく日差しがキラの体を照りつけた。
背後の扉が大きな音を立て乱暴に開かれる。
振り向くとそこにはサンジの姿があった。
「俺……お前らと行くことにした」
キラはサンジに笑顔を見せると再び海を見つめる。
「ヨサクってやつとルフィが船出の準備始めたぞ」
ヒラヒラと手を振りわかったと合図をすると……キラはゆっくりと歩み扉へと手を掛け、口を開く。
「サンジ……準備できたらおいで」
返事を待たずにキラは扉を閉めルフィとヨサクのところへと向かっていった。
小船へせっせと荷物を積む男の姿がある。
キラはその背中に声を掛けた。
「壊血病よくなったかい?」
ヨサクは振り返ると笑顔を見せ感謝を告げる。
「ヘイ!兄貴のおかげです。ありがとうございやす!」
「どういたしまして」
それにキラは笑顔で答えた。
サンジは荷物をぶら下げこちらに向かってくると暗い顔で呟く。
「行こう……」
すでに船に乗っていたルフィと顔を合わせ出すよう合図を送る……
船に乗り込もうとするサンジの背中に声が掛けられた。
「カゼひくなよ」
オーナーゼフの一言にサンジの目には大粒の涙が溜まっている……
サンジの背中をキラは優しく叩いた。
「ちゃんとあいさつして来な……」
サンジとコック達は、お互いに別れをそして感謝を告げる。
それは……一生の別れではなく、次の再会への別れ……再び人生という道で交差することを願って……
感謝は、今までお世話になったことへの感謝。
サンジとゼフの別れは、まるで親と子の別れのようだった。
長年二人三脚でがんばってきた師弟の別れ……
ゼフは、サンジが過ぎ去った後も海を見つめ息子の旅立ちを祝っていた。