三雲修改造計画【SE】ver   作:alche777

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めっちゃ迷ったよ!

香取隊を巻き込ませようか、修羅場に陥れようか(マテ

けど、結局、今回“は”ストレートに行こうと思います。

変化球ばかりじゃ、後々大変になるでしょうし苦笑


SE修【天眼】那須隊①

 玉狛支部の一室。

 修は今までの過去の戦いを見ながら、改善できる点を模索していた。

 三雲隊の結成。予定よりも早い二人のB級昇格に修は少しばかり焦っていたのだ。

 

 

「(ランク戦まで、あと少ししかない。それまでに僕自身、力を付けなくては……)」

 

 

 数多くの実力者と戦い、そこそこ戦えると自覚はしている。だからと言って、まだまだ自分自身がお荷物的存在である事は変わりない。

 

 

「(けど、使用できるトリオンが限られている以上、トリガー構成を弄るにも限界がある。天眼も使い方を間違えれば、二人の足を引っ張るのは間違いない)」

 

 

 今までは天眼と相対する事が初めてな者達ばかり。いわゆる初見殺しでどうにかなった点が大きい。しかし、今度からは自身の戦いぶりを研究して対策してくるはずだ。次からは早々簡単に勝利を得る事は難しくなるだろう。

 

 

「(だからと言って、完全機能(パーフェクト・ファンクション)は使えない。使うとしても、最後の切札だ)」

 

 

 2秒先の未来を見通す完全機能(パーフェクト・ファンクション)なら、奇襲戦法と併用して戦えば有利に戦闘を運ぶ事が可能かもしれないが、ランク戦は三つ巴、四つ巴戦。敵の数が多すぎる故に、ここぞと言う時のみしか使えない。

 

 

「(転送直後、どれだけ有利に事を運ぶ事が出来るかが勝負の分かれ目と言った所かな)」

 

 

 他の戦闘員と違って、レーダーを使わなくても敵の所在が分かるのは大きな武器である。いかに情報戦で有利に運べるかが勝負だと思われる。

 だが、どんなに情報戦に優れていても限度がある。空閑は兎も角、千佳は人を撃てない。それに加えて自身の戦闘力の低さを考えると、どうしても決め手の一つや二つは欲しい所だ。

 

 

「ここにいたか、修」

 

 

 呼び掛けられ、思考の海から離脱する。呼びかけた相手は師の烏丸であった。

 

 

「……お疲れ様です、烏丸先輩。防衛任務は終わったんですか?」

 

「あぁ、今さっきな。模擬戦のログを見ていたのか?」

 

「はい。こうしてみると、騙し討ち一辺倒なのが分かりますね。真正面から戦った記録がほとんどありません」

 

 

 自身の大戦ログを改めて見て、自分が如何に騙し討ちの一辺倒である事が分かってしまう。それがダメとは言わないが、これでは真正面から戦えないと言っているものだ。

 

 

「それは仕方がないだろう。どれも修以上の実力者だ。むしろ、よく戦ったと言うべきだろう」

 

「そうですかね」

 

 

 烏丸はそう言ってはくれるが、やはり自分自身も空閑とまではいかないが、それ相応の戦闘能力は欲しい。しかし、トリオン量が圧倒的に少なく運動神経もそこまで高くない事は自覚している。木崎に基礎体力作りのメニューを貰って体力の向上を施してはいるとはいえ、未だにその成果は見受けられない。

 

 

「焦るな、とは言わないが無理をするのだけはやめて置け。修には天眼と言う立派な武器があるんだからな」

 

 

 まだ修が玉狛支部に来てから日は浅い。それにも関わらず、納得のいかない表情を見せる後輩は充分戦果を挙げているのは確かだ。少しばかり自信の評価を下に見ている弟子に「それならば……」と提案を上げてみることにした。

 

 

「お前がこれまで戦った相手はA級ばかりだろ? だったら、今度はB級の隊員と戦ってみればいい」

 

「B級の方達とですか?」

 

「そうだ。これから戦う相手の分析にもなるし、自身がどれだけ動けるかも分かるはずだ。何より、実力が同等な奴と戦う事で視える世界もあるはずだ」

 

「……なるほど」

 

 

 考えてみれば、今までの対戦成績から鑑みると殆どの相手がA級であった。くよくよ考えるよりも体を動かして見ろ、と言う師の提案は一理あると考え直す。

 

 

「ありがとうございます、烏丸先輩。早速、明日から本部に言ってみます」

 

「そうか。……所で修。少しばかり時間があるから、久しぶりにやるか?」

 

 

