ONE PIECE~海賊王への導き手~ 【にじファンから移動】 作:グリム★
次の場所は?
※8月29日修正
ラブーンと別れ船はログポースの示す航路を進んでいた。
今日も快晴である。
海を見つめるキラにナミは声を掛けた。
「キラ、なんでそんなに偉大なる航路について詳しいの?」
「たぶん……俺は偉大なる航路出身なのかもな……」
自分のことなのに他人のことのような言い方をするキラにナミは違和感を感じた……
彼は言えなかった……自分にはあまり記憶がないことを……
覚えていることも……自分がとある島で目覚めた後のことだけ……それより前の記憶はほとんどない……
ただ一つわかっていることは……自分には黒い過去があると言うことだけ……
確信がない……だから……まだ言えない。
ただいずれは思い出し話すときが来るかもしれない……そのとき……こいつらは一緒にいてくれるだろうか?
まだ仲間と呼んでいてくれるだろうか……
ボーッっと海を眺めているとナミがキラの肩を揺すっている。
「ちょっと……キラ!」
我に返りナミの顔を見つめた。
心配そうな表情を浮かべている……
どうやら話しかけても長い間反応がなかったようだ。
偉大なる航路に来てからと言うもの……頭痛が激しくなっている……
頭を抱え大きく息を吐く。
船首にいたルフィが大声を上げた。
「島がみえたぞ~!」
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錨を下ろし上陸する……
ここは歓迎の街ウィスキーピーク。
海賊を歓迎する街だと言うが……そんなもの存在するわけがない。
海賊を歓迎などありえない話だ。
それはそうとあの怪しげな男女2人組みだがあいつらはウィスキーピークが見えてくると海へと飛び込んで姿を消してしまった。
あの2人がいなくなったことには訳があるはず……表情を引き締めキラは大地を踏みしめる。
街に入るや否や人々の熱烈な歓迎を受けた。
町長のイガラッポイという男が一軒の小屋へと一味を通すとそこには……豪勢な食事、たくさんの綺麗な女性達、大量のアルコール……
一部を除き麦わら一味はその歓迎をありがたく受け取った……
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夜が更け……一味も寝静まった頃……
街では動きがあった……
先ほどまで一緒に騒いでいた人々の姿は消え……街の外は殺気に満ちている……
それに気づきもせず……一味は酔いつぶれまたは食いつぶれていた。
麦わら一味が眠る小屋の外では先ほどの怪しげな2人組みが町長のイガラッポイと話し合っている……
イガラッポイの手には一味の手配書が握られていた。
2人組みは手配書に目をやると驚きの声を上げる。
「3000万!?」
「Mr9声が大きい!」
イガラッポイに注意され2人組の男の方……Mr9と呼ばれた男は自分の大声に気づき口を塞ぐ。
静かになったことを確認するとイガラッポイはもう一枚の手配書を2人に見せる……
「ろ!?6000万!!!」
「Msウェンズデー!」
今度は2人組の女の方……Msウェンズデーが大声を上げた。
あの優男が……6000万?
