ONE PIECE~海賊王への導き手~ 【にじファンから移動】 作:グリム★
能力の代償として自分を慕う者を失った。
別れをすませルフィ達のもとへと急ぐ。
※8月31日修正
「またな……ジル……」
ジルの墓を立て終わったキラは合掌しその場を後にした。
自分を慕ってくれたものが自分より先に死んでしまった……守れなかったのだ……
すべてを守れる力が欲しい……そう思う……
俯きただみんなを探し途方もなく……森を巡る。
「クエー!」
顔を上げるとカルーが遠くからこちらへと呼びかけていた。
何かあったのかもしれない……カルーの元へと急ぐ。
カルーを追いかけ森の中の開けた場所へとたどり着く……そこには巨大な生き物の骨の下敷きになっているルフィの姿があった。
それを必死に助けようとしていたらしくルフィの周りには口ばしで掘ったような後がある……
他にもうめき声が聞こえる……辺りを見回すと……地面に埋まってるウソップがいた。
彼らは、どうしてこうなったのか……
キラが唖然として見つめていると気づいたウソップが声を掛ける。
「キ、キラ動いて大丈夫なのか……?」
ボロボロのウソップがキラへ尋ねた。
人の心配より自分の心配をしたらどうだろうか……
それほどウソップは重症に見えた。
大きく息を吐くとキラはまずルフィの上に乗っている巨大な骨に手を掛ける……
歯を食いしばり腕に力を込める……何十メートルもありそうな巨大な骨をキラは片手で持ち上げた。
涼しい顔で持ち上げるキラに2人と一匹は驚愕の表情で見つめる。
ルフィを助け出すとキラは自分の右腕を見つめた……あきらかに記憶が戻ってからおかしなぐらい力が湧いて来ている……
悪いことではない……組織が自分にどんな実験を施したのかはわからないが……
守れるだけの力があるに越したことはない。
巨大な骨から開放されたルフィは体を伸ばし叫ぶ。
「じゃあ、あいつらぶっ飛ばしにいくぞ!」
あいつらとは誰なのか?
地面から体を起こし砂埃をほろうとウソップが事情説明をする。
なぜ自分達がこうなっているのか?
あいつらとは誰なのかを……
ウソップの話によればドリーとブロギーという巨人の決闘をバロックワークスの連中が邪魔したらしい。
それでルフィもウソップも頭に血が上っているようだ。
しばらく森の中を探し回り人影を見つけると……
『あいつらだあああああああ!!!』
2人と一匹は木をへし折りながら飛び出していった。
その光景にキラはクスクスと笑う。
焦って行っても仕方がない……と後からゆっくりとキラはルフィ達の後を追うと……
「これは……なんだ……?」
蝋で出来た塔のようなもが目の前に現れた……
塔の上部は回転し蝋を振りまいている。
手で触れるとネトネトと絡みつき気持ちが悪い……
「キラ!動いて大丈夫なの!?」
塔の上から声がするので見上げると……
ナミ、ゾロ、ビビが蝋で出来た塔の中部にいた。
「何してるんだ……?」
不思議そうに見つめるキラにナミは声を張り上げる。
「このままだと私達蝋人形にされちゃうの!何とかして!」
大きく頷くとキラは蝋から少し離れ……指の皮を噛み切った。
血が地面へと滴り落ちる……
髪型が数字の3となっている男がキラに声を掛けた。
「君は、麦わらの仲間カネ」
頭が3だからこいつはきっとMr3とかなのだろう……
何も答えず瞳を閉じキラは意識を集中する……
血液が……鎌を造り出す……
「な、えええええええ!!!???」
突然現れた鎌にMr3は驚きの声を上げた。
塔を壊すならば……もっと大きくなければ……
2m……3m……5m……
鎌はどんどんと巨大化していく。
10mに達したとき……キラは瞳を開き……呟く。
「破壊させてもらう……」
10mを超える大鎌をキラは片手で軽々と持ち上げている。
ウソップはルフィとカルーを連れすぐさま非難した。
「こ、こんな奴がいるなんて聞いてないガネ!!!」
Mr3の声が森に響き渡る……キラは上半身を捻ると思い切り鎌を振り切る。
鎌を振り切ると同時に強風が巻き起こり……木々が大きく揺れた……
頭を抱え伏せていたナミが見上げると……綺麗に塔の上半分が切り上げられ吹き飛んでいっている……
「また一段と化物になりやがって……」
ブルブルと武者震いをしゾロはキラを見つめた。
ナミもビビも開いた口が塞がらないようだ。
ニコッっと笑うとキラは鎌を身の丈ほどの大きさへと戻す。
首を左右へ振るとMr3へと歩み寄っていく……
近づいてくるキラにMr3はガクガクと脚を振るわせた……
確実に……殺られる……
「Mr5……」
Mr3は近くにいたサングラスの男へ声を掛けた。
「な、なんだMr3……」
Mr5も完全にキラに気圧されている……2歩3歩と後ずさりしていく……
「あ、後は、任せるガネ!!!」
それだけ言うとMr3がすごい速度で逃げていくが……逃がすまいとルフィが後を追い掛けていった。
残った2人をキラがゾロたちを蝋から助けながら見つめる。
2人はただ固まっていた……蛇に睨まれたカエル状態であった。
逃げても殺される……逃げなくても殺される……
そんなことばかり考えている2人にキラはニコリと微笑む。
その優しい笑顔も今の2人には悪魔の微笑みにしか見えなかった。
ゾロたちを拘束していた蝋を取り終えるとキラは2人のもとへと歩み始める……
「キラ待て、俺にやらせてくれ」
刀を抜いたゾロがキラへと声を掛けた。
頷きキラはMr5とMsバレンタインから離れる。
『鬼斬り!!!』
2人が宙を舞い地面へと落ちた……
一通り敵はかたずいたようだ……ルフィは大丈夫だろうか?
