ドラゴンクエストⅤ~使用人は最強メイド~   作:シーザス

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2:サンタローズ1

ビスタの港から出発をしたパパス一行は、サンタローズを目指して出発した。

その速度はゆっくりなもので、夕刻時にはつけるといった速度だった。

あまり魔物に出会いたくないというパパスの意見と、娘達に戦わせるのは嫌というシャノラの親バカにより、この速度で行くことが決定したのだ。

 

「とはいえ、いくらゆっくり進んだところで出てくるものは出てくるよなぁ。」

「幸い、スライムやくびながイタチ、プリズニャンといったモンスターしか出てきていない。これならリュカ達でも大丈夫だろう。」

「……まあ、リュカはともかく、アリシアはまず遅れは取らないだろうな。」

 

ちらりと振り向いたパパスとシャノラはメイド服のアリシアを見た。

リュカの前に立ちながら、くびながイタチにとどめを刺している姿が見える。

倒れているくびながイタチに体には無数の鋭い氷の棘が突き刺さっている。

 

「うふふ……、リュカの肌に傷をつけようだなんて、私の目が黒い内はぜっっったいにあり得ないこと何ですからね?うふふ……だからさっさと、無駄だとわかったら立ち去ってくださいな。」

「あ、アリシア!その位にして先に進もう?お父さん達も、待っててくれてるんだし……。」

「うーん、……まあ、リュカがそう言うならそうしましょう。」

 

両手に持つ初級氷結呪文を応用して作り上げたナイフを割り、辺り一面に結晶を散布させる。

産まれつき膨大な魔力を有しているアリシアは、物心ついたときには一般的に上級呪文と呼ばれる魔法を使用できていたし、様々なサポート系の呪文も多く使いこなすこともできる。

 

「すみませんでしたパパスさん。私の『お遊び』に付き合わせてしまい、申し訳ありません。」

「別にかまわんさ。そろそろ、アルカパの町を過ぎる頃だ。二人は覚えているかな?あの町にはダンカンという父さん達の知り合いがいてな。二人の幼馴染みに、ビアンカという少年も居たのだが、もうずいぶん前だ。覚えていなくてもしかたあるまいな。」

「いいえ、私は覚えていますよ、ビアンカさん……。あの小僧、リュカのことをジロジロ見やがりやがるんですよ?リュカのことをじっくり、そしてなで回していいのは私だけなんですよ!?」

 

アリシアはリュカより少しだけ高い身長を利用して、リュカの後ろに立ち、リュカの髪の毛に頭を埋める。

え?船の上ではまだ大人しかっただろうって?知りませんよ、そんなものはぁ(ゲス顔)

 

「わっはっはっは!そうかそうか。アリシア、何かあったらリュカのこと、よろしく頼むぞ。」

「―――はい、お任せください!」

 

パパスの発言に少し面食らった表情のアリシアだったが、直ぐにいつもの笑顔に戻り、精一杯の声で返事をする。

さあ、サンタローズの村までもう少しだ。

 

 

 

 

夕刻時、サンタローズの村に着いたパパス達に、サンタローズの村の門番が気がつく。

 

「ああ!パパスさんじゃないか!?二年も村から離れて何をしてたんだい?……そうだ、みんなにパパスさんたちが帰ってきたことを知らせなくちゃ!」

 

門番はパパスの顔を見るやいなや、村中の家々にパパスが帰ってきたことを伝えるべく走り去っていった。

門番が居なくなった後、

 

「何も変わってないな、この村も」

「そうだな、さあ向かうとしよう」

 

パパスの家に向かう道のりにある宿屋の店主に、武器屋の店主。あげくには協会のシスターに至るまで、様々な人物がパパスを出迎える。

そして、パパスの家の前に立つ小太りの男……。

 

「旦那様、お帰りなさいませ!このサンチョ、旦那様のお帰りをどれほどお待ちしていたことか……。ささっ、中へお入りください」

 

男の名はサンチョ。パパスの召使いであり、リュカとアリシアをかわいがっている人物の一人である。

 

「うん、やはり我が家は落ち着くなあ。そうだろう、リュカ」

「はい。船ではやっぱり、あまり落ち着けませんでしたから」

「俺は船で酔っちまったからなぁ…。いやはや、鍛錬が足りねぇな」

「わっはっはっは!そんなこともあったかな?」

 

そんなパパス達のもとに、階段をおりてくる足音。

 

「おじさん、おかえり!」

「ん?きみは……もしかすると?」

「(げぇ、ビアンカ!?)……なんでこんな所に?」

「ふう、あたしの息子だよパパス!」

 

おりてきた金髪の少年にアリシアがあからさまに嫌な顔をする。

そして再び階段をおりてくる足音に顔を向けると、一人の女性が階段をおりてくるのが見えた。

 

「おお!ダンカンの女将さんか!ということは、この子がビアンカかい?」

「そうですよ、おじさん。へへ……、やっぱりおじさんはたくましいや。家は父さんが「あれ」だからなぁ……」

「ビアンカくん。ダンカンをあまり、悪く言ってはいけないよ?そういえば、二人はなぜココに?」

 

二人がここにいるのが気になったパパスは聞いたそれに答えたのはサンチョだった。

 

「ご主人の薬を取りに、サンタローズまできたそうですよ。この村の薬剤師の親方、いい腕をしてますからねぇ」

「ああ、そういうことだったのか」

 

大人組が話をしていると、ビアンカがリュカに話しかけている。

 

「なあリュカ、大人の話って長くなるし……上に行かないか?もちろんアリシアもさ」

「いきますっ!」

「リュカを守るためですから……」

 

ビアンカとリュカは嬉しそうに、アリシアは少々ため息をつきながら上階への階段を上った。


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