仮面ライダーレーザー外伝 ~天地を駆る王者達~   作:たんぺい

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三速 ギ・リ!ギ・リ!二人の関係!?

3速…貴利矢がこう叫びながら、新たに差したギリギリチャンバラガシャットと共に爆走バイクのガシャットを合わせて、ゲーマードライバーのレバーを操作する事で改めてレーザーのレベルアップを謀る。

レベル1だったレーザーがレベル2を更に振り切る強さへと進化する『レベル3』の境地へと進化する為にだ。

 

レベルアップ!と言う音声が響き、ゲーマードライバーはこう叫ぶ。

爆走!激走!独走!暴走!爆走バイク!と言うレベル2を唱う声に間髪入れず、更にアガッチャ!と言う音声と共に和風なBGMが鳴りながらこう告げるのである。

 

ギリ!ギリ!ギリギリチャンバラァァ!!!

 

そう言って、貴利矢のドライバーが鳴り終わり、レーザーのレベル2であるバイク体が空に浮かんだかと思いきや…すると、いきなりどうだろう。

虚空にいきなりギリギリチャンバラガシャットの化身である武神を模した様なロボットが一体召喚されて、ジュウオウバードに向けて牽制の攻撃をロボットが数発放つ。

巻き込まれたジュウオウバードが、ぐわぁ、と小さく叫び吹き飛ばされるのを貴利矢は見つつ…レベル3への変身、否、合体に着手するのである。

 

さて、ここでいきなり話は飛ぶが、ここまでスルーしていた貴利矢の爆走バイクに並ぶ『ギリギリチャンバラ』とはどういうゲームなのか、と言う事を軽く解説すると。

真剣勝負の武士達による斬り合いをモチーフにした、一撃貰ったらゲームオーバーの危険も見える、命がけな文字通りのチャンバラゲームである。

その力を宿したレーザーは…今までのバイクやらゆるキャラとはまるで異なる、人型の姿へと姿を変化させるのである。

 

身体からバイクの車輪が吹き飛んでバラバラになっていたかと思いきや、チャンバラガシャットの化身のロボットが綺麗に分解されて、鎧の具足をモチーフにしたであろう手足を形成するパーツがバイクの身体にくっついて、レーザーの四肢を為す。

そして、兜を模したロボットの頭部が改めてレーザーの頭へなることで、ここにレーザーのレベル3の変身シークエンスが完成するのである。

 

これぞ、仮面ライダーレーザー・チャンバラバイクゲーマーレベル3の姿であった。

 

 

「お前は…何だ?地球の生き物…か?」

 

こんな物理法則を無視した変化に対して、ジュウオウバードは至極真っ当な突っ込みを入れる。

…まあ、ジュウオウバードはアザルド何て言う、レーザーに負けず劣らずの物理法則を無視したバラバラ野郎を一度見ているからこその、真面目な感想だったのであるが。

 

しかし、言われた貴利矢はと言うと、天然気味とも言える彼の突っ込みのせいで梯子外しを食らって、折角かっこよくレベル3への進化をしたのにずっこけていたりしたが…まあ、それは兎も角も。

 

「…幻夢の社長さんか何かに聞きやがれ!自分は正真正銘、健康優良日本男児の監察医だっての!」

 

そう言って、レーザーは虚空からガシャコンスパロー…レーザー自身の体色に合わせたかの様に山吹色をした己の専用武器を取り出すなり、Aボタンをパンと一回叩いてス・パーンと言う音声と共に分離させ、二刀流の鎌モードでジュウオウバードへと殴りかかる。

対するジュウオウバードも、己のイーグライザーを構え直し、レーザーの攻撃に備えようと対峙するのである。

…そんな折だった。

 

 

「ウワァァァアア!?」

「トシキ!?トシキィィィ!?」

 

声変わりもまだであろう甲高い少年の悲鳴と、少年の母親なのだろうか、トシキと名前を連呼する女性の悲鳴が貴利矢とジュウオウバードの二人の耳に飛び込んでくる。

何事だ!?と、二人が声のする方向へと目を向けると、こんな光景が広がっている。

 

モータスバグスター変異体、あの金色に疾走する悪魔が…右腕に少年を俵か何かのように抱えあげながら、正気を失ったかの様に、やたらめったらな方角へと衝撃波を撒き散らしながら道路を縦横無尽に駆け回る。

その抱えられた少年は、暴走しまくっているモータスの腕から振り落とされない様に、必死で全身を使い捕まりながら…時速数百キロの悪魔の暴走に食らいついている。 

 

そして、もしも…モータスバグスターの腕からスピードに耐えきれずにトシキが離れてしまえば、起こりうる事は目に見えている。

超速の速さで地面に叩きつけられて…運が良くても少年の手足が複雑解放骨折、運が悪ければ、熟れたトマトか柿でも地面に叩きつけられたかの様に頭がザクロになって死んでしまうだろう。

