三雲修改造計画【SE】ver   作:alche777

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リアルが忙しく&三輪が全然言うことを聞いてくれずに苦労しました。

早めに三輪戦もどうにかしないといけませんね。

けど、ずいぶんと執筆していなかったから書き方を忘れちゃったよ(オイ
また外伝でリハビリをしないとダメかな、このデキじゃ。


ちなみに外伝は対三雲戦対策会議なんて書いてみようかなぁって……。
うん。人が多すぎて死ぬ未来しか見えないや。


SE修【天眼】VS三輪【NTver】②

 必殺の一撃を叩き込んだはずなのに、自身の弧月は修の弧月によって受け流されてしまう。受け流した直後の隙を突いて必殺の一撃を叩き込まれる三輪は辛うじて払いのけ、返しの刃で修の腕を切り離さんと振るうのだが、その一撃を天眼で視きられていたようだ。崩された体勢のままにも関わらず何の躊躇もせずに後ろに跳んで三輪の弧月の軌道から脱出したのだった。

 

 

「(こいつ……)」

 

 

 戦いは直ぐに終わると思っていた三輪にとって、これは大きな誤算であった。噂はちょくちょく聞いてはいたが、これほどまでの立ち回りが出来るなど想像もしていなかったのである。戦いの前に三雲の模擬戦をログで確認しなかった自分の迂闊さに今さらながら後悔するのであった。

 だからと言って、修が脅威であるかと聞かれては否であった。確かに受け流しや立ち回りの術は侮りがたいモノがある事は認めるが、攻撃面に関してはお粗末もいいところ。幾ら攻撃をいなした直後のカウンターを狙った所で、修の視線によってどこを狙っているのか丸わかりであった。テレフォンパンチも当然の攻撃に三輪が易々とダメージを負うはずがない。

 弧月同士の純粋な剣術勝負はこう着状態に陥ってしまった。だからと言って、三輪は短銃を出すつもりはない。相手は自分よりも実戦経験も乏しい、実力だってはるかに上であると自負している。そんな自分が先に他のトリガーを使う事はプライドが許さなかった。

 本来ならばそんなプライドなど考えずに遠慮なく叩き込んでいく方が正しいのだが、そこは感情の問題である。自分から弧月以外は使わないと言った以上、なにがなんでも弧月のみで勝たなくてはいけない。

 

 

「(くっ。弧月だけでは三輪先輩に勝てないか)」

 

 

 ブレードトリガー一つで三輪に勝てない事など初めから分かっていた。そもそも弧月の経験自体が修にはほとんどない。弧月一本で三輪に勝利するヴィジョンが未だに視えなかったのである。

 

 

「(だったら――)」

 

 

 距離を一旦空けた修から攻撃を仕掛ける。今までカウンターを狙っていた修の戦い方から見れば珍しい事であった。

 予想外の特攻に警戒した三輪は返り討ちを試みて、真直ぐ飛び込む修の一撃を見極めんと目を凝らす。

 一閃――と思いきや、薙ぎ払ったはずの右腕には弧月は握られていなかった。払う直前に弧月を離し、器用に左手で掴み直して時間差の攻撃を繰り出す。

 

 

「っ!?」

 

 

 想像もしていなかった一人時間差攻撃に驚きはしたもの、三輪は冷静に対処して修の弧月を叩き落とす。その直後、修の胸ぐらを掴んで背負い投げの要領で力尽くで投げ落としたのだった。

 

 

「がっ!」

 

 

 咄嗟の反撃に対処できず、地面に叩き付けられた修に間髪入れる事無く弧月の切先を修の顔面に突き放つ。身体を捻る事で辛うじて回避出来たが、この絶好な機会を三輪が逃すわけがない。地面に突き刺した弧月に体重を預け、修の腹部に強烈な蹴りを御見舞いするのだった。蹴られた修の体は宙を舞う。いま弧月で斬り付ければ回避するどころか防御する事すらままならないはずだ。

 

 

「(終わりだ)」

 

 

 三輪の弧月が修の体に触れようとした直後、いたはずの修の姿が忽然と消えてしまう。

 

 

「テレポーターかっ!?」

 

 

 あのままでは倒されると判断した修は三輪の一撃を躱す為に使うのを渋っていたテレポーターを使用する。移動先は三輪の背後。気配を感じ取った三輪は振り向き様に弧月を振るうのだが、それよりも早く修の拳が三輪の顔面を捉える。レイガストとスラスターを利用した右ストレートによって後方に流されていく。膝から下に力を込めて倒れる事は免れたが今の一撃は三輪にとって色んな意味で大きなダメージを受ける事になってしまう。

 

 

