ほぼ会話文ですが、こう言うのもありかな?
ランク戦ブースで乱戦が始まったと聞き、武富桜子はいても経ってもいられなかった。
目の前の報告書を驚くべき速さで片付けたと思いきや「野暮用があるので、失礼します!」と言って早々と隊室から飛び出したのであった。背中越しから海老名隊の隊長である海老名が呼び止めたが、そんなのは無視。実況魂が彼女の乙女心をギラギラと燃え上がらせてしまったのだ。待ってなどいられない。
思えば、今の今まで実況魂が燻る事件が幾重も襲い掛かって来たと言うのに、まるで図ったかの如く仕事やら任務で見学する事が出来なかったのだ。後ほど友人達に聞き、なぜ自分がその場に立ち会えなかったのかと悔やんでも悔やみきれなかった自分がいる。
韋駄天もびっくりする速度でランク戦ブースに到達した彼女はマイクをトリガーオン。戦闘態勢に移行する。
「なんだなんだ、この状況は! 片や時のメガネ、三雲隊員と弾バカこと出水隊員、そしてスーツマイスターの二宮隊長が戦闘バカ太刀川隊長と槍バカこと米屋隊員に、なんと加古隊長が睨み合っているぞ!? 誰か! 誰か、この状況を教えてプリーズ!? 解説者を要望するぞ!!」
「入った早々、元気だな武富は。仕事はもう終わったのか?」
「東さん!? なんていい所に。ちょっと解説を! 解説をお願いします」
テンションマックスで実況を始める武富に話しかけたのは東であった。彼女の異様なテンションに苦笑いを浮かばせていた東に武富は現状を教えて欲しいと懇願する。
「簡潔に言うと、三雲隊員が二宮隊長とランク戦をしている最中に、太刀川隊長と米屋隊員。そして意外な人物、加古隊長が乱入したんだ。三人の強襲に深手を負った出水隊員と二宮隊長が落されるのを恐れ、三雲隊員は米屋隊員と一旦距離を置いて二人の下へ駆け寄ったって所だな」
「ありがとうございます! しかし、またお前か!? またお前なんだな、メガネ隊員……もとい、三雲隊員! いったい、お前は何度やらかせば気が済むんだ。いいぞ! もっとやれ!」
「おいおい、武富」
久々の実況で制御しきれないのだろうか。初めからクライマックス状態の彼女を落ち着かせようとする東であるが、最初の
「さぁ。戦況は圧倒的な三雲連合。この状況をどうひっくり返す!? 解説の東さん。どう思われますか?」
「いつの間にか、俺が解説役なのね。……そうですね。出水隊員が片足を失ったのは痛いですね。幾ら彼の弾幕があるとはいえ、機動力を削られてしまっては切れる手札は少ないです。それを二宮隊長と三雲隊員がどうフォローするかが勝利の鍵だと思われます」
「なるほど! 対して太刀川連合
「太刀川連合には加古隊長がいます。彼女に後方支援を務めてもらい、太刀川隊長が旋空弧月で牽制。その隙に米屋隊員が突貫と言った所でしょうか」
「そうこう言っている内に戦況が動いたぞ。最初に動いたのは太刀川隊長だ! 東さんの言うとおり、旋空弧月が炸裂! それを出水隊員が
「本来なら、
「米屋隊員! 真直ぐ三雲隊員に向かう。迎撃に向かったのは、なんと三雲隊員!? グラスホッパーを……グラスホッパー? あれ? なんで三雲隊員はグラスホッパーを使っているんですかね?」
「最近、トリガー構成を変えたのでしょう。色々と模索していたようなので」
「そうなんですか!? それは知りませんでした。グラスホッパーで米屋隊員へ一足飛びした三雲隊員がレイガストで斬りかかる! しかし、後ろから追従していた太刀川隊長が弧月でそれを防いだ! その隙を突く様に米屋隊員の強烈の一撃が襲い掛かるが、出水隊員がそれを
「流石はA級隊員と言うべきでしょうか。それに遅れを取らない三雲隊員も大したものです。二人の
「鍵は前衛の三雲隊員と言うべきでしょうか。その三雲隊員に向かって加古隊長が
「あんな風に密着されては流石の二人も援護射撃が難しいですね。味方に当たってしまう恐れがありますので。……普通ならば」
「それはどういう意味って、出水隊員!?
「いえ、大丈夫でしょう。出水隊員が
「上空から襲い掛かる
「事前に練っていた作戦なんでしょう。あれでは真面に回避する事はままなりません。最も、あの二人がそう簡単にやられるとは思えませんが」
「その通り! 不意打ちによって上空へ吹き飛ばされたものの、太刀川隊長が旋空弧月で出水隊員の
「加古隊長の
「え? ……あぁっと!? 加古隊長の
「
「いち早く気付いた二宮隊長が
「これで三雲連合は更に苦しくなりましたね。左腕を犠牲にしたもの、米屋隊員は大きな働きを見せてくれましたね」
「さぁ、残るは二宮隊長と三雲隊員! この状況でどうひっくり返すんだ、三雲連合!!」
久々に実況を入れてみましたが、思いのほかに難しいですね。人が多くなると。
本来ならば、ここから戦闘員達の話に持ってくるのですが少々長くなりそうなので、ここでぶった切ってみました。