ONE PIECE~海賊王への導き手~ 【にじファンから移動】   作:グリム★

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チョッパー歓迎の宴も終わりアラバスタへと急ぐ。


第二十五話 BW

 船で事件が起きた。

 8人分の食料が夜中の内に消えてしまったのだ。

 船内を歩き回りキラとサンジの2人は食料を探す……

 

「絶対あいつなんだって!」

 

 サンジは大声を上げルフィを指差しキラを見つめた。

 わかっているという顔をしながらキラは魚釣りをしているルフィの元へと近づいていく……

 思ったとおり……犯人はもちろん……

 犯人の口元を指差しキラは告げる。

 

「口のまわりに何かついてないか?」

 

 驚いた顔をしながら犯人は口元を隠し声を上げた。

 

「しまった!食べ残し!」

 

 犯人を指差しキラはサンジを見つめる……

 

『やっぱりてめぇかあああああ!!!』

 

 強烈な蹴りがルフィに炸裂した。

 大きくため息を吐きキラが呆れた表情を浮かべる……

 その場から立ち去ろうとした時ふと……目に入ったものがあった。

 ウソップ、チョッパー、カルーの口がモゴモゴと動いている……

 犯人は一人ではない……複数犯か……

 キラはナミを見つめ2人と一匹を指差す……

 

「ええ……おしおきが必要ね」

 

 強烈な拳が3人の脳天へと落とされる……

 悶絶し大きなたんこぶを作って3人は床を転げまわった……

 恐ろしい……と青ざめキラはナミを見つめるとニッコリと微笑んでいる……

 ゴホンと咳をするとキラはビビの方を見て口を開いた。

 

「ええっと……これからアラバスタに向かうということは……戦闘は避けられないだろう……そうなった場合の為に敵の戦力を知っておきたい」

 

 大きく頷きビビはBWについての情報を話し始める……

 まずはBWのトップの人間これが厄介なことに王下七武海の一人サ-・クロコダイルだと言う……

 王下七武海とは世界政府によって公認された7人の海賊達のことだ……

 一筋縄ではいかないだろう……

 自分が戦うしかないだろうと……キラが口を開こうとすると……

 

「クロコダイルは、俺がぶっ飛ばす!」

 

 ルフィが大声を上げ拳を突き出す。

 頼もしい限りだ。

 キラはルフィの背中をポンポンと叩き任せたぞと合図を送る。

 椅子から立ち上がとキラは作戦を練るため船室へと向かう。

 

「……今回ルインとやらは、絡んでないのか?」

 

 船室の扉に手を掛けたときゾロがキラに声を掛ける。

 ルインがこんな大きな争いに絡まないことなど絶対に無い……

 ゾロを見つめ口を開く……

 

「絡んでるだろうな……」

 

 2人の会話を聞いていたビビが口を挟む。

 

「キラさん、ルインを知ってるの?」

 

 もちろんとキラは首を縦に振る。

 それを聞いたビビが思い出したように口を開く。

 

「クロコダイルにはミス・オールサンデーの他にパートナーがいるの……確かその男……ルインと何か関係があったはずよ……」

 

 思ったとおりとキラは笑みを浮かべた。

 奴らは歴史に名を残しそうなイベントには絶対に参加してくる……

 

「イガラムが調べてくれたんだけど……」

 

 手配書を取り出すとビビはキラへ資料を手渡す。

 しばらく手配書を眺めると微笑みキラは口を開く。

 

「ルフィ……コイツは俺が倒す」

 

 手配書を見せるとルフィは大きく頷いた。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ロベルト

 

 RUIN 中尉

 

 豪腕のロベルト

 

 身長:250cm

 特徴:筋肉隆々、角刈り

 

 懸賞金:7800万ベリー

____________________

 

 組織でも比較的まともな人間だったこの男が何故こんなことを……

 昔を思い出しキラは微笑んだ。

 ロベルトと言う男は曲がったことが大嫌いな人間……

 汚い仕事などは一切しない……一対一……力と力の勝負が好きな男だったはず……

 それがなぜ犯罪組織に加担している……

 

 キラが考え事をしていると手配書を見ていたゾロが疑問を口にする。

 

「確かルインの存在を知ってる奴は少ないんだったよな……?なんで懸賞金てついてんだ?」

「ここがイーストブルーならな……」

 

 そうイーストブルーならば……ほとんどの人が名前を聞いてもわからなかっただろう……だが今自分達がいるところは……

 

「グランドラインでは……有名ってことか……」

 

 ゾロがそう呟くとキラは大きく頷いた。

 だが一つグランドラインでも明確になっていないことがある。

 

「組織体系・構成員を知ってる奴は一握りだろうな……」

 

 そう言うとゾロはそうかとだけ言い黙ってしまった。

 それにしても何故イガラムはロベルトがルインの人間だとわかったのか……

 そんなことを知れば生きていられないはずだが……

 

「よくこいつがルインだとわかったな……」

 

 キラがそう口にすると……ビビはそれに答えた。

 

「ロベルトが自分で教えてくれたそうよ」

 

 自分で教えた……?

