仮面ライダーレーザー外伝 ~天地を駆る王者達~   作:たんぺい

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四速 其々のSTAGE

さて、今まで『ジュウオウバード』と言う表記で語っていた、バドと言う男。

彼は…人間ではないと言う事を、ここで明かそう。

彼自身の本当の姿こそ、レーザーよりも常識はずれである。鷲のような顔を持った、鳥男なのだ。

 

彼は『ジューマン』、『ジューランド』と言う隠された異界の、人間とは異なる進化を遂げた動物達のその末裔である。

彼は、鳥の遺伝子を持つジューマンであり、かつては『王者の資格』…ジューランドを作る礎を築いた鯨のジューマンの英雄ケタスが作り上げた伝説のキューブ、ソレを守護する番人であったと言う。

 

だが、ジューランドに迷い混んだ少年との交流、そして悲しい結末に絶望した彼は…

二度とジューランドと人間が交わらぬように、彼自身が言うように、罪を背負ってでも人間とジューマンを守ろうと、王者の資格を盗んでしまった。

ジューランドの秘宝であるその王者の資格の一つは、少年時代の風切大和に渡した事でバドの目論見こそ達成したが…デスガリアンの襲撃によるゴタゴタからアム・レオ・タスク・セラの四人の王者の資格の番人達が人間の世界に迷い混んでしまい、そのゴタゴタの隙に、外れた王者の資格の一つをバドは改めて持ち去ることになるのだが、まあこれは長すぎる話になるのでそこは割愛するとしよう。

 

…と、そうした経緯があり、バドからしたらかつての少年を悲劇に巻き込んだ哀しみの象徴でもあり、彼自身こそ自覚はなかったものの、大和との絆の象徴でもある最後の王者の資格。

『ジュウオウバード』とは、その因縁深い王者の資格から『ジューマンパワー』と言うジューマンの野生の力を増幅した姿にこそ過ぎないのであった。 

 

 

「ところで、俺は自転車にも乗ったことが無いんだが、その、バイク…と言うのか?お前の第二形態らしき姿にいきなり乗っても大丈夫だったりするのか?」

 

…と、まあ、そんな真面目な理由がある訳で。

 

バドは王者の資格を最初に盗み出して以降10年以上も人間界に放逐されていたとは言え、その間は山奥で隠者の様に人目につかぬままに生きていた為か、仮面ライダーの知識どころか人間界の常識と言うか生活面の知識が足りてない部分も有る。

レーザーとの共闘を宣言するなり、貴利矢に向かいいきなりボケた言動をしたバドは、別に何一つふざけている訳ではなかったのである。

 

「…勘弁してくれよ兄さん…自分、乗れ無いどころかエンストしそうだぜ…!」

 

まあ、バドのこんな事情がわからない当の貴利矢はと言うと、レベル3の状態のままずっこけていたが。

 

 

それはそうと、貴利矢はギアを入れ直すと、バドに向かい何ができるのかと言う質問をする。

バド自身が言っている様に、免許も無い上にその手のマシンに乗った経験が無い彼にレベル2を乗り回せと言っても困るだけだろう。

恐らく、バドをレーザーレベル2に乗せて運転させたところで、転倒するかガードレールに激突するのが関の山だ。

ならば、共闘をする為の次善策として、貴利矢は彼が何ができるのかを把握してサポートしよう…と言うことだったのである。

 

そんなバドの答えはと言うと、こんな具合だった。

 

「…飛べる!!バグスター、だったな。アイツがごちゃごちゃ速いのは、平面だけの速さだ。俺が上をとってあの怪物の頭を抑えて…」

「…後は、急降下してあのガキを直接拾うなり、あの鞭みたいな剣でガキだけを巻き取ってバグスターの手から奪い去るって寸法か。良いぜ、乗った!!」

 

そして、バドの答えを最後まで聞かないままに、貴利矢はガシャコンスパローをズ・ドーンと言う音声と共に弓形態へと再合体させて、モータスバグスターが走り回る戦場へと走って向かう。

そんな貴利矢に、バドは一言だけ、小声でせっかちなヤツだなと悪態をつきながらも…腕を、羽を広げるように構えながらこう叫ぶ。

 

「野生、解放ゥ!!」

 

