Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜(番外編) 作:黒曜【蒼煌華】
《リゲル》「あれ…あづみ…?」
《あづみ》「リゲル?私、此処に居るよ?」
《リゲル》「…周りと一緒に騒ぎ過ぎて、あづみの存在に気が付かないなんて………うぅ…」
《あづみ》「そ、そんなに落ち込まなくても…」
《ナナヤ》「ね〜ね〜、大祐くん、ご褒美はー?」
《九条大祐》「ん?何の話?」
《ナナヤ》「もぅっ、そうやってはぐらかそうとしても、駄目なんだからねっ」
《九条大祐》「…悪かった。そう…だな。何が良いか、とは聞けないのが残念だ」
《ナナヤ》「う〜…私に選択権は無いの?」
《九条大祐》「…とはいえ、ナナヤの御蔭で此処に来れた訳だからなぁ」
《ナナヤ》「そうだよっ。だからその分の、報酬!」
《森山碧》「…ん?ナナヤが大祐に何かしら施して、お前は此処に来れたって話か?」
《きさら》「ろーぜときぃも、がんばった」
《森山碧》「益々話が分からん」
《九条大祐》「あ〜…まぁ、簡潔に説明すると、俺が眠れなかった。その一言に尽きる、かな」
《あづみ》「眠れ…なかった…?」
《ナナヤ》「……………大祐くんってば、あづみちゃんの誕生日を祝うのを心待ちにし過ぎて、ずっと興奮状態。御蔭で眠れなかった…ね、大祐くん」
《森山碧》「マジかよ…」
《リゲル》「大祐、相変わらずね」
《ベガ》「それ位あづみが愛されている、という事でしょう。親として、私は嬉しく思いますよ」
《ソリトゥス》「……皆で集まって…お話タイム……?私も………混ざって良い…?
《天王寺飛鳥》「ほな、僕も混ぜて貰うで」
《ヴェスパローゼ》「…誰も意図せず、段々と集まってしまうものね」
《九条大祐》「それで、良いのでは無いでしょうか」
《きさら》「こぉこ…しゅき…♪」
《九条大祐》「ふふっ。きさらちゃんは、安定の位置だね」
《きさら》「うぃっ」
《ヴェスパローゼ》「大祐の腕に包まれて…ほんと、羨ましいわね。きさら?」
《きさら》「ろーぜも、くゅ?」
《ナナヤ》「…話を戻そうよ〜…じゃなくて、戻すからねっ」
《森山碧》「惚気を聞かされ一向に進まん」
《九条大祐》「俺が寝れない、ナナヤがこの部屋に干渉、意識を無理矢理此方に飛ばす。終わり」
《ナナヤ》「…説明が簡素過ぎるっ…!?」
《九条大祐》「ま、強制的に眠りに就いた、というイメージか」
《ナナヤ》「確かに…間違ってはいないけど…」
《森山碧》「神様は何でも有りなんだな」
《ソリトゥス》(遂に……神様にまで干渉されちゃったんだ……………この部屋……)
《ベガ》「ソリトゥスさんが、げんなりされてますよ」
《リゲル》「又一つ、問題が増えたからじゃないかしら」
《ソリトゥス》「カステラと言い……どうしよう…」
《天王寺飛鳥》「…た、大変やな」
《ナナヤ》「それは置いといて…」
《天王寺飛鳥》「置いとくんかいな…!?」
《ナナヤ》「うん。…だって、大祐くんからの報酬が今一番だもん」
《九条大祐》(何故ナナヤは其処まで俺に拘るのだろうか…)
《森山碧》(…とか何とか、大祐なら絶対思っているだろうな。女心の分からん奴め。人の事言えないけどな!)
