ドラフト指名を終え、僕はマスコミ人に取材攻めとなり2時間近く拘束された。
和也「はあ、疲れた」
上坂「おい、まだ終わりじゃねえぞ」
和也「まだなんかあるんですか?」
監督に連れられて校舎の表に出ると野球部の後輩たちが待ち構えていた。その先頭に新堂からキャプテンを引き継いだ後輩の大東翔太が声を上げる。
大東「先輩、巨人入りおめでとうございます」
和也「ありがとう。次はお前たちの時代だぞ大東」
そしてもう一人入れ替わりで前に出てくる男がいる。二年生ながら新堂たちと甲子園を目指しエースとして君臨した男・榎本大輔が握手を交わす」
榎本「僕も必ず甲子園に行って、先輩と同じステージに立ってみせます」
和也「ああ、待ってるぜ」
大東「よし、みんな胴上げだ」
部員全員が僕を胴上げしてくれた。僕は四度宙に舞った。その時、見覚えある男の姿が目に入った。永遠のライバル黒刃健一の姿が・・・
和也「わざわざ何しに来た?」
黒刃「浮かれてる奴のバカ面を拝みに来てやった」
和也「相変わらず嫌味しか言わねえな」
すると、二人の横からパシャパシャとフラッシュ音が聞こえてくる。僕たちは、同時に同じ方を向く。
女性「おっと、そのままそのまま・・・永遠のライバル校庭で火花を散らす・・・かな?」
黒刃「何やってのアンタ? 許可なく撮影しないでくんない」
女性「申し遅れました。私こういうものです」
彼女は、二人に名刺を手渡した。名刺には超有名野球雑誌「ベースボール・ウィークリー」の名前があった」
和也「プロ野球雑誌の記者さん?」
女性「はい、私の名前は秋元奈帆といいます。今回はヤングホープという企画の取材で来ました。でも、まさかここで二人のツーショットが撮れるとはね」
その記者は、わざとらしく笑顔で答えた。そんな彼女の態度に黒刃がムッとする。
黒刃「まあいい、新堂。この後19時に焼肉兆蘭に来い。俺は、それをただ伝えに来ただけだ」
和也「いきなりなんだよ」
黒刃「知るか。俺もさっき人伝で聞いたことだ」
そういうと黒刃は去っていった。
秋元「相変わらずツンツンして可愛げがないわね。さすがお山の大将投手」
和也「あなた結構はっきりと悪口言いますね」
秋元「あら? 下手のこと書かれたりするよりは正面からぶつかる方が若い子は好きじゃないの無冠の大砲君?」
和也「無冠の大砲?」
秋元「君、あの投手に二度敗戦したんでしょ。プロに入ったら見返したいとは思わないのかしら?」
和也「それ、喧嘩売ってます?」
秋元「冗談よ。でも、期待してるのよ私はあのツンツン小僧より君の方をね」
和也「俺に?」
秋元「私もかれこれ記者としてはもう5年目になるの。だから目を見ればその人雰囲気や持ってるものが見えてくるのよ」
和也「記者が贔屓なんかしていいんですか?」
秋元「私の目は確かよ。まあ、頑張りなさいゴールデンルーキー君」
そういうと秋元は去っていた。その後、僕は予定通りの焼肉屋に行った。すると・・・
「よう、新堂久しぶりだな」
和也「これは驚きました。大倉川くんに真渕くん、それに筒井くんに京川君まで久しぶりだね」
そこに集まったのは新堂と共にU-18日本代表として共に戦った関東近辺の高校の選手たちだった。もちろんそこに黒刃の姿もあった。
大倉川「よし、新堂もそろったことだし乾杯しようか」
和也「乾杯」
京川「大倉川君が新堂と真渕と黒刃のプロ入り激励会をやろうって言いだして」
和也「へえ、そうだったんだ」
筒井「本当は、全日本メンツで集まろうと思ったけど兵庫の神村や大分の森北とかは、さすがに遠いから東のメンツと西のメンツで激励会やることにしたんだよ」
黒刃「こんな慣れ合いのために呼び出すんじゃねえよ」
京川「相変わらず黒刃は可愛げないね」
真渕「まあ、そういうなよ」
大東「じゃあ、始めるぞ。それでは真渕、新堂、黒刃プロ入りおめでとう乾杯」
みんな「乾杯」
その日は、焼き肉の食べ放題を鱈腹食べた。そして、久しぶりの面々に今後のあり方を僕は聞いた。
和也「真渕は西武に一位指名、黒刃は福岡に一位指名と進路は決まったけど、ほかの三人は?」
大倉川「おれは、同志社大学に進学することにしたよ。つまりしばらく地元の千葉からお別れだ」
京川「僕は、亜細亜大学に推薦がもう決まってる。野球もしっかり続けてプロを目指すつもり」
筒井「俺は、まだや。だが、大学には行かずに野球をやるなら社会人で働きながらやろうと思ってるよ。まだ内定は出てないけど」
黒刃「オファーはあるのか?」
筒井「三社ほどね」
京川「三人は、どんな選手を目指すんだい?」
黒刃「全日本最強の投手になるそれだけだ」
大倉川「相変わらず可愛げないなあお前」
黒刃「ほっとけ」
真渕「俺は、将来は大リーガーR・ウィリアムスみたいにトリプルスリーが出来る選手になりたい」
京川「大きな夢だね真渕。二遊間コンビとして応援してるよ」
筒井「新堂は?」
和也「俺は、ファンから憧れるホームランアーチストになりたいのと巨人軍の4番を打つことかな」
京川「意外とシンプルな答えだね。新堂くんなら簡単にできそうだけどね」
和也「そんな買いかぶりすぎだよ。僕は、まだ一つの高い壁を超えて二からね」
プロに進む者、はたまたそうでない者の想い。そして入寮前に彼らがメンバー同士に語る決意は?