「みくもぉぉ」

 

「すみません。本来ならば僕も弧月のみで戦いたかったのですが、それは無理そうです。ですので、いまの僕が持つ全てを使ってあなたを倒します」

 

「寝言は寝てから言え。お前が俺に勝てるはずがない」

 

「いえ、勝てます。今のあなたならば――」

 

 

 

 ――スラスター・オン

 

 

 

 ブレードモードに変化させたレイガストを振り被りながら再び突貫する。

 三輪はこれまで修が使ってきたトリガー構成から同じような不意打ちがない事を予測して、今度は自身も迎い討って出たのだった。

 もはや何度目か分からないほどの鍔迫り合いが行われる。しかし、修は力勝負になるのを嫌ってかレイガストを離すとテレポーターで後方上空へ瞬間移動したのであった。

 

 

「また、テレポーターかっ!」

 

 

 主を失った修のレイガストを無造作に払い飛ばし、気配を感じる後ろへ振り向くと――。

 

 

 

 ――旋空弧月

 

 

 

 抜刀すると同時にオプショントリガー旋空によって引き伸ばされた弧月の刃が三輪を襲う。修の旋空は他の攻撃手(アタッカー)陣と比べても威力は愚か速度も低い。不意打ちされてはしまったが、距離と旋空の速さから考えて充分に対処できる時間があった。

 修の旋空弧月の軌道上に弧月を突き出して受け止める体勢を取った三輪に、間髪入れる事無く二度目の旋空を解き放つ。

 

 

 

 ***

 

 

 

 試合の流れは修に傾き始めていた。相手がA級の三輪にも関わらず奮闘している修の姿に嵐山は大興奮していた。

 

 

「す、すごいよ三雲くん。じ、迅! どんな指導をしたら、あんなに強くなるんだ!?」

 

 

 噂は色々と耳にしていたが、実際に修が戦っている所を見るのは風間戦以来である。まさか短時間であそこまでの戦闘能力が向上した事が信じられなかった。

 きっと、暗躍エリート様の教育によって向上されたのであろう、と興味を持った嵐山が迅に問うてみると彼は「俺は何もしていないよ」と苦笑いを返すのみ。

 

 

「落ち着いてください、嵐山さん。確かに三雲君の立ち回りは見事ですが、三輪先輩は相変わらず弧月一本のみ。もし、他のトリガーを使われたら幾ら三雲君で勝つのは難しいでしょう」

 

「時枝の言うとおりだな。秀次には鉛弾(レッドバレット)がある。弧月しか使わないと言ったからこそ、三雲君は旋空弧月を軸にして遠・中距離戦にシフトしたと思う。だが、本来の秀次は万能手(オールラウンダー)だ。変なプライドさえ固執しなければ、形勢は簡単にひっくり返るだろう」

 

 

 東の言うとおりである。本来の三輪の戦い方は弧月と短銃型の弾丸トリガー通常弾(アステロイド)変化弾(バイパー)を併用して戦うスタイルだ。本来ならば短銃型のトリガーを使って応戦するところであるのだが、頑なに使おうとはしない様子。あれでは距離を開けて戦える修が有利になるのは当たり前の話だ。

 

 

「だが、メガネ君の旋空弧月はお世辞に言っても威力は低いし遅い。それ相応の工夫をしなければ当てる事は難しいな」

 

「迅。この後の出来事をサイドエフェクトで視えているんだろ?」

 

「まぁね。けど、どうかな? 俺としてはその未来を裏切ってくれるとうれしいんだけど」

 

 

 嵐山的にはこの後の展開を教えて欲しいものであるが、早々に易々と教えてくれない事は知っている。表情から察するに拙い方向に進む事はないと思われるが、それでも未来ある後輩達の行く末を心配してしまう。

 

 

「そもそも、何であの二人が戦う事になったんですか? まさか城戸派と玉狛派の代理戦争という訳ではありませんよね?」

 

 

 時枝の指摘にハッとなる嵐山。そもそも二人がこうして戦っている理由を知らない。経緯を聞く前に二人の戦いに見入ってしまって、聞くに聞けない状況であったのだ。

 

 

「いやいや。そんな大したことじゃないから、大丈夫だよ。何て説明したらいいんだ? 簡単に言えばメガネ君を強くさせる為に必要な登竜門ってところかな?」

 

「要領を得ませんね。そんな事でわざわざ三輪先輩と戦わせますか? それに、最近の三雲君の騒ぎも察するに迅さんの仕業とお見受けしますが、どうでしょう?」

 

「なにっ!? そうなのか、迅!!」

 

 