 そんなことをすれば組織からロベルト自身が狙われてしまう……

 奴の目的はなんだ……?

 突然考え込んでしまったキラにゾロとビビがどうしたのかと声を掛けるがブツブツ言いながら船室へと入っていってしまう……

 ビビは首を傾げ船室のドアを開けた。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

~ キリク サイド ~

 

 部屋をノックする音が聞こえる。

 

「どうぞ」

「失礼致しますキリク様!報告です!」

 

 椅子に腰を掛け自室で新聞に目を通していたキリクは一瞬だけ新聞から目を離し兵を見つめた。

 兵はそれを確認すると絨毯に膝をつき報告を始める。

 

「アラバスタですが……」

 

 アラバスタについての報告を受けるとキリクは満面の笑みを浮かべた。

 戦争が始まる……

 

「そうですか……もう下がりなさい……」

「はっ……」

 

 兵が部屋から去るとキリクは顔を両手で覆い笑い始めた……

 この男は多くの血が流れるのが嬉しくてたまらないのだ……

 手元にある資料をめくり今回のアラバスタの件には誰が絡むのかを確認する……

 資料にある名前を確認すると……キリクの顔から笑みが消えていた……

 

「豪腕のロベルト……何故……?」

 

 ロベルトの名前を見てキリクは自分の目を疑う……

 あの男が戦争ましてや今回の戦争は仕組まれた戦争……こんなものに参加するとは到底思えなかったのだ。

 何かある……キリクは爪を噛み……資料を投げ捨てる……

 まるでこれから何がおこるのかわかっているかのように……

 

 椅子から立ち上がり部屋の隅においていた電伝虫を手に取ると受話器に向かいこう呟いた。

 

「ロベルトが裏切りますよ……」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 船室へと入ると椅子に腰を掛け天井を見上げているキラの姿がある……

 心ここにあらずと言う感じだろうか……

 顔の前でビビが手をブンブンと振ってみるが……反応が無い……

 何度か顔を覗き込んではいるが……それでも気づかない。

 仕方なくビビはキラの体を揺する……

 

「えっ!?い、いつのまに!?」

 

 驚いた表情で見つめるキラにビビは頬を膨らましながら答えた。

 

「だいぶ前からです!全然気づいてくれないんですもん!」

 

 ごめんごめんと言いながらキラはビビの顔を見つめる。

 頬を赤らめビビは目を逸らした……

 静寂が船室に訪れる……

 彼女は一体何をしにきたのだろう……

 沈黙が続く中……ビビが口を開く……

 

「キラさんは、恐いとかないんですか?」

 

 アラバスタは今戦場となっている彼女は怖いのだ……

 戦場が怖いだけではないだろう……

 自分の国の育った故郷の今の現状を見るのが怖いのだ……

 今……アラバスタは彼女の知っているアラバスタではない……

 民が武器を持ち……国と戦い……多くの血が流れる……

 笑顔でビビの肩をポンポンと2回ほど叩くとキラは口を開く。

 

「戦争止めるよ……俺たちがさ……」

 

 船室の扉へ手を掛けるとニッコリと笑いキラは言う。

 

「元通りになるよ……こんなに姫様が頑張ってるんだから……だからさ……笑ってよ……君の笑顔が国を救うはずだよ」

 

 涙を流しビビは頷くと服の袖で涙をふく……

 

「ありがとう」

 

 満面の笑みでそういう彼女にキラは優しく微笑み船室を出て行った……

 一人船室に残ったビビは呟く……

 

「笑顔が国を救う……か……」

 

 自分は彼から見たらとても悲しい顔をしていたのだろう……

 でも悲しい・苦しいのは自分だけでは無い……わかっている……

 国に住むすべてのものが悲しんでいるのだ……

 だからこそ……自分だけは……あいつらに……国から笑顔を奪ったあいつらに負けないよう精一杯笑おう……

 ビビはキラの言葉を思い出し笑顔を見せる……精一杯の笑顔を……

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~ ??? ~

 

 今日もまた多くの血が流れた……

 裏工作につぐ裏工作……そろそろ自分自身が嫌になってくる……

 大男は眉間にしわをよせ大きくため息を吐く……

 

「どうしたの?元気ないじゃない?」

「いや……別に……」

 

 ここはスパイダーズ・カフェ表向きは普通のカフェだ……

 淹れられたメロンソーダを飲み干すと男は出口へと向かう……

 

