ONE PIECE~海賊王への導き手~ 【にじファンから移動】   作:グリム★

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第三十二話 鰐

 街中を駆け抜けルフィ達の姿を探す……

 しかしどこにも姿がない……もうBWとの戦闘は始まっているのだろうか……

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

~ ビビ ~

 

 私には……どうすることも出来ない……

 この男……クロコダイルには手も足も出ない……

 力なく床へと崩れビビは両手で顔を覆った。

 クロコダイルは悪魔の実”スナスナの実”の能力者で物理攻撃などまるで通らない……

 精一杯の彼女の攻撃もクロコダイルには届かなかったのだ。

 

「てめぇ!ワニ!俺が相手してやる!ここから出せ!」

 

 まんまと罠にかかり檻へと閉じ込められているルフィをクロコダイルは軽く鼻で笑う。

 

「黙っていろ……どうせそこから出れた所でてめぇじゃ俺には勝てねぇ……」

「なんだと!」

 

 檻に手を掛けるとルフィの体から力が抜けていく……

 どうやら海楼石で作られた対能力者用の檻のようだ。

 

「ふん……さぁ、ミスウェンズデー……もうお前に用はねぇ……」

 

 刃がビビの首へと向けられる……

 

「惜しかったなぁ……もう少しで国を救えたかもしれなかったが……」

 

 笑みを浮かべながらクロコダイルはそう口にした。

 惜しかったなどと絶対に思ってはいない……この笑みからは余裕が感じられる……

 

 悔しい……

  

 ビビは大粒の涙を流し檻にいる一味に頭を下げた……

 

「巻き込んで……ごめんなさい……」

 

 声を上げて大笑いしクロコダイルはビビの顔を蹴り上げると口を開く

 

「そうだな!てめぇが無駄に犠牲を増やしたんだ!本当に無能な姫様だ!」

「クロコダイル!」

 

 ルフィが怒りの声を上げる……彼だけではない檻にいる一味全員が怒りの表情を見せた。

 それを一瞥しクロコダイルは鼻で笑う……無力な海賊達を……

 

「さぁ……お話は終わりだ……」

 

 目を瞑り……ビビは頭に浮かんだ人物の名前を口にする……

 辛いとき……苦しいとき……いつも仲間達を支えてきた……男の名前を……

 

「助けて……キラさん……」

 

 冷たい刃は……ビビの首元へ僅かな傷をつけたところで止まった……

 轟音と共にクロコダイルの体は後方へと吹き飛び壁に打ち付けられる……

 瞳を開いたビビの目には……金色の長髪が映りこむ……

 

「遅いですよ……キラさん……」

 

 ゆっくりとビビの方を振り返るとキラはいつもと同じ優しい笑顔を見せ声をかける……

 

「ごめんな……少し遅れた」

 

 

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~ ニコ・ロビン ~

 

 自分の目が信じられなかった……

 王下七武海にも名を連ねる男が反応も出来ないほどの速度……巨体を軽々と吹き飛ばす破壊力……

 この目の前の男は何者なのか……

 

「あれが……”死神”だ……」

 

 いつの間にかロビンの隣へと姿を現していたロベルトが呟いた。

 昔見た死神とは違う……あの悪魔のような赤い瞳はなく……優しい眼差しでビビを見つめている……

 

「本当にあれが……」

「ああ……だがあれはまだ本気ではない……」

 

 あれで本気ではないというのか……

 驚く表情のニコ・ロビンにロベルトが言葉を続ける。

 

「先ほど戦ったが……あの人の中にはまだ死神の血が眠ってる……」

 

 思い出しながら話すロベルトは体を恐怖に震えさせた……

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「ロベルト!てめぇが死神の相手をしろ!」

 

 口から血を流したクロコダイルがロベルトの姿を見つけ叫ぶ……

 クロコダイルはキラを睨みつける……何故奴の拳は自分に当たったのか……と……

 

「逃げろ……ここは俺が……」

 

 キラの前に立ちふさがりロベルトはそう呟く……

 舌打ちをするとクロコダイルは扉へと向かっていく……ニコ・ロビンもそれに付き従い部屋を後にする。

 後を追おうとするとロベルトが行く手を阻み通そうとはしない。

 大きくため息を吐きキラは口を開く

 

「やめよう……ロベルト……」

 

