……そもそも、考えて書いていないから当然なんでしょうが(苦笑
「
その言葉に若村麓郎は久しぶりにキレた。
「お前なっ! ちょっと躓く度にコロコロと変えやがってっ! お前にはプライドはないのかよ」
その発言に香取の機嫌が急降下する。
「アタシより
「あんだとっ!?」
「マスタークラスになった事がない人間には分からないから、教えてあげるわ。世の中には上級者の壁と言うものがあるのよ。……まぁ、アンタには分からないでしょうけどね」
ちなみに香取は
それだけ香取に才能がある事は若村も重々承知している。だからこそ、そんな風に言い捨てられる事が許せなかった。
「あぁ、そうだよ! お前が半年でなったマスタークラスを犬飼先輩に射撃を習って2年かけて磨いても届かないのがオレの実力だ!」
強くなりたくて、日々努力を重ねてコツコツと腕を磨いてきた。
――だが。
「――けど、おまえは違うだろうがっ!!」
何度も言うが香取葉子は才能がある。
「訓練もせずにそんだけやれるくせに、何でもっと本気でやらねーんだ」
もっと真面目に訓練し、腕を磨けば必ず彼女は上級者の壁を突き抜けられると信じている。それが分かっているだけに、今の様に途中で投げ出そうとする彼女の態度が非常に気に食わなかった。
「全力を出さねえ言い訳ばっかいいやがって。本気で上級者の壁と言う奴にぶちあってから言いやがれ、このヘタレっ!!」
思いの丈をぶちまけた若村は大きく息を吐く。久方振りにキレた自分に少しばかり反省をし――。
「――ばっか見たい。なに熱くなってるのよ。アホらしい」
――隊室から消え去る香取を見て目を丸くさせてしまった。
***
事情を話した若村は自身のトリガーを取り出し、トリオン体へ換装する。
「……なるほど。けど、何で僕に白羽の矢が立ったんですか?」
記憶が正しければ香取葉子と面識はない。同時に目の前で相対している若村麓郎も同様だ。彼にここまで懇願される理由が修には思いつかなかったのである。
「実は、キミの戦いを何度か見させてもらった」
「僕のですか?」
「あぁ。……キミはどんな敵でも全力で戦い、困難な状況でも勝利を掴もうと全力で戦っていた。その結果、信じられない実力を発揮したのも知っている。正直、羨ましい限りだ」
若村が修の戦いを初めて見たのは
そんな修の戦いぶりを見て「どうせ負けるだろう」と高を括った自分が恥ずかしくなってしまった。同時に修の様にあがいてあがいて足掻きつづけようと思わされるようになったのだ。
「だからこそ、アイツに知って欲しいんだ。本気で足掻けば、キミみたいに上を目指せるってなっ!!」
数分後。
「……やっぱ、強いね。三雲君」
腹部に深々と突き刺さったレイガストを見やり、若村は満足気な表情を浮かばして口にする。
「まだまだです。それに僕は――」
「――
「知っていたんですか?」
「もっぱらの噂になっているからね」
「……だったら」
「アイツはなんか言うかも知れないが、そんな事は関係ないさ。その力を自在に扱えるようになったのだって、キミが努力したからだ。……もう一度言う。アイツをこてんぱんに伸してくれ」
「分かりました、若村先輩」
「麓郎でいいさ。同じメガネの同士だろ」
「……はいっ!」
ここに三雲若村のメガネ同盟が成り立ったとかないとか。
「――そのメガネ同盟ちょっっっとまったぁぁあああっ!!」
トレーニングルームに響き渡る宇佐美の声。メガネと聞いて彼女が黙っているはずがない。
「……って、なんだよ。そのメガネ同盟って」
「メガネ同盟はメガネ同盟よ、ろっくん。メガネとメガネが交友を結ぶ。これをメガネ同盟と言わずになんと言う! いいえ、いわないわっ!! 反語」
「……宇佐美ってこんな奴だっけか、三雲君」
修は苦笑いするしかなかった。
***
若村麓郎の香取葉子、意識改革作戦に力を貸す事になった修は頭を抱えていた。本当なら善は急げ。思い立ったら吉日。早速香取隊がいる本部へ足を運んで作戦の実行に移そうとしたのであったが……。
「だからっ!! スパイダーを入れるなら、
「いいえ。ここはグラスホッパーを変えるべきでしょう。修の弾丸トリガーは言わば奇襲に必須なトリガー。なら、ここはオプショントリガーのグラスホッパーを変える方が賢明だと思います」
「修ならどうにかやるでしょっ! 長期戦も考えるなら、消費量が高い弾丸トリガーを少し減らすべきよ。むしろ、レイガストやスラスターも変えてスコーピオンにするべきだわ」
「それじゃあ、防御能力がなくなってしまうじゃないですか。今の修では出水先輩や二宮さんのフルアタックを完全に回避する事は不可能です」
テーブルを挟んで鳥丸と小南の言い争いに周りの連中、特に若村の口がぽかんと開く。
「(なぁ、三雲君。これは?)」
「(えっと、なんて言いますか……。お二人とも僕のトリガーについて考えてくれていると言うか)」
修がトリガーの構成を変える度に烏丸と小南は今の様に衝突していた。二人とも自分の事を考えて真剣になってくれるのは嬉しい事であるが、自身の意見を無視して口論するのはそろそろ止めにして欲しいと心底思う。
「……ほぉ。オサムのスコーピオンか。それはそれで面白そうですな」
「バカ、く――」
「でしょっ!? 流石は遊真。私の弟子な事だけあるわ」
ポツリと漏らした遊真を止めようとしたが時既に遅し。弟子の賛同の言葉に反応した小南は遊真を自身の横へ引き寄せ、勝ち誇った表情で烏丸を見やる。
この瞬間、遊真は二人のいざこざに巻き込まれる事が決定されてしまう。
「けど、修くんの持ち味を考えるとやっぱり変更するべきなのはグラスホッパーなのでは?」
「修の幼馴染である千佳が言うなら間違いないだろうな」
まさかの千佳も巻き込まれてしまう。幼馴染と親友を互いに得た烏丸と小南の間に火花が散るエフェクトが幻視されたのは気のせいではないだろう。
こうなってしまうと、頼れるのは落ち着いた筋肉こと木崎レイジしか止める事が出来ない。彼に助けを求めようと視線を送ると……。
「すまん、そろそろ防衛任務だ。冷蔵庫に残りのカレーがあったから、温めて食えよ」
まさかの
第N回、修のトリガーを勝手に決めよう会は数時間に渡る大会議と発展したのは言う間でもなかった。
この二人はいつからこんなはっちゃけキャラになってしまったんだ?
……さて、次からおしおきタイム(え?)ですかね。
香取戦はどうしましょうかね。直球ストレートか変化球を織り交ぜるか……。
同時に大規模侵攻も考えませんといけませんね。
あれこそ、完全に変化球になってしまう気がするなぁ……。
原作の流れに補強を入れるのと、完全に原作を無視するの。
どちらがお好みですかねぇ。