自分の行く末
青春を注いだ高校野球人生の幕は閉じた。しかし、すぐに第二の野球人生が始まろうとしていた。2週間後にプロ野球を目指すものが誰もが通る道、ドラフト会議が開催される。舞台のスタートは、僕の母校となる横浜翔星高校だ。
(キーン・コーン・カーン・コーン)
担任「よし、今日はこれまで」
学級委員「気を付け、礼」
みんなが帰りのホームルームが終わりみんな下校や部活に向かう中、僕は先生に呼び止められた。
担任「ああ、和也」
和也「はい?」
担任「上坂先生が面談室に来るように言っていたから遅れるなよ」
和也「はい」
僕の名前は新堂和也。横浜翔星の野球部3年だ。僕は野球道具と教科書の入ったバックを肩に背負い面接室に入った。
和也「上坂先生、新堂です」
上坂「おお、入れ」
和也「先生、今日は練習のはずですが」
上坂「ああ、だが、お前にお客さんが来てる。進路の上でも重要なことだ」
和也「進路に?」
上坂「まあ、奥へ」
上坂先生は、高校の教員であると同時に野球部の監督でもある。僕は、先生の後について奥の応接室に向かった。
上坂「すいません。お待たせしました」
そこには白いワイシャツで体は比較的がっちりとした体系の男がスーツの上を片手に待っていた。
男「新堂和也くんですか?」
新堂「はい・・・そうですけど」
男「あ、申し訳ありません。私こういう者です」
男はさっと名刺を僕に差し出した。僕は、口に出さず心の中で名刺を読んだ。
和也(東京読売巨人軍・編成部・関東地区担当スカウト 高渕茂)
和也「読売巨人軍って・・・あの?」
高渕「はい、あの読売ジャイアンツです。今日は、新堂くんに直にお伝えしたいことがありお伺いした次第です」
言いたいことは、概ね想像がついた。
高渕「単刀直入に申します。我が読売巨人軍は現時点で新堂和也君を今年のドラフトで1位指名する方針を固めました」
上坂「新堂を1位指名ですか?」
高渕「はい、彼のスラッガーとしての素質をぜひ我が巨人軍で発揮していただけないかと」
確かに高校野球において結果は出してきたつもりだ。積み上げてきた高校通算ホームランはトータル83本を数えた。チームとしても一年生で春の甲子園・ベスト16、夏の甲子園・ベスト8、二年生の春の甲子園でベスト4、夏の甲子園で優勝、三年生では主将を務めたが春夏ともに甲子園出場を逃した。
高渕「新堂君、君はまだプロ志願届を出していないみたいだが?」
和也「そこまで高い評価をいただいてるとは思わなかったので」
高渕「高校通算83ホーマーを見逃すはずがないでしょ」
和也「それはそうですけど」
上坂「素直に喜べよ新堂」
和也「結局、立星大付属の黒刃に叶わなかったから」
高渕「確かにドラフトは彼の話題で持ち切りなのは確かだ。でもね新堂君、甲子園連覇をした人が選手として1番ではないんだよ」
和也「そう言っていただけるのは嬉しいです」
しかし、内心喜べない自分がいた。春は準決勝、夏は決勝で共に黒刃の前に抑えられた。黒刃はMAX152㎞の直球と高速スライダーを武器とする本格派左腕として名をはせた。僕は彼と8打席対戦して無安打、5三振を喫した。
和也「高渕さん、この話は志願届提出期限の後明後日まで待っていただけますか?」
高渕「もちろんだよ。いい返事を期待しているよ」
第一弾は将来の大砲候補を主人公にしてみました。迫る運命の日、果たして和也の決断は、そして今後登場するライバルや世代別プレイヤーにも注目。