「おーい!終わったぞ!」
笑顔でルフィがこちらに戻ってきた。
これで本当にすべて片付いたはずだ。
大きく息を吐き地面に座り込む……
巨大な人がうずくまっている……彼が巨人族のブロギーなのだろうか?
ドリーはバロックワークスの策略により倒れたと聞いたが……
『ウオオオオオオオオ!!!!』
突然ブロギーが大声で泣き始める……
戦友を失ってつらいのだろう……しかも不本意な勝利……
ブロギーの泣き声が森に響き渡ると……
「うるせぇなぁ……」
ドリーが目を覚まし起き上がった。
泣き声は一層大きくなりブロギーはドリーへと抱きつく。
話によると攻撃はクリーンヒットしたはずだ……
キラがふと巨人2人の武器を見ると……ヒビが入っている……
どうやらこの武器が致命傷を防いだようだ。
良かった……と胸を撫で下ろしキラは笑顔を見せ自分の友も生きていれば……とジルを想うのだった。
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~メリー号~
巨人族の2人と別れ麦わら一味は船へと戻った。
キラはナミのログポースを見つめ口を開く。
「ログ溜まった?」
大きくため息を吐くとナミはキラの質問に答える。
「それが……この島ログが溜まるのに一年掛かるらしいの」
ドリーとブロギーにナミが尋ねるとそういう答えが返ってきたそうだ。
それは困る……
どうするかと考えをめぐらせていると……サンジがこちらに走ってきた。
「おーい!ナミさん、ビビちゃん♥」
また気持ち悪い声を上げている……
というよりも……船にいなかったのか……まったく気づかなかった……
「サンジ!お前どこ行ってたんだ?」
キラがどこに行っていたのか尋ねるとサンジは口を開く
「どこってキラに栄養のつくものを……キラ!?」
嬉しそうな顔でサンジがキラを見つめる。
心配してくれていたようだ。
船へと跳び乗りサンジは思い出したようにキラにポケットの中から取り出したものを見せる。
取り出したもの……それは……
「エ、エターナルポース!」
大声をあげキラはサンジの手からそれを受け取る。
しかもそのエターナルポースは……目指している場所……アラバスタへのエターナルポースだった。
これをどこで手に入れたのか尋ねると、サンジは思い返しながら話し始める……
キラの為栄養のつきそうな食材を探していたところ……小さな小屋を見つけた。
そこにはエターナルポースとでんでんむしがあったらしい。
エターナルポースだけもらって小屋を後にしようとした所……電話がありでてしまった。
電話の相手はバロックワークス社長からの電話で麦わら一味を始末したのか?と聞かれたらしい。
そこでサンジは答えた「始末した」と……
その話を聞くとウソップは歓喜の声を上げた。
「これで追っ手から追われる心配もないってわけだ!」
喜ぶウソップを尻目にキラは考えていた……本当に諦めただろうか……
電話の声で違いに気づくのではないだろうか……と……
エターナルポースを手に入れた麦わら一味はリトルガーデンを出航する。
島の出口ではドリーとブロギーが見送りしてくれるようだ。
2人に手を振るルフィ達だったが……なぜか彼らの表情は険しい……
ドリーが口を開く。
「お前達なにが起ころうとも俺たちを信じてまっすぐ進め。」
ルフィは大きく頷き前を向く……何事もなく船は進んでいく……
もうすぐ島を出れる……そう思った矢先……
海面が異常にもりあがっている事にキラは気づく……
大きな水しぶきを上げ大きな金魚が姿を現した。
断罪の鎌を造り出そうと指を噛もうとするが……
「待てキラ!」
止めるようルフィがキラに声を掛けた。
頷きキラも手を下ろす……
「おっさん達にまかせよう。」
ナミは不安そうな表情をキラに見せる。
笑顔を見せキラはまっすぐ前を向いた。
「まっすぐだ!まっすぐ!」
メリー号は金魚の口へと招かれていく……
口を閉じメリー号を飲み込む……
涙を流しナミがキラに抱きついた瞬間……
『覇国!!!』
巨人2人の叫び声が聞こえたと思うと……一気に周りが明るくなった。
どうやら2人の斬撃が金魚に大穴を開けたようだ。
ホッと胸を撫で下ろしキラがナミを見ると力が抜けたのか地べたに座り込む。
真っ青な顔をしたナミはフラフラと立ち上がるとキラにエターナルポースを渡す。