そう告げるバド…ジュウオウバードの両脇には、羽ばたくためのオレンジ色の羽根が生えてくる。

『天空の王者』の本来の姿にこそ相応しい、バドの野生の力を全開にした、ジュウオウバードの真の姿である。

その皮膜のような気高き翼を羽ばたかせ、ジュウオウバードはイーグライザーを片手に天高く飛翔する。

 

そんなバドの姿を尻目に、貴利矢はガシャコンスパローを疾走しながら構えて、バンバンと音を鳴らしながら矢を放っていく。

モータスバグスター、少年を人質に取りつつ縦横無尽に駆け回るあの忌まわしきバグスターが居る方向に、だ。

 

 

だがしかし、その貴利矢から放たれたガシャコンスパローの矢は…まるで、モータスバグスターに当たらない。

バシュッと良い音を鳴らしながら放たれた一条の矢は、高速で疾走するバグスターの横を通り過ぎ空を切るばかりである。

外した矢は、1発や2発どころではない。まるで見当違いな方向へと、ガシャコンスパローの矢は飛んでいく。

むしろ、貴利矢の矢こそバグスターに中らないようにわざと外しているのではないか、と言うぐらいであり…地上から見たら、まるで下手くそな新兵が矢を無駄射ちするようにしか見えない醜態にしか思えない有り様だった。

 

そして、安全な場所に逃げた人間から、或いは少年の母親からですら、貴利矢に向かいヤジが飛ぶ。

何処を狙ってんだ、この下手くそ、と。

ガシャコンスパローの矢の流れ弾により、道路がバグスターが暴れてる以上に穴だらけになってしまったかならば、致し方ないことだったのであろう。

…だが、貴利矢は、そんな周りを気にしないままに、矢を幾度も放っていく。

 

ソレこそが、貴利矢の真の狙いだったからだ。

 

 

「…多少、雑で荒っぽいやり方だが…悪くない。これなら、あの子を助けられる!!」

 

そんな貴利矢が矢を滅茶滅茶に放っている…ように見える状況下、その隙に天を取ったバドが上から急降下してモータスバグスターに向かい突っ込んでいく。

ソレに気付いたバグスターは慌てて距離を取ろうと本能的に動こうとして…躓いてしまった。

 

そう、貴利矢は最初から、あのモータスバグスターを直接狙っていた訳ではなかった。

そもそも、レースゲームのキャラクターの化身の全力疾走を狙い撃てるとは、貴利矢は考えていない。

当たる確率が低いだろうし、何より、バグスターの手に有る少年に当たる確率がある。

助けようとして、自分がその対象を撃ち抜いてしまうなど…最早、笑えないギャグでしかないじゃないか。

 

ならば、貴利矢のすべき事は、『モータスバグスターを足止めすることに徹すること』である。

具体的に言うならば、モータスバグスターを走り回らせないようにすれば良い。

バドが言っていることでもあったじゃないか、『モータスバグスターの動きは、平面的でしかなかった』と。

破壊も妨害も有りとは言え、バイクレースゲームの化身であるモータスバグスターには、本能的にジャンプするだの飛ぶだのと言う行動が取れる訳ではなかったのである。

ならば、そのバグスターの動きを止めるには…簡単だ、走れなくすれば良い。

道を、全力疾走で走れないフィールドに変えてしまえば良いのである。

 

貴利矢が道路を穴だらけにした事は、要するにそう言うことだ。

円を描くように道路に穴を空けることで、モータスバグスターを知らず知らずの内に追い込みながら、全力疾走できる範囲を狭めていき、上を抑えているバドが救出しやすいように調整していたのであった。

飛びながら貴利矢の矢の弾道を上から見ていたバドは、そんな貴利矢の狙いを直ぐに看破していたのである。

 

 

そして、貴利矢の策に嵌まり全力疾走しそこなったモータスバグスターの手から、少年が離れ、空を舞う。

そこに、少年の身体にイーグライザーの鞭モードが疾風の様に巻き付き、少年を巻き取るなりバドは優しく抱き上げながら、返す様に少年の母親の下へと舞い降り、優しく母親へと少年を引き渡す。

 

泣きながら再会を喜ぶ母子を尻目に、バドと貴利矢はガツンと肘を無言でぶつけ合いながら、お互いの健闘を称え合いつつ、最後の始末に向かう。

 

 

…STAGE SELECT…

 

貴利矢が己のドライバーの能力の一つである、疑似空間転送能力をそんな音声と共に発動し、関東のとある石切場跡を模したデータ空間へと、バドとモータスバグスターを引きずり込んだのであった…

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