ONE PIECE~海賊王への導き手~ 【にじファンから移動】   作:グリム★

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ユバを出発し、クロコダイルを探す。


第二十九話 砂漠に響く歌声

 ルフィとビビの言い争いも一段落し一味はクロコダイルの元へと歩を進める。

 クロコダイルが現在本拠地としている場所まではユバから北へまっすぐ上った"レインベース"とのことだ。

 どうやらビビの話によればレインベースまでは丸一日砂漠を歩かなくてはいけないらしい。

 砂漠を歩き続ける……灼熱の太陽……砂が徐々に体力を奪っていく……

 滴る汗を拭い歩き続ける一味……そんな中心配そうな表情でウソップがキラの顔を覗き込む。

 

「キラ……大丈夫か?またぶっ倒れないか?」

 

 首を左右に振り大丈夫だとキラは笑顔を見せる。

 今度は同じ失敗を繰り返すまいと少しだけ口に水を含む……

 最初に倒れてしまい荷物になってしまったのがキラは自分自身気に入らなかったようだ。

 そんなキラの背中を見つめチョッパーも鼻の穴を大きくして歩き続ける。

 

「俺も今日はがんばるぞ!」

 

 チョッパーの姿を見てキラはニッコリと微笑み再び歩を進めた。

 

 

 歩き始めて2時間後……さすがに一味にも疲れの色が見え始める……

 大粒の汗を流し一歩一歩と進んでいく……

 誰一人文句を言うことなく黙々とただ歩き続ける…… 

 しばらく進み続けると……大きな岩が見えてきた。

 

「あそこで休みましょう」

 

 ナミの一声で全員が岩陰へと進み腰を下ろす。

 砂漠を歩くよりは涼しい……失った体力を少し取り戻すことが出来そうだ。

 だがまだたった2時間……これから先まだまだ先は長い。

 

「おで……もうダメ……」

 

 チョッパーが舌を出し横になる。

 やはり冬島出身のチョッパーには砂漠はキツイのだろう。

 そんな彼を元気付けようとキラは重たい腰を上げ精一杯の笑顔で声を掛ける。

 

「チョッパー、頑張れ。今日は荷物になるわけにはいかないぞ。」

 

 キラの言葉を聞き完全にばてていたチョッパーは表情を引き締め力強く頷く。

 

「お、おう。頑張ろうキラ。」

 

 だが疲労しているのはチョッパーとキラだけではない。

 一味全員がばてていた。

 アラバスタ出身のビビにはこの灼熱の太陽は当たり前かもしれないが、他のものには少々辛いのだ……日陰で少し休憩し再び歩き始める。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~ ??? ~

 

 豪腕のロベルト……あの男は何故この計画に賛同しているのだろうか……

 顎に手を当てMsオールサンデーことニコ・ロビンは考えを巡らせた。

 自分がこの計画に賛同したことは歴史を見るため……だが彼は一体何故なのか……

 風の噂では汚いことは好きではなくただ真剣勝負を求める男だと聞いていたのだが……

 ニコ・ロビンはフッっと笑顔を見せると首を横に振る。

 彼のことはどうでもいい……ただ自分は自分の興味のあることだけを考えればいいと……

 カジノを通り抜け重たい扉を開けるとそこにはバナナワニと格闘しているロベルトの姿があった。

 呆れた表情を浮かべロビンは近くの椅子へと腰を下ろす。

 

「それはボスのペットなのよ?大丈夫?」

 

 クスッっと笑いロビンがそう言うとロベルトは頷きバナナワニの横腹にその豪腕を叩き込む……

 鈍い音と血なまぐさい臭いが立ち込める。

 ロベルトの拳は深く食い込み皮膚を突き破りワニの内臓へと突き刺さっていた……

 

「しまった……」

 

 申し訳なさそうな表情を浮かべロベルトは苦笑いする。

 どうやらやりすぎてしまったようだ。

 バナナワニの腹部には大穴があき血が溢れ出す……

 

「豪腕てめぇ……」

 

 扉が開きクロコダイルが部屋に入るやいなやそう口にした。

 

「加減したつもりなんだが……」

 

 頭を掻き自分の拳を見つめ首を傾げるロベルトにクロコダイルはため息を吐く。

 

「てめぇ……エサやるだけって言ってなかったか?」

「すまん……」

 

 化物じみた破壊力を持つこの男が恐れる”死神”……あの男は今どうしているのだろうか……

 クロコダイルに説教されるロベルトを尻目にロビンは昔見たあの赤い寂しげな瞳を思い出し……不謹慎かもしれないが再会の時を待ち望んでいるのだった……

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 歩き始めたのはいいが……表情は暗い……

 一味は疲労の色を隠せずにいた。

 少しでも元気付けようとキラは歌を口ずさむ……

 砂漠に澄んだ声が響き渡る……

 歌を聴きながら仲間達は歩き続ける……その表情は暗いものから明るく前を向く表情へと変わっていく……

 一緒に口ずさむもの……聴き入るもの……そしてもっと歌えと煽るもの……

 

「キラさんの声……やっぱり素敵……」

 

 ビビはそう言うと歌を聴き入りながら歩き続ける。

 優しく包み込むような歌声に次第に心が安らいでいく……

 

「ほんと……憎いくらい綺麗よね……あいつ……」

 

 歌いながら歩くキラを見つめナミはそう呟く……

 いつしか笑顔で歩いている仲間達を見つめ……キラも自然と笑顔になる。

 

《歌は人の心を幸せにする……あの人の言葉は間違いではなかった……》

 

 歌声は砂漠に響き渡り……いつまでも終わることはなかった……

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