「私、ちょっと疲れちゃった……あとよろしく」
エターナルポースを受け取り指針に目をやっていると……背後から物音がする。
振り返ったキラの目に飛び込んできたのは倒れこむナミの姿だった。
彼女のもとへと駆け寄り額に手を当てる……すごい熱だ……
異変に気づきビビもナミのもとへとやってくる。
ナミのもとへと駆け寄ったビビに笑顔を見せ口を開く。
「ビビ、やっと……アラバスタへ帰れるわね……」
力なくそう言うとナミはビビの肩をポンポンと叩く。
ビビは心配そうにナミに声を掛ける。
「ナミさん……顔色悪いみたいだけど。」
心配ないと手を横にふるとナミは体を起こす……が……
力なくその場に座り込んでしまった。
キラの顔を見つめるとナミは口を開く。
「キラごめん……部屋まで運んでもらっていい?」
黙って頷いたキラはナミを背負うと声を上げた。
「みんな!聞いて欲しい!」
船員全員がキラの声に耳を傾ける。
それを確認するとキラは再び話し始めた。
「ナミちゃんがどうやら何かの悪い病気にかかったらしい」
勢いよく走ってきたサンジが心配そうな表情を見せる。
とりあえず部屋に運び診断すると伝えると全員が一斉に動き出す。
毛布を用意するもの氷水を用意するもの……騒ぐもの……
船室の扉を開けナミを部屋へと運ぶ。
その間も熱は上がる一方であった……一通り診察したキラは口を開く。
「……これはただの風邪じゃない」
キラの一言にナミは頷き口を開いた。
「ええ、おそらく異常気候による発病……」
そんなものではないとキラは首を横に振る。
残念だが自分には治療の技術はない……
アラバスタならば医者はいるだろうが……どれくらいかかるのか……
一緒に部屋に来ていたビビにキラは質問する。
「姫、アラバスタまでどれくらいかかる……?」
俯きながらビビは答えた。
「一週間以上はかかるわ……」
一週間……とキラはブツブツと口にすると……ボソッっと呟く
「このままでは一週間はもたないだろうな」
船室へとキラの声が響く。
部屋の扉を乱暴に開けサンジが入ってくると大声を上げた。
「キラ!どうにかできないのか!?お前なら出来るんだろ!?」
凄い勢いでキラを捲くし立てるが首を横に振る。
「悪いが、診断だけだ。治療の技術は俺にない。」
ナミの診断結果をキラはゆっくりと話し始めた。
彼女はケスチアという有毒のダニにやられていたのだ。
おそらくリトルガーデンでやられたのだろう……
露出の多い服を着ていたしあそこはジャングルだ。
どんな虫がいても不思議ではない。
この虫にやられては治療しなければ5日の命……
そう伝えられたビビとサンジはただうなだれるしかなかった。
目を覚ましたナミが口を開く。
「私はいいから……アラバスタに向かって……」
その一言にキラは首を横にふる。
彼女はビビを見ると大丈夫と口にし新聞を指差す。
新聞に手を伸ばしキラは記事に目を通すとナミに渡した。
渡された新聞をナミはビビの前で広げる……
「う、嘘……」
ビビの顔が青ざめた……
なぜならその記事はアラバスタの凶報を知らせる新聞だったのだ……
動揺を隠せないビビにナミは声を掛ける。
「そういうことでまっすぐアラバスタに行って?」
それだけ言うとナミは体を起こし……船室から出て行く……
席を立ちキラも後を付いていく。
「ちょっと……この船……」
キラは頷きそれぞれに指示を出し船の進路を修正する。
船室から出てきたビビにキラは質問した。
「姫……どうする?アラバスタへまっすぐ行くか?」
大きく頷くとビビは笑顔で答えた。
「ええ、行きましょう!ナミさんの病気を治してからアラバスタへ!」
クスッっと笑うとキラは大きく頷くとナミに笑顔を向ける。
呆れた表情を見せるナミに声を掛けた。
「君の航海術じゃなきゃ」
「バカ……」
それだけ言うと……ナミが膝から崩れる……
無理をしていたのだろう。
船室へと運びベットに寝かせる。
笑顔でキラは話しかける。
「みんなが医者探してくれるってさ。」
「キラ……わ、私……死んじゃうの……?」
涙目になりながらナミはキラに尋ねた。
強がってはいたが彼女も不安で一杯なのだろう……
「安心しろ……絶対に医者を見つけてやる……死なせるものか」
が強い口調でそういうと安心したのかナミは眠りに落ちていった。