 時枝の指摘に嵐山が詰め寄る。具体的な事は知らないが、色々と修の噂が出回っている事だけは知っている。仕事の忙しさから噂の真意までは突き詰められなかった。

 迅は気まずそうにソッポを向き「まぁ、そうだね」と答えた。

 

 

「あまり迅を責めるな、二人とも。こいつにもこいつなりに考えがあるからこその行動だ。暗躍エリートとして動いていると言えば分かるだろ?」

 

 

 気まずい空気が立ち昇りそうになったので、東がフォローに入る。事情を知っている彼だからこそ言える言葉であった。

 

 

「東さんは知っているんですか?」

 

「まあな。それを聞いたからこそ協力もしている。未来ある若者達を危険に合せる訳にはいかないからな」

 

「いやだな、東さん。東さんだって全然お若いじゃないですか」

 

「嵐山に言われても嫌味にしか聞こえないよ。……っと、秀次もそろそろ本気を出すみたいだな」

 

 

 修が旋空弧月を主軸に戦う事を嫌ったのだろうか。三輪が「ちっ」と舌打ちをしながら、今まで出す事のなかった短銃型トリガーを使って応戦を始めた。

 

 

 

 ***

 

 

 

 ――通常弾(アステロイド)

 

 

 

 銃口から射出された弾丸、通常弾(アステロイド)が修の旋空弧月を掻い潜って飛来する。流石に無視して攻撃を続ける事が出来なかったのか、幾度も繰り出していた旋空弧月を中断して、迫ってくる通常弾(アステロイド)を弧月で叩き斬る。

 その間に三輪は銃口を向けて通常弾(アステロイド)を放ちながら距離を詰めていく。走りながらの銃撃は命中精度が落ちてしまうが練度が高い三輪の射撃能力は伊達ではない。正確に両腕両足、眉間に関節部と狙った場所に飛んで行く。

 

 

「(流石A級。動きながらも命中精度は衰えないか)」

 

 

 鷹の眼で自身に着弾する場所をいち早く察し、避けきるのが難しいと判断して弧月で叩き落としていく。けれど、弾丸の数が多いためにその場から身動きを取る事が出来ずにいた。

 その結果、三輪と修の距離はゼロになる。二人の弧月が再び衝突する。

 

 

「弧月以外は使わないのではなかったのですか?」

 

「黙れ。いつまでもお前なんかに付き合いきれないだけだ。直ぐに終わらせてやる」

 

「いーえ。あなたが風刃を使うまで、僕は諦めませんっ!!」

 

 

 力づくで三輪を突き離す。直後、無造作に弧月を放り投げて柄を蹴り付ける。

 弾丸となった弧月は三輪の眉間へ一直線に飛ぶ。反射的に切上げて弧月を払いのける事に成功したのだが、既に弧月が待っていた宙に修がテレポーターで移動していた。

 

 

「なにっ!?」

 

 

 弧月の柄を掴みとり、そのまま三輪の右腕を切裂く。弧月を握っていた右腕が負傷したが至近距離で通常弾(アステロイド)を心臓部に撃ち放つ。しかし、既に修は再びテレポーターを使って距離を開けていた為に通常弾(アステロイド)は明後日の方向へと飛んで行くのみだった。

 

 

「こいつ……」

 

 

 相手はB級成り立ての新米正隊員だ。

 それにも関わらず苦戦を強いられている事に苛立ちが抑えきれなかった。

 

 

「秀次! 熱くなるな。もっと冷静になれば対処できるはずだ」

 

 

 傍観を決め込んでいた東から助言が飛んでくる。本当はそんな事をするつもりではなかったのだが、元チームメイトの秀次があまりにもらしくない戦いぶりを見せているので言わずにいられなかったのだろう。

 

 

「(東さん)」

 

 

 自分達の戦いを元隊長である東が視ている事を今さらになって思い出す。

 認めたくないが玉狛派の修に怒り任せて戦って周りが見えていなかったようだ。

 

 

「(……いいだろう、認めてやる。お前がそこそこ強いと言う事を。そして!)」

 

 

 

 ――トリガー・解除(オフ)

 

 

 

 戦闘中にも関わらず生身へ換装した三輪は城戸から渡されたトリガー風刃を取り出す。

 

 

「お前の策略に乗ってやる、迅っ!!」

 

 

 

 ――ブラックトリガー・風刃起動

 

 

 

 玄界(ミデン)に三本しかない(ブラック)トリガーを起動させ、風刃の能力の遠隔斬撃を修へ叩き込む。




戦いの方が気楽に書けるっておかしいかな?
まぁ、戦闘描写がうまいわけではないんですがね。

そう言えば、今回は空閑がめちゃくちゃ空気だな。
てか忘れていた(マテ

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