《あづみ》「…あっ、大祐くん…その、誕生日プレゼントの話って…今聞いても、良い…かな」
《きさら》「きぃもがんばった…だいすけ、ほおしぃう…」
《ヴェスパローゼ》「きさら…少しの間、待ってあげましょ。大丈夫、そんな顔しなくても、大祐はきっとくれるわ?」
《きさら》「…うぃ!」
《ナナヤ》「…えっ、私…又放置コースの流れ…?」
《九条大祐》「誰も忘れたりしてないから、悪い…少し待っててくれる…?」
《ナナヤ》「う、うん…」
《森山碧》「…んぁ?俺も貢献した気がしないでも無いが…此処は敢えてノーコメントだな。面倒ごとに発展しかねない…」
《天王寺飛鳥》「空気を読むのが上手なんやな」
《森山碧》「俺自身、空気だからな!」
《ソリトゥス》「…ミスト………」
《森山碧》「人を霧扱いするんじゃあない…」
《リゲル》「存在感が強い割には空気の様に影が薄いから、濃くても空気に変わりない霧なんじゃないかしら?」
《森山碧》「…ははん?」
《ベガ》「今はそんな事、放っておきましょう。私達があづみと大祐から一歩離れただけで、2人が良い雰囲気に有りますから」
《リゲル》「私達が距離を置いてから一瞬よ…?凄いわよね…何時も2人だけだったら、お互い依存になってしまわないか…心配だわ」
《ベガ》「あづみとリゲルにも言える事ですよ」
《リゲル》「わ、私は…………あづみが大切だから、絶対に守ってあげたいってだけで……」
《ベガ》「私も、その気持ちはリゲルに負けず劣らずと自負します」
《ヴェスパローゼ》「…それに、あの2人は依存を超えた先の愛を育もうとしている途中よ?」
《ベガ》「2人共、お互いに依存していないと言えば嘘になります。…ですが、私達だって少なからず、あづみや大祐に依存している節は無きにしも非ずです」
《ヴェスパローゼ》「私ときさらも、似た様な物ね」
《きさら》「ろーぜ、しぃき!」
《ヴェスパローゼ》「ふふっ、ありがと、私の可愛いきさら」
《ソリトゥス》「………依存……かぁ………………」
《ベガ》「…難しいところですね」
《天王寺飛鳥》「……なぁ、そんな真面目な話をしてるところ悪いんやけど…」
《森山碧》「あぁ、大祐が遂に誕生日プレゼントを渡しそうだぞ」
《リゲル》「…!大祐、あづみに何をプレゼントするのかしら…?」
《ベガ》「楽しみですね…」
《ヴェスパローゼ》「ベガが柄にも無く、ワクワクそわそわしてるわ?」
《森山碧》「母親さん、意外なところで可愛らしいよな」
《リゲル》《ソリトゥス》「!?」
《ベガ》「かっ、かわっ…!?」
《ヴェスパローゼ》「あらあら」
《天王寺飛鳥》「おぉ!へっきーはん、大胆やな」
《森山碧》「んぁ?俺は素直な感想を述べただけだぞ。美人な女性がワクワクそわそわとか…男として、反応しない訳無いだろ」
《ベガ》「………………」
《天王寺飛鳥》「せ、せやな〜…確かにベガさんは、かなりのべっぴんさんやからな。そんな女性に可愛らしい姿を見せられたら、もうあかんて」
《ベガ》「…か、かわいいというのは…………」
《リゲル》「べ、ベガが…大祐以外の男から可愛いって言われて、反応してる…!?」
《ソリトゥス》「…………実はベガさん………ちょろイン…?」
《森山碧》「あ〜…それは違うと思うぞ」
《ソリトゥス》「え………?」
《ヴェスパローゼ》「森山碧、貴方…意外と察しが良いのね」
《森山碧》「そらどうも」
《リゲル》「…?どういう意味…?」
《ベガ》「///」
《ヴェスパローゼ》「…実は、少し前の話。何時もの様に、ベガが大祐の寝室に忍び込んだの」
《ベガ》「し、忍び込んではいません…!ただ…少し、お邪魔しただけで…」
《森山碧》「それ、何時からだ?」
《ヴェスパローゼ》「去年から、ね」
《天王寺飛鳥》「なんやなんや、大祐くんの寝顔でも見たかったんかいな」
《ナナヤ》「…仕方無いね〜…大祐くん、寝る時は何時も1人で部屋に誰も入れないもん…………ふぁ…」
《リゲル》「一応、特別な日は別よ?あづみが何度か一緒に寝ている様子だから」
《ソリトゥス》「………という事は………?」
《きさら》「きぃも、たまぃしのびこんでゆっ」
《ヴェスパローゼ》「…ま、その時の話ね」
《森山碧》「あー、あー、聞きたく無い聞きたく無い。これ以上の惚気は勘弁だ」
《天王寺飛鳥》「ええやないか。こんな高貴な女性に、どんな秘密が有るのか…気になるやろ?」
《ソリトゥス》「…大祐くんを夜這いしに………」
《ナナヤ》「………へっ…!?」
《ヴェスパローゼ》「違うわ」
《ナナヤ》「良かった〜……」
《ベガ》「貴女に先を越される位なら……大祐には悪いですが、恥ずかしくてもさせて頂きます」
《ナナヤ》「ふ〜ん…じゃあ、私が一番乗りでも文句は言わせないからねっ」
《天王寺飛鳥》「ちょっと待ったー!話がずれるから、言い争いは後にしてくれへんか…?」
《森山碧》「賛成だ」
《ヴェスパローゼ》「…で、強制的に戻すわよ。その時大祐が起きてしまって…」
