話している内容が言い訳になっていましたら、大変申し訳ありませんでした。
学校が始まってから3時間後、1年奈須組の担任教師、及川先生から「特別授業が始まりますからみなさん体育館へ集合」と言われた。
この時間、学校はまだ3時間目だがここ珍等師学園高等部は特別授業として魔法界からやってきた魔法学校の校長『ウラディスラフ=マルィシェフ』が授業をするからだ。
「だけどどうしてオレたちのところに? 魔法界にいる人が入学するとオレはイメージするが?」
勇樹は疑問に思ったことがあったのか、太田に言うと彼は「それなんだけど」とみんなに聞こえないように小さな声で答える。
「ボクの友人に聞いてみたんだけど、魔法学校基魔法界では少し問題があってここの世界に適正する人を探しに来たって」
「適正…まさかそこの世界に転校するのか?」
「転校じゃないね、適性があれば魔法界に行き、魔法学校で1ヶ月短期留学することになっているんだ」
「なるほど」
太田の言葉に彼は納得したように答えると、伊江が「だけど太田」と質問してきた。
「その問題ってなんだ? 少し気になるが」
「それがボクも分からないんだ、友人の先輩に聞いても同じ答えだし…」
戸惑う太田を見た勇樹は「なんだろう…」とつぶやきながら考え込む。高等部校長、甲羅原竜二郎の話を聞かないで。
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「それでは、本日は魔法界から来た校長『ウラディスラフ=マルィシェフ』からお話があります」
先生がそう言うと、青色のローブを着た老人が頭を下げながらやってきた。
「こんにちは、私は魔法界からやってきた魔法学校校長、ウラディスラフ=マルィシェフです」
マルィシェフの言葉に生徒はお辞儀をすると伊江は「威勢がある人だな」と驚くように反応する。
「私がここに来たのはこの世界の観察…いわゆる文化を学びに来たのです」
マルィシェフの言葉に生徒らは「へぇー」と感心している中、桜は「観察しに来たのも、1つの理由なのね」とつぶやく。
「太田、どうして観察をするんだ? 学ぶなら本とかで」
「本だけじゃダメなんだよ、実際に行ってそれはどうだったか、調査するのも重要なんだよ」
伊江の質問に太田は答えていると、彼女は「へー」と納得する。
「そして、もう一つは魔法の適正者を選別。簡単に言いますと魔法が使える人を探しに来てのです」
「ここのところ、魔法界では少し問題がありまして。今回の適合者は―」
マルィシェフの言葉に先生は答えている中、生徒の中から『それなら心配はない!』と声がすると同時に3名の生徒が立ち上がった。
1名は金髪のショートポニーテールをした女性で、腕に『水戸』と書かれていた。彼の右にいたのは黒髪の短髪をした男性、そして彼の左にいたのは茶髪のショートヘアーをした女性が立っていた。
「マルィシェフさん、その問題ならあたい…じゃなくて、私たちが解決しましょう!」
彼女…水戸の言葉にみんなはざわつくと、マルィシェフは「ほう、それでしたら少しいいですね」とほほ笑みながら答える。
そして水戸は「その前に、これをどうぞ」と言いながら渡してきたのは、一冊のノート。マルィシェフはそのノートをめくっていく。
「おや、これはノートですね…これをどうして?」
「ただただこれを渡しに来たのではありませんよ…これをしに」
水戸はそう言いながらノートに触れると、紙は光り輝き彼がめくっていた動きが鈍くなると徐々に止まっていく。
そして白色から金色へと変色していくとノートは金のようになっていき、気づいたときにはノートの形をした金塊に代わっていった。
「この能力は、まさか!」
それを見た先生は水戸に向けて言うと、彼女は「ええ、そうですよ」とほほ笑む。
「私の能力は物体を金塊に開けていく能力、通称『
水戸の言葉を聞いたマルィシェフは「確かにそれは素晴らしいですな」と言いながらノートを近くの机に置く。
「でしょ? これがあればそちらの資金問題などがすぐに解決―」
水戸が真剣に言っているとマルィシェフは「はて?」と頭を傾げると、話し出した。
「私はいつ『お金に問題がある』と言ったのですか?」
それを聞いていた水戸、教師、そして生徒らは「え」と目を丸くしてそのまま固まった。
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「え…いやいやいや上段はきついですよ! さっき雑誌に乗っていた飲みましたよね?! あたいはちゃんと見ましたから」
水戸は慌てて雑誌をカバンから出して見せると、そこには『この世界が貧相化しているから』と書かれていた。
それを見たマルィシェフは「ああ、それでなんだ」と納得するように微笑む。
「この記事の通り、確かに私たちの世界は貧相化している…だけどそれはお金だけではないんだ」
「お金だけでは…ない?」
彼の話を聞いていた太田は反応すると、水戸は「お金だけではないって、どういうことですか!?」と言うと、マルィシェフはこう答えた。
「炎の使い手がいないんだ。水・木・地・金・光と闇の使い手はいるが炎の使い手が最近いないんだ」
「え…炎でしたらそこらにいる人でもできることでは?」
「そうとは限らないんだよ」
水戸の言葉にマルィシェフは遮るかのように言いだす。
「炎は一見簡単そうに見えるが、実は発火だけなんだ。使い方を間違えれば大火事になる、もちろん人類を滅ぼす者もいる」
「でしたら…ここに乗っている、ドラゴンとか使うのは?」
「それも試したが無理なんだ、ドラゴンはここのところ火山から離れてどこかへと消えて行ってな、捕まえるのに時間がかかるんだ」
マルィシェフはそう言っていると、伊江は「なるほど、お金だけでは無理ってことなんだな」と納得する。
「それでしたら…火力装置とか使ったらどうですか?! お金なら私の能力で作っていくつでも」
「科学だけでは何も解決できない、それは時間もそうだ。基本的なことばっかり失っていると思いがけないことを忘れてしまうんだ」
マルィシェフはそう言っていると、ある生徒を発見し教師に「失礼」と言いだした。
「あそこにいる背の高い子は一体?」
「背の高い…ああ、百合子・ビューティーです、私の生徒ですがそれがどうしたんですか?」
教師の言葉にマルィシェフは「そうか、百合子・ビューティー…」とつぶやいて数分後、懐からコウモリの羽根が付いた手紙を出すとそのまま百合子に向けて投げる。
すると羽は動くと空を飛びそのまま百合子のところへと行くと、彼女は「あわわ」と慌てながら受け止める。
「これって…もしかして?!」
「『入学許可』が入った手紙だ、来るか来ないかは君に任せるよ」
マルィシェフはそのまま「この後は君に任せるよ」と言いながらそのまま舞台裏へと入っていった。
それを見た先生は「い、以上でマルィシェフさんからお話しとサプライズでした!」と慌てるのであった。
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「にゅ、入学許可…私が」
手紙を手にした百合子はそのまま固まっていた、それを見た桜は「よかったですね、百合子先輩」とほほ笑みながら答える。
しかし、それを見ていた水戸たちは悔しそうに睨みつけている。
「くっそう…どうしてあのデカ女が魔法学校の入学届が…」
「こうなったら、うちらが奪って水戸さんに」
2名はそう言って睨みつけていると、後から教師が出てきて「君たち」と声をかける。
「少し話があるけどいいかな? 特に、生徒同士によるいじめとか」
それを聞いた彼女たちは「えっと」と目をそらしているが、遠くから見ていた勇樹は「証拠はすぐに脆い所から出るよ」と言いながらその場から去っていく。
それから数日後、3年の水戸・紀州・徳川の3名は『暴行・生徒型』として1ヶ月謹慎となった。
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