 首を横に振りキラは拳を下ろす……

 その仕草にロベルトは自分が敵と見なされていないと確信した。

 やはり先ほどの勝負は本気など出していなかったのだ。

 腹立たしい思いのほかにもう一つ……感情がある……

 

「俺は……あなたを超えたい!」

 

 真っ直ぐにキラを見つめそう叫ぶと……ロベルトは真っ向から勝負を挑む……

 これが豪腕のロベルトという男……強い相手とは拳を交えたいという衝動が真っ先に現れてしまう。

 優しくビビの頭を撫で離れてるよう言うとキラは拳を握り締め笑う……

 

「上等……全力で行く……超えて見せろロベルト!」

 

 瞳が赤く染まり禍々しいオーラを放つ……

 赤く染められた瞳はロベルトの脳裏の恐怖を呼び覚ます……

 冷や汗が流れ……ロベルトの呼吸は荒くなる……だが……

 

「うぉおおおおおおおお!」

 

 雄たけびを上げ恐怖を打ち消すと渾身の右ストレートをキラの顔面めがけ放つ……

 速度・破壊力共に威力は十分。

 全力の拳にキラも刃ではなく……自分の拳で答える

 海王類にも穴を開けるほどの拳にキラは自分の拳をぶつけた……

 ぶつかった瞬間……何かが砕けたような鈍い音が……部屋にこだまする……

 ゆっくりと拳を離すとキラは口を開く

 

「ロベルト……もう諦めな……」

 

 右拳から血を滴らせ……ロベルトは力なく膝から床へ崩れた……

 才能を超える為の努力が……あっさりと砕かれる……

 

「何故……なぜなんだ……」

 

 敗者に掛ける言葉はない……キラは檻へと向かう……

 檻を開けようと鍵を探すが……鍵がない……ビビに鍵のありかを尋ねるとクロコダイルがバナナワニに食べさせてしまったらしい……

 ため息を吐き仕方がないと……口についた血液から大鎌を創り出す。

 ブンブンと振り回し檻の上半分を切り落す。

 

「キラ!遅いじゃないの!」

 

 檻から出たナミの第一声はそれだった。

 キラは微笑み謝罪の言葉を口にする……

 

「ま、来てくれると信じてたけどね」

 

 そう言うとナミはキラの頬にキスをし出口へと向かう……

 突然の出来事に顔を赤らめ固まっていると……仲間達は笑顔を見せキラの背中をバンバンと叩いた。

 自然と笑顔になりキラも出口へと向かおうとするが……檻の中にまだ一人残っている……

 覗いてみるとそこには白猟のスモーカーの姿があった。

 

「お前も捕まってたのか……」

「ふん……今回は見逃してやる……」

 

 檻から出るとスモーカーも出口へと向かっていく……

 キラは今だに座ったままのロベルトを見つめた……

 彼は今まで血の滲むようなトレーニングをしてきたのだろう……

 それが敗れたのだ……無理もないのかもしれない……

 

「おーい、キラ!また置いてくぞ!」

 

 ウソップがキラを呼ぶが首を横に振りロベルトを見つめる。

 

「先に行っててくれ!後で追いつく!」

 

 

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~ ビビ ~

 

 麦わら一味はレインディナーズの廊下を走りクロコダイルの後を追う……

 キラは結局一緒には来なかった……豪腕のロベルトの隣に座り何か話していたようだった……

 

「キラさん……大丈夫かしら……」

 

 走りながらビビが呟くとナミが口を開く

 

「あいつは大丈夫よ!それよりも大切なことがあるでしょ?」

 

 頷くとビビは前を向き出口へと向かう……

 心配しなくても……あの人は絶対に来る……そう信じて……

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「行かなくていいんですか?」

 

 ロベルトは隣に座りボーっと天井を見つめるキラに声を掛けた。

 振り返りニコリと笑顔を見せるとキラは再び天井を見つめる……

 一体……どうしたいのか……ロベルトは大きくため息を吐き尋ねた。

 

「何がしたいんですか……俺を笑いたいんですか?」

 

 ふん……と鼻で笑うロベルトにキラは笑顔を見せ天井を見たまま口を開く

 

「死ぬなよ……いつか……酒でも飲もう……」

 

 それだけ言うとキラは立ち上がり出口へと向かっていく……

 

 本当に……勝手な人だ……

 クスリと笑いロベルトは重い腰を上げキラの後を追う。

 昔……部下としてこの男の背中を追ったように……

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