 

そして、一方のその少年の母親が為すすべもなく子供の名前を連呼して…ソレでも現場に赴こうと必死の形相で手を伸ばそうとしているのを回りの大人達が必死に安全圏に逃がそうと抑えている、そんな地獄絵図だったのだ。

 

 

「…あんにゃろう、何でか知らねえが正気を失っている癖に、やることがまるで変わらねえじゃないか!」

 

貴利矢は思わず、モータスバグスターの狼藉を見て悪態をつく。

ニッシーと気安く貴利矢が呼ぶ仲の同僚、彼の妹の拉致事件を思い起こす様な、嫌な事件だ。

あの時は…グラファイト、炭素を名乗る龍のバグスターが拉致の主犯ではあったとは言え、根本的にはモータスバグスターが完全体のバグスターへ進化する為にやらかした事件でもあった。

 

そして…思えば、貴利矢が他のライダー達との関係性が拗れてしまったきっかけのバグスターでもある。

そんなバグスターが、また彼の目の前で同じような悪行を働いていると言うのだ。

根がわりとお人好しでもある貴利矢が怒りを覚えるのは当たり前であった。

…自分のガシャットから出た灰汁の様なバグスターだとしたら、尚更であろう。

 

しかし、貴利矢は自分の弱さも、一人で戦う難しさもよく知っている。

爆走バイクと言う、あまりにもピーキーなガシャットが相棒だった彼からしたら、誰かの力を借りる事の大切さと言うのもよくわかる話だった。

…まあ、彼の場合、その方法が初手で『協力』ではなくて『利用』と言う方向性だったのが彼のいけなかった部分なのだが、それはそうと、と言う話に戻そう。

 

貴利矢は、目の前のバグスターの凶行を止めるには、レベル3の力の自分でも足りてない事は自分で良くわかっていた。

ならば、借りるべき相手は…目の前の、『天空の王者』を自称する、いけすかないこの男しか居ない。

頭を下げるのは正直シャクではあったのだが、目の前でモータスバグスターに振り回されているトシキと言う少年を救うには、本当に時間が足りない。

そこで、貴利矢はジュウオウバードに言いたいことを全部飲み込んで…こう告げた。

 

「さっき、俺が言ったことは嘘じゃない…今日の自分には嘘はねえんだ。頼む、俺が仮面ライダーと信じられなくても良い!いや、何も自分が信じられないってんなら、ソレでも良い…!だが、俺はバグスターウイルスのせいで人が死ぬのは絶対に見たくない!今だけで良いんだ、ジュウオウバード!俺に力を貸してくれ、あのガキを助ける為に!!」

 

そう言って、貴利矢は頭を下げながら…己の脳裏には、ジュンゴの死体が鎮座されていた死体安置室の悲しい光景が広がっている。

ゲーム病…バグスターウイルスのキャリアだった事を遠慮なく告知してしまったせいで、死の恐怖から正気を失ってしまい、錯乱してしまったままに交通事故に巻き込まれて命を落とした親友の…妙に冷たくて綺麗な顔が、だ。

 

あのバグスターを放置したら、また、ジュンゴと同じようなバグスターウイルスによる二次被害の犠牲者が出てきてしまうだろう。

ニッシーの妹の時は永夢が助けてくれたからこそ、余裕を以て瀕死のモータスを解剖でもしようとあんな真似が出来たが…今はまるで余裕がない、己のガシャットよろしくギリギリの状況だったのである。

あのままならば、トシキと言う少年は、一分もしないままにモータスバグスター変異体に振り落とされてしまうだろう。

 

そんな状況で頭を下げる貴利矢に対して…ジュウオウバードと名乗った男は、一言だけ、こう貴利矢に返した。

 

「顔を上げてくれ…俺が悪かった、謝るのは俺の方だ。すまなかった、お前が仮面ライダーかどうかは今は聞かない…と言うか、わりと真面目にお前の身体が地球の生き物かどうかも今は聞かないが、きっと悪いやつじゃない事は解ったよ。あの少年を助けたいと言うなら、俺も協力することは、吝かじゃない」

 

そう言って、ぶっきらぼうに告げる彼に対して、貴利矢は、本当か!?と嬉しそうに返すが、ジュウオウバードと名乗った男は、貴利矢の言を制するかの様に、こう続けるのであった。

 

「…俺こそ、本当は王者と名乗るのもおこがましい、ただの罪人に過ぎない男だ。『バド』、それが俺の本当の名前だ。俺を呼ぶならば、そう呼んでくれ」

 

そう…ジュウオウバード、改め、バド。

彼の言に対して、貴利矢は、おう!と元気良く答えるのであった…

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