「あら?もうおかわりはいいの?ロベルト」

 

 店のオーナーの女性が出口へと向かうロベルトに声を掛ける。

 ロベルトは首を横に振るとため息を吐き口を開く。

 

「食欲がなくてな……」

 

 ロベルトの席に30枚ほど積み上げられた皿を見て女性は噴出した。

 顔を真っ赤にしてロベルトは乱暴に扉を開ける。

 

「それじゃ……ポーラまた来る……」

 

 ポーラと呼ばれた女性はヒラヒラと手を振りまたねと口にした。

 スパイダーズ・カフェはポーラ一人で切り盛りしている……すごい奴だ。

 絶対に自分ならば皿が何枚あっても足りないだろうと腕を見る。

 盛り上がった筋肉は鋼のように硬く……軽く握っただけでもすべてを潰してしまいそうだった。

 

 ロベルトはカフェを後に本拠地への道を歩く……

 大柄なその体は町を歩くだけでも人目についてしまう……

 砂漠地帯を歩いているとふと……殺気を感じた……

 立ち止まり辺りを見回す……

 

 一閃……

 

 銃弾がロベルトの頭部を襲う……が……

 彼の右腕は銃弾を弾き落とした……

 

「誰だ……?」

「さすがは……中尉だ……簡単にはいかないか……」

 

 物陰から痩せた男が姿を現す。

 男の姿を確認するとロベルトは身構えた。

 

「チェイスか……なんのようだ……任務中の接触は……」

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 チェイス

 

 RUIN 暗殺部隊

  

 身長:167cm

 特徴:痩せ型、丸いサングラス

____________________

 

 ロベルトが話し終える前にチェイスが口を開く

 

「キリク様はあんたが裏切るとみてる……」

 

 虚をつかれたのかロベルトの動きが止まる……

 サングラスをしている為チェイスの瞳はわからないが間違いなく獲物を捕らえる目をしているのだろう……

 相手は暗殺部隊……力量は……こちらが上か……?

 実力差はまったくわからない……逃げるべきか……

 考えながらチェイスの動きを見つめるロベルトだったが……チェイスから殺気を感じなくなっていた。

 ロベルトに背を向けるとチェイスは口を開く。

 

「キリク様からの伝言だ……ユダが向かっている……始末しろとのことだ」

 

 呆気にとられていたロベルトが我に返り口を開いた。

 

「なっ!?ユダ様が!?」

「そう……奴を始末すれば裏切りも罪に問わないそうだ……以上……」

 

 それだけいうとチェイスはその場から消えてしまっていた……

 過去を思い出しロベルトは恐怖に震える……

 あの”死神”と呼ばれた男と戦う……一対一に喜びを覚えていたロベルトが恐怖したのは先にも後にも”死神のユダ”だけであった……

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 ビビの戻りが遅い……心配したナミが船室へと入っていく。

 扉を開けて目に飛び込んできたのは一点を見つめボーッとするビビの姿があった。

 

「ちょ、ちょっと!大丈夫!?」

 

 ナミの姿に気づいたビビはニッコリと笑い口を開く

 

「キラさんって……素敵ですよね……」

 

 突然のビビの言葉にナミは耳を疑う……

 先ほどキラは船室から出てきていた……まさか何かあったのか……

 何か……とは……

 ナミは顔を真っ赤にし顔の前で手をブンブンと振りはじめる。

 

「ま、まさかね!そうよ!そんなはずないわ!」

 

 首を傾げビビは口を開いた。

 

「そうでしょうか……優しいし仲間思いだし歌ってる姿も……」

 

 頬を赤らめるビビにナミは何か欠点はないだろうかと頭をめぐらす……

 

 顔……顔はまぁ……美形だろう……

 スタイル……スラっとしていて意外と筋肉も……

 性格……ウチでは一番の常識人ではないだろうか……

 

 あっ!とナミが大声を上げ思いついたように話し始める。

 

「そうよ!あいつ貧乏よ!貧乏人はダメよ!ダメダメ!」

 

 必死なナミの姿にビビは聞き返す……

 

「そうなんだ……でも、お金なら……」

「だ、ダメよ!そ、そうよ!キラお金持ってるの見たこと無いもの!」

 

 

 ……クシュン!

 甲板ではキラが大きくくしゃみをした……

 誰かがうわさでもしてるのだろうか……

 

「キラ大丈夫?風邪?」

 

 チョッパーが心配して声を掛けてくれる……船医を入れたのは正解だったのだろう……

 笑顔でチョッパーにかえす。

 

「大丈夫だよ。ありがとう」

 

 船は着々とアラバスタへと向かっていた。

 今、アラバスタは戦場と化している……

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