 珍しく師からの模擬戦のお誘いに修が断るはずもない。

 

 

「はい! よろしくお願いいたします」

 

 

 その後、烏丸本気モード――ガイスト使用――と五戦ほど戦い、時間切れであるがどうにか一勝をもぎ取る事に成功した修であった。

 

 

 

 ***

 

 

 

 翌日、空閑と千佳に本部へ行くことを伝え、修はランク戦室に向かっている最中――。

 

 

「……あ、三雲君だ!?」

 

 

 見知らぬ少女に声を掛けられたのであった。

 

 

「えっと、キミは?」

 

「あ、初めまして! 那須隊の狙撃手(スナイパー)の日浦茜です! 千佳ちゃんと一緒に訓練したりします!」

 

「そっか。千佳がいつもお世話になっています」

 

「この前の狙撃戦を見たよ。凄いね! 二挺狙撃(ツイン・スナイパー)を楽々と出来るなんて。それにそれに、奈良坂先輩とも撃ち合って勝っちゃうんなんて」

 

 

 尊敬の眼差しを送る彼女は、以前に佐鳥が引き起こした狙撃戦のログを見た様子。あの時の事を思い出し、修は苦笑いを浮かべながら答える。

 

 

「あれは、東さんの力添えがあったからこそだよ。僕なんてぜんぜんだし」

 

「そんなことないよ! 私だったらあんな作戦も立てる事も出来ないもん。千佳ちゃんだって、三雲君は凄いって褒めていたよ」

 

 

 狙撃手(スナイパー)の世界で三雲と東、佐鳥の狙撃手(スナイパー)連合の戦いはちょっとした話題になっている。狙撃手(スナイパー)同士で戦う模擬戦はなくもないが、実力者達の戦いを視る事は機会は中々少ない。あの戦いはC級やB級達の狙撃手(スナイパー)達にとってはちょっとした教材になっていたりする。

 

 

「ね、ね。どうやったら、あんなに正確な狙撃が出来るの!? コツとかあったら、教えて欲しいな」

 

「こ、コツ?」

 

 

 そんな事を聞かれても答えようがない。修の狙撃は例えるならば高性能なレーザーサイトが常に付いている状態なのだ。コツと言うコツはないに等しい。

 なんて答えて言いか迷っているところ、またもや一人近づく者が現れる。

 

 

「茜、こんな所にいたの。今日は連携の訓練をする……。って三雲君だっけ?」

 

 

 隊員室に中々来ない日浦を迎えに来たのだろう。那須隊の隊員の一人、熊谷友子が油を売っている日浦を嗜めようとしたところ、相手が時の人である三雲だと初めて知る。

 

 

「あ、熊谷先輩! いまちょうど三雲君とあって、狙撃戦の話しをしていたんです」

 

「だからと言って、訓練の時間を忘れちゃダメでしょ。キミが三雲君ね。玲からちょくちょく話しは聞いているわよ。……あ、私は熊谷友子ね」

 

「初めまして、熊谷先輩。その、玲って? それに話しとか……」

 

「あぁ。玲は私達の隊長の那須玲ね。面白い射手(シューター)の子がいるって玲から聞かされていたのよ。この前のログも見たわ。面白い戦い方をするのね」

 

 

 友人の那須の勧めで熊谷も修の過去のログ、特に加古と太刀川、米屋のA級混合部隊と戦ったログを何度も見た口である。同じB級であそこまで戦える事に、少なからず刺激を受けた身だ。

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

「そうだ! 熊谷先輩。三雲君に例の件をお願いしてみようよ」

 

「……例の件?」

 

 

 何やら嫌な予感がしてならなかった。こう言う予感だけは何故だか的中率が高い。

 日浦の提案に熊谷は「そうね」と思案顔を浮かべる。

 

 

「あ、あの。その例の件って?」

 

 

 聞くに、那須隊は対来馬隊、特に村上鋼隊員の攻略に苦戦していた。今回の連携の訓練も、対村上戦を考慮した作戦会議に等しい。

 

 

「三雲君なら、弧月も使えるし仮装敵としてぴったりと思うんです」

 

「けど、彼のポジションは射手(シューター)でしょ。村上先輩の代役はちょっと務まらないんじゃない?」

 

 

 いくら修が強いと言っても、攻撃手(アタッカー)ランク上位の村上の代役は務まらないだろう。

 

 

「じゃあ、那須先輩に相談しましょう!」

 

「そうね。……そう言う事だから、三雲君。少しばかり付き合ってくれない?」

 

「はぁ」

 

 