《森山碧》「戸惑ってる母親さんを見て、大祐が『可愛い』の一言を言い放ち、落とされたと」
《ヴェスパローゼ》「洞察力は頭一つ抜けてるわね。その通りよ」
《森山碧》「ちょっと待て、誰情報だ、それ」
《ヴェスパローゼ》「………さぁ?私には分からないわ」
《天王寺飛鳥》「今の間、凄く怪しかったで」
《リゲル》「でも…ベガ、よ?幾ら大祐からの一言だとしても…流石に他の男性から言われて、それを思い出して欲情する様な女性じゃ…」
《ベガ》「リゲル、言葉に気を付けて下さい。私は…」
《ヴェスパローゼ》「強ち間違ってはいないと思うわ?」
《森山碧》「激しく同意だ」
《ソリトゥス》「…大祐くん、こんな美しい女性から………欲情されてる事……………………気付いてないんだ……」
《きさら》「ょくじぉ?」
《ナナヤ》「………ZZZ」
《ベガ》「わ、私はっ…その…………大祐には、あづみにとって相応しい旦那になって貰いたくて、ですね………」
《天王寺飛鳥》「な、なんや…話が変わったで」
《リゲル》「…?だ、大丈夫?ベガ」
《森山碧》「おいおい、顔真っ赤になってんぞ」
《ヴェスパローゼ》「ふふっ、ベガも『乙女』の1人ね」
《ベガ》「私を乙女と言うのはやめて下さいっ…!」
《ヴェスパローゼ》「……あら」
《天王寺飛鳥》「…!さ、流石に気に障ったんちゃうか…」
《ベガ》「………っ、急に声を上げてしまうなんて……」
《リゲル》「珍しい事も…有るものね」
《ベガ》「情け無い…ですね。こんな事で平常心を失って…大祐絡みの話になると、何時も何時もです…」
《ソリトゥス》「………その位、大祐くんを……意識してるって事………」
《天王寺飛鳥》「せや、ベガさんは想いが純粋なだけや」
《森山碧》「というかよ…母親さんまで色々我慢してんじゃないのか?…あんまりだと、ストレスで肌に影響が…」
《リゲル》「そう言う話をしてる訳ではないでしょう…」
《ベガ》「…ふふっ、確かに…女性は肌が大切ですからね」
《ヴェスパローゼ》「何と無く、分からない気がしなくもないわ」
《森山碧》「だろ?だから、悩み事でも何でも、全部大祐にぶつけちまえば良いんだ。難しい事なんて考えなくて良い。それで『どうしよう』の無限ループに入ってしまうよりは、言ってスッキリした方が楽になる。…あのベガさんからのお話だ。大祐なら、どんな悩みだろうが不安だろうが、願いだろうが聞いてくれるだろうよ」
《リゲル》「…極稀に、良い事言うのね」
《森山碧》「あまりこういう事を口にしたくないだけだ」
《ソリトゥス》「………飛鳥くんに…大祐くんに、碧くん………………凄い派閥が出来そう………」
《森山碧》「既に出来上がってるだろ」
《天王寺飛鳥》「…えっ、そうなんか!?」
《リゲル》「私やあづみは、当然大祐のに加わるわよ?」
《ヴェスパローゼ》「きさらに、私もね」
《きさら》「うぃっ!………………はぁつ…?」
《ナナヤ》「………………わたし……も………んにゃむにゃ………………」
《森山碧》「知ってるから、安心しろ」
《天王寺飛鳥》「確定事項からは変わらない、という事やな」
《ソリトゥス》「………ブレない精神……」
《ベガ》「………悩み…大祐、聞いてくれるでしょうか……?」
《リゲル》「もう…そんなに抱え込んでどうしたの?らしくないわよ…?」
《ベガ》「い、いえ…大祐は……私の事、どう思っているのかと…」
《森山碧》「少なくとも恋愛対象じゃあ無いだろ」
《ヴェスパローゼ》「理由付きで、ね」
《ベガ》「…理由…?」
《天王寺飛鳥》「………そらそうやな。大好きな女の子の『母親』やで?幾ら大祐君でも、其処は弁えてるやろ」
《森山碧》「ふとしただけで、好きな女の子の母親に『可愛い』とか……どんな精神だ」
《ヴェスパローゼ》「少なからず、大祐もベガに対して気が有るというのは確かね」
《ベガ》「ほ、本当でしょう…?」
《リゲル》「問題はベガが、大祐をどう想っているのか、よ?」
《ベガ》「私…は…」
《ソリトゥス》「素直が……一番…………」
《ベガ》「…!わ、私は………大祐の事、大祐に対して………好意を…………………………」
《天王寺飛鳥》「…っ、す、ストップ!み、皆!あれ見いや!!
《森山碧》「おいおいおい天王寺氏、ちょっと待てよ〜。母親さんが言葉を振り絞って、自分に素直になれる直前でそれはなーーは?」
《ヴェスパローゼ》「………先を越すだの何だの、馬鹿馬鹿しくならないのかしら…?」
《ベガ》「…ヴェスパローゼ、それは私に言っているのでしょうか。……ですが、確かにそうですね。大祐は…何時も然りげ無く、大胆です」
《ソリトゥス》「あれが………あづみちゃんへの……誕生日プレゼント……………」
《きさら》「きあきあしてゆ…」
《ナナヤ》「………ん〜…?」
《リゲル》「…大祐…あづみにとって、一番の誕生日プレゼントね。………年齢的には、まだ早いかもだけれど」
《ベガ》「ふふっ…2人なら、きっと………いえ、絶対に、大丈夫でしょう」
ーーー