━━━━クリスマスイヴ。それは彼の聖人の誕生を祝う前夜祭である。そこから色々発展してサンタクロースが子供達にプレゼントを送るようになったりカップル同士がデートしたり何なり…………。
そんな自分は白玉楼でクリスマスを過ごしている。今日は妖夢がクリスマスケーキを作ってくれるみたいだからとても楽しみだ。
「ねぇ?」
「……幽々子さん、いきなりどうしたんです?」
不意に、幽々子さんが問いかけてきた。今度はどんなことを聞いてくるだろうか。自分の名前も内容も伏せて質問してくる時は大体ぶっ飛んだ質問だ。
「私達、いつになったら結婚するのかしら」
知ってた。やっぱりぶっ飛んでた。結婚しようだなんて……結婚?
「け、結婚!?い、いや、そんなのまだ早いですって!」
その言葉の意味を理解した途端、顔が熱くなる。やっぱ幽々子さんには敵わない。平然とそんなこと言える精神力には抵抗のしようがない。
「つれないわねぇ、私達仮にも恋人なんだから。もっとこう、何て言うか……もっとあんなことやこんなことをしたいとか思わないの?」
「だから、そういうことはまだ━━」
「そう?私は別にいいわよ?」
「っ……!」
更に顔が熱くなる。凄い。身体中から蒸気が沸き上がるんじゃないかってくらい凄い。幽々子さん、何で恥ずかしがってないの?
「なんて、冗談よ。何、まさか本気にしちゃった?」
「はぁ……」
呆れから、ため息をつく。幽々子さん、本当に凄いなぁ……。冗談にしてももっとマシな冗談は無いんですかと言いたい。心臓に悪い。
……まぁ、いつもこんな感じだ。何気ない会話は楽しい。実際の所ほぼ痴話喧嘩だが。そこは気にしちゃいけない。
「ケーキ、できましたよ」
そう言って戸を開ける者が一人。妖夢だった。ケーキをここに持ってきてくれたようだ。そのケーキはチョコケーキだった。とても綺麗な形で、何より美味しそうだ。早く食べたい。
「あぁ、ありがと」
こんなに美味しそうなケーキを作ってくれた妖夢には感謝しかない。
「いえ、私は当然のことをしたまで。では私はこれで━━」
「いや、妖夢も一緒にいていいんだぞ?」
「何言ってるんですか、クリスマスは恋人同士が過ごすと決まってるもの。私は場違いです。では、楽しんでください」
そう告げて、妖夢は部屋から出ていった。……妖夢は俺と幽々子さんに気を配ったんだろう。
「妖夢も中々やるじゃない。私達の邪魔をしないように空気を読んでくれたんだから」
「……えぇ、そうですね。こんな辛気くさくなるものあれだし、ケーキ食べちゃいましょう!」
「そうね、こんなにも美味しそうな物を放ってはおけないわ」
妖夢の気持ちを無下にする訳にはいかない。このままだと暗い方向に話が進んでしまうので話を変える。幽々子さんも妖夢のケーキを楽しみにしてたんだ。ここで台無しにしてはいけない。
「じゃ、いただきます」
「いただきまーす!」
食べる直前の挨拶を済ませ、一切れを口に入れる。甘い。スポンジがふんわりとしている。チョコはしっとりとしていて滑らかだ。
「甘い!癖になる甘さよ!」
幽々子さんも喜んでる。彼女が食べてる時の表情とても嬉しそうでついつい見入ってしまう。女神かよ。
「貴方はどう?何か感想は」
「できるならずっと食べていたい位です」
「そうよね!」
そう言ってケーキを頬張る。可愛い。
「はい、あーん」
「むぐっ……」
いきなり、ケーキを口の中の入れられる。勿論幽々子さん仕業だ。
「フフ、照れちゃって。可愛いんだから」
「……あーん」
やられてばかりじゃこっちのプライドが許さない。滅茶苦茶恥ずかしいが俺もやり返す。
「んっ……上出来ね。てっきり恥ずかしがってされるがままかと思ったわ」
「それはまずいですよ、男として……」
とは言え、されるがままもそれはそれで役得かもしれない。因みに俺は被虐体質ではない。いたって正常な男です。
「ケーキ、美味しかったわね」
「はい、とても。妖夢には何てお礼を言えばいいか……」
「そうね、後で二人一緒にお礼を言いましょう」
互いに微笑み合う。この空間を作ってくれた妖夢に心の底から感謝しつつ、このまま談笑を交わした。
※※※
━━━━目が覚めた。というのも、どこからともなく鈴の音がシャンシャン鳴り響いているからだ。その音はどんどん近づく。
これはあれか。サンタクロースか。サンタクロースが
鳴らしてるのか。本当に存在するのかサンタクロース。
好奇心から、俺は布団から出る。寒いが、そこは重要ではない。電気をつけ、足音を立てないようにそっと前に進む。一歩。また一歩。足音を最小限に抑えて歩みを進める。
ついに戸の前に着いた。いつもなら十秒もかからないが、緊張のせいなのか数分経ったように感じた。そして、震える手で戸を開ける。その時だった━━━━。
「メリークリスマス!」
快活な女性の声と同時に戸が開いた。……なのだが、この声を俺はよく知っている。そうだ、この声の正体は。
「幽々子さん……?」
「あら、貴方起きてたのね」
「鈴の音で起きちゃいましたよ」
「そう……」
幽々子さんは驚いている。俺も驚いている。幽々子さんは俺が寝ていると予想していたのだろう。
「そんなことよりも、どう?このサンタ服、紫がくれたのよ」
「あ……」
見ると、いつもの水色の着物ではなかった。赤と白のツートンカラーの帽子。同じの色の服。若干胸が見えてる。同様にミニスカート。下にはスラリと伸びる生足。あぁ眼福眼福…………ってまずいですよ幽々子さん!露出し過ぎじゃありません?
「フフ、やっぱり顔が赤くなってるわぁ。本当に可愛いんだから」
幽々子さんに指摘されて初めて気づいた。急に顔が赤くなる。自分でも分かるくらい熱い。
「前置きはこれぐらいにして、本題入りましょう」
「本題……?」
「サンタクロースは皆にプレゼントを配るのでしょう?だからね、私もプレゼントを配ろうと思ってね」
「配る……もしかして、俺にか?」
「そうよ。貴方に送るクリスマスプレゼントはずばり━━━━」
直後、幽々子さんの腕が俺の首に絡みつく。顔が徐々に近づいてくる。そして━━━━互いの唇が触れ合った。
「っ!?」
瞬間、何が起こったのか分からなかった。しかし、理解には時間は掛からなかった。俺と幽々子さんはキスしてる。少しして、幽々子さんの顔が離れていった。触れた時間は十秒あったか分からないくらいだが、永遠と思えるくらいに長く感じた。
「ワ・タ・シ」
最後の言葉で心を射貫かれた。理性陥落。もういいです、幽々子さんと一緒に暮らしてダメになってもいいです。いつになるか分からないが、俺が死ぬ時、最後にきっとこう言うだろう。
“幽々子さんと一緒に過ごしたいだけの人生だった”と━━━━。
どうも、儚夢想です。
今回はクリスマスということで幽々子様とクリスマスを過ごしたいという欲望をそのまま形にした小説を書きました。今回は殆どノリだけで書いています。考えたことは話が暗くならないように、そして如何に幽々子様とイチャイチャできるか……それくらいです。本当に。
それではこの辺で。楽しんで頂ければ幸いに思います。