 気が付いたら、彼女の訓練を手伝う流れになってしまった。本当ならば、ランク戦室に行って手ごろな相手と戦いたい所であったが、先輩のお願いを卑下にする事も出来ず、流されるままに修は那須隊の隊室に向かう事になったのだった。

 

 

 

 ***

 

 

 

 那須隊に入るなり、事件は起こった。

 

 

「……あの。やはり、僕は退室した方が良いのでは?」

 

「ごめんごめん。小夜子がいるのを忘れていたよ」

 

 

 うっかりしていた、と豪快に笑う熊谷であるが、初対面の女性に叫び声をあげられて小鹿みたいにプルプル震えて那須の背中に隠れられた修からしてみれば、非常に居心地が悪い事この上ない。

 

 

「もう、くまちゃん。いきなり三雲君を連れてくるからびっくりしたわよ。ごめんね、三雲君。小夜ちゃん、男の人がちょっと苦手で」

 

「そ、そうなんですか。なら、やっぱり退室した方が良いのでは?」

 

 

 そんな話しを聞いては尚の事、自分がこの場にいてはいけないと思えて仕方がない。早々に退室する宗を伝えて、退散しようとするのだが……。

 

 

「大丈夫よ。良い機会だから、少しは慣れておかないと。小夜ちゃんも、それじゃ三雲君に失礼でしょ」

 

「し、しかし……」

 

 

 失礼と分かっていても、男の人は苦手なものは苦手だ。幾ら隊長の言葉でも、そればかりは容易に了承出来ない。

 

 

「しょうがないわね。ごめんね、三雲君。那須隊の隊長、那須玲よ。あなたとは一度話して見たかったから、こうして会えたのは嬉しいわ」

 

「この子、最近はしょっちゅう三雲君の対戦ログを見ているのよ」

 

「ちょっ。くまちゃん」

 

「だって本当の事じゃない。あそこまで、他の人の対戦ログを視るのは初めてじゃない?」

 

「それはそうだけど……」

 

 

 那須が初めて修の対戦ログを見始めたのは、木虎・緑川戦の時であった。数少ない変化弾(バイパー)の使い手に色々と思う所があったのだろう。気がつけば、過去の修の対戦ログを視る習慣がついていた。

 

 

「にに、二宮さんと出水先輩の対戦ろ、ログはわわ、私もみました」

 

 

 那須の後ろからひょっこり顔を出して、声を震わせて志岐も会話に参加する。

 

 

「私も見たよ、それ! あと、太刀川さんや加古さん、迅さんと戦ったログも見たなー。あんなにA級隊員と戦えるなんて、三雲君は本当にすごいねー。狙撃も出来て、攻撃手(アタッカー)も出来るなんて、本当に尊敬しちゃうな」

 

 

 キラキラと瞳を輝かせる日浦に修はなんて返答して言いか迷ってしまう。自分自身、そこまで尊敬されるような人間ではない。歳の近い日浦にそんな風に褒められても、困ってしまうのが正直なところだ。

 

 

「ごめんね、三雲君。急に呼び出して、騒がしくしちゃって」

 

「いえ、大丈夫ですよ」

 

「ところでくまちゃん。なんで、三雲君を呼んだの?」

 

 

 今日は前々から、対村上を考慮した連携の訓練する日と決めていたはず。それなのに、どうして修を連れて来たのか、当然の疑問を口にすると……。

 

 

「茜の提案でね。彼に相手をしてもらうのはどうかなって」

 

「三雲君に?」

 

「そう。連携だって、相手がいた方が分かる事も多いでしょ。彼なら、オールレンジ対応が可能だから、相手として打って付けだと思ったのよ」

 

「けど、三雲君に悪いんじゃないかな?」

 

 

 前々から話しをしていたならともかく、いきなりそんな事をお願いしても迷惑するはずだ。視線を三雲に向けると彼は「ぼ、僕で良ければ」と了解の意を示してくれた。

 

 

「ちょうど、僕もランク戦の相手を探していたので、力不足かも知れませんがお手伝いしますよ」

 

「そう? それなら……。お願いしようかな」

 

 

 こうして、対那須隊VS三雲修の戦いが始まる事になった。

 

 

「(こんな事になるなら、空閑にも来てもらうんだった)」

 

 

 と、少しばかり後悔している修であったりする。




難産でした。その割にはめっちゃ文字数が少ない(苦笑

こ、これからだ。これから那須隊戦の本領発揮だ。
何を言っているか自分でもわからないが、那須タイムはーじまーるよ!

続きが欲しいなら、万雷の絶叫を寄越すことだ(オイ


……酔っているのか、テンションがおかしいのはスルーしてください。

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