3人は口々に何かの間違いだ……嘘だ……と口論を始める……
「楽しそうだな……混ぜてよ」
小屋の壁にキラが背を預け立っていた。
キラの姿を見つけると3人と一緒にいたシスターが声を上げる。
「そ、そんな……だってあんなに飲んで……」
飲んでなどいなかったキラは注がれる酒をゾロやナミの杯へと移していた。
海賊を歓迎などありえない……そう思って最初から疑って掛かっていたのだ。
「残念……まぁ……もう一人起きてるのがいるみたいだけどな」
屋根を見上げるとゾロが不適な笑みを浮かべ仁王立ちしていた。
イガラッポイたちは身構えた……まさか上手くいかないとは考えていなかったのだろう……。
「さぁ……やろうぜ……バロックワークス」
バロックワークス……その名前には聞き覚えがある……
確か……諜報、暗殺、盗み、賞金稼ぎなど裏の仕事をしている秘密犯罪会社だ……
ゾロの一言に3人は青ざめた……
自分達の正体がばれている……生きては返すまい……
たくさんの人影が街の隅々から現れる……
彼らは先ほどまで自分達と宴をしていた人々だ。
あっという間にゾロとキラは敵に取り囲まれる……
取り囲まれたにも関わらず2人は不適な笑みを浮かべた。
キラが敵の中央へと移動すると屋根の上からゾロも跳び降りお互いに背中を預ける……
「いくぞ……合わせろ!」
体制を低くしゾロが刀を構えた……キラは頷き勢いよく体を捻った。
「鷹波!!!」
「旋!!!」
突風が敵に襲い掛かる……悲鳴を上げ何十人もの賞金稼ぎが風圧に耐え切れず吹き飛んでいく……
やるじゃないかとキラはゾロの肩をパンパンと叩く……
ゾロは青ざめていた……キラと初めて組んで戦うが……
《クソ!キラの野郎なんてパワーだ!?化物か!?》
圧倒的な力……なぜこれほどの男が今まで埋もれていたのか……
黙ってキラの顔を見つめているとゾロの視線に気づき笑顔を見せる。
「ロロノア!あっちを頼む!」
それだけ言うとキラは右の通路に走っていった。
大きく息を吐きゾロは呟く……
「あの野郎……負けねぇぞ」
クスッと笑うと左側の通路へとゾロは向かった……
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何十人もの賞金稼ぎがキラの後を追ってくる……
だが彼らには他の賞金稼ぎとは違った空気があった……
キラは立ち止まると相手の方を振り向く。
「お前等……ルインか……」
不適な笑みを浮かべると男達は腕をまくりルインのタトゥーをキラに見せつける。
彼らがなぜここまでしつこく自分を追うのか……おおよそ検討も付かない……
どうやら自分を諦めるつもりはないようだ……ならば……
キラが間合いを詰めようとしたその時……
「やめなさい」
一人の男がキラへ向かおうとした瞬間……暗闇の中から銀髪の男が現れ静止する……
「キリク様」
男達はひざまづき頭を垂れた……
そのキリクと呼ばれた男を見た瞬間……キラの頭痛は激しくなり……一部の記憶が蘇ってくる……
自然にキラの口から言葉が出た。
「キリク……」
キラに名前を呼ばれるとキリクはニッコリと微笑み口を開く。
「久しぶりですね……ユダ。いや今はキラでしたか?」
ユダ……それは自分の過去の名前……
笑みを浮かべキラは絶望した……この男キリクは……
「ルイン大将のお前が出てきたか……本気で俺を消すつもりか……?」
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キリク
ルイン大将
長身と銀髪、切れ長の目が特徴。
キツネ顔。
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両手を広げキリクは笑顔を見せ口を開く
「単刀直入に申しましょう……ルインに戻ってきなさい……」
それを言われた瞬間……過去の記憶が一気にフラッシュバックする……思い出した……自分はルイン側の……組織の人間だった。
しかも、三人しかいない大将の一人……
「あなたの力は私が一番わかっている……だからこそ争いたくは……」
キラは大声を上げ笑い始める……
自分が何故命を狙われているのか……それは……組織のトップにいた自分の力が他方に回るのを防ぐ為……
手で顔を覆いキラは笑い続ける……まるで壊れたおもちゃのように……
キリクは大きく息を吐くと腰の刀に手を置いた。
