スガ   作:にく丸

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「京、学校行くよ」

「キョータロ、一緒に学校いこ!!」

「京ちゃん、早くしないと遅刻するよ!」

 

須賀家の朝は騒がしい。

京太郎が優雅に朝食をとっている食卓に、「いつものように」乗り込んで来る幼馴染たち。

 

特に玄関のチャイムを鳴らす訳でもなく、まるで住んでいるかの様な立ち振る舞い。

京太郎本人は、そんな幼馴染たちを気にすることなく、「まぁ、待て。あと5分は大丈夫」と、慣れたいなし方で朝食をとり続ける。

 

須賀京太郎。16歳。

東京生まれの東京育ち。

両親が海外に赴任している為、現在は一人暮らし。

 

白糸台高校の1年生で、帰宅部所属。

中学時代は、ハンドボールに青春を捧げていたが、3年の夏大会決勝戦で足を怪我して以来、スポーツからは一線を退いている。

 

ハンドボールを辞めてしまった理由は、怪我自体が重症だったからではない。

「リハビリを行えば再び選手として活躍出来る」と医者から言われていたが、本人としては「中学3年間でハンドボールはやり切った!もう悔いはない!」とのことで、それ以来である。

 

京太郎には、仲の良い幼馴染が3人いる。宮永姉妹と大星淡の3人だ。

宮永姉妹は「おっとりポンコツ姉妹」、淡は「陽気なお馬鹿さん」として、京太郎の中では位置づけられている。

 

「おっとりポンコツ姉妹」の姉は照。

白糸台高校の3年生で麻雀のインターハイチャンピオン。

 

自称「しっかり者のお姉さん」

 

しかし、お菓子を持ちながらトテトテ歩く姿は、とても女子校生No1のチャンピオンには見えない。

 

「ポンコツ照ちゃんがチャンピオンなんて、人は見かけには寄らないよな」

 

と、京太郎が言えば、照が「私はポンコツじゃなくてしっかり者。京が気付いていないだけ」と言って、ポカポカ叩いてくる。

 

そんな姿は、端から見ていると微笑ましい光景である。

 

「おっとりポンコツ姉妹」の妹は咲。

京太郎と同じく白糸台高校の1年生で、帰宅部。

 

自称「文学少女」。

 

本人は文学部に入りたかったらしいのだが、白糸台高校には文学部が無く断念。

 

「文学部が無ければ、自分で作ればいいじゃん」

「ぶ、部活を作るなんて、そんな大それたこと出来ないよ。・・・京ちゃんが作ってよ」

「無理、帰宅部で忙しいし」

「帰宅なら皆するよ!?う~、京ちゃんのばかぁ」

 

学校の教室で繰り広げられるそんな取り留めのない会話は、クラスメートにとって微笑ましい光景であった。

 

「須賀ぁ、あんまり嫁さんをいじめるなよ」

「わ、私が京ちゃんのお嫁さんなんて・・・」

 

と、真っ赤になる咲を見るまでが、お決まりである。

そして、そんなタイミングでいつも現れる幼馴染の大星淡。

 

自称「白糸台高校の100年生」。

 

「キョータロのお嫁さんは私だから!!サキは唯のお隣さんだもんね」

「淡ちゃん、そんなに勢いよく抱き付いたら、京ちゃんが大変だよ」

「ふふ~ん、キョータロはいつだって、私を受け止めてくれるから大丈夫だよ、サキ」

 

無茶な発言をしている「陽気なお馬鹿さん」である淡は、京太郎とお揃いの金髪。

端から見ると、お嫁さんというか兄妹にしか見えない。

 

そんな淡は、麻雀部の期待の新鋭らしい。

 

「毎回、勢いよく抱き付いてくるな。受け止める方の立場にもなれ、淡」

「キョータロだって、私に抱き付かれて嬉しいでしょ?でしょ?」

「はいはい、嬉しい嬉しい。高校100年生は、早く部活に行ってこい」

「あ~、キョータロは、また私を馬鹿にしてる!!キョータロは、私の凄さを分かっていないんだよ!私の凄さは高校100年生級なんだよ!!」

「わかったわかった。早く部活に行ってこい」

 

完全に子ども扱いされている淡との会話は、クラスメートにとって馴染みの光景であった。

 

宮永家、須賀家、大星家はお隣さん同士。3人は幼少期からずっと一緒。

寝るのも一緒、お風呂も一緒、勉強も一緒。

 

流石に高校生となった今では、お風呂は一緒に入っていないが、女性組3人は京太郎からの申し出があれば、いつでも一緒に入る準備は出来ているようだ。

 

そんな幼馴染4人は、「お互いに知らないことはない!」と言い切れるぐらい仲が良い。

日常の馬鹿みたいな会話が、幼馴染らしさであり、お互いの親密さを表している。

 

そんな彼らの共通の趣味は麻雀。

 

平成○×年、日本では今、麻雀が空前絶後のブームが起きている。

特に女子麻雀は人気があり、下手なアイドルよりも人気がある。

 

そんな麻雀界の次世代の筆頭を担っているのが、「おっとりポンコツ姉妹」の姉。

普段はポンコツでも、麻雀を打っている時は別人である。

 

「京だって、真面目にやれば私より強いのにどうして麻雀部に入らないの?」

「照ちゃんは、俺が部活で真面目に麻雀を打っている姿が想像できる?」

「・・・出来ない。京は自由奔放に打っているイメージしかない」

「そう、それだよ。部活に入ったら、自由に麻雀を打てなくなるじゃん?それが理由だよ」

 

京太郎自身、麻雀は得意だ。幼少期のドラ○もんのドンジャラから始まり、小学校に入ってからは、家族麻雀・幼馴染麻雀で経験を積んできた。

 

麻雀をモチーフにした作品も人気があり、京太郎は、「麻雀放浪記」や「赤木」、「御無礼麻雀」などディープな作品にもハマった。

そんな京太郎、ハマったからには当然真似る。実践では使っていないが、燕返しのようなイカサマだったり、運の流れを分析したり、牌効率を読んだりと色々学んだ。

 

ハマったついでに、凍牌にハマっていた時期は「俺の事はKと呼んでくれ」まで、言っていた黒歴史がある。

今でも淡を「100年生」と馬鹿にし過ぎて、「氷のKは、私を馬鹿にし過ぎだよ!!氷のKは!!」と黒歴史を掘り返されて、たまに悶えている。

 

そんな京太郎の最近の趣味は「ぶらり麻雀の旅」。

色々な場所に赴いて、色々な人と対戦する。

 

十人十色。

強い人が相手でも、弱い人が相手でも色々な打ち方がある。

それを学ぶのが、京太郎の今の趣味だ。

 

部活に所属していると、対戦相手に制限が出る。

だからこその帰宅部である。

 

「さて、今日は何処に行こうか」と考える京太郎。

 

「キョータロ、今日は麻雀部にいこ。菫が相談したいことがあると言っていたよ」

「菫さんが?分かったよ。後で麻雀部に顔を出すよ」

「あとじゃなくて、一緒にいこ!さあさあ」

 

淡の勢いに押されて、今日の行き先は白糸台高校麻雀部に決定。

淡に腕を引かれながら、今日の麻雀はどうなるか、楽しみな京太郎であった。

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