「話にならないようですね……では……死ね!」
突風がキラの顔の横を通る。
顔を覆っていた手から血が滴り落ちた……
白い刀の剣先をキラへと向けニッコリと微笑む。
「覚えてますか?この白刀の切れ味。」
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白刀(長刀)
ルインが対能力者用に造り上げた刀。
刀身には海楼石と特殊加工金属が使われている。
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我に返りキラは間合いを詰め腹部目掛け拳を突き出す。
白刀は懐に飛び込めば振り切れない……そう考えたのだ……
考えが当たったのかキリクに動きがない……もらった……そう思った瞬間……
地面を突き破り棘の生えた植物が何十本も飛び出してくる。
反応が早くキラは寸前のところで植物をかわす。
「さすが……ですねぇ……」
そういいながらキリクは自分の左腕を前方に突き出すと白刀で切り落とした……突然の光景にキラは動きが止まってしまう……
驚くキラをキリクはクスクスと笑いながら見つめていた……
肘から下の部分がない……なのに何故……血が噴出さないのか……
突然……腕の切り落とした部分から植物が飛び出してくる。
植物の鋭い突きを右に受け流し……腕がない左側から再び間合いを詰めようと接近する。
口元を緩め……笑みを浮かべると……キリクは叫ぶ……
「馬鹿め!」
左腕から生えた植物が腕の形を形成すると……腕が再生する。
すばやく逆手に刀を持ち変えキリクは……刃を振り上げた……
『燕返し!!!』
「剛!」
回避が間に合わない……そう判断したキラは防御を固めるが……
勢いよく後ろに吹き飛ばされるとキラは民家の壁に背中を強打する。
腕に意識を集中し硬化したため背中の防御は疎かだった……痛みがキラの体に襲い掛かった。
大声を上げキリクは笑い……キラを見下ろし口を開く。
「ハハハハハハ!鈍ったな!ユダ!ああ今は……弱いキラ君だったかな」
今の自分ではこの男には勝てない……そう思った矢先……
ふと……脳裏に真っ赤な月が浮かび上がる……
「さぁ……お別れと行こう……」
白刀をキラの首元へと突きつけキリクは薄ら笑いを浮かべた……
不気味と言う言葉が何よりも似合うだろう。
刀を振り上げ口を開く……
「さようなら……我が友よ……」
それだけ言うとキリクは刀を振り下ろす……が……
腕に当たった感触がない……
振り切ったはずの刀は腕ごとキリクの後方へと吹き飛んでいた……
「おや……死神復活……かな……?」
キリクはキラの顔をみるとそう呟く……
闇夜に爛々と輝き浮かび上がる赤き瞳……
その瞳はキリクを捉えて離さない……
舌なめずりをしキリクは笑みを浮かべた。
「おかえり……ユダ……」
ゆらりとキラは立ち上がるとその赤き瞳にさらに力が加わる……
キリクとキラの戦いを見ていたルインの戦闘員は涙を流し命乞いを始めた……
恐怖が一帯を支配していく……
首をグルグルと回すとキラは口を開く……
「殺す……」
待ってましたとばかりにキリクは白刀を拾い上げキラへと向ける……
2人が構え距離を詰めようとしたその時……
街のほうから轟音が鳴り響く……
「ロ、ロ、ノア……?」
轟音を聞いたキラの赤き瞳は影を潜めもとの紫色の瞳へと戻っていく……
大きく舌打ちをしキリクは刀を腰に帯刀する。
しばらく町の方を眺めていると……こちらへ何か飛んできた……
地面へと落ちたそれを確認するとなんだか見たこともない男女だ。
キラが首を傾げているとキリクが口を開く。
「バロックワークスのMr5とミス・バレンタインですね。」
なんで知っているのか?
不思議そうな顔をキラがキリクに向けるとニッコリと笑いこれでも裏組織の人間ですからと言うと踵を返す……
キラに背を向け歩きながらキリクは声を上げる。
「今回は見逃してあげます……次はわかってますね……」
追うことなど出来ない……キラはわかっていた……
今の自分では勝てない……
何かを思い出したのかキリクは立ち止まりこちらを振り向く
「次までにはあなたの”創造の力”思い出しておいてくださいね」
ニッコリと微笑むとキリクは闇に消えていった。
歯をくいしばり敗北をかみ締める……
キラは倒れている2人組を